主婦の逸失利益について

主婦の逸失利益について

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

逸失利益とは、「得べかりし利益」と表現されるように、将来得られるはずだった利益(=お金)のことをいいます。交通事故に遭ったために生じる逸失利益は、損害として相手方に補償を求めることができます。交通事故の損害賠償請求上では、何十万、何百万、程度によっては何千万円にもなり得るものです。

とはいえ、主婦(主夫)の方は、今まで家事や育児によって収入を得られていたわけではなく、将来もそれは変わりません。逸失利益を請求できるのか不安に思うところですが、どうぞご安心ください。
ここでは、【主婦(主夫)の逸失利益】に着目し、認められるポイントや、計算方法、その根拠などについてわかりやすく解説していきます。

主婦の逸失利益は認められるのか

交通事故における逸失利益には、後遺障害によるものと死亡によるものがあります。
現実収入のない主婦(主夫)が行っている家事は、立派な“労働”として評価されますので、サラリーマンと同じように金銭評価できるものです。この点、最高裁判例でも示されています(最高裁 昭和49年7月19日第2小法廷判決)。
事故による後遺障害によって家事を行うことに支障が出ている、死亡したことでそもそもできなくなってしまったなどの損害は、きちんと賠償を求めるべきといえます。

主婦・主夫の逸失利益の計算方法

では、実際どうやって損害分を導き出して相手方に請求するのでしょうか?
主婦(主夫)といっても、専業の方もいれば兼業の方もいますので、まずはそれぞれの考え方のちがいを把握しておきましょう。
また、年齢が高齢に差し掛かってくると特別な計算にもなってきますので、ケース別に紹介していきます。

専業主婦の場合

まずは、計算式をおさえておきます。

後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に応じたライプニッツ係数

ポイントは、基礎収入です。
専業主婦の家事労働は、賃金センサスの“女性”の全年齢平均賃金をベースにするのが基本です
主婦業は給料制ではないうえに、家庭によって負担量もさまざまですので個別に判断するのは実務上難しいため、統計に則った指標に統一することで評価する運用になっています。
平均賃金は毎年更新されるのものですので、計算するときには、「症状固定または死亡した年」の分を確認するようにしましょう。

専業主夫の場合の基礎収入はどうなる?

男性が主婦業を行ういわゆる「専業主夫」の場合も、基礎収入は“女性”の全年齢平均賃金を用います
賃金センサスの男性と女性を比べると、どうしても平均賃金には差があります。この点、同じ主婦業なのに性別によって差が出るのは不公平だと思いませんか?こうした不公平感を取り除くために、主婦(主夫)の基礎収入は女性の分に統一することになっています。

兼業主婦の場合

兼業主婦の場合も、逸失利益を求める計算式は専業主婦の場合と同じです。

後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に応じたライプニッツ係数

ただし、仕事と家事を兼ねているので、実収入もある状態なのが兼業主婦の特徴ともいえます。
この点、基礎収入の考え方としては、「実収入」と「女性の全年齢平均賃金」の金額が大きいほうを採用します。キャリアを重ねている方であれば実収入のほうが高くなる場合もあるでしょうし、扶養の範囲内で働いている方であれば賃金センサスのほうが高くなるケースが多いです。 兼業主婦の方は、どちらが高くなるかの確認を怠らないようにしましょう。

基礎収入には家事労働分が加算されないの?

「仕事もバリバリこなして家事も行っているのだから、2つを掛け合わせた基礎収入としたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、損害賠償請求上、二重取りできないことになっています。

すべての時間を家事に費やせる専業主婦と、働いている分限られてしまう兼業主婦の家事労働分を、同じものとみなすのは公平ではないとの見方から、家事労働分と就業分のどちらか高いほうを採用することで調整を図られているのが実情です。

高齢主婦の場合

高齢主婦の場合も、基本的な計算式は変わりありません。

後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に応じたライプニッツ係数

ただし、基礎収入を求めるうえでは、注意が必要です。
高齢になってくると、体力面や健康面から家事労働の範囲も制限されるとみなされる傾向にあるため、賃金センサスも「年齢別の平均賃金」や「全年齢平均賃金からの減額」などを適用し、調整されることがあります。
また、家事労働は“誰かのために行うこと”で評価されるものなので、老後一人で暮らしていている場合などでは、そもそも主婦(主夫)としてみなされない点にもご注意ください。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われた労働能力を後遺障害等級別に割合で示したものです。主婦(主夫)の場合は、家事ができなくなったことを指しますが、下表のように等級ごとにあらかじめ決まっているのが特徴です※。

※あくまでも目安であり、後遺障害の内容や年齢、職業、性別などによって変更されることもあります。

労働能力喪失率表(国土交通省)

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間とは、交通事故の後遺障害によって労働能力が失われた期間のことです。定義上、労働可能年齢が67歳までとされているので、67歳から症状固定の年齢を差し引いて求めます。
ただし、むちうちなどの症状では、14級で5年程度、12級で10年程度とされるなど、後遺障害の内容や個別の事情に応じて調整される場合もあります。
なお、67歳以上やその付近の年齢の方は、平均余命の2分の1とされることもあるのでご注意ください。

ライプニッツ係数とは、中間利息を控除するための数値と覚えておきましょう。
逸失利益は、未来に受け取る分を一括して今受け取ることになるため、利子がついたり、運用したりするなどして、実際未来に受け取るよりも増やすことも可能になります。こうした不公平は取り除く考えのもと、労働能力喪失期間に見合った分を控除するために用いられるという目的があります。

生活費控除について

生活費控除とは、死亡した被害者の生活費は実質かからないことから、その分を逸失利益の金額から差し引くとするものです。家庭内の役割、属性などによって下表のように割合が決められています。
主婦(主夫)の場合には、30%とみなされることが多いですが、個別具体的な事情により変動し得るものですので、要チェック項目といえます。

一家の支柱の場合かつ被扶養者1人の場合40%
一家の支柱の場合かつ被扶養者2人以上の場合30%
女性(主婦、独身、幼児等を含む)の場合30%
男性(独身、幼児等を含む)50%

主婦の逸失利益に関する解決事例

主婦(夫)としての適切な後遺障害逸失利益と後遺障害等級14級が認定された事例

事故でむちうちを受傷した被害者(男性)は、仕事に就いておらず、妻や子供と暮らし、家事をしていたいわゆる主夫でした。
ただ、妻や子供と住民票住所が異なる点が揉め事のキーポイントとなったのです。
主に、基礎収入が絡んでくる休業損害や逸失利益の請求において争いとなりました。

交渉においては、主婦業の実態をいかに主張・立証していくかがカギとなりました。
担当弁護士はあらゆる手段をつくし、同居の実態を示す根拠となる資料をかき集めました。
その結果、主婦(主夫)としての請求が認められたのです。

このほか、むちうちの治療は一般的に「3ヶ月」とされているところ、「8ヶ月」まで治療延長を認めさせ、14級の後遺障害等級をも獲得することができました。
最終的に、主夫として認められたことで約120万円もの賠償金額を引き延ばすことができた事案です。

後遺障害等級12級と専業主婦の逸失利益が認められた事例

本事例の被害者は、事故で右鎖骨遠位端骨折を受傷し、右肩痛の症状で後遺障害等級12級の認定を受けていた専業主婦の方です。
相手方の賠償案は、労働能力喪失期間が5年に設定されているなど、納得できないところが多々あったためご依頼くださいました。

事情を詳しく聴いたところ、症状により長きにわたり家事労働に支障が出ていたことがわかり、後遺障害等級は非該当になりつつも肩関節にいくらかの可動域制限もみられました。
この点、担当弁護士は、カルテや診断書といった医療記録の精査を行い、適切な労働能力喪失期間の主張・立証を行いました。

結果として、労働能力喪失期間は5年から14年に引き伸ばし、賠償金額も約150万円から800万円にまで増額させることに成功しました。
専業主婦でも、家事労働ができないことは立派な損害です。この点を妥協せずに主張し、交渉ができた事案といえます。

主婦の逸失利益についてご不明点があれば弁護士にご相談ください

主婦(主夫)の方でも、逸失利益を請求できることがおわかりいただけたでしょうか。
逸失利益が認められるか否かで、最終的な賠償金額に雲泥の差が生まれる可能性もあるため、実態と実損に見合った賠償はきちんと受けるべきです。

ただ、実際に保険会社とやりとりを進めると、うまく反論できなかったり、提出された賠償案の妥当金額がわからなかったりすることも考えられます。一度合意してしまった示談は、基本的にやり直すことができません。取り返しがつかなくなる前に弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人ALGには、交通事故事案を多数取り扱っている実績があります。
今までの経験・ノウハウをフル活用してサポートさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

家族、身内に当たる人たちの間でも問題が起きることは珍しくなく、大きな迷惑をかけられた側からすると、その問題の相手に自分の遺産を相続させたくない場合もあるでしょう。
その場合に検討しうる方法が「相続廃除」です。
この記事では、相続廃除の方法や認められる場合などについて説明していきます。

相続廃除とは

相続廃除は、被相続人(財産を残す人)の意思によって、推定相続人(財産を受け取る権利がある人)が遺産を受け取れないようにする制度です。

通常、遺言を作成すれば、被相続人が遺産を渡したい推定相続人を選び、その推定相続人に遺産を渡すこともできます。 もっとも、相続人には、最低限保障される遺産の取り分(「遺留分」といいます。)が認められる場合があります。そのため、遺言で、特定の推定相続人に遺産を渡したくない旨を書いても、その推定相続人にも遺産を受けとる権利が発生してしまうことがあります。
相続廃除はそのような問題を避けるために意味のある制度です。

相続廃除が認められる要件

相続廃除は、特定の推定相続人から相続をする権利を奪う強力な効果をもっているので、認められる場合が2つに限られています。
それは、
①被相続人に対する虐待や重大な侮辱を行った場合
②その他の著しい非行があった場合
です。
また、裁判所は、①や②に当たるかについて非常に慎重に判断する傾向があり、客観的に見て家族としての共同関係を破壊するほどの「虐待」「侮辱」や「非行」があったかを見ている点には注意が必要です。

相続廃除の具体的な事例

被相続人に対して虐待をした場合
推定相続人が、被相続人に対して暴力をふるっていた場合や、被相続人が一人で生活できないのを知って放置していた介護・世話の放棄をした場合、家族としての共同関係を破壊するような事情があった場合、廃除が認められる可能性があります。
ここで重要なのは、普段の家族関係がどうであったかや、虐待行為の程度について裁判所が慎重に判断する点です。仮に、被相続人が挑発的な態度をとったため推定相続人が軽く小突いたという場合では、暴力の程度が小さく、原因も被相続人由来であったとして廃除が認められない可能性があります。

