弁護士なしで離婚裁判できる?デメリットや費用ついて解説

離婚問題

弁護士なしで離婚裁判できる?デメリットや費用ついて解説

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

日本では、毎年約20万組の夫婦が離婚していますが、実に約9割が協議離婚(調停による離婚を含む)です。すなわち、多くの夫婦は、弁護士等の第三者を介さず自分達だけで離婚していることになります。

しかし、一方に離婚意思がなかったり、条件面で折合いが付かなかったりすると、話合いでは離婚ができません。どうしても離婚したい場合は、「離婚裁判」の提起が必要です。

本稿では、離婚裁判を本人だけで進めることができるのか、弁護士に依頼するとどうなるのかについて、ご紹介していきます。

離婚裁判は弁護士なしでも対応できる?

まず、裁判は、提起する側(原告)でも提起される側(被告)でも本人のみで対応することは可能です。弁護士に依頼しなければ裁判はできないというルールはありません。

ただし、家庭裁判所の統計によると、人事訴訟(離婚や認知など、夫婦や親子等の関係についての争いを解決する訴訟)において、本人のみで進行した割合は約3%とわずかです(「家庭裁判所における 家事事件及び人事訴訟事件の 概況及び実情等」)。

なぜ多くの夫婦が弁護士に依頼するのでしょうか。

弁護士なしで離婚裁判を行うデメリット

離婚裁判を含む人事訴訟においては、双方に訴訟代理人が就く割合が64%、片方にのみ就く割合が約33%と、弁護士が関与する割合がかなり高くなっています。

実は、これは夫婦や親子間の紛争以外を解決する訴訟、いわゆる民事訴訟で弁護士が就く割合よりも高い数字です。

本人だけでも裁判できないわけではないのに、弁護士に依頼する理由は、本人だけでの対応に以下のようなデメリットがあるからと考えられます。

裁判の出席や書面の用意などで労力がかかる

裁判では1~2ヶ月おきに「期日」が開かれますが、この期日には原則として法廷への出席が必要です。裁判が行われるのは平日の日中ですから、仕事を休まなければならない人も多いでしょう。

また、裁判を提起するには「訴状」が必要であり、提起された側は、「答弁書」を提出しなければなりません。その後も裁判所の指示に従って、離婚条件や反論を書面にまとめ、上記期日までに提出する必要があります。

日々の生活の中で、約1ヶ月の間に書面を作成し提出したり、法廷への出席をしたりすることを繰り返すのは、なかなか大変です。

離婚事由が主張できず、不利に進む可能性がある

離婚裁判において離婚するには、民法770条1項に定められた法定離婚事由があると認められることが必要です。そして、法定離婚事由があることは、離婚したい側が証拠を付けて主張立証する必要があります。

民法770条1項はかなり抽象的な書きぶりになっており、何が離婚事由に当たるのか、どのような証拠が必要なのかを本人だけで判断するのは難しいです。

離婚事由を主張できないと、離婚が認められない可能性もあります。

相手に弁護士がついている場合、不利になる

原告または被告の片方だけが弁護士に依頼した場合、弁護士がついている側とついていない側の法的知識には圧倒的な差が生まれてしまいます。弁護士がついている側は、法的な知識を尽くして、自分の有利になるよう主張することができます。

他方で、弁護士がついていない方は、相手方の主張が法的に正しいのか、反論の必要があるのかの判断が難しくなります。

必ずしも、弁護士が法的に正しい主張しかしないというわけではないので、反論しないでいると、不利になります。

弁護士に依頼するよりも長期化しやすい

家庭裁判所の統計によれば、人事訴訟において、当事者の双方またはいずれか一方に弁護士がついている場合の平均審理期間(裁判所が当事者の主張や証拠に基づいて審理を進める期間)は7ヶ月であるのに対して、当事者双方とも弁護士がついていない場合の平均審理期間は、15.7ヶ月と、約2倍になっています。

