監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士
交通事故で怪我を負ってしまい、治療のための通院などで仕事を休業したことで収入が減少した場合には、「休業損害」として相手方に請求することができることがあります。
休業損害の計算には、「休業日数」や「稼働日数」が重要となり、受け取れる休業損害の金額に影響を与える要素となります。
この記事では、休業損害の計算に必要な、「休業日数」と「稼働日数」の数え方について解説していきます。休業損害を請求したいとお考えの方は、このページで理解を深めていきましょう。
休業損害の計算における稼働日数とは
休業損害の計算における「稼働日数」とは、休日などを除いた実際に働いた日数のことです。出社日や在宅勤務に関わらず、実際に就労した日は稼働日数としてカウントすることができます。
休業損害を請求するためには、休業日数や稼働日数などを記載する「休業損害証明書」を勤務先に作成してもらい、相手方保険会社に提出する必要があります。しかし、休業損害証明書に記載する稼働日数は、「事故前3ヶ月の稼働日数」となります。事故後に稼働した日数ではないので注意しましょう。
有給を取得した日は休業日数や稼働日数に含まれる?
有給休暇は、実際には仕事を休んでいても、出勤したものと取得した日とみなされることになり、給与が発生することになりますので、稼働日数に含めることになります。
そのため、事故前3か月に有給を取得した日があったとしても、休業損害証明書に記載する際には、有給休暇を取得したにも稼働日数に含める必要があります。
また、事故後に治療等のために有給を取得した場合、有給休暇は出勤したものとして稼働日数に含まれることから、収入が減ることはありませんが、本来は治療等以外の目的に使用することができた有給休暇を事故のために使用したということで休業日数に含めることになります。
治療のために半休・早退・遅刻した日休業日数や稼働日数に含まれる?
有給を使用しない半休、遅刻や早退をした日は、稼働をしていない以上は、稼働日数には含まれません。そのため、休業損害証明書に記載する事故前3か月について、たまたま遅刻や早退が多かった場合には、休業損害の基礎となる収入の算定がふりになってしまう場合がありますので注意を要します。
他方で、交通事故の治療等のために、有給を使用しない半休、遅刻・早退をする必要性がある日もありますが治療等のために遅刻などした場合、事故がなければ遅刻などをすることはなかったという点から、休業日数には含まれます。
〈半休の場合〉
半休の場合については、通常0.5日分の稼働として計算されることが多いでしょう。例えば、午前中に通院して午後から出勤、あるいは、午前中に出勤して午後から通院などという場合には、0.5日分が休業日数となります。
〈遅刻・早退の場合〉
遅刻・早退の場合は、その時間数に応じた就労時間が休業日数として計算されます。例えば、1日の労働時間が8時間の場合で3時間遅刻したとすると、実際の稼働時間は5時間となります。そのため、休業日数は「3時間÷8時間=0.375日」となります。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
休業損害における休業日数の数え方
休業日数にはどのようなものが含まられるかだけではなく、休業日数をどのように数えるのかどうかも、休業損害を計算するうえで非常に重要です。
休業日数とは、基本的に、完治または症状固定までの期間で怪我の治療のために会社を休んだ日のことを指します。
休業日数を数えるうえでポイントとなるのは、連続休業か断続休業化のいずれであるかという点です。連続休業とは、所定の休日も含めて一定期間仕事を休み続けることであり、断続休業とは、通院をした日などに限って、休業したり、出勤したりが断続的に続いていることです。
前者の場合には、所定休日を含めて休業日数として数える代わりに、1日当たりの基礎収入を算定する際、事故前3か月の収入を歴日数で割ることになりますが、後者の場合にはし、所定期日を含めずに休業した日のみを数える代わりに、1日当たりの基礎収入を算定する際、事故前3か月の収入を稼働日数で割ることになります。
自宅療養した日は休業日数に含まれる?
治療のための通院ではなく、自宅療養のために休業した日が休業日数として含まれるかどうかについては、担当医から指示で自宅療養していた場合には、休業日数として認められる可能性が高いといえますが、医師の指示ではなく、自己判断による自宅療養の場合には、事故との関連性が明らかでないため休業日数として認められないことも増えてきます。
そのため、自宅療養については、担当医に相談してみることが重要です。
休業損害の計算や日数についてご不明な点があれば、弁護士にご相談ください
交通事故の怪我により、仕事を休んだことで減収してしまった場合には「休業損害」を請求できます。
しかし、休業損害は算定基準ごとに、稼働日数や休業日数、計算方法などに違いがあり、受け取れる金額も異なるため、注意が必要です。
適切な休業損害を受け取るためには、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
交通事故に詳しい弁護士であれば、休業損害を適切に計算して、に相手方保険会社と交渉していくことも可能です。
休業損害は稼働日数や休業日数など、交通事故に詳しくなければ分からないことも多く、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。そうした不安を取り除くためにも、まずは一度私たちにお問い合わせください。
-
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)