托卵を理由に離婚した場合の慰謝料相場は?養育費はどうなる?

離婚問題

托卵を理由に離婚した場合の慰謝料相場は?養育費はどうなる?

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

夫以外の子を妊娠し、出産したにもかかわらず、夫との間の子であると偽って夫婦で育てることを、カッコウの習性になぞらえて、俗に「托卵」といいます。

托卵が発覚した場合、生まれた子を養育する義務は誰にあるのか、離婚は可能なのか、離婚できるとして、慰謝料は請求できるのか、離婚後の養育費は支払わらなければならないのか等、様々な疑問が浮かんでくると思います。

この記事では、托卵にまつわる諸問題について説明していきます。

托卵が発覚した(自分の子じゃなかった)場合、離婚慰謝料を請求できる?

托卵が発覚した場合、婚姻期間中に夫以外の男性と性交渉して妊娠したという場合は、基本的には法定離婚事由である配偶者の不貞行為(民法770条1項1号)に当たります。

婚姻期間中以外の性交渉であっても、夫以外の子を夫の子と偽り、夫に育てさせることは、民法上の不法行為(民法709条)に当たり、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当する可能性があります。

法定離婚事由があれば、配偶者が離婚を拒否しても、裁判で離婚が認められる可能性が高いです。

以上のとおり、托卵は、少なくとも民法上の不法行為に当たる可能性が高いため、托卵が原因で離婚することになった場合、夫は妻に離婚慰謝料を請求することができる可能性があります。

托卵に対する離婚慰謝料の相場

通常の不貞行為による離婚慰謝料の相場は50万円~200万円くらいといわれています。

ただし托卵の場合、配偶者以外の子を妊娠し、出産した上、それを夫の子だと偽って夫婦で育てていたという事実が付加されることになり、不貞行為の中でも悪質性が高く、夫に与える精神的苦痛がより大であると認められる場合があります。

その場合、通常不貞行為に比して、相場よりも高額な慰謝料を請求できる可能性があります。

托卵妻に慰謝料を請求する方法

托卵を原因として慰謝料を請求する場合は、子が自分の子ではないと認められる必要があります。

子が自分の子ではないと認められるとは、「生物的に」自分の子ではないと認められる段階と、「法的に」自分の子ではないと認められる段階があります。

まずは「生物学的に」自分の子ではないことを確定させるために、DNA鑑定を行います。
インターネット上でDNA鑑定と検索すれば、多くの業者がDNA鑑定を行っていることがわかり、一個人でもDNAを調べることができます。

DNA鑑定の結果、子が自分の子ではないことがわかったら、この時点で妻に対し、托卵を原因とする離婚を求め、慰謝料を請求することになります。

托卵を理由に離婚したその後の養育費はどうなる?

何もしなければ支払い義務は元夫にある

托卵を理由とした離婚でも、元夫との法的な親子関係が存続しているのであれば、元妻(母)が親権を獲得すれば、元夫に離婚後の養育費支払義務があります。

生物学的に親子関係がないことがわかっただけでは、当然に法的な親子関係が解消されるわけではないからです。

法律上の親子関係を解消・否定できれば支払い義務はなくなる

自分の子ではない子の養育費支払義務から逃れるためには、「法的に」も自分の子ではないと認められる必要があります。

たとえ生物学的に親子関係がないという客観的な証拠があっても、法律上の親子関係を解消するのは簡単ではありません。

法的に親子関係を解消する方法として、民法には、「嫡出否認」と「親子関係不存在確認」という2つの手続きが定められています。

托卵された子との親子関係を解消する方法

嫡出否認の訴え

妻の子が自分の子ではないとわかった場合、その子の出生を知ってから1年以内であれば、「嫡出否認の訴え」を家庭裁判所に対して提起することができます(民法777条1号)。

訴えとは言いますが、いきなり裁判を起こすわけではありません。
まずは家庭裁判所に対し、「嫡出否認調停」を申し立てます。

妻が夫の子ではないことに合意し、DNA鑑定の結果等により、その合意が正当なものであると認められれば、合意に従って裁判所が審判をし、夫と子との間の親子関係が解消されます。