被相続人に対して重大な侮辱をした場合
ここでいう「侮辱」として想定されているのは、被相続人の人格を否定するような発言を繰り返していた場合です。
そして、何を言ったか形式上みるのではなく、その発言によって家族としての共同関係が破壊されうるかを見ることが重要です。
例えば、とある口げんかの中で、相続人が被相続人に対する人格を非難するような発言を多少行う場合を見てみましょう。
一見、侮辱に見える発言があっても、一時的な感情の高ぶりによって言いすぎてしまうことは家族間でもあるので、家族の共同関係を破壊する事情でないとして、裁判所は廃除を認めないこともあります。

著しい非行があった場合
著しい非行として、例によく挙がるのは、推定相続人が被相続人の財産を浪費していた場合や、推定相続人の巨額の借金を肩代わりさせていた場合、さらには重大な犯罪行為を行った場合です。
ただ、「著しい非行」が廃除の理由として定められたのは、虐待や重大な侮辱に当たらないが、同程度に家族の共同関係を破壊する場合の受け皿とするためなので、例に挙げた場合以外にも「著しい非行」に当たる場合もあるでしょう。
この場合も、家族としての共同関係を破壊する事情があるかどうかを、裁判所が慎重に判断することになります。

相続欠格と相続廃除の違い

相続「廃除」と似ている用語として、相続「欠格」があります。
相続廃除は被相続人の意思によって、特定の相続人を廃除するかを選択できます。
他方、相続欠格に当たる事情がある相続人は、被相続人の意思にかかわらず、相続人の地位を失います。

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相続廃除の手続き方法

方法1.被相続人が生前に家裁へ申立てる(生前廃除)

相続廃除の方法の一つとして、被相続人が生きている間に行う方法があります。
被相続人が、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に対し、相続廃除の審判を申し立てる方法です。
この場合、申立書類、被相続人や排除したい推定相続人の戸籍謄本、そして手数料(収入印紙や郵便切手代)が必要となります。
後述する遺言廃除の場合も同じですが、重要なのは、手続きのなかで「虐待」や「重大な侮辱」に当たる事実を裁判所に認めてもらうことです。
手続の中で、主張を書面に整理し、証拠を提出することが認められますので、申立段階でその準備をしておくことも重要です。

方法2.遺言書で相続人廃除をする(遺言廃除)

もう一つの相続廃除の方法として、遺言によって行う方法があります。
この方法をとるのであれば、遺言の中で、被相続人が排除したい推定相続人が誰であるかを記載し、その具体的な理由も残しておく必要があります。
そして、被相続人が亡くなった後の相続が開始した時点で、遺言に基づいて、遺言執行者が家庭裁判所にて相続廃除の手続きを行うことになります。
ただ、この場合注意が必要なのは、遺言を行った被相続人自身が亡くなってしまっているため、相続廃除をしたい理由を一番わかっている本人がいない点です。
遺言等から相続廃除をすべき具体的事実関係を遺言執行者がくみ取れないと、家庭裁判所で相続廃除を認めてもらうことができない可能性があります。
そのため、遺言廃除を行う場合には、相続廃除をしたい理由やその証拠が遺言執行者にはっきりとわかるようにしておかなければいけません。

相続廃除が認められたら、戸籍の届出を行う

相続廃除が行われる場合、その事実を戸籍に反映させる必要があります。
そのためには、被相続人の戸籍がある市区町村の役場での手続きを行う必要があります。
家庭裁判所での手続きを通じて相続廃除を行う場合、廃除を認める審判が確定してから10日以内に届け出を行う必要があります。
その場合、審判所の謄本や審判確定証明書とともに、推定相続人の廃除届を提出することになります。
また、遺言廃除の場合は、遺言執行者が同様の手続きを進めることになります。

相続廃除の取り消しもできる

相続廃除の手続きを一度行ったとしても、これを取消すことも可能です。
例えば、被相続人の子どもが虐待や重大な侮辱を行っていたケースで、被相続人がその子を相続廃除したとしましょう。その後、子が被相続人に謝罪したことを受け、被相続人がその子を再び相続する権利を与えてあげたい場合、被相続人が廃除の審判の取り消しを家庭裁判所に求める必要があります。
この手続きは、相続廃除の場合と同様に、被相続人が生前に家庭裁判所に行うか、遺言書に相続廃除を取り消す意思を記載している必要があります。
当然ですが、相続廃除された者からこの手続きを行うことはできない点は注意が必要です。

相続廃除の確認方法

前述しましたように、相続廃除は家庭裁判所での手続を進めた後、役場に届け出る必要があります。
家庭裁判所で相続廃除の手続きを行ったのであれば、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に確認することができます。
他方、相続廃除の手続きが完了しているかどうかは、その推定相続人の戸籍(全部事項証明書)を見ると確認しやすいです。
相続廃除がされている場合には、身分事項の欄に「推定相続人廃除」という記載がされます。

相続廃除できるのは被相続人(財産を残す人)だけ

相続廃除をするかどうかは、あくまでも被相続人が決められることです。
被相続人の財産を誰に渡すかについて決める権限は、第三者がどれだけ不当であると考えても、あくまでも被相続人にしかないからです。
また、被相続人本人が相続廃除を行いたいことを明確に述べていたとしても、第三者がご本人の代わりに手続を進めることもできません。
被相続人本人が相続廃除を行うための家庭裁判所の手続きを進められない場合、代理人に依頼をするか、遺言廃除を検討するしかありません。

相続廃除は遺留分もなくなる

上述していますが、遺留分とは、一定の推定相続人に最低限保障される遺産の取り分です。
仮に、被相続人が遺言によってその人に渡さない内容を遺したとしても、遺留分をもつ相続人が遺産をもらった人に対して自身の取り分を渡すように請求できます。
しかし、相続廃除がされた推定相続人は、遺留分を行使する権利も失います。

廃除された相続人の子どもは相続可能である点に注意(代襲相続)

相続が始まった段階で、本来相続人となる人に何かしら相続できない事情がある場合、その下の世代の子や孫が相続人になります。このような相続の形を代襲相続といいます。
問題は、被相続人が亡くなった時点で、相続廃除された推定相続人に子どもがいた場合、その子どもが相続人となってしまうことです。
結果として、相続させたくない推定相続人に直接遺産を渡さないことは相続廃除によって可能でも、子どもが未成年である等の理由により、子ども経由で推定相続人が実質的に遺産をもらうことができてしまいます。
あくまでも、相続廃除は、「虐待」や「重大な侮辱」等を行った推定相続人本人に対して行えるだけであり、そのような行為をしていない代襲相続をする者までには効果が及びません。

相続廃除についてのお悩みは弁護士にご相談ください

相続廃除を行いたい場合、「虐待」や「重大な侮辱」などの要件を満たす必要があり、かつ、家庭裁判所の手続きや遺言への記載が必要となります。
もっとも、家庭裁判所で相続廃除の手続きを進める上で、被相続人側で適切な主張を検討して書面にし、かつ、主張を補強する適当な証拠も準備する必要があります。
また、遺言に相続廃除について書くとしても、遺言が有効であるための諸条件を見落として、うっかり無効な遺言を作成してしまうおそれがあります。
そのため、相続廃除をはじめとする相続についてのご相談は、弁護士とともに最適な方法を探していくことが一番です。

「離婚する際に約束した養育費が支払われなくなってしまった…」このような事態に見舞われることは、決して珍しくありません。元配偶者から養育費の支払いが滞ってしまったら、この先の子供との生活に不安を感じる方も多いでしょう。
そうしたときの対処法の一つに、相手の財産を差し押さえるなどして強制的に未払い養育費を回収する、「強制執行」があります。
本ページでは、【養育費の強制執行】をテーマに、差押えの対象や具体的な手続き方法などを詳しく解説していきます。養育費が支払われずにお困りの方にとって、本ページが解決方法を探るヒントになれば幸いです。

養育費の強制執行で差し押さえることができるもの

養育費の強制執行で差し押さえることができる財産の種類は、「債権」「不動産」「動産」の主に3つです。具体的にどのようなものが対象になるのか、以下の表に例をいくつかまとめましたので、ご覧ください。

債権 給与、預貯金 など
不動産 家、土地 など
動産 現金、家具、電化製品、骨董品、宝石類 など

ただし、「動産」のうち、66万円までの現金、仕事に必要な器具、生活に欠かせないもの(衣服・家具等)などは、差押えの対象外とされています。

差し押さえることができる金額

裁判所の手続きなどで取り決めた養育費の金額に届くまで、差し押さえることができます。ただし、「給与」などの継続的に発生する債権については、差し押さえることができる金額に上限がありますので注意しましょう。
通常の場合は、基本的に手取り額の4分の1までですが、養育費の場合はその倍の2分の1まで差押え可能となっています。また、手取り額が66万円を超えるケースでは、33万円を除いた全額を差し押さえることができます。

将来の養育費も自動で天引きできる

給与などに対しては、未払い分だけではなく将来支払われる予定の分の養育費も差し押さえることができます。具体的には、毎月の給与から自動的に養育費分を天引きしてもらう、といったかたちで支払われます。
したがって、一度給与を差し押さえてしまえば、相手が会社を辞めたりなどしない限り、毎月の強制執行の申立てはせずとも、将来にわたって養育費の支払いを受けることが可能になるのです。

強制執行の手続きをするには相手の勤務先や住所などの情報が必要

強制執行の手続きをする際には、差し押さえたい相手の財産を明らかにしなければなりません。例えば、給与なら勤務先の名称と所在地、預貯金なら銀行名と支店名を特定する必要があります。強制執行の申立てをすれば裁判所が調べてくれるわけではないので、よく注意しましょう。
また、相手の現在の住所もわかっている必要があります。裁判所から相手方に対し、「あなたの財産を差し押さえますよ」と知らせる差押命令を送ることになるからです。相手の住所についても、裁判所が調べてくれることはありませんから、申立人自身で調べなければなりません。

会社に拒否されてしまったら、どうすればいい?

