監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士
相続手続きを、自分でやってみたいと考える方は少なくありません。
相続手続きを自分で行うことは禁止されていませんが、手続きが大変であることや、相続人の間でトラブルが発生しがちなことなど、注意するべき点が多いため、なるべく専門家に相談するべきでしょう。
この記事では、相続手続きを自分で行えるケースと専門家に任せた方が良いケース、自力で行うときに生じるリスク、弁護士に依頼するメリットなどについて、わかりやすく解説します。
目次
相続手続きは自分でできる?
相続手続きは、自分で行うことも可能です。
ただし、やるべきことが非常に多く、とても手間と時間がかかる作業となります。
さらに、相続には期限が定められている手続きもあり、うっかり忘れてしまうと、高額な損害が発生するおそれもあります。
手続きの途中でミスが発覚すれば、修正に時間がかかり、余計なストレスを抱えることにもなりかねません。
そのため、相続手続きを自分で進めるか、専門家に任せるかは、状況に応じて慎重に判断しましょう。
自分で相続手続きができるケース
相続手続きを自分でできる可能性が比較的高いのは、以下のような条件が揃っている場合です。
- 相続人が少ない
相続人が1人または少数で、関係性が良好な場合は、遺産分割協議などの調整が不要または簡単に済みます。 - 財産が少なくてシンプル
相続財産が現金や預貯金のみで、不動産や株式などが含まれていない場合には、手続きも簡単になりやすいです。 - 時間に余裕がある
平日の日中に役所や金融機関へ足を運べる時間がある方は、自力で手続きができる可能性があります。 - 遺言書がある場合
有効な遺言書が存在し、内容に争いがない場合は、手続きがスムーズに進みやすくなります。
ただし、これらの条件が揃っていても、戸籍の収集など、一定の手間があることに注意しましょう。
専門家に相続手続きを依頼した方がよいケース
主に以下のようなケースでは、自分で相続手続きをするのは難しいので、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 相続人が多い、または不仲な場合
相続人が複数いて意見が対立している場合、相続財産を分配するための話し合いが難航するおそれがあります。 - 相続財産が多く、種類が複雑な場合
不動産や株式、事業資産などの多様な財産がある場合は、評価や分配方法が難しく、専門的な知識が求められます。相続税などについても注意が必要です。 - 時間に余裕がない場合
相続手続きをするためには、平日の日中に役所や金融機関へ出向いて手続きをする必要があります。 - 相続財産に不動産が含まれている場合
不動産の相続登記は、必要書類が多く、法務局とのやり取りも大変になりがちです。
相続手続きを自分で行うときの5つのリスク
必要書類を集めるのに時間と労力がかかる
相続手続きを自分で進めるときに避けられない作業として、必要書類の収集が挙げられます。
まず、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を揃える必要があります。
引っ越した回数などが多い場合には、揃えなければならない戸籍が多くなりがちです。
また、相続人が複数いる場合には、全員の戸籍や住民票、印鑑証明書などが必要になることも多いです。
さらに、財産の種類によっては、被相続人の住民票の除票や固定資産評価証明書、預金通帳の写し、保険証券など、個別に異なる書類を用意しなければなりません。
これらを漏れなく収集するには、相続に関する知識と根気が求められます。
また、遺産分割協議書の作成や、登記申請書の作成などが必要となります。
預金解約や不動産の名義変更などやるべきことが多い
相続手続きでは、相続財産に預貯金や不動産が含まれていると、預貯金の解約や不動産の相続登記などが必要です。
預貯金を解約するときに、金融機関によって必要書類の種類や提出方法が異なるため、それぞれに対応する必要があります。窓口での説明や書類の確認に時間がかかることも多く、平日の日中に何度も足を運ばなければならないケースもあるでしょう。
また、不動産の相続登記においては、登記申請書の作成や遺産分割協議書の作成など、細かい書類の準備が求められます。書類に不備があると、法務局から補正を求められてしまい、手続きが長引くことも珍しくありません。
相続で不動産の奪い合いになった場合は、不動産を売却する手続きも必要になるでしょう。
裁判所や銀行に何度も足を運ぶ必要がある
相続人の間で意見が食い違う場合には、相続財産の分配を決めるために、家庭裁判所での調停や審判が必要になることもあります。
また、銀行や法務局などの窓口は、基本的に平日の日中のみの対応が多く、会社に勤めている方などにとっては時間の確保が大きな負担です。
書類の不備があれば再訪が必要になり、1回の手続きで終わらないケースも少なくありません。こうした時間的・身体的な負担は、精神的なストレスにもつながるでしょう。
手続きの期限に間に合わない可能性がある
相続手続きには法律で定められた期限があるものが多く、これを知らずに放置してしまうと、重大な不利益を被るおそれがあります。自分で手続きを進める場合には、それぞれの期限を把握して、確実に対応することが求められます。
代表的な期限の一つが、相続放棄の申立ての期限です。これは、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てなければなりません。
この期間を過ぎると、基本的に相続を承認したものとみなされ、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
また、相続税の申告と納付は、相続開始から10ヶ月以内が期限です。期限を経過してしまうと、延滞税や無申告加算税などが発生するおそれがあり、注意が必要です。
相続人でトラブルになりスムーズに進まないことがある
相続財産の分配方法などを決める遺産分割協議は、相続人の全員が合意しなければ成立しないので、1人でも納得しない人がいると手続きが止まってしまいます。
特に、疎遠だった相続人や、関係が良好でない相続人などがいる場合、連絡が取れなかったり、感情的な対立が生じたりして、協議が難航することがあります。
こうした状況では、冷静な話し合いができず、感情的な対立が激しくなることも少なくありません。
いつまでも対立が続いてしまうと、遺産分割協議書の作成が進まず、預貯金の解約や不動産の相続登記などの手続きも滞ることになります。また、相続税の金額を抑えられる特例などが使えなくなります。
結果として、相続手続きが長期化して様々な負担が増すことになるでしょう。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
相続手続きを弁護士に依頼するメリット
必要書類の収集など全ての手続きを任せられる
相続手続きを弁護士に依頼すれば、必要書類の収集や作成、不動産の相続登記、金融機関とのやり取りといった、すべての手続きを一括して任せることができます。
書類の不備による手続きの遅延や、手続きに設けられた期限の見落としといったリスクも回避できるため、安心して相続を進めることが可能です。
また、弁護士からは相続税や遺産分割に関する法的なアドバイスも受けられます。
自分で進めるよりも、確実に相続を完了させられる可能性が高まるでしょう。
相続トラブルにも適切に対応できる
弁護士に依頼する最大のメリットは、他の相続人との間で争いが発生したときに、相続人同士のやり取りを代理してもらえることです。
税理士や司法書士など、他の専門家では、法的な交渉や調停の代理はできません。
弁護士であれば、遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判の手続きなどに対応することが可能です。また、感情的な対立がある場合でも、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが期待できます。
自分で相続手続きを進めるのが難しいと感じたら、できるだけ早めに弁護士へ相談しましょう
相続手続きは、書類の収集や財産の確認、相続人間での話し合いなどが必要であり、とても複雑で時間のかかる作業です。最初は自分で手続きができると思っても、途中で行き詰まってしまうケースは少なくありません。
自分だけで手続きをするのが難しいと感じた場合には、弁護士へ早めに相談しましょう。
弁護士は、相続に関する知識があるだけでなく、実務経験も豊富なため、状況に応じた的確なアドバイスとサポートが受けられます。
弁護士法人ALGでは、相続に精通した弁護士が多数在籍しており、複雑な手続きやトラブルにも丁寧に対応いたします。安心してご相談ください。

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保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
