労務

労働審判の解決までにかかる期間はどれくらい?短縮する方法とは?

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

労働審判とは、労働者と事業者との間の労働関係のトラブルを解決するための手続きです。
裁判と異なり、早期迅速な解決を目指すために短期間で解決を図ることに特徴があります。

この記事では、短期間とは具体的にどれくらいなのか、より短縮するためにすべき工夫とは何かについて解説します。

労働審判の解決までにかかる期間は?

労働審判の期間について、労働政策研究・研修機構が2023年に作成した労働政策研究報告書では、2020年から2021年の間に行われた労働審判の期間の平均は3.5か月であり、中央値は3.1か月であると報告されています。

したがって、統計的にも、申立てから審判の終了までの期間は3か月程度であるといえます。
ここからは、労働審判全体の流れについて説明します。

申立て~第1回期日の指定

まず、労働審判を申し立てるためには、労働審判手続申立書を作成する必要があります。
この書面に書くべき項目は以下のとおりです。

  • 申立ての趣旨
  • 申立ての理由
  • 予想される争点及び争点に関する重要な事実
  • 申立てに至る経緯の概要

申立ての趣旨には請求の内容が、申立ての理由には請求が認められる根拠となる主張が記載されます。
予想される争点では、労働審判の申立て前に労使間でなされた話し合いの内容を踏まえて申立人が考える相手方の反論の予想や、予想される反論に対する主張が記載されます。

裁判所は、申立書を受け取ると、申立人と期日調整を行い、第1回期日を指定します。

第1回期日

期日が指定されると、相手方に対して申立書の送付と期日の通知がなされます。
申立書を受け取った相手方は、裁判所の指定した期限までに答弁書の提出を行う必要があります。
したがって、第1回期日は申立人からの申立書と相手方からの答弁書が出揃っている状態で開かれます。

第1回期日では、裁判官と労働審判員で構成された労働審判委員会が、申立書と答弁書を元に双方の主張を整理しつつ、争点のあぶり出しや和解による解決の可否の検討を行います。

双方の主張の対立が激しく全く和解の余地がないという場合や、早期に和解の条件がまとまった場合には、第1回期日のみで終結とされることもあります。

第2回・3回期日

労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終えるよう法律で定められています。
しかし、必ずしも第3回期日まで開かれるとは限りません。
前述のとおり、第1回期日のみで終結する場合や、第2回期日で終結する場合も多く存在します。

そこで、答弁書における主張の段階から充実した主張立証を行うことが重要となります。

異議申立て

労働審判では、話し合いによる解決の見込みがあれば調停を成立させることによって審判が終結します。
一方、話し合いがまとまらない場合は、労働審判委員会が、審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ、事案の実情に即した判断(労働審判)を示します。

当事者は、この労働審判に対して2週間以内に異議申立てをすることができます。
異議申立てがされた場合には、労働審判は効力を失い、訴訟に移行することとなります。

労働審判の期間が平均より長引くケースとは?

労働審判の期間が平均より長引くケースとして、以下のものが挙げられます。

  • 事実関係が複雑なケース
  • 労使双方の主張が大きく対立しているケース
  • 大量の証拠の取調べが必要となるケース

これらのようなケースでは、事案の性質が簡易迅速な解決を目指す労働審判の趣旨にそぐわないこともあります。そのような場合には、労働審判委員会が早期に訴訟移行の判断をすることもあります。

労働審判の早期解決を目指すべき理由

紛争が長期化することによって、会社が紛争に割かなければならないあらゆるコストがかかり続けることで負担が増大する等のデメリットがあります。
当事者双方にとって紛争を早期解決することがメリットになります。

訴訟へ移行するとさらに長期化する

労働審判では、3回以内の期日で審理が終結されますが、訴訟では期日の回数に制限はなく、当事者双方が主張及び証拠が出し尽くされ、審理が尽くされるまで期日が続行します。
多くの訴訟では、終結まで1年以上を要する場合がほとんどであるため、労働審判と比較するとかなり長期化するといえます。

労働審判の期間を短縮するための3つの方法

では、早期解決のためにできるだけ労働審判の期間を短縮するためにはどうすればよいのでしょうか。
この点について解説します。

①事前準備を入念に行う

第一に、事前の準備を入念に行うことが挙げられます。
労働審判において充実した主張をするためには、事前に主張をまとめておいたり、主張に関連する証拠の収集を早期に行っておく必要があります。

答弁書には提出期限がある

前述のとおり、答弁書には提出期限が存在します。この提出期限は遵守すべきです。

一方で、労働審判の申立書が手元に送達されてから証拠を集めたり主張を整理したりしていては、答弁書の作成のための時間が足りなくなる可能性もあります。
そこで、労働者と紛争になったら、労働審判が申し立てられる以前から、労働審判の申立てに備えて労働者とのやり取りを記録に残したり、証拠となりそうな資料を手元に集めておくのがよいでしょう。

②労働問題に強い弁護士に依頼する

労働問題に強い弁護士に依頼することで、弁護士の判断も早くなり、必要な主張や証拠を迅速に集めることができます。したがって、労働問題に強い弁護士に依頼することは、適確な主張立証がなされることにつながるのみならず、早期解決にも資することとなります。

③調停成立(和解)を目指す

労働審判において早期に和解ができれば、訴訟に移行することも回避し、早期解決ができる可能性があります。
調停成立のためには、答弁書に事前に金銭賠償に応じることができることや、金額の提案を記載しておくことで、和解が早期にまとまる可能性が高くなります。

労働審判の早期解決を目指すなら、法律の専門家である弁護士にご依頼ください。

ここまで労働審判について解説してきましたが、労働審判においては、早期対応が重要になります。
早期解決のためにもぜひ専門知識を有する弁護士にご依頼ください。

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監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
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