労務

就業規則を弁護士が作成、チェックをするメリット

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

御社では就業規則は、どのように作成されていますでしょうか。
書籍やインターネット上の記事を参考に作成なさっているのではないかと思いますが、「これで本当によいのだろうか」と考えたことはありませんか。

弁護士が就業規則を作成・チェックするメリット

弁護士が就業規則を作成、チェックするメリットは、以下のようなものです。

法律に基づいた内容にすることができる

就業規則は労働者と会社様との契約関係に影響を与える重要なルールですが、その根源は当然ながら「書籍」や「インターネット上の記事」ではなく、「法律」です。
法律の専門家たる弁護士に就業規則の作成を依頼することにはその意味での合理性があります。

労使トラブルの予測が立てられる

弁護士は会社様と労働者の法的トラブルについて日常的に相談を受け、訴訟や労働審判に対応するために裁判所に出向き、裁判官らを説得し、交渉し、議論をして紛争を終結させています。
つまり、法的トラブル対応を通じて、「なにをどうすれば法的トラブルとなるのか」を熟知しているのです。
法的トラブル対応の経験から、法的トラブルを回避する実践知を盛り込んだ就業規則は弁護士にしかつくることはできないでしょう。

会社の経営理念を反映してもらえる

就業規則はいわば会社様にとっての基本ルールです。
服務規律以外にも、会社様としての基本的な思想や理念を弁護士に伝えることで、一貫した内容での就業規則の作成が可能となります。

届出や変更の手続きも代行してもらえる

弁護士に作成を依頼した場合、届出や変更手続きの代行も対応できます。
就業規則は、会社様が作成すれば完成するというものではなく、
①労働者の意見書を添えて
②労働基準監督署に届出を行い、
正式に認められなければ就業規則としての効力はありません。

①については会社様にて対応いただく必要はもちろんありますが、②について弁護士に手続き代行を依頼することは可能です。

弁護士に依頼しないことで起こり得るリスク

むしろ、弁護士に就業規則のチェックや作成依頼をしない場合は、就業規則に関する何らかのトラブルが発生した際、労働者や裁判所から、「なぜこのような就業規則の定めになっているのですか」と問われます。
その際、「この実務本に書いてあったから」とか「インターネットの記事でそう書いてあったから」との反論が十分なケースはほとんどないでしょう。

就業規則の雛形をそのまま利用した場合

雛型は、どういった項目が必要なのかを一般的に把握する際には有益です。
一方、就業規則はまさに御社で実際に使用する「道具」の一つですから、御社の具体的な業務に即したものでなければ意味がありません。御社の就業規則は、雛型をそのまま流用することはできないのです。

一度作成した就業規則を変更することは困難

一度作成した就業規則を従業員の不利に変更することは、会社様の一存ではできません。
従業員の過半数の代表者から意見を聴取し、労働基準監督署長に書面で提出することが必要です。
つまり、一度定めた就業規則の変更は簡単にはできないため、慎重にこれを作成する必要があります。

就業規則の作成などを弁護士に依頼すべき会社とは?

例えば、以下のような会社様が挙げられます。

従業員が9人以下の会社の場合は?

従業員が常時10人未満の事業所については、就業規則を作成する義務を負いません。
一方で、10人未満の会社様であっても、就業規則は以下に述べる理由からあった方がよいと言えます。

⑴就業規則に懲戒事由と懲戒の定めがないと懲戒できない
⑵就業規則上定めておかないと遅刻・早退・欠勤時に賃金控除ができない
等々

就業規則について社労士よりも弁護士に依頼すべき?

就業規則のチェックを弁護士に依頼するメリットは、現実の紛争(訴訟や労働審判等)対応をしている経験から、何が法的トラブルの原因となるかを具体的に指摘できる点にあります。
紛争予防の観点からは弁護士に就業規則の作成・チェックを依頼するメリットはあります。

トラブル防止のために就業規則を規定・整備すべき事項

トラブル防止の観点から、以下の項目については注意が必要です。

労働時間に関する事項

始業時間、終業時間はいつか、休憩はいつどのようにとるのか等については、就業規則に必ず記載をしなければならない事項です。

賃金に関する事項

就業規則には賃金に関する項目を必ず記載しなければなりません。
具体的には、賃金の決定方法や計算方法、締め切り、支払い時期等について定める必要があります。

残業に関する事項

残業命令については、就業規則上、記載がなければ命令をすることができません。
就業規則の他にもいわゆる36協定の締結が必要となる場面もあるため、注意をする必要があります。

休暇・休職に関する事項

休職制度について、詳細は割愛しますが、法律上、制度として設けることを会社様が義務付けられているものではありません。
もっとも、だからこそ、そういったものを制度として設ける場合には就業規則で具体的な定めをする必要があります。

退職・解雇に関する事項

退職や解雇に関する事項については、就業規則に必ず記載をしなければなりません。

懲戒処分に関する事項

懲戒処分については、就業規則に定めがない場合、そもそも懲戒処分そのものを出すことができません。懲戒に関する定めについては後に裁判所で労働者から争われた際、不備があるとの認定がされないよう慎重に定める必要があります。

服務規律に関する事項

懲戒の理由となるルールを網羅する必要があります。
さらに会社様としての個性が現れる部分でもありますので、丁寧に定める必要があるでしょう。

管理監督者に関する事項

管理監督者とは、正式には「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法41条2号)を指します。
労働基準法上の管理監督者については、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。
就業規則で管理監督者の定義付けをすれば、その定義の内容の役職において労働基準法どおりの管理監督者となるわけではないものの、明示することで労働者とのトラブルは回避できるようになります。

フレックスタイム制に関する事項

フレックスタイム制を導入するにあたっては、就業規則に始業・終業時刻の両方を労働者の決定に委ねる旨、規定する必要があります。

テレワーク導入で就業規則の整備が必要な理由

テレワーク導入にあたっては、通常、労働時間やその他の労働条件を完全にオフィスと同一とすることはできないと思われます。
具体的には、テレワーク勤務を命じることに関する規定や、その場合の労働時間についての規定、通信費などの負担に関する規定を定める必要があります。

就業規則は定期的に見直す必要がある

就業規則は一度作成すればよいというものではありません。むしろ作成後も、法改正により、修正が必要となることが殆んどです。
日常の業務をこなしながら、法改正に対応するために就業規則へ手を入れ続けるのは、現実的ではありませんので、弁護士の関与が必要となってきます。

弁護士に依頼すると費用はどれくらいかかる?

会社様の業種とご依頼の内容によって異なって参りますのでご相談ください。
お見積り申し上げます。

顧問契約を結ぶことで弁護士費用を抑えることも可能

顧問契約を締結することで、会社様と弁護士との間で継続的なやりとりが生まれ、弁護士がより会社様のことを深く理解していくようになります。
より会社様の実態に見合った御提案をしやすくなり、紛争予防が推進され、紛争そのものの件数が減る結果、事件対応に要する弁護士費用は低減していくことでしょう。

就業規則を作成・見直しする際は、労使トラブルを防ぐためにも弁護士に依頼することをおすすめします。

就業規則を作成・見直しする際には、労働トラブルをこれまでに解決してきた弁護士の経験が重要です。是非労働トラブルについて熟知している弁護士に相談ください。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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