相手の勤務先の情報がわかり、裁判所に給与の差押えが認められたにもかかわらず、いざその会社に取り立てようとしたら、差押えを拒否されるケースもあります。よくあるのが、相手が親族で経営する会社に勤めていた場合などです。
会社に差押えを拒否されてしまったときは、「取立訴訟」を起こし、裁判で解決を図っていくことになります。

相手の住所がわからない場合

強制執行の手続きをとりたくても相手の住所がわからない場合には、弁護士に依頼して調査してもらうという手があります。
弁護士なら、職務上請求によって、相手の戸籍の附票や住民票などを取得できますので、それらの内容から相手の現在の住所を特定できる可能性があります。ただ、住民票上の住所と実際の住まいが違う場合もあるでしょう。こうした場合には、弁護士会照会を行います。弁護士会照会を行えば、相手の携帯電話の番号やメールアドレスから、契約者の住所を調査することなどができます。

養育費を強制執行する方法

必要な情報が揃ったら、養育費の強制執行の手続きを進めていきます。それでは、実際にどのような流れで進めていくのでしょうか?手続きにかかる費用や必要な書類なども含めて、以降より詳しくみていきましょう。
なお、養育費の強制執行で一般的によく利用される、「債権執行」(給与などの差押え)に焦点を絞って、説明していくこととします。

養育費の強制執行にかかる費用

裁判所に強制執行(債権執行)の申立てをする際には、主に次の費用がかかります。

●申立手数料:収入印紙4000円分
※債権者1名・債務者1名・債務名義1通の場合です。それぞれの数が増えると手数料の金額が変わりますので、詳しくは申立先の裁判所に問い合わせることをおすすめします。

●郵便切手代:申立先の裁判所によって異なる
【例】東京地方裁判所→3495円分(※債権者1名・債務者1名・第三債務者1名(社)の場合。切手の内訳は省略。)

必要な書類

申立時に提出が必要な書類について、主なものは次のとおりです。

●申立書
表紙・当事者目録・請求債権目録・差押債権目録の4つをとじて、1つの申立書にします。下記のページのように、裁判所によっては各書面の書式をウェブサイト上で紹介しているところもありますので、作成時には参考にしてみてください。

交債権差押命令申立てに関する手続案内(裁判所)

●養育費について定めた債務名義の正本
債務名義とは、「調停調書」「審判書」「判決書」「公正証書(※強制執行認諾文言付きのもの)」などを指します。

●送達証明書
債務名義の正本が、債務者(相手方)に送付されたことを証明する書面です。債務名義を作成した家庭裁判所または公証役場に申請して交付してもらいます。

●住民票、戸籍謄本(全部事項証明書)、戸籍の附票など
債権者(申立人)または債務者の現在の住所・氏名と、債務名義に記載されている住所・氏名が異なっている場合に必要になります。

●法人の資格証明書(登記事項証明書または代表者事項証明書)
差押え先(相手の勤務先など)が法人の場合に必要になります。

強制執行の手続きの流れ

強制執行(債権執行)の手続きは、次のような流れで進めていきます。

①必要書類と費用を準備して、裁判所に強制執行の申立てをする
申立先は、債務者の住所地を管轄する“地方裁判所”です。養育費の取り決めをした家庭裁判所ではありませんので、ご注意ください。

②裁判所から「債権差押命令」が発令される

③義務者と第三債務者に「債権差押命令」の正本が送付される
給与の差押えなら勤務先、預貯金の差押えなら口座のある金融機関が、第三債務者となります。

④第三債務者に取立てを行う
「債権差押命令」の正本が送達された日の翌日から1週間を過ぎると、第三債務者に対し、差し押さえた債権(給与や預貯金など)を取り立てることができます。

⑤裁判所に「取立届」を提出する
第三債務者から支払いを受けたら、都度、裁判所に「取立届」を提出します。

⑥差し押さえた債権の全額の取立てが完了したら、裁判所に「取立完了届」を提出する

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養育費の強制執行でお金がとれなかった場合

養育費の強制執行をしても、現時点で相手が持っている財産だけでは、未払い養育費の全額の回収が難しい場合もあります。そのような場合には、一度、強制執行の申立てを取り下げましょう。そして、相手の資力が増えるのを待ってから、再び強制執行の申立てをして残りの養育費の回収を図る、という対処法をとることになるかと思います。

相手が退職・転職した場合、強制執行の効果はどうなるのか

一度給与を差し押さえると、将来分の養育費についても差押えが可能となりますが、もし相手が退職や転職をした場合、その先の強制執行はどうなるのでしょうか?退職した場合と転職した場合に分けて、詳しく確認していきます。

給与を差し押さえていたけれど退職した場合

相手が退職した場合、その給与に対する差押えの効力は消滅し、以降、その勤務先から支払いを受けることはできません。雇用関係が切れれば、勤務先は給与を支払う立場ではなくなるからです。
相手が退職してしまい、給与の差押えができなくなったときは、改めて相手の次の勤務先の給与を差し押さえる必要があります。また、給与にこだわらずとも、ほかの財産があるのなら、それらを調査して強制執行の申立てをするという手も考えてみるといいでしょう。

転職した場合は再度強制執行手続きが必要になるのか

給与を差し押さえている間に相手が転職した場合には、転職先の会社を差押え先として、再び強制執行の手続きを行う必要が生じます。それまでの差押えの効力は、以前の勤務先を退職した時点で終了します。転職したからといって、自動的に転職先の給与に差押えの効力が引き継がれるわけではないので、ご注意ください。もう一度、相手の勤務先の名称や所在地を調べ直して、強制執行の申立てをしなければなりません。

養育費の強制執行に関するQ&A

相手が自営業だと養育費の強制執行ができないというのは本当ですか?

相手が自営業者でも、養育費の強制執行は可能です。自営業だと強制執行ができないというイメージを持たれる原因は、会社員などとは違い、給与の差押えができないからでしょう。たしかに、養育費の強制執行でメインとなるのは給与の差押えなので、これができないのは相当な痛手かと思います。
しかしながら、差押えの対象となるのは給与だけではありません。預貯金や家、土地なども対象に含まれますし、相手が役員として報酬を受け取っている場合、その役員報酬は全額差し押さえることができます。まずは、こうした差押え対象となる財産がないかどうか、調べてみることから始めてみましょう。

養育費を差し押さえられたら生活できないと言われてしまいました。強制執行できないのでしょうか?

差し押さえられたら生活できないと言われたとしても、養育費の強制執行ができないわけではありません。手元に養育費に関する債務名義があり、相手の住所と差し押さえたい財産の情報を把握しているなら、強制執行することができます。
ただ、相手から「差押禁止債権の範囲変更の申立て」がなされる可能性があります。この申立てが認められると、裁判所から発令されていた差押命令の内容の全部または一部が変更となり、差押えの範囲が減らされてしまいます。とはいえ、債務自体(未払い養育費そのものの金額)が減らされるわけではありませんのでご安心ください。支払いが完了するまでの期間が延びる、と考えていただければいいかと思います。

強制執行のデメリットはありますか?

強制執行のデメリットとしては、財産の調査にかかる手間が挙げられます。強制執行を行うためには、申し立てる側が差し押さえる財産を調べて特定しなければなりません。離婚後だと、相手の勤務先が変わっていたり、相手の財産の状況を把握しづらかったりすることもあるため、調査に時間を要するケースも少なくないでしょう。
また、必ずしも未払い養育費の全額が回収できるとは限らない、ということもデメリットといえます。相手の資力が十分でない場合、差し押さえたとしても、未払い養育費の全額には満たないこともあります。

養育費の強制執行から逃げられてしまう可能性はありますか?

勤務先を変えたり、引っ越したり、口座を移したりなどして、一時的に強制執行から逃げられてしまう可能性は考えられます。しかし、新たな勤務先や住所、口座情報などを突き止めれば、もう一度強制執行して差し押さえることができます。
ここで、相手の財産が判明しなかったら逃げられてしまうのではないか?と思う方もいるかもしれませんが、2020年4月の民事執行法の改正により、以前よりも財産の調査がしやすくなっています。具体的には、「財産開示手続」で相手が嘘の報告をした場合などの罰則が強化されたり、裁判所を通して役所や金融機関などに情報提供を求める、「第三者からの情報取得手続」という制度が新たに作られたりして、法整備がなされています。

養育費の強制執行についてお困りのことがあったら弁護士にご相談ください

養育費の支払いが途中でストップしてしまったとき、強制執行すれば、相手の財産を差し押さえて、未払い養育費を回収できる可能性があります。ただ、そのためには、元配偶者の現在の住所を調べたり、差押え対象とする財産を特定したりしなければならず、おひとりだけではスムーズに進められないこともあるかと思います。
弁護士にお任せいただければ、あなたの代わりに、元配偶者の住所や財産の調査をしたり、強制執行の手続きを進めたりすることが可能です。ご状況に応じた適切な対処法をとりますので、おひとりで対応するよりも、回収できる可能性が高まるでしょう。
養育費の強制執行についてお困りのときは、まずは弁護士にご相談ください。ご相談者様とお子様の未来のために、全力でサポートいたします。

DVの被害に苦しみ、離婚したいと思ったとき、重要になるのが“DVの証拠”です。なかでも「診断書」は、客観的な証拠として使えますので、DVによって怪我をしてしまった場合などには、お身体のためにも、きちんと病院で診てもらい、診断書を受け取るようにしましょう。
ただ、診断書をDVの証拠として使うにあたっては、その記載内容に注意が必要です。このページでは、そうした記載内容の注意点も含め、「DVで離婚するときに用意する診断書」について詳しく解説していきます。

離婚するときにDVの証拠になるもの

離婚するとき、DVの証拠になり得るものとしては、例えば次のようなものがあります。

●警察や配偶者暴力相談支援センター等への相談記録
DV被害の相談窓口としては、警察や配偶者暴力相談支援センターといったところがあります。こうした機関に相談すると、相談の内容が記録が残りますので、DVの証拠として使えます。

●怪我の写真
怪我をした部位だけではなく、ご自身の顔と怪我をした部位が一緒に写っているものも用意しましょう。「他人の写真ではないか?」と疑われないようにするためです。

●映像・音声データ
DVを受けている最中の様子のほか、相手がDV行為を謝罪したり反省したりしている場面の映像・音声データも、有効な証拠になる可能性があります。

●日記
日記をつけるときは、DV被害の内容(暴力の内容とその順番)などを具体的に書くようにしましょう。また、DVをされた日だけ書くのではなく、できるだけ毎日続けて書くと、証拠価値が高まりやすくなります。

●病院でもらった診断書
以降で詳しく解説していきます。

診断書の記載内容と重要ポイント

診断書をDVの証拠として使う際には、記載内容が重要になってきます。まずポイントとなるのが、怪我の経緯(どのように攻撃され、どこを負傷したのか)を伝えることです。医師は「ケガをした結果」を診断できても、その原因までは特定できません。しかし、患者からの申告内容として、怪我の原因がDVであったと記載してもらえる可能性はあります。ためらいはあるかもしれませんが、「配偶者からのDVによって怪我をした」という事実を伝えることが大切です。
また、大きな怪我だけではなく、小さな傷などもきちんと診てもらい、診断書に記載してもらってください。
そのほか、診断書に記載してもらう主な内容は、次のとおりです。

