離婚をするためにはモラハラの証拠が重要

離婚をするためにはモラハラの証拠が重要

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

モラハラは、殴られたり蹴られたりするという身体的暴力と異なり、暴言を浴びせられ、心が傷つけられる精神的暴力です。

モラハラに耐えられなくなって、離婚を決意する方はたくさんいらっしゃいますが、モラハラを原因として裁判で離婚を認めてもらったり、慰謝料を請求したりするためには、モラハラの事実を客観的に証明しなければなりません。

しかし、モラハラは目に見えない分、証拠を揃えることが難しいことも多いといえます。そこで、モラハラの存在を証明するための証拠収集の際のポイントについて本記事で説明していきます。

モラハラが原因で離婚する場合は証拠が重要

離婚の制度上、協議離婚・調停離婚という話し合いの方法と裁判離婚という裁判官の判断をもらう方法がありますが、話し合いの中で相手方に言い逃れがさせないためにも、裁判官に主張を認めてもらうためにも、モラハラがあったことを裏付ける証拠が重要となります。

モラハラの証拠になるもの

モラハラの証拠として提示されることが多いものとして、以下のようなものがあります。それぞれについて補足説明を記載していきますので、証拠集めの参考にしてください。

モラハラの内容を記載した日記やメモ

相手方から受けたモラハラを記録した日記やメモは証拠の1つになります。手書きで作成するか、パソコンやスマートフォンなどのデータで作成するか、方式が決まっているわけではないですが、後から振り返ったときにどのようなことがあったのか分かりやすい形で記載しておく必要があります。

書き方に気を付けるべきことはある?

証拠として重要なのは、何があったかどうかなので、モラハラを受けた状況(日時、場所、相手方の言動など)を具体的に記載しておくことが重要となります。他方で、自分の感情面など書き連ねたとしてもモラハラの証拠としての価値は乏しいといえます。

また、後から書き加えた、編集したといった反論がされにくいように、消えないペンを使って、なるべく毎日作成しておくことも重要です。

モラハラの現場を録音・録画したデータ

モラハラの現場を録音・録画したデータは、客観的な証拠として残る点で、モラハラの証明するうえで重要性の高い証拠といえます。

断片的な会話では、夫婦喧嘩の一部分を切り取ったものに過ぎないと反論されることがあるので、録音や録画の際には、なるべく会話の一部始終が確認できるようにしておくべきです。

また、証拠として実際に利用する際には反訳をする必要がある場合も多いので、長時間の録音・録画については、どのあたりに重要な会話が記録されているかをピックアップしておく方がよいです。

なお、相手方に無断で行う録音・録画は、相手方のプライバシーを過度に侵害するものでなければ、基本的には裁判などでも有効な証拠として扱われています。

モラハラ夫(妻)から届いたメールやSNS

メール、LINEやSNS等で、配偶者の人格を否定している発言などがあれば、モラハラの証拠となり得ます。相手方とのメールやLINEは相手方自身の発言であることが事後的に裏付けやすい点で、メールやLINEの中にモラハラと評価できる発言があれば重要な証拠になるといえます。

なお、メールやLINEはデータを誤って消去してしまったり、スマートフォンの機種変更時にデータを引き継げないこともありますので、定期的にバックアップを取っておくことが重要です。

精神科への通院履歴や医師の診断書

精神的な暴力の1つであるモラハラを受けた場合、適応障害や不眠症などの精神疾患の原因となることがあります。体調の異変を感じた場合、早めに精神科や心療内科を受診して、診断書を作成してもらうとともに、定期的に通院をして投薬などを受けておくことをおすすめします。

診断書や通院履歴は心のケアだけではなくモラハラの証拠ともなるものです。通院の際は、配偶者からモラハラを受けてるいことを医師に伝えておき、必要に応じて、診断書やカルテにも症状の原因モラハラであることを記載してもらってください。

子供や友人などによるモラハラの証言

モラハラを受けた際に、親族や友人などに相談をしているケースも少なくありません。親族や友人などのモラハラの被害を証言してくれるのであれば、証拠の1つにはなります。

しかし、証言は主観的な証拠ではあって、記憶の正確性などの問題もあることから、基本的には証拠価値は低く、ほかの証拠はないのであれば、証言だけでモラハラを証明することは難しくなることが見込まれます。