これは、本人による書面や証拠の準備に時間がかかることが大きな原因と分析されます。

一人で対応することによるストレスが大きい

離婚裁判を弁護士なしで行う場合、法的主張や裁判所における事務手続きまで一人で対応することになります。

離婚裁判は多くの人が経験しない手続きであるのに加え、極めてプライベートな夫婦生活の破綻を内容とするため、なかなか周りに相談できないものです。

しかも、相手方は不和となった他方配偶者ですから、その主張を聞いたり法廷で対面したりするのは大きなストレスになってしまいます。

離婚裁判を弁護士なしで進めるときの流れ

弁護士なしで離婚裁判を起こす場合、まずは訴状を作成し、戸籍謄本等の必要書類を添付して郵送または持参で裁判所に提出します。

訴状が相手方に送達されますが、初回期日が指定され、裁判所から呼び出されるので、その時間に裁判所に行って法廷に出席します。
法廷では、裁判官や書記官という裁判所職員からの指示に従って期日を進めていきます。

期日の最後には次回期日が指定されるので、自身のスケジュールを把握しておく必要があります。また、次回期日までに提出すべき書面等も指示されますので、メモを必ず持っていきましょう。

期日を繰り返し、双方の主張が出揃うと、裁判所から和解が提案されることがあります。
和解とは、判決で決着をつけずに、双方合意で離婚することです。
このとき、和解と判決のどちらが自分にとって有利かを考慮することになります。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

離婚問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
離婚問題の経験豊富な弁護士にお任せください

離婚裁判を弁護士なしで行う場合にかかる費用

離婚裁判を弁護士なしで行う場合にかかる費用は、裁判所に支払う①申立手数料及び②正本等の交付等にかかる手数料等です。このうち、②は事件終了後に発生するものです。

訴訟提起時にかかるのは①で、養育費、財産分与、慰謝料等離婚及び親権以外何も請求しない場合は、1万3000円となります。

このほか、書類の送付等に使用するため、郵便料を事前納付する必要があります。
郵便料は裁判所によって異なるため、具体的には申立先の裁判所に確認する必要があります。

弁護士に依頼した場合にかかる費用

弁護士に依頼した場合は、上記手数料のほか、各弁護士事務所が定める弁護士費用がかかります。

全部で100万円程必要になることが多く、内訳は、着手金、諸経費、成功報酬、出廷日当等です。また、世帯収入によっては、法テラスを利用する等して弁護士費用の負担を軽減することもできます。

各弁護士事務所や市役所等で無料法律相談もやっているため、一度相談に行かれることをお勧めします。

弁護士なしでも離婚裁判を有利に進めるには?

弁護士なしでも離婚裁判を有利に進めるには、事前準備が重要です。

自分達に当てはまる法定離婚事由は何か、それぞれの法定離婚事由は具体的にどのような場合に認められるか、親権・養育費・財産分与・慰謝料等の離婚条件についてどう主張するか、自分の希望が法律で認められるか、調停の経過からしてどこが争点になりそうか、相手方と争う際に、自分の主張の方が正しいと言えるだけの客観的資料があるか、どのような客観的資料があればよいのか、それらは準備できているか等々、考えることがたくさんあります。

書店の法律専門書コーナーに行けば参考になる書籍があるので、事前に読むことをお勧めしますし、心配になれば都度裁判所に質問するのがよいでしょう。

離婚裁判を検討中であれば、法律の専門家である弁護士に依頼することをおすすめします

離婚裁判は弁護士に依頼しなければできないわけではありませんが、裁判の事務手続き自体の煩雑さに加え、自分の有利に進めるためには法律の専門的知識が必要なこと、それらすべてに一人で対応する労力やストレス等から考えれば、実際には弁護士に依頼しないで一人で対応するのは難しいといえます。

本人だけで対応している当事者に対して、裁判所から弁護士に相談するよう助言されることもあります。その結果、上記に述べたとおり、人事訴訟における弁護士対応率が高くなっているのだと思われます。

弁護士法人ALGには離婚事件の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。
離婚は人生を左右する大変大きな出来事です。離婚後の人生に悔いを残さないためにも、まずは一度弁護士にご相談になることをお勧めします。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。