  • 傷病名
  • 初診日
  • 怪我の程度
  • 治療期間 など

診断書は、あくまでも怪我の証明をするものですから、それだけでDVの証明ができるわけではありません。ただ、DVを裏付ける証拠の一つとして有効なものとなり得ますので、上記のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

怪我をした部位や症状によって、何科を受診すべきかは異なります。例えば、骨折や打撲をしたのであれば「整形外科」を、アザなら「形成外科」や「皮膚科」を受診するのが一般的です。
ただ、“DV”と一口に言っても、暴力には様々な種類があります。モラハラなどの精神的暴力を受けている場合、目には見えない心の傷を負うこともあるでしょう。そのようなときは、「心療内科」や「精神科」などを受診します。また、性的暴力を受けている場合には、「婦人科」や「産婦人科」などを受診することも考えられます。

DVの診断書があると離婚のときに有利になること

DV加害者と離婚する方法は、「話し合い」か「裁判」の大きく分けて2択です。話し合いでの解決が難しいときは、裁判をして裁判所に判断してもらうことになりますが、このとき、DVの診断書をはじめとした証拠があると、裁判所にDVの事実があったとして離婚を認めてもらいやすくなります。また、離婚の条件を決めるうえで有利になることもあります。以降で詳しく確認していきましょう。

慰謝料の増額

慰謝料の金額は、受けた精神的苦痛の大きさに応じて決められます。例えば、DVによる怪我の程度は軽いより重い方が、慰謝料は増額されやすくなるでしょう。この点、診断書は、DVによる怪我の程度や状態を証明する有効な証拠になります。そのため、DVを理由に離婚の慰謝料を請求する際、診断書があることで、慰謝料の増額に繋がるケースもあるのです。

子供の親権

裁判所は、子供の親権と夫婦の問題は分けて考えますので、DVを理由に離婚するのだから、DV加害者に親権がわたることは絶対にない、とは言い切れません。
ただし、家庭内でDVを目の当たりにしていたことで、子供の心身に悪影響を与えている場合には、DVの被害者側が親権獲得に有利になるでしょう。そのためには、診断書などで、DV被害を受けていたという事実を証明することが重要になってきます。

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DVの診断書の提出先

離婚調停を申し立てたとき

DV加害者と離婚したいと思っても、当事者間で直接話し合うのは難しいケースが多いでしょう。そのような場合に行うのが、家庭裁判所の調停委員会を通して話し合う、「離婚調停」です。
調停の申立時や、調停を進めていくなかで、診断書などをDVの証拠として裁判所に提出します。そうすると、実際に話し合いの進行役となる調停委員にこちらの意見を理解してもらいやすくなるので、調停を有利に進めやすくなる可能性があります。

警察に行くとき

DV被害に遭ったとき、警察に行って被害届を出すこともあるかと思います。被害届を出す際は、診断書をはじめとしたDVの証拠になり得るものも併せて、警察(生活安全課)に提出するようにしましょう。DV被害を客観的に証明するための証拠がないと、被害届を受理してもらえない場合もあるからです。
なお、被害届が受理されれば、その記録が警察に残るので、離婚する際にDVの証拠として使えます。

DVの診断書の有効期限

診断書自体に有効期限はありませんので、いつ取得した診断書でも、DVの証拠として使うことは可能です。
ただし、DVを受けて怪我をした時期と、診断書に記載されている診断日までの期間が、あまりに空きすぎていると、「本当にDVによって受けた怪我の診断書なのか?」という疑いを持たれてしまうかもしれません。そのため、DVによって怪我をしたらなるべく早期に病院を受診し、診断書をもらうようにした方がいいでしょう。

離婚のときに提出するDVの診断書についてのQ&A

DV加害者の弁護士からDVの診断書の提出を求められたのですがコピーしたものでもいいですか?

DV加害者の弁護士から診断書を提出するよう求められたとしても、原本を渡す必要はなく、コピーしたものを渡せば十分です。病院に診断書の作成を頼むと、1通ごとに相応の費用がかかりますし、原本はあとで離婚調停や離婚裁判の手続きに移った場合に提出が求められることがありますので、手元に保管しておきましょう。
また、DV被害に遭われている方は、相手から身を隠して生活している方もいるかと思います。診断書には、ご自身の住所が記載されていますので、相手方に提出するときは、住所の欄を見えないように黒塗りするなどしておくよう、ご注意ください。

DVによって擦り傷ができたときも病院で診断書をもらっておくべきですか?

擦り傷など、軽い怪我だったとしても、きちんと病院に行って診てもらい、診断書をもらっておくべきです。DVの行為を裏付ける、証拠の一つとなり得るからです。離婚自体を認めてもらうためにはもちろん、離婚する際の慰謝料請求においても、怪我の内容を証明する診断書は、とても重要な資料になります。
病院で診てもらうときには、「DVのせいでできた擦り傷である」ことを医師に伝えると、その旨を診断書に書き入れてもらえる可能性があります。

DVの診断書がない場合は離婚が難しいですか?

DVの診断書がなくても、怪我の写真や日記、DV被害の様子を撮影した動画といった、そのほかの証拠からDVの事実が認められ、離婚できる可能性はあります。もちろん、診断書があった方が、離婚の手続きは有利に進めやすくなりますが、なければ離婚できないというものではありません。
以上は「裁判」に進んだ場合を想定した説明です。夫婦間の話し合いや離婚調停の手続きでは、通常、お互いが離婚に合意しているなら、診断書などのDVの証拠がなくとも離婚はできます。

DV加害者と離婚をする際に診断書があると有利になることがあります。詳しくは弁護士にご相談ください。

DV加害者と離婚するためには、DVの証拠をいかに集められるかが重要になってきます。特に医師によって作成される「診断書」は、客観的な証拠として価値あるものと扱われる可能性があります。そのため、診断書はないよりもあった方が、離婚の手続きを有利に進めやすくなることが期待できます。
ただ、診断書の記載内容には注意が必要であり、受診する際には気をつけてほしいポイントがあります。弁護士にご相談いただければ、ご状況に合わせた的確なアドバイスができますので、ご不安があるときはお気軽にお尋ねください。もちろん、診断書のほかの証拠集めや、離婚の手続きもサポートできます。
DV被害で苦しんでいるなか、証拠を集めて、離婚を求めていくというのは、決して簡単なことではないでしょう。おひとりで抱え込まず、まずは弁護士にご状況をお聴かせください。あなたの味方となって、精一杯お力添えいたします。

“過失割合10対0” の交通事故は、被害者側に事故の責任が問われないため、損害賠償請求において過失相殺による減額がなく示談金を受け取ることができます。ただし、それと同時に盲点となりがちなのが、相手方保険会社から提示を受けるのは「必ずしも妥当・正当な金額ではない可能性がある」というところです。さらに、過失がないなりに苦労する部分が出てきます。
ここでは、 “過失割合10対0” のケースに焦点をあて、詳しい事故態様や注意すべき事項についてわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。

過失割合10対0の事故とは

過失割合10対0の事故とは、簡単にいうと「被害者側に防ぎようがなく、事故の全責任が加害者側にある事故」のことです。
極端な例を挙げると、センターラインを越えてきた加害者側と正面衝突した大事故や、加害者側の飲酒運転による死亡事故・ひき逃げ事故、停車中に猛スピードで加害者側が後ろから衝突してきた追突事故などをイメージするとわかりやすいです。一般的には、俗にいう“もらい事故”が多いでしょう。

過失割合の修正要素について

事故の責任度合いを表す過失割合には、“基本過失割合”と“修正要素”があります。
基本過失割合とは、過去の裁判例をもとにして決められた事故のパターンごとに設定されている過失割合のことで、すべての示談交渉において指標となるものです。ただし、大枠のパターンは同じでも、1件1件の交通事故は、道路事情や天候、時間帯のほか、スピード違反や信号無視、飲酒運転や居眠り運転など、細かな態様が異なってきます。こうしたそれぞれの事情を修正要素として考慮し、双方の過失割合を加算・減算しながら調整を図っていくことになります。
そのため、例えば基本過失割合が9対1でも、修正要素により10対0になることもありえます。

「動いている車同士で10対0はありえない」は本当?

「お互い動いている状態であれば、双方に何かしらの責任がある」と考えている方は多いですし、交渉相手の保険会社もこのように主張してくることもあります。
しかし、動いている車同士の事故であっても、過失割合が10対0になることはありえます。例えば、加害者側の危険運転(信号無視や飲酒運転など)が認められれば、修正要素が活きて10対0になるなどの場合です。
保険会社の提示を鵜呑みにしてしまうのではなく、冷静に事実関係を判断し、正しい主張・立証をしていくことが大切です。

車同士、または車とバイクの事故で過失割合10対0になる例

直進同士

道路事情は信号機のある交差点です。
一方が赤信号で直進し、もう一方が青信号で直進した状態で衝突した場合には、信号無視した側に過失10割が認められることがあります。

赤信号の直進と青信号の右折

道路事情は信号機のある交差点です。
一方が赤信号で直進し、もう一方が青信号で右折したときに衝突した場合には、信号無視した側に過失10割が認められることがあります。

直進とセンターラインオーバー

双方直進しているところ、一方がセンターラインを越えたために正面衝突した場合には、センターラインオーバーした側に過失10割が認められることがあります。

駐車・停車車両に追突

路肩に駐車、信号待ちで停車しているところに、後ろから追突された場合には、追突した側に過失10割が認められます。
これがいわゆる“もらい事故”にあたります。

自動車と自転車で過失割合10対0になる事故事例

左折自動車と直進自転車

態様はいわゆる“巻き込み事故”です。
直進していた自転車を追い越したうえで左折した自動車が、自転車を巻き込むかたちでぶつかった場合には、自動車側に過失10割が認められることがあります。

センターラインオーバーの自動車と自転車

双方直進していたところ、自動車がセンターラインオーバーして自転車と正面衝突した場合には、自動車側に過失10割が認められます。
ただし、ロードバイクなどでよく見受けられますが、自転車側もセンターラインぎりぎりを走行していたケースでは、修正要素がはたらき自転車側にも過失が認められる可能性があります。

自動車と歩行者で過失割合10対0になる事故事例

路肩を歩く歩行者と自動車

歩道横の路肩を歩いている歩行者に自動車が衝突した場合、自動車側に過失10割が認められます。 これは、歩行者が右側通行でも左側通行でも(車と同じ向きに歩いていても対向して歩いていても)同様の過失割合となります。

歩車道の区別がない道路の右側を歩く歩行者と自動車

路側帯など、歩車道の区別がない道路の“右側”を歩いている歩行者に自動車が衝突した場合、自動車側に過失10割が認められます。 一方、同じ状況で歩行者が“左側”を歩いていた場合には、歩行者にも0.5割(5%)程度の過失が認められる可能性があります。