警察・公的機関への相談履歴

警察や公的な相談機関にモラハラを受けたことを相談している場合、相談履歴がモラハラの証拠の1つとなることがあります。

警察や公的な相談機関では、相談のあった日時や内容が記録されていることが多いことから、相談履歴を開示してもらうことでモラハラの被害を裏付けていくことができます。

しかし、相談内容は当事者の主観といえますので、ほかに客観的な証拠がないと裏付けとして乏しくなってしまう場合も少なくありません。

モラハラの証拠が集めにくい理由

モラハラは、目に見えない言葉や態度でなされるものであり、身体的暴力のように目に見える傷も残らないことから証拠が集めにくいといえます。また、モラハラは家庭内という密室でなされることが多い点でも証拠が集めにくくなっているといえます。

さらに、モラハラの特徴として、モラハラを受けた側が自分が悪いから否定されるのだと思い込んでしまい、、モラハラを受けたことを自覚するまで時間を要することがあり、モラハラだと認識した時点ではすでに証拠を集めることができない状況となっているということもあります。

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証拠を集める上での注意点

モラハラの被害は、日々の生活の中で発生するものであり、前触れや予兆が決まっているわけではないことから、前もって証拠集めの準備をしておくことは難しいといえます。

モラハラがあった際になるべく逃さすに証拠を確保するためには、普段からボイスレコーダーやスマホの録音アプリを手元に準備し、操作方法をきちんと確認しておいて、モラハラがあった際に速やかに起動できるようにしておくことが必要となってきます。

また、せっかく確保できた証拠がなくなってしまうことを避けるために、データはバックアップしたり、紙媒体の物はコピーを取っておくなどの工夫も重要といえます。

モラハラの証拠がない場合の対処法

自分で用意できた証拠が手元にない場合には、弁護士に相談して、証拠集めについてアドバイスを得ることが重要となります。証拠がないことに焦ってしまい、状況を悪化させてしまう可能性もありますので、専門家のアドバイスを受けてから、できる範囲で証拠集めをしていくことをお勧めします。

証拠がない状態から弁護士が介入したとしても、弁護士が相手方とやり取りしていく中で、相手方が自らが意図せずモラハラを認めるケースもありますので、諦めずに対応しておくべきといえます。

モラハラの証拠があれば、慰謝料も請求できるのか

モラハラについて証拠を用意して、モラハラの存在が立証できれば、不貞行為や暴力行為と同様に慰謝料請求が可能です。

しかし、モラハラは抽象的な概念であることもあり、慰謝料が認められるとしても、不貞行為などと比較すると、慰謝料は低額になる傾向があります。

また、証拠があっても、モラハラの立証まで至らない場合には慰謝料の請求自体が認められないこともありえます。

モラハラ離婚の証拠に関するQ&A

子供が配偶者からモラハラを受けていた場合、離婚するには証拠が必要ですか?

親からのモラハラは子供に対する精神的虐待といえるものであり、子供の健全な成長に悪影響を及ぼすものです。
子供に対するモラハラが原因で離婚したり、慰謝料請求したりする場合でも、配偶者に対するものと同様に、モラハラを立証するためには証拠の存在が重要となります。
他方で、子供への悪影響を考慮すれば、証拠集めのために時間がかかっている間に子供がどんどん悪い状況に陥ってしまうことが懸念されます。
そのため、証拠集めも重要ではありますが、子供をモラハラの悪影響を受けない環境に置いてあげることも重要となります。子供を守るためには子供を連れて別居をすることを検討しなければならない場合もあります。

配偶者とのLINEの内容が削除されていても、友人などにモラハラの内容が書かれたLINEを転送していた場合はモラハラの証拠になりますか?

モラハラに該当するLINEの内容を友人等に転送しておくこともモラハラの証拠を確保するという観点で意味があります。スマートフォンのデータが消えてしまった場合やモラハラ加害者から強引にデータを削除されてしまった場合など、手元にある証拠がなくなってしまっても、第三者のところでデータが残っていれば、モラハラを立証できる可能性が残ります。

日記や録音データなどの証拠は、長期間集めるべきですか?