妻が夫の子ではないことに合意しない場合は、調停は不成立となり、夫は続けて、家庭裁判所に対し「嫡出否認訴訟」を提起する必要があります。
この訴訟で夫が勝訴すれば、親子関係が解消されます。

親子関係不存在確認の訴え

子の出生を知ってから1年以上が経過していた場合であって、その子に夫の子であるとの推定(嫡出推定)が及んでいない場合は、「親子関係不存在確認の訴え」を家庭裁判所に対して提起することができます。

妻から婚姻中に生まれた子は、一律に夫の子(嫡出子)と推定される(民法772条1項)ため、この訴えが起こせるのは、夫が海外出張中や別居中等で、妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合に限られます。

このような特別な事情がない限り、たとえDNA鑑定で生物学的に親子関係がないことが明らかになっても、この訴えを提起することはできません。
この訴えも調停から先に行うことが決まっています。

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托卵が判明した場合の離婚や慰謝料請求については弁護士に相談がおすすめ

托卵が判明した場合、夫が受ける衝撃は非常に大きいものです。その中で妻に離婚を申し出、離婚慰謝料を請求したり、調停や訴訟に対応したりすることは非常に大変です。

さらに、自分の子ではない子について、離婚後の養育費支払義務から逃れたいならば、嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴えを起こさなければならず、前者については、子が生まれてから1年以内という厳しい時間的制限がついています。

托卵が判明した場合は、いち早く弁護士に相談することをお勧めします。

托卵妻との離婚や慰謝料に関する質問

托卵されて離婚しました。妻の相手の男性(子供の父親)に慰謝料と養育費を請求できますか?

まず慰謝料ですが、これは妻の相手の男性にも請求できます。
托卵が原因で離婚にまで至った場合は、そうでない場合と比べて精神的苦痛が大きいということで、請求できる金額の相場が高くなりえます。

次に養育費ですが、これを支払う義務があるのは法律上親子関係を有する者のみであるため、相手の男性が子と法律上の親子関係を持っていない以上、養育費を請求することはできません。

相手の男性が子を認知すれば、相手の男性と子との間に法律上の親子関係が生じ、元夫との親子関係は否定されます。

托卵と知らず自分の子供だと騙されていました。離婚時の財産分与は拒否できますか?

離婚原因が何であれ、離婚に伴って妻から財産分与を請求された場合には、原則どおり財産分与義務が発生します(民法768条1項)。

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同で築き上げてきた財産を、離婚時に分割するという考え方であり、托卵という事情があったとしても、夫婦が共同で築き上げてきた財産がなくなるわけではありません。

協議での分与を拒否しても、妻が財産分与調停を申し立て、調停がまとまらなければ、自動的に審判に移行します。

離婚後に托卵が発覚しました。支払った養育費は取り返せますか?

実際には自分の子ではなかったとしても、法律上の親子関係が存在していれば、養育費を支払う義務があるため、托卵が発覚しても支払った養育費を取り返すことはできません。

しかし、元妻に対して慰謝料を請求できる可能性はあります。ただし、慰謝料請求には時効があります。

時効は、「不法行為の事実及びその相手を知ってから3年」もしくは「不法行為が起こってから20年」のどちらか早く到来する方の経過によって完成します。時効が完成すると慰謝料請求はできないので注意が必要です。

托卵に対する離婚・慰謝料請求でお悩みの方は弁護士法人ALGへご相談ください!

弁護士法人ALGでは、托卵も含め、離婚問題の経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。

托卵により法的な親子関係を否定したい場合や、托卵による慰謝料請求をしたい場合は、子が出生してから1年以内の期間制限や、時効が存在するため、急いで対応しなければなりません。

托卵という問題は非常にデリケートであり、一人で抱え込んでしまいがちですが、まずはお気軽に弁護士に相談してください。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。