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自転車と歩行者の事故

青信号、または信号のない横断歩道を歩く歩行者との衝突

歩行者が青信号や信号のない横断歩道をわたっている際、自転車と衝突した場合には、自転車側に過失10割が認められるのが基本です。
この過失割合に、横断中青信号から赤信号に変わってしまった歩行者側の事情や、直進していたか右左折していたかといった自転車側の事情は、基本的に影響しません。

歩道外・路側帯外から出てきた自転車との衝突

自転車が、歩道や路側帯の外側から侵入してくるかたちで、そこを歩く歩行者と衝突した場合には、自転車側に過失10割が認められます。

歩車道の区別がない道路の右側を歩く歩行者と自転車

歩道と車道の区別がつかない道路の“右側”を歩いている歩行者に、自転車が衝突した場合、自転車側に過失10割が認められます。
一転、歩行者が“左側”や“中央”を歩いていた場合には、歩行者側にも0.5~1割(5~10%)程度の過失が認められます。

過失割合10対0の場合、自身の保険会社が交渉してくれない点に注意

過失割合が10対0で自身に過失がない場合には、自ら示談交渉を行わなければならない点に注意が必要です。
というのも、自身が加入している保険会社の示談代行サービスを利用できるのは、自分に過失がある場合のみだからです。過失がないまま保険会社が対応することは、れっきとした違法行為(非弁行為)になってしまいます。
そのため、自力で相手方の保険会社との交渉を進めなければなりません。相手方保険会社は、幾度となく示談交渉を経験しているプロですから、自社の負担分を少しでも減らそうと巧妙な手口で交渉してくるでしょう。初めての事故の示談交渉で「正解がわからない」状態の被害者にとっては、不安に駆られるのも無理はありません。

弁護士なら代わりに示談交渉できる

違法行為(非弁行為)となる過失がない場合の示談代行も、弁護士なら代わりに交渉することができます。これは、弁護士法という法律で定められている弁護士の職権により適うものです。
ただし、相談・依頼する相手が弁護士であれば誰でもいいわけではありません。物理学の教授にフランス文学のことを尋ねても明確な回答が得られないのと同じで、弁護士業界でも「交通事故事案を得意としているか」という点が重要になってきます。弁護士選びのコツのひとつとして、交通事故事案の経験数などを参考にするとよいでしょう。

保険会社の提案をその場で受け入れないでください

保険会社を相手に交渉を進める場合には、必ず即答せずに持ち帰る・検討することを意識しましょう。だいたいのケースで被害者側が損をする結果となるからです。
「今回のようなケースではこのくらいの示談金額が妥当です」「一刻も早く示談金を受け取れるよう最短で進めましょう」など、さまざまな言いがかりをつけて巧妙に交渉してくるのが保険会社です。なぜならその背景には、“保険会社側の負担をできるだけ抑えて会社の損失をできる限り少なくする”という目的があるためです。
この点、交通事故事案を得意とする弁護士が介入することで、正当な金額を求めて交渉を進めてもらえます。結果的に慰謝料額や示談金額が大幅に上がる可能性が高まりますので、弁護士に依頼いただいた方がいいです。

過失割合を10対0に修正できた事例

ここで、横浜法律事務所で解決に導いた事例をご紹介します。

本件は、前の相手方車が停止したため依頼者も間隔を空けて停止したところ、相手方はさらにバックしてきたため避けきれず衝突したという事故態様でした。
ところが、相手方の保険会社は、
「(依頼者が)前方に突っ込んだ」
「(依頼者が)止まったとしても直近で止まったため停止したとまでは言えない」
として、依頼者にも5割の過失があると主張してきました。
こうした相手方保険会社の強引な主張があったため、困り果てた依頼者が弊所にご相談のうえご依頼くださいました。

受任後、依頼者本人から事故状況の詳細な聴き取りを進めていくと、事故の目撃者がいることが判明しました。我々は、この目撃者にたどり着き、当時の事故状況をヒアリングすることができたのです。
この事実をもとに相手方と交渉を続けたところ、過失5割とされたところを過失ゼロに修正することができました。損害賠償金を半分も減額されそうなところを満額受け取れるようになったため、依頼者にも大変ご満足いただける結果となりました。

過失0といわれても、一度は弁護士にご相談ください

過失0の交通事故は、過失相殺がなくすべての損害賠償金を受け取ることができるため、一見すると得をするような、きちんと賠償を受けられるような、そのような感覚になりやすいかもしれません。しかし、思わぬ落とし穴があるかもしれないのです。保険会社に言われるがまま示談をしてしまえば、その示談はやり直すことができず取り返しがつかなくなってしまいます。
そうなる前に、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士費用がネックに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご加入の保険に“弁護士費用特約”が付いていれば、ほとんどのケースで実質依頼者の方の負担ゼロで相談・依頼いただけます。「よくわからない」という方にも、確認の仕方からお伝えできますので、まずはお気軽に弁護士法人ALGにお問い合わせください。

日々、さまざまな交通事故の発生が絶えませんが、そのなかには“バイク事故”も含まれています。バイクと車がぶつかったとき、バイク側は車側にかないっこないことは容易に想像がつくでしょう。すると必然と、怪我や物損といった“損害”が大きくなり、慰謝料も高額になりがちとなるのがバイク事故の特徴といえます。
本記事は、そのような“バイク事故の慰謝料 “に焦点をあて解説しています。「知らずに示談したため損をしてしまった……」といった事態とならないよう、ぜひ参考にご覧ください。

バイクが被害者の交通事故慰謝料は車同士と比べて高額になりやすい

バイク側が被害者の交通事故では、車同士の事故と比べて慰謝料が高額になりやすいです。なぜなら、「車と比べると大怪我を負いやすいから」という単純明快な理由があります。
もう少し紐解いていくと、交通事故の慰謝料は、重症で治療が長引けば長引くほど、また、後遺障害が残りそれが重い障害であればあるほど増額します。
バイクは、鉄で覆われている車と違って身体がむき出しの状態になっており、タイヤが4つの車と比べて2つしかないため不安定です。車と比べると、怪我を負いやすく、重症化しやすいといえます。すると、怪我が大きい分、精神的苦痛がより加わることになるため、その分慰謝料も高額になりやすいです。

基準による慰謝料の差について

3つある慰謝料の算定基準のうち、どの基準を適用するかは、正当な慰謝料を受け取るうえでキーポイントになります。

  • 自賠責基準…強制加入保険で、最低限度の補償を目的としている
  • 任意保険基準…各保険会社が独自に設定している基準で非公開だが、自賠責基準に少し上積みした程度の金額であることが多い
  • 弁護士基準…裁判を前提として弁護士が交渉時に使用する基準で、通常は最も高額な金額となる

同じ事故態様でも、それぞれの基準で算定すると、【自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準】の順に金額が大きくなります。この差は、より長い治療を要したり、より重い後遺障害が残ったりすればするだけ広がっていきます。どの基準を使用するかは、受け取れる慰謝料額を大きく左右しますので、この点をしっかりと押さえておきましょう。

反面、バイクが加害者だった場合は慰謝料を回収しきれない場合も

【バイクと歩行者の事故】など、バイク側が加害者となれば話は一転します。被害者が歩行者側にシフトしますので、バイク側に慰謝料を含む損害賠償を請求することになります。

ここで注意しなければならないのが、バイク側は任意保険に未加入であるケースが多く、損害分の補償を受けきれないおそれがあるという点です。
どういうことかというと、強制加入保険の自賠責保険から受けられる補償は、“120万円まで”と上限が決まっています。120万円以上の損害分については、本来であれば任意保険会社が負担するところ、加害者が任意保険に未加入の場合は、“加害者本人”に請求することになります。誠意のある加害者であれば、分割払いをしてでも支払いに応じる人もいるかもしれませんが、そう多くないのが実情です。最悪の場合、泣き寝入りする事態となりかねませんので、被害者自身の人身傷害保険を使用したり、専門家である弁護士に相談したりするのが賢明です。

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バイク特有の過失割合と慰謝料への影響

バイクのすり抜けによる事故が過失割合に影響するケース

バイクは、その身軽さゆえに、渋滞中の車の横をすり抜けて走行することも多いです。いわゆる“追い越し”にあたりますが、これが左側からのすり抜けだったり、右側からでも黄色い車線をまたいでしまったりすれば、道路交通法違反となります。車両間を左右からすり抜けるジグザグ走行もまた違反行為となります。
こうした行為は、損害賠償の負担割合を決める過失割合に影響し、バイク側にも過失が認められ加算修正されてしまいます。おおむね2~3割の過失がつき、過失割合が大きくなればなるほど、受け取れる損害賠償金が減ってしまうことになります。

ドア開放車にぶつかった場合

停まっている車がドアを開けているところに、後ろを走行中のバイクがぶつかった場合の基本的な過失割合は「1(バイク側)対9(車側)」となります。これをベースに、その時の事故状況によって過失割合が修正されていきます。
バイク側に過失がプラスされる例としては、相手が支払中など合図を出しているタクシーであったり、事故の現場が駅のロータリーだったりと、ある程度“人の乗り降り、ドアの開閉が予測できる場合”です。おおよそ1割程度の過失が加算されます。
また、バイク側に速度違反が認められる場合には、程度により1~2割の加算修正がされるでしょう。

過失があると受け取れる慰謝料が減る

自分にも過失があれば、その分の事故発生の責任を負うことになりますので、最終的に受け取れる慰謝料を含む損害賠償金から自身の過失に相当する分が減額されることになります。これは、バイク事故に限ったことではなく、交通事故全般に共通することです。
イメージするために、バイク事故で【過失ゼロ】のケースと【過失あり】のケースで比較してみましょう。

【過失ゼロ】のケースでバイクのみ破損した場合

  • 青信号を直進していたバイクと赤信号無視した車が衝突した事故
  • 過失割合:0(バイク)対10(車)
  • 損害金:200万円
  • 受け取れる損害賠償金:200万円

【過失あり】のケースでバイクのみ破損した場合

  • 直進していたバイクが左折しようとした車に巻き込まれた事故
  • 過失割合:2(バイク)対8(車)
  • 損害金:200万円
  • 受け取れる損害賠償金:160万円 (減額分200万円×0.2=40万円)

同じ損害金が200万円の事故でも、過失が2割認められると「40万円」が減額されてしまうのが読み取れると思います。

弁護士の介入によって弁護士基準に近い慰謝料が認められたバイク事故の事例

ここで、横浜法律事務所が解決に導いたバイク事故の事例を紹介します。
本件は、事故後間もない状態でご相談くださったものです。依頼者は、三車線の追越車線をバイクで走行中に、急に車線変更してきた前方車と衝突し、愛車の破損とともに自身も怪我を負われました。なかなか進行しない保険会社とのやりとりに不安を感じたことから、弊所にご相談のうえ、ご依頼くださいました。