日記や録音データなどの証拠は、なるべく長期間にわたって集めておくことが望ましいといえます。長期にわたって繰り返されていることが客観的に残っていれば、モラハラの内容をより具体的に示すことができますし、単発の証拠よりも信用性も高まるといえます。
また、日記については、単に長期間作成するのではなく、なるべく毎日記録しておくことも重要といえます。

離婚の際に必要なモラハラの証拠について、経験豊富な弁護士がアドバイスさせていただきます。

モラハラは、言葉や態度など記録に残りにくい形で、しかも家庭内という密室でなされることも多いことから証拠を集めることが難しい傾向にあります。

モラハラの被害について主張していきたい場合には、ぜひ一度離婚事件の取り扱いの多い弁護士に相談をしてみてください。証拠集めの方法や今ある証拠でできることなど具体的なアドバイスを受けることができ、離婚に向けた準備を進めやすくなるはずです。

相続人の全員が集まって、各自の相続分や相続方法等を話し合い、合意した内容についてまとめた書面を「遺産分割協議書」といいます。

遺産分割協議書は、相続財産が少ないケース等では相続人が作成することも可能です。しかし、相続財産が増えると作成が難しくなり、特に多数の不動産が含まれる場合にはミスをしたときの影響が大きくなりがちです。加えて、相続人が多くなる場合等ではトラブルのリスクが上がるので、なるべく専門家に相談するべきでしょう。

この記事では、遺産分割協議書の概要や必要となる場面、作成できる人、必要書類、作成の流れ、提出先等について解説します。また、ケース別の記載例についても掲載しています。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、相続財産の分配方法等について合意したことをまとめて記載し、相続人全員が署名押印した書面です。主に、遺言書が存在しない場合や、遺言書によって相続人が指定されていない相続財産がある場合等に作成されます。

遺産分割協議書を作成する義務は定められていません。しかし、合意した内容を証明できることや、相続手続きに使えることから、なるべく作成するべき書面だといえます。

 

遺産分割協議については以下のページもあわせてご覧ください。

遺産分割協議について詳しく見る

遺産分割協議書は必要か

遺産分割協議書は、相続人が複数であれば、ほとんどのケースで必要となります。特に以下のような場合には、ほぼ確実に必要となります。

  • 法定相続分や遺言書通りに相続しない場合
  • 相続税の申告をする場合
  • 名義変更が必要な相続財産がある場合

これらの場合について、次項より解説します。

法定相続分や遺言書通りに相続しない場合は必要

法定相続分や遺言書に従って相続しない場合、各相続人がどのような財産を相続したのかを証明するために遺産分割協議書が必要となります。

遺産分割協議書によって、相続人の間で取り分を証明できるだけでなく、対外的にも証明できるようになります。

相続税の申告をする場合は必要

相続税の申告が必要となる場合には、各相続人が受け取った相続財産の金額を明らかにするために遺産分割協議書が必要となります。

相続税の申告は、相続財産の金額が基礎控除額以下であれば必要ありません。基礎控除額は、以下の式によって計算できます。

基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)

なお、相続財産の金額が基礎控除額を上回っていたとしても、税額控除等によって相続税がかからなくなる場合があります。

主に以下のような税額控除等を適用してもらうためには、遺産分割協議書を作成する必要があります。

  • 配偶者の相続税額控除
  • 小規模宅地等の特例

名義変更が必要な相続財産がある場合も必要

不動産や自動車等が相続財産に含まれている場合には、基本的に遺産分割協議書を作成する必要があります。なぜなら、所有権移転や名義変更の手続きにおいて、遺産分割協議書が必要書類として要求されているからです。

「やっぱりやり直したい」「合意していない」といったトラブルを防止できる

遺産分割協議書を作成しないと、後になって遺産分割をやり直したい等の要求を受けるおそれが高くなります。また、遺産分割協議が成立した事実を否定されるリスクもあります。

相続争いが予想される場合には、必ず遺産分割協議書を作成しましょう。また、家族関係が良好で、相続争いが起こる心配がないと思っている場合であっても、相続人の気が変わることもあるので書面を作成しておけば保険になります。

遺産分割協議書が不要なケース

遺産分割協議書が不要なケースとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 相続人が1人しかいないケース
  • 遺言書によってすべての財産の取得者が指定されており、その内容に従うケース
  • 相続財産が現金や動産等だけであり、名義変更や相続税申告の必要がないケース

ただし、相続人が2人以上いる場合には、トラブルを防止するために遺産分割協議書を作成するのが望ましいでしょう。

遺産分割協議書はどこでもらえるの?

遺産分割協議は、役所等でもらえる書類ではないため、自分で作成するか、専門家に作成を依頼する必要があります。

自分で作成する場合、特定の書式が指定されているわけではありませんが、テンプレートは存在するので参考にしながら作成することは可能です。

ただし、相続財産が多種多様である場合や高額である場合等では、テンプレートをどのように変えれば問題が生じにくいかは専門家でなければ判断が難しいです。相続登記等で使えない書類になってしまうことを防止するためにも、なるべく専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書を作成できる人

遺産分割協議書を作成できる人として、以下のような人が挙げられます。

  • 相続人
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 税理士(相続税の申告がある場合のみ)

ただし、遺産分割協議書は相続手続きで用いるため、明確で間違いのない書面にしなければなりません。なるべく弁護士に作成を依頼するべきでしょう。

遺産分割協議書は自分で作成できる?

