団体交渉でやってはいけない対応

公開日:2020年10月9日
  • 団体交渉、労働組合対策

使用者は、労働者や労働組合に対して、団体交渉の際、一定の行為を禁止されています(労働組合法7条)。

では、具体的に、どういった行為について禁止されているのでしょうか。

団体交渉の対応で会社が注意すべきこととは?

団体交渉の際、会社がもっとも気を付けなければならないのが、不当労働行為に該当するような対応をしないことです。特に、誠実団体労働交渉義務違反による不当労働行為の成立について注意する必要があります。

団体交渉における不当労働行為

不当労働行為の基本的なパターンは、不利益取扱い、団体交渉拒否、支配介入の3類型が挙げられます(労組法7条)。

①不利益取扱い
組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止

②団体交渉拒否
正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止

③支配介入
労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止

この中で最も注意を要するのが、②の内の、誠実交渉義務違反です。

団体交渉で会社がやってはいけない対応

大きく分けると以下に分けられます。

⑴誠実な交渉
道徳上の要請というよりは、不当労働行為と評価されることを回避するための、いわば法的な要請です。以下のように具体化できます。

ア 組合側の要求を理解しようとしない。
交渉の第一歩は、要望の理解です。要求をのむということと、理解しようとすることは別です。組合側の要求を理解できるよう、具体的に話を聞いてください。その際には、要望の根拠や、なぜその要望をするに至ったのかの経緯についてもヒアリングが必要です。話が要領を得ないようであれば、ホワイトボードに書き出したり、会社側から質問する等、整理を試みてください。
イ 交渉継続となった場合に、交渉継続日を極端に先延ばしにしない
意味もなく先延ばしにすることは誠実交渉義務違反と指摘される可能性を高めます。なるべく柔軟にスケジュール調整を試みるべきでしょう。
ウ 無断録音しない
無断録音が判明した場合、組合側との最低限の信頼関係が失われかねません。
無断録音をしないという、その裏がえしとして、組合側にも無断録音を避けるように説明できますし、場合によっては、双方合意の上で録音をする提案もよいと思います。
エ 高圧的な発言/声を荒げる
双方感情的になっても得られるものはありません。団体交渉は法的な問題であり、感情の発露によって解決する性質の問題ではないからです。また、威圧的な言動は誠実交渉義務違反と捉えられる可能性があります。
オ 権限を一切持たない人間のみ出席させる
交渉の体をなしていないとして、誠実交渉義務違反であると指摘される可能性があります。
カ 労働組合からの脱退と引き換えの交渉
不当労働行為そのものとなりますので、絶対に避けるべきです。

⑵ インパクトを精査しない上での合意
団体交渉において合意が成立した場合、その合意は、労働協約という強力な効果を帯びることとなります。したがって、合意に先立って社内での影響度を精査しなければなりません。例えば、賃上げが要望であれば、そもそも可能なのか、代替手段はないか、可能であればどの程度可能なのか、事前に経営層において検討しておく必要があります。

団体交渉における会社側の対応が問題となった判例

事件の概要

支店出張所の閉鎖・従業員の配転等を内容とする団体交渉において、組合が会社との間で合意が成立したとした項目について協定書の作成を求めたところ、会社がこれを拒否したことをめぐって争われた事件です。

裁判所の判断(事件番号・裁判年月日・裁判所・裁判種類)

「包括的な事柄が交渉事項となっている団体交渉において労使間に合意が成立したというためには、特段の事情のない限り、当該交渉事項の全体について確定的な意思の合致があったことが必要であって、仮に当事者の一方が団体交渉の過程で交渉事項の一部について相手方の主張に合致するような見解の表明を行ったとしても、右見解の表明が、全体的な合意の成立を条件とする暫定的ないし仮定的な譲歩にかかわるものであるときは、これをもって、個別的な事項について労使間の合意の成立があったとすることはできないものというのが相当である。」として、誠実交渉義務違反には当たらないとしました。

(最高裁判所平成7年1月24日第3小法廷判決/平成4年(行ツ)第112号)

ポイント・解説

団体交渉の結果、妥結に至った場合、使用者が当該妥結の書面化を拒否した場合は、原則として誠実交渉義務違反となります。しかし本件の場合、交渉は未だ暫定的合意しかなされておらず確定的な合意には至っていないと判断され、書面化に応じなくとも誠実交渉義務違反とならないとされました。

会社側としては、安易に合意について書面化に応じるべきではないということが読み取れる判例です。

団体交渉で会社が不要なリスクを負わないよう、弁護士が最善の方法をアドバイスさせて頂きます。

団体交渉は対応を誤ると企業に与える影響が甚大です。

また、団体交渉は決裂・合意いずれの顛末となっても、交渉過程は、先例として会社を事実上拘束しかねない性質のものであり、場当たり的な対応は望ましくありません。

会社の実情を踏まえ、過去の決裂例(裁判例)・法令を分析した上で対応が求められるため、平時の業務をこなしながらの対応は困難を極めます。したがって、団体交渉申入れがなされた段階から弁護士の関与が望ましいと言えます。

関連記事
関連記事

企業側人事労務に関するご相談

初回30分電話・来所法律相談無料

顧問契約をご検討されている方弁護士法人ALGにお任せください

土日祝日・年中無休・24時間電話受付中

※会社側・経営者側専門となりますので、
労働者側のご相談は受け付けておりません

会社側・経営者側専門となりますので、労働者側のご相談は受け付けておりません

会社側・経営者側専門となりますので、労働者側のご相談は受け付けておりません