事故後すぐに受任したため、依頼者は通院中でしたので、先に物損や過失割合の交渉から始めました。緻密にカスタマイズされているなど、こだわりのある愛車をはじめ、ヘルメットや着ていた服にも損傷があったため、購入時価額などの立証資料をそろえて物損交渉を行いました。過失割合についても、事故状況から想定されるこちらの割合が通るように、同様の態様で認められた裁判例などを引き合いに出しつつ交渉を進めました。
また、人身部分についても、被害者が自営業であったことから実際の収入面の証明に苦戦しつつも、一つ一つ根拠資料をそろえて交渉に臨みました。

こうした積み重ねの結果、慰謝料の交渉においても弁護士基準で算定した金額にほぼ近い状態で示談が成立し、依頼者にも大変ご満足いただける解決に導くことができました。これもひとえに早い段階から弁護士が介入できたことによる結果といえます。

バイク事故の慰謝料は弁護士にご相談ください

車と比較すると、バイクは交通弱者にあたります。
車とバイクの事故は、大怪我を負うなどして交通弱者であるバイク側の損害が大きくなりがちです。意図せず事故に遭い、望まない怪我をして通院や後遺症に悩まされてしまうといった精神的苦痛への賠償金は、正当に受け取るべきでしょう。
保険会社が提示してくる慰謝料額は、あくまでも自賠責基準や任意保険基準で算定した最低限の補償に過ぎません。損害が大きくなりがちなバイク事故においては、弁護士基準での算定額と比べると、何十万円、何百万円もの差が生じることもあり得るのです。
“正当な慰謝料”といえる弁護士基準で請求するためにも、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士法人ALGは、一人一人のご相談者様に寄り添う姿勢を大切にしています。「後悔しない解決」をご一緒に目指しますので、ぜひ一度お問い合わせください。

未成年者であっても相続人になることはできます。一方で、いくら未成年者が相続人であっても、未成年者は単独では遺産分割協議を行うことはできませんので注意が必要です。

未成年者は原則、遺産分割協議ができない

未成年者は制限行為能力者と呼ばれ、遺産分割協議を単独で行うことができません。
共同相続人の中に未成年者がいる場合は、親権者や未成年後見人が、未成年相続人の法定代理人として遺産分割協議を行わなければなりません。

成年年齢の引き下げについて(2022年4月1日以降)

2022年4月1日から成年年齢の引き下げがなされます。
具体的には、
① 2002年4月2日生まれから2004年4月1日生まれまでの方
→2022年4月1日に成年
② 2004年4月2日生まれ以降の方
→18歳の誕生日に成年
となります。

成人になるのを待って遺産分割協議してもいい?

成人になるのを待って遺産分割協議を行うことも選択肢の一つですが、例えば相続税については、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から原則として10か月以内に申告をしなければならない等、手続上、期間制限があるものもあり、注意が必要です。

相続人に未成年者がいる場合は法定代理人が必要

相続人の中に未成年者がいる場合、どうすれば円滑に遺産分割協議ができるのでしょうか。

法定代理人になれるのは親権者(親)

未成年相続人の代わりに遺産分割協議ができる者としてまず挙げられるのは、法定代理人である親権者です。
両親が双方健在なら、両親双方が親権者です。

親も相続人の場合は特別代理人の選任が必要

注意しないといけないのは、未成年者とともに親も相続人となっている場合です。
この場合、親が未成年者の取り分を少なくして、自分の取り分を多くしようとすればできる状態ですので、未成年者を親が代理することはできません。
原則として、未成年者を代理する特別代理人という特殊な代理人を選任する必要があります。
もっとも法定相続分以上を未成年者に渡すというように、通常であれば、未成年者が損をするとはいいにくいようなケースでは、親が未成年者を法定代理することが許される場合があります。

親がいない場合は未成年後見人を選任する

未成年者に親権者である親がいない場合、未成年後見人を選任する必要があります。

未成年者の相続人が複数いる場合は、人数分の代理人が必要

未成年の相続人が複数いる場合は、まとめて1名の代理人が就任することはできません。
これを認めると、ある未成年者を犠牲にして、別の未成年者に多く分割することができてしまい、公平ではないからです。
この場合は、人数分の代理人が必要となります。

特別代理人の選任について

親権者と未成年者が共に共同相続人の場合は、親権者が未成年者を犠牲にして自分の利益を得ようとする可能性を否定できないため、未成年者のために特別代理人の選任が必要となる場合があります。

特別代理人とは

親権者とは別に、未成年者の代わりに遺産分割協議をする代理人を指します。

申立てに必要な費用

特別代理人のひとりあたり800円分の収入印紙が必要です。

必要な書類

  • 未成年者の戸籍謄本
  • 親権者の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票

等です。
この他にも不動産の売却等を伴うのであれば、不動産登記簿が必要です。

申し立ての流れ

親権者が、子の住所地を管轄する家庭裁判所に、特別代理人の選任を請求します。
具体的には、特別代理人選任申立書を提出します。

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未成年後見人の選任について

未成年者に親権を行うものがいない場合には、家庭裁判所は申立てにより、未成年後見人を選任します。

未成年後見人とは

未成年者の法定代理人の一種で、未成年者の身の回りの世話や財産の管理、契約等を行う人をいいます。

申立てに必要な費用

未成年者1人につき、収入印紙800円分が必要となります。

必要な書類

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 財産目録
  • 相続財産目録
  • 収支予定表
  • 未成年後見人候補者事情説明書

などです。

申し立ての流れ

未成年者の住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申立てを行います。

未成年後見人選任の申立書(裁判所)

未成年の相続人が既婚者の場合は代理人が不要

未成年者といっても、既に婚姻している場合には、基本的には成人として取り扱われるため、代理人が不要となります。

親が未成年の相続人の法定代理人になれるケース

以下のような例です。

親が相続放棄をした場合

親が相続放棄をする場合は、相続をめぐって子と利害が対立することはないと考えられるため、親が未成年者の法定代理人として遺産分割協議を行うことができます。

片方の親がすでに亡くなっており、未成年者が代襲相続人になった場合

代襲相続

両親の内の一方が既に亡くなっており、未成年者が代襲相続人となる場合、存命の片親は基本的には相続人になりませんので、子を代理して遺産分割協議を行うことができます。

未成年者を含む遺産分割協議を弁護士に依頼するメリット

未成年者を含む遺産分割協議にあたっては、留意すべき点が多数あり、場合によってはせっかくまとめた遺産分割協が無意味となってしまいかねません。
相続人に未成年者が含まれる場合には一度弁護士に相談ください。

人がお亡くなりになり、相続が発生したときに気を付けなければならないのは、遺産をどのようにわけるのかということです。以下では遺産を分ける話し合い(遺産分割協議)について解説していきます。

遺産分割協議とは

財産のある人がお亡くなりになった際、その財産は遺産となります。
この遺産について相続する人が複数いる場合、どの遺産を誰にどのように引き継がせるのかという話合いをする必要があります。これが遺産分割協議です。

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議のやり直しは原則不可

一度遺産分割協議を纏めると、その内容にしたがって、財産が具体的に分配されていくこととなります。したがって、基本的には遺産分割協議をやり直すことはできません。

全員の合意がなければ成立しない

遺産は基本的には相続人全員の問題ですから、遺産分割協議をまとめるためには相続人全員の合意が必要です。もっとも、いくら相続人であっても、その人本人が協議に参加することが認められない事情もあります。

相続人に未成年がいる場合

未成年者は、単独で有効な法律関係の行為をすることができません(制限行為能力者といいます)。
遺産分割協議は法律関係の行為なので、相続人であっても未成年者は遺産分割協議に参加することができません。
原則として、未成年者の法定代理人(親)がいれば、その法定代理人が未成年者の代わりに参加します。法定代理人がいない場合は、未成年後見人を選任します。
法定代理人が存在するものの、未成年者と法定代理人との利害関係が対立する場合には特別代理人の選任が必要となります。

相続人に認知症の人がいる場合

認知症を患っておられる相続人の方が、遺産の価値を理解したり、分け方について他の相続人の方と交渉したりすることは一般的には難しいと考えられています。したがって、認知症の方は基本的には遺産分割協議に参加することはできません。
協議をするためには、家庭裁判所に法定後見人の選任申立てをする必要があります。法定後見人自体については、一般的には、親族が望ましいとされていますが、誰を選任するかは最終的には家庭裁判所の裁量に委ねられています。

遺産分割協議でよく揉めるケース

土地や不動産がある場合

土地・建物等の不動産は、基本的には高額であるため、誰が取得するか、その価値をいくらと見積もるのか、不動産そのものを取得する代わりに他の相続人にいくら支払うか(代償金といいます)等で紛争になりやすいです。

家業がある場合

家業や会社を相続する際には、そもそも家業や会社を誰が相続するのかが問題となります。また、家業等を継いだ兄弟が遺産の内容を開示しなかったり、家業を継いだ方が、「自分はこんなに苦労した」といい、等分なのは納得いかない等の主張をして揉める場合があります。

相続人以外が参加した場合

当事者でない人が参加すると揉めやすいです。
相続人の配偶者が参加して揉めるなどのケースが典型例です。

遺産の分割方法

遺産を分割するといっても、その分け方は様々です。

現物分割

遺産分割の原則的な方法です。個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するものです。

代償分割

一部の相続人に法定相続分を超える財産を取得させた上で、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。

換価分割

遺産を売却等して換金した後に、それを分配する方法です。

共有分割

遺産の一部や全部を共有とする方法です。

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遺産分割協議に期限はある?

現状、期限については存在しません。もっとも、相続発生から10か月以内に、相続税の申告や納税を済ませる必要がありますので、特段手当をしないのであれば、この期間が一応の目安となります。
なお、令和5年4月1日から、改正民法が施行され、特別受益と寄与分の主張について、相続開示の時から10年の期限が設定されることとなりました。

遺産分割協議をしないで放っておいたらどうなる?