遺産分割協議書を自分で作成することは可能です。ただし、不備があると以下のようなリスクが生じます。

  • 相続争いが蒸し返されるリスク
  • 相続手続きのための書類として認められないリスク

自分で作成するのが難しいと感じたら、弁護士に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書の作成を専門家に頼むと作成費用はいくらかかる?

遺産分割協議書を作成する必要がある場合には、弁護士や司法書士、行政書士、税理士といった専門家に作成を依頼できます。

ただし、行政書士以外の専門家は、遺産分割協議書の作成だけの依頼はできないケースが多いので、他の依頼を併せて行うのが一般的です。

遺産分割協議書の作成を依頼した場合の費用の相場は、おおむね以下のとおりです。

弁護士:依頼人が受け取る経済的利益の10%程度(交渉等を含む)

司法書士:3万~12万円程度(相続登記等を含む)

行政書士:3万~5万円程度

税理士:相続財産の金額の0.5%~1%程度(相続税申告等を含む)

弁護士に遺産分割協議書の作成を依頼する場合には、遺産分割交渉等を併せて依頼するケースが多いです。代理人として交渉する依頼は、基本的に弁護士にしかできないので、相続争いが発生した場合には弁護士への依頼が必要となるでしょう。

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遺産分割協議書はいつまでに作成すればいい?期限はある?

遺産分割協議書の作成には期限がありません。ただし、相続税の申告期限は、自己のために相続が開始されたことを知ってから10ヶ月以内とされています。

相続税の申告が遅れると無申告加算税や延滞税を支払うことになるため、納税期限までに遺産分割協議を終わらせて、遺産分割協議書を作成するべきでしょう。

相続財産が相続税のかからない金額に収まるケースであっても、相続財産に不動産が含まれている場合には、不動産を取得してから3年以内に相続登記を行う義務があるので注意しましょう。

なお、作成した遺産分割協議書には有効期限がありません。そのため、なんらかの理由で手続きが遅れてしまっても、遺産分割協議書の効力には影響しません。

遺産分割協議書の作成に必要な書類

遺産分割協議書を作成するときに必要な書類として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

相続人全員が遺産分割協議に参加したことを証明するために、相続人調査を行う必要があります。相続人調査は、被相続人の戸籍謄本を調べることによって行われます。

相続人調査について詳しくは以下のページをご覧ください。

相続人調査について詳しく見る

遺産分割協議書の作成方法と流れ

遺産分割協議書に特定の書式はなく、形式は決まっていません。用紙のサイズ等も自由ですが、改ざん等を疑われないように作成する必要があります。

遺産分割協議書の作成方法やその流れについて、次項より解説します。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の見本を掲載します。

書面が1枚では収まらなかった場合には、契印や割印によって複数枚に及ぶことが分かるようにしましょう。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の綴じ方

【契印の方法(ホチキス止め)】

ホチキス止めされた遺産分割協議書に契印を押す場合には、全てのページの見開きに、両方のページにまたがるように押印します。

遺産分割協議書に契印(ホチキス止め)

【契印の方法(製本)】

遺産分割協議書が製本されている場合、製本テープと用紙にまたがるように契印を押します。

契印の方法(製本)

【割印の方法】

遺産分割協議書は、基本的に相続人の人数分だけ作成するので、その全てにまたがるように割印を押します。

割印の方法

作成時には相続人全員の実印と印鑑証明が必要

実印とは、市区町村役場で印鑑登録を行った印鑑のことです。印鑑登録ができるのは、破損しづらい素材でできた印鑑なので、100円ショップで売っているような印鑑は登録できないことが多いです。また、たとえ登録が可能であったとしても、悪用されるリスクが高まることになるので、容易に入手できる印鑑は登録しないようにしましょう。

銀行に届け出ているのと同じ印鑑であっても、印鑑登録が可能なケースもありますが、やはり悪用の懸念が高まるので他の印鑑を登録することをおすすめします。

印鑑登録を行っていると、役場の窓口やコンビニで印鑑証明書を発行してもらうことができます。発行手数料は窓口で300円程度かかります。また、コンビニで発行すると200円程度としている自治体もあるようです。