借金がある場合には、利子の支払いが嵩んだりします。
さらには、相続人当事者が経年により死亡し、相続そのものがより複雑化する場合があります。

遺産分割協議が無効になるケース

遺産分割協議の参加者の中に、未成年者等の判断能力が十分でない方がいたりする場合には、協議そのものが無効となります。
また、遺産や遺産分割の内容に重大な誤解があった場合にも無効となることがあります。

遺産分割協議のやり直しが必要になるケース

せっかくまとめた遺産分割協議がやり直しとなってしまう場合は以下のとおりです。

・協議成立後に新たな遺産が見つかった
単純に未知の遺産が見つかったという場合には、遺産分割協議をやり直す必要はありません。しかし、その遺産をある相続人が隠していたり、遺産の価値が極めて高いといったりする場合には、遺産分割協議そのものをやり直さなければならなくなる可能性があります。

・協議成立後に遺言書が見つかった
相続人全員で、遺言書を問題としないとの合意ができれば、遺産分割協議は有効ですが、原則として遺言の内容が優先することとなります。

なお、遺産分割協議後に相続人が亡くなった場合には、亡相続人の地位について別の方が相続することとなりますので、遺産分割協議をやり直す必要はありません。

遺産分割協議に応じてもらえない場合にできること

遺産分割協議に応じてもらえない場合には、家庭裁判所へ遺産分割調停の申立てをすることができます。
遺産分割調停とは、家庭裁判所での話し合いです。この調停がまとまらない場合には、審判といって、裁判官が証拠に基づいて判断する手続きに移行します。

そもそも遺産分割協議が必要ない場合

ここまで、遺産分割協議について説明してきましたが、そもそも遺産分割協議を行う必要がないケースも存在します。

遺言書がある場合

遺言書の内容に、相続人全員が不満のない場合は、遺言書の内容にしたがって遺産分割をすればよいので、遺産分割協議は不要です。

法定相続人が一人しかいない場合

そもそも相続にあたって協議する必要がないため、遺産分割協議は不要です。

遺産分割協議のお悩みは弁護士にご相談ください

遺産分割協議にあたっては注意すべき点は多々ありますので、協議するにあたっては、是非一度弁護士にご相談ください。

「性格の不一致」を理由に離婚するご夫婦は、数多くいます。一緒に暮らしていくなかで、合わないと感じる場面が増えれば、次第にストレスが溜まってしまうでしょう。その結果、別れを決意する方もいるのです。
しかし、性格の不一致は、夫婦のどちらが悪いといえるものではありません。そのため、相手が離婚に応じてくれない場合、離婚理由として認められないこともありえます。
このページでは、【性格の不一致での離婚】をテーマに、離婚することはできるのか、離婚の進め方、慰謝料請求できるのか、といったことについてご説明していきます。

性格の不一致で離婚することはできるのか

夫婦間で話し合って合意できれば、性格の不一致を理由に離婚することができます。 また、夫婦同士の話し合いは難しくとも、家庭裁判所の「離婚調停」という手続きを利用し、調停委員会を通して話し合うことで合意に至り、離婚できるケースもあります。
一方で、夫婦間の話し合いでも調停でも合意できず、「裁判」に発展した場合、性格の不一致のみを理由とした離婚を認めてもらうことができない場合もあります。その理由は後ほどご紹介します。

性格の不一致とは

そもそも性格の不一致とは何なのかというと、性格やものの考え方、価値観などが合わないことを指します。具体例は次のとおりです。

  • 子供への教育方針の違い
  • マナーに対する考え方の違い
  • 金銭感覚のズレ
  • 両親や親族との付き合い方の違い

性格の不一致は、離婚理由として挙げられることの多いものです。裁判所の統計データ(※令和2年度)によれば、離婚調停を申し立てた理由の第1位が、「性格が合わない(性格の不一致)」となっています。
特にはっきりとした理由がない場合などに、「性格の不一致」はとても使いやすい言葉です。こうしたことも、多くの人が離婚理由に挙げる背景にはあるのでしょう。

法律が定める離婚原因とは?

裁判で離婚が認められるには、民法で定められた5つの離婚理由(法定離婚事由)のどれかに当てはまる事情が必要です。

①配偶者に不貞行為があったとき
②配偶者から悪意の遺棄をされたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

性格の不一致が原因で夫婦関係に不和が生じた結果、夫婦関係や破綻していたて修復不可能と判断できるような場合には、性格の不一致の存在が上記⑤である婚姻関係を継続し難い重大な事由に当てはまるとして、離婚が認められる可能性があります。

夫婦関係が破綻した証拠を集める

ただ単に主張するだけでは、夫婦関係の破綻を認めてもらうのは難しいでしょう。客観的に見てわかる証拠を集めて提示することが必要不可欠です。証拠になり得るものとしては、例えば次のようなものがあります。

  • 次第に夫婦仲が悪くなっていったことを記録した日記やメモ
  • 夫婦喧嘩の様子を録音・録画したデータ
  • 不仲であることがわかるメールやLINEのやりとり
  • 寝室が別であったり、家事や家計が別々になっていることを裏付ける写真や録画

なお、日記やメモは、スマホのアプリや手書きでも可能ですが、後から書き換えたと反論されないように作成した日がきちんと分かるようにしておくことが重要です。

長期間の別居

長期間の別居という事実によって、夫婦関係の破綻が認められる場合もあります。必要な別居期間は、一般的に3~5年程度といわれています。ただ、婚姻年数や同居期間の長さ、離婚理由として主張される性格の不一致の内容など、夫婦それぞれの事情に応じて判断されるので、あくまでも目安だと理解しておきましょう。
なお、別居の事実を証明するためには、次のようなものが証拠に使えます。

  • 別居先のアパートを借りたときの契約書
  • 別居にあたって異動した住民票
  • 別居先で支払っている公共料金の領収書

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性格の不一致での離婚の進め方

離婚理由が性格の不一致の場合も、離婚の進め方はほかの場合と変わらず、【当事者同士での話し合い(協議)→離婚調停→離婚裁判】という順序で進めていくのが一般的です。
ただ、離婚理由が性格の不一致というだけでは、裁判で離婚を認めてもらうことができない場合もありますので、話し合いで解決できるかどうかが重要になってきます。

離婚の切り出し方やタイミング

話し合いで離婚を成立させるためには、出だしが肝心です。離婚の切り出し方と、そのタイミングには十分に気をつけましょう。ここを見誤ると、交渉がスムーズに進まなくなるおそれもあります。
切り出すときは、「離婚したいこと」と「なぜ離婚したいと思うのか」を、落ち着いて伝えるようにしてください。これまでの不満から怒りが込み上げてきたとしても、相手を責め立てるような態度をとることは避けるべきです。言い争いになってしまい、相手の同意を得るのは難しくなることが予想されます。
また、切り出すタイミングは、家庭の状況や相手の様子を踏まえて、慎重に判断しましょう。性格の不一致を理由に離婚する場合、一般的には、子供が自立した時や配偶者が定年退職した時など、人生の節目といえるタイミングで切り出すことが多いようです。

性格の不一致と離婚後の子供の親権について

未成年の子供がいる場合は、離婚する際に親権について話し合い、どちらが離婚後の子供の面倒をみるのかを決める必要があります。話し合いで決まらないときは、最終的に裁判所の判断で決められますが、どちらが親権者となるべきかと離婚原因とは分けて検討されることになります。そのため、離婚原因が性格の不一致だからといって、親権の判断に直接影響を及ぼすとは限りませんが、性格の不一致の内容が子供に関するものである場合には、その内容が親権の判断に一定の影響を与える可能性もあります。
親権を望む方のなかには、子供を連れて別居しようと考える方もいるでしょう。子供を連れて別居をすることは、状況によっては「違法な子の連れ去り」だとして、かえって不利に働く可能性もありますので注意が必要です。DVを受けている、子供が虐待を受けているなどの場合を除いては、相手の承諾を得てから連れて行く方が望ましいです。

性格の不一致での慰謝料請求について

性格の不一致を理由にした離婚では、慰謝料を請求することは基本的にできません。離婚の慰謝料は、相手に離婚の責任がある場合に請求できるものです。性格が合わないのは、どの夫婦にでも起こることであり、どちらが悪いとはいえません。そのため、慰謝料請求したとしても、裁判所が認めることはほとんどないでしょう。
ただし、性格の不一致のほかに、相手が不貞行為やDVをしていたなどの離婚原因があった場合には、離婚の責任は相手にあるものとして、慰謝料請求が認められる可能性があります。
また、話し合って相手の同意が得られれば、離婚理由は何であれ、慰謝料をもらうことが可能です。その際、“解決金”という名目でなら支払ってもいい、と言ってくれる場合もあります。“慰謝料”だと、悪いことをした人物だと受け取られやすいからでしょう。

よくある質問

性格の不一致で離婚しても財産分与を受けることは可能ですか?

性格の不一致で離婚しても、財産分与を受けることは可能です。財産分与の中心となる目的は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産(共有財産)を公平に分け合って、清算することにあります。そのため、離婚原因は関係しません。仮に相手が浮気していたとしても、基本的に2分の1の割合で財産分与することになります。
ただ、夫婦間で合意できているのであれば、どのように財産分与しても構いません。一方に多く財産を渡すのでも、片方がすべての財産を受け取るのでも、分け方は自由です。

離婚裁判で相手が離婚を拒否し続けた場合、離婚は認められないのでしょうか?

離婚原因が性格の不一致のみである場合、離婚裁判で相手が離婚を拒否し続けているなら、離婚が認められないこともあります。
ただし、性格の不一致をきっかけに夫婦関係が破綻している状況にあるなら、法定離婚事由のうち「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚を認めてもらえる可能性があります。特に、別居が継続している場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されやすいです。
また、相手が不貞行為をしている、相手から暴力を振るわれている、相手が生活費をまったく渡してくれない、といった性格の不一致以外のことも離婚の一因となっていた場合には、夫婦間の事情を総合的に考慮して離婚できる可能性がありますので、今一度ご自身の状況を振り返ってみましょう。

性格の不一致で離婚した場合のデメリットはありますか?

性格の不一致による離婚では、基本的に慰謝料はもらえないというデメリットがあります。なかでも専業主婦(主夫)の方やパートをしていた方の場合、慰謝料がもらえないことで離婚時に受け取れるお金が減ってしまい、離婚後の生活が苦しくなるおそれも考えられます。
また、性格の不一致というあいまいな理由では、相手がなかなか離婚に納得してくれず、話し合いが長引く可能性もあるでしょう。その場合、相手に離婚に応じてもらうための手段として、解決金を支払う必要が生じることもあります。

性格の不一致で離婚したい場合は弁護士にご相談ください

性格の不一致から離婚を考えたとき、話し合いで相手が同意してくれれば離婚できます。しかし、相手が離婚したくないと拒否したりして裁判にまで発展した場合、性格の不一致のみを理由に離婚を求めても、裁判所に認めてもらうことは簡単ではありません。
性格の不一致で離婚したい場合には、弁護士に相談してみてください。弁護士のアドバイスを受けることで、話し合いがスムーズに進む可能性があります。また、弁護士が代わりに交渉にあたることも可能ですし、裁判を行うことになった際は適切にサポートいたします。
弁護士法人ALGでは、離婚問題に詳しい弁護士がお待ちしています。性格の不一致での離婚についてお悩みのときは、おひとりで抱え込むのではなく、まずは弊所に相談してみてはいかがでしょうか。

離婚に向けて別居を考えても、生活費が心配でなかなか踏み切れない方もいるでしょう。そのような方に知っておいてほしいのが、「婚姻費用分担請求」です。
夫婦には、お互いの生活費や子供にかかる費用などを分担する義務があります。別居中でも夫婦には変わりないので、基本的に相手の方が多く稼いでいるなら、別居中の生活費は相手に請求して支払ってもらうことができます。本ページでは、「婚姻費用分担請求」について、具体的な請求の方法なども含めて詳しく解説していきます。

婚姻費用分担請求とは?

婚姻費用分担請求とは、家族が生活を送るうえで必要な費用(婚姻費用)を、配偶者に請求する手続き です。 法律上、夫婦は、お互いの収入等に応じて婚姻費用を分担する義務を負うものと定められています。そのため、相手が負担すべき婚姻費用が支払われないときには、別居中か同居中かにかかわらず、婚姻費用を請求することが可能です。通常は、収入の少ない方が多い方に対して請求します。

働いていても婚姻費用分担請求できる?

婚姻費用分担請求は、専業主婦(主夫)などのように、一方に収入がない場合だけにしか請求できないわけではありません。共働きの夫婦でも、相手より収入が少ないのであれば請求できます。
また、収入に差がなかったとしても、子供を連れて別居する場合などには請求可能です。この場合は、学費などの子供を育てるのに必要な費用を、婚姻費用として請求することになるでしょう。

婚姻費用分担請求を行うメリット

婚姻費用分担請求を行うことには、様々なメリットがあります。いくつか例を挙げてみましょう。

●別居中の生活費を確保できる
特に専業主婦(主夫)の方やパートをしている方などは、別居中の生活費に不安を覚えるでしょう。婚姻費用分担請求をすれば、相手に生活費を支払ってもらえますので、こうした不安は少なくなります。

●離婚に向けた話し合いや裁判等が長引いても、その間の生活費を気にせずに済む
離婚が成立するまでの間は、婚姻費用の請求が可能です。離婚の手続きを進めている最中で相手から生活費が支払われなくなったとしても、心配する必要はありません。

●離婚が成立しやすくなる可能性がある
離婚しない限り、婚姻費用の支払いは続きます。それを負担に感じた相手が、「婚姻費用を払い続けるくらいなら別れた方がいい」として、離婚に応じてくれる場合もあります。

離婚調停と同時に申し立てる場合のメリットは?

婚姻費用を請求したものの、相手が話し合いに応じてくれない場合などには、裁判所の調停手続きを利用することになります。そして、その際には離婚調停の申立てを同時に行うこともできます。
同時に申し立てれば、離婚が成立するまでの生活費を確保できるため、安心して調停に臨めるというメリットがあります。なお、通常は両方とも同じ期日で進められるので、余計に裁判所に行く回数が増えるといったことはありません。
離婚調停を申し立てる際にすでに別居をスタートさせている方などは、別居中の生活に困らないよう、同時に申し立てることも検討してみるといいでしょう。

こんな場合は婚姻費用分担請求が認められないことも……

相手より収入が低かったとしても、自身が有責配偶者だった場合には、婚姻費用分担請求は裁判所に認められないこともあります。 “有責配偶者”というのは、夫婦仲がうまくいかなくなった主な原因を作り出した者を指します。
したがって、自身の浮気やDVなどが原因で別居するに至ったケースなどでは、婚姻費用の請求は認められない可能性があることから注意が必要です。もっとも、子供には何の責任もないので、有責配偶者からの請求であっても、子供に関する費用(養育費に相当する金額)については、請求は認められる可能性が高いです。

婚姻費用分担請求の方法

婚姻費用分担請求をするときは、まずは夫婦間の話し合いをするのが基本です。話し合っても意見がまとまらない場合や、そもそも話し合いにすら応じてくれない場合には、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てて話し合いを進めていきます。そして、調停でも決まらないときは審判の手続きに移り、裁判官によって判断されることになります。
なお、婚姻費用について話し合う際には、早めに内容証明郵便を送っておくなど請求の意思を明らかにしておくことをおすすめします。基本的に、婚姻費用は“請求した時”からの分しか認められません。この点、「内容証明郵便の送付時=請求した時」とみなされる可能性がありますので、なるべく多くの婚姻費用を支払ってもらえるよう、積極的に活用するといいでしょう。

婚姻費用分担請求調停の流れ

婚姻費用分担請求について、本人同士では決着がつかないときは、家庭裁判所の手続きを通して決めていく必要があります。その第一段階となるのが、「婚姻費用分担請求調停」です。調停を行うのに必要な書類や、手続きの具体的な流れなどを、以降より詳しくみていきましょう。

必要書類

婚姻費用分担請求調停を行う際に必要になる書類は、主に次のとおりです。

  • 申立書とその写し1通
  • 連絡先等の届出書
  • 事情説明書
  • 進行に関する照会回答書
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 申立人の収入関係の資料 【例】源泉徴収票、給与明細、確定申告書などの写し

婚姻費用の判断により多くの情報が必要な場合などには、追加の書類の提出が求められることもあります。ご不安な方は、事前に申立先の家庭裁判所に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。

申立て~調停終了までの流れ

①~⑤のように番号を振って簡潔に流れを書いてください。

調停の申立てをしてから終了するまでの大まかな流れを示すと、次のようになります。

①必要書類を家庭裁判所に提出し、調停を申し立てる
申立先は、【相手方の住所地を管轄する家庭裁判所】または【当事者間で合意して決めた家庭裁判所】になります。また、申し立てる際は次の費用が必要です。
 ●収入印紙1200円分
 ●連絡用の郵便切手(※金額は裁判所によって異なる)

②第1回調停期日を知らせる呼出状が届く
 通常は、申立てから2週間程度で届きます。

③第1回調停期日
 一般的な所要時間は、およそ2時間程度です。申立人と相手方が交互に話を聞かれます。

④必要に応じて、2回目以降の期日が設けられる

⑤調停の終了(成立・不成立など)

調停成立の場合

婚姻費用に関する条件について、夫婦双方が合意し、調停委員会がその合意に問題ないと判断した場合には、調停成立となります。
調停が成立すると、家庭裁判所によって「調停調書」が作成されます。この調停調書には、調停で合意した内容が記載されており、後になって当事者がこの内容に従わないときには、“強制執行”という手続きをとることができます。そのため、相手が婚姻費用を支払わないようであれば、直ちに強制執行を申し立て、相手の財産(主に預貯金、給料など)を差し押さえることも可能です。

調停不成立の場合

調停を行っても一向に話し合いがまとまらず、調停委員会が「このまま調停を続けても合意しそうにない」と判断したときには、調停は不成立となってしまいます。
調停不成立となった後は、自動的に「審判」の手続きが開始されます。審判では、裁判官が当事者双方から意見を聞き取り、その内容や調停で話し合った内容など、すべての事情が考慮されて裁判官が婚姻費用を決定します。

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婚姻費用の調停で質問される内容

婚姻費用分担請求調停では、調停委員会のうち“調停委員”(通常は男女1名ずつの計2名)から質問を受け、話をしていきます。よく聞かれる内容としては、例えば次のようなものがあります。

  • お互いの収入状況
  • 子供の有無と年齢
  • 調停を申し立てるに至った経緯
  • 現在の生活状況
  • 希望する婚姻費用の内容(金額・支払日・支払方法など)

調停委員と話すときは、感情的にならず冷静になることを心がけましょう。調停委員は、ただ単にお互いの意見を伝言ゲームのように伝えていくわけではありません。両者が合意できるようにと、解決案を提示したり助言をしたりして、話し合いを進めてくれます。そのため、調停を有利に進めやすくするためには、調停委員にあなたの主張を理解してもらい、共感してもらうことが重要なポイントになってくるのです。

婚姻費用分担請求調停に欠席するとどうなる?

事前に連絡を入れて初回の調停を欠席した場合、基本的には出席した当事者のみの意見が聞かれて、欠席した当事者の意見は次回の期日に聞かれることになります。また、場合によっては、初回の期日自体が延期されることもあります。
一方で、何の連絡もせずに欠席した場合には、出席した者のみの意見が聞かれ、欠席した者に対しては、裁判所から連絡が来たり、「出席するように」と勧告されたりすることがあります。その後も無断欠席を続ければ、裁判所に「調停に参加する気はない」と判断され、調停は不成立となるでしょう。
調停不成立となったら、最終的に裁判官によって婚姻費用が決められることになりますが、調停での無断欠席が判断に影響し、望まない結果になってしまうおそれもあります。調停にはきちんと出席し、自分の意見を伝えるようにしましょう。

今すぐにでも婚姻費用を支払ってほしいときは?

調停や審判の手続きが終了するまでには、ある程度時間がかかります。しかし、なかには結果を待っていられないほど、生活に困っている方もいるでしょう。
今すぐにでも婚姻費用を支払ってほしいときは、調停と併せて「調停前の仮処分」を申し立ててみてください。認められれば、調停が成立するのを待たずして、裁判所が相手に対し、婚姻費用を仮で支払うよう命令してくれます。ただし、強制執行力はありません。
また、審判手続きに進む際は、「審判前の保全処分」を申し立てるという手もあります。“審判前”とありますが、調停中でも申立て可能です。認められれば、審判の結果が出る前に、婚姻費用を仮で支払ってもらうことができ、相手が従わないときは強制執行することもできます。

婚姻費用分担請求で弁護士にできること

弁護士にご依頼いただければ、色々な角度から婚姻費用分担請求をサポートすることが可能です。具体的には、次のようなことができます。

  • 代わりに配偶者と交渉する
  • 内容証明郵便を作成・送付する
  • 合意内容をまとめた書面を作成する
  • 裁判所に提出する書類を作成する
  • 調停や審判の手続きで、代理人となってサポートする
     (やむを得ず欠席する際、事情によっては弁護士のみの出席が可能な場合もあります。)

婚姻費用分担請求でお困りなら弁護士にご相談ください

婚姻費用分担請求をしたいと考えているものの、どのように請求していった方がいいのか、調停委員にはどのように話していけばいいのか等、悩むこともあるでしょう。そのようなときは、弁護士に相談することをおすすめします。なかでも離婚問題に詳しい弁護士なら、豊富な経験に基づいた個別具体的なアドバイスができます。
過去に支払ってもらえなかった婚姻費用は、基本的に請求することはできませんので、婚姻費用分担請求はできる限り早く行うべきだといえます。お困りの際は、早急に弁護士にご相談ください。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。