遺産分割協議書を相続人の人数分作成し、相続人全員の印鑑証明を添付して保管する

遺産分割協議書を相続手続きに用いるときには、原本を提出しなければならない場面が多いです。そのため、相続人の全員分を印刷して押印しましょう。押印した書類をコピーしても、原本としては扱われないので注意しなければなりません。

また、印鑑証明書も原本を提出しなければならないので、全員が人数分の印鑑証明書を用意して、各々が所有する遺産分割協議書に1枚ずつ添付しましょう。

遺産分割協議書と印鑑証明書の保管は、すべての相続人が自身の責任で行います。相続手続きを行うときに、保管している書類を用いる場合には、原本還付の手続きを併せて行う必要があります。

遺産分割協議書の訂正が必要になったら

遺産分割協議書を訂正する場合には、なるべく作り直すのが望ましいといえます。しかし、軽微なミスであれば、二重線による削除と正しい文言の記入、そして相続人全員の押印によって訂正することが可能です。

また、前もって捨て印を押しておくことによって、相続人の1人だけで訂正が可能となります。ただし、捨て印は大幅な書き換えには使えません。

なお、捨て印で書き換えられる範囲に厳密な定めはないので、重要な部分の書き換えが認められるリスクがないわけではありません。そのため、遺産分割協議書の改ざんのリスクを高めることに注意しましょう。

遺産分割協議書のテンプレート(文例集)

共通して必要になる項目

遺産分割協議書で必要となる項目は、主に以下のとおりです。

  • 遺産分割協議書であることが分かるタイトル
  • 被相続人の表記(氏名、生年月日、死亡年月日、本籍地、最後の住所地)
  • 前書き
  • 本文(遺産の分け方の記載)
  • 後日発見された財産の取扱い
  • 後書き
  • 作成した日付、相続人全員の署名押印

預貯金がある場合

相続財産に預貯金がある場合には、遺産分割協議書の「共通して必要になる項目」に、以下の内容を追加します。

【銀行預金の場合】

  • 銀行名
  • 支店名
  • 種別(普通預金/定期預金/当座預金)
  • 口座番号
  • 名義人

【ゆうちょ銀行の貯金の場合】

  • 種別(通常貯金、通常貯蓄貯金など)
  • 記号
  • 番号
  • 名義人

相続放棄した人がいる場合

相続放棄をした人がいる場合、その人を除いた相続人全員で遺産分割協議書を作成すれば良く、相続放棄をした人のことまで書く必要はありません。

ただし、相続人のうちの誰かが相続財産を受け取らないことにした場合には、遺産分割協議書に財産を受け取らない相続人の署名押印が必要となります。相続財産を受け取らないことを「相続分の放棄」といいます。

相続分の放棄をした人がいても、その旨を明記する必要はなく、他の相続人が相続財産をすべて相続する内容になっていれば問題ありません。

なお、相続分の放棄をした人に対して、被相続人の債権者が請求を行うことは可能です。そのため、相続分の放棄をしても、相続財産に含まれる借金等を支払うことになるリスクがあります。

相続財産に高額な借金等が含まれている場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことを検討しましょう。

マンションがある場合

相続財産にマンションがある場合には、遺産分割協議書の「共通して必要になる項目」に、以下の内容を追加します。

【一棟の建物の表示】

  • 所在

【敷地権の目的である土地の表示】

  • 土地の符号
  • 所在及び地番
  • 地目
  • 地積

【専有部分の建物の表示】

  • 家屋番号
  • 建物の名称
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

【借地権の表示】

  • 土地の符号
  • 借地権の種類
  • 敷地権の割合

相続人に未成年者や認知症の人がいる場合

遺産分割協議をするときに、相続人に未成年者がいる場合、その未成年者には代理人が必要です。親が法定代理人になれる場合は問題が起こりにくいと考えられますが、親も相続人であるケース等では特別代理人の選任が必要となるおそれがあります。

特別代理人がいる場合には、どの相続人の特別代理人であるかを遺産分割協議書に明記する形で、代理人が署名押印します。

また、遺産分割協議をするときに、相続人に認知症等によって意思能力を失っている人がいる場合、その人のために成年後見人を選任してもらう必要があります。

成年後見人がいる場合にも、どの相続人の後見人であるかを遺産分割協議書に明記して、後見人が署名押印します。

一人が全て相続する場合

例えば、被相続人の子供の全員が相続財産は不要だと言っており、被相続人の妻がすべての財産を相続するケースでは、以下のような事項を記載します。

  • 遺産分割協議書であることが分かるタイトル
  • 被相続人の氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最後の住所地
  • 相続人全員が合意した旨
  • 被相続人の妻がすべての財産を相続する旨
  • 債権および債務も妻がすべて相続し、他の相続人が請求された債務は求償できる旨
  • 遺留分侵害額請求権を放棄する等の清算条項
  • 遺産分割協議書の作成日
  • 相続人全員の署名押印

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遺産分割協議書の提出先

遺産分割協議書の主な提出先を表にまとめたのでご覧ください。

相続財産 提出先 その他必要な手続き
預貯金 各金融機関 ・預金の払戻し
・口座の名義変更
不動産 法務局 相続登記
株式 証券会社か株式の発行元の会社 名義変更
自動車 運輸支局※軽自動車でなく、査定額が100万円を超える自動車の場合のみ 名義変更

なお、査定額が100万円以下の自動車の名義変更については、代わりに「遺産分割協議成立申立書」という書類を提出できます。また、遺産分割協議書を提出することもできます。

遺産分割協議書の作成後に新たな遺産が判明した場合

遺産分割協議書を作成した後で、新たな相続財産を発見した場合には、その財産についてのみ記載した遺産分割協議書を作成すれば対応できます。これによって、遺産分割協議書が2枚以上になっても法的な問題はありません。

ただし、最初の遺産分割について不満を抱いていた相続人がいる場合、新たな相続財産について激しく主張されてしまうおそれがあります。そのため、最初の遺産分割のときに、新たな相続財産が見つかったときの相続人を指定しておくと良いでしょう。

なお、発見された相続財産が高額であり、その存在を知っていれば当初の遺産分割に応じなかったと考えられるケースでは、当初の遺産分割が錯誤により取り消されることもあります。

遺産分割協議書に関するQ&A

遺産分割協議書は手書きじゃなきゃダメですか?

遺産分割協議書は、全文を手書きする必要がないので、パソコン等によって作成することも可能です。
ただし、証拠としての価値を高めるために、相続人の住所と氏名は手書きする必要があります。また、押印は実印によって行い、印鑑証明書を添付しましょう。

遺産分割協議証明書って何ですか?遺産分割協議書とは別に作る必要がありますか?

遺産分割協議証明書とは、遺産の分配方法等について合意した内容を証明するための書面です。遺産分割協議書と同じような効力がありますが、1枚の書面に署名押印するのが、相続人のうちの1人だけである点が異なります。
遺産分割協議書であれば、同一の書面にすべての相続人が署名押印しなければなりません。そのため、相続人の多くが遠方に住んでいるようなケースでは、郵送等の方法によって順番に回していくことになり、紛失のリスクが生じてしまいます。また、相続人が多忙である等の理由で放置されるリスクもあります。
一方で、遺産分割協議証明書は、相続人が1人ずつ、自分のための書面に署名押印することによって成立します。そのため、各々に書面を送付して、個別に署名押印してもらうことが可能となります。

遺産分割協議書なしでも預金の相続はできますか?

遺産分割協議書がなくても、預貯金を相続することはできます。ただし、金融機関で相続手続きを行うときに手間がかかるおそれがあります。
預貯金の相続手続きでは、遺産分割協議書を作成していると、金融機関から提出を求められる場合が多いです。しかし、作成していなければ、相続人全員の署名押印によって相続手続きが可能となります。
預貯金口座が相続財産に多数含まれているケースでは、それらのすべての手続きにおいて、相続人全員の署名押印を求められることになるので、大変な手間がかかります。そのため、遺産分割協議書を作成しておくことによって負担を減らすのが望ましいでしょう。

他にも財産がある状態で不動産のみ記載された遺産分割協議書を作成しても有効になりますか?

不動産のみについて記載した遺産分割協議書を作成しても、相続登記のための提出書類としては有効です。
不動産の記載は、どの不動産であるかを特定できるように、登記事項証明書に記載されている所在や地番、地目、面積等を記載しましょう。
また、不動産以外にも相続財産には、各相続人の取り分や相続方法等を明らかにする必要があるので、別の遺産分割協議書を作成しておくのが望ましいでしょう。

遺産分割協議書の捨印は何に使うのですか?押しても大丈夫ですか?

遺産分割協議書の捨て印とは、遺産分割協議書の上部または下部等の欄外に相続人全員が実印による押印を行うことによって、訂正を行いやすくするものです。
通常の訂正方法は、訂正箇所を二重線で消して、近くに正しい記述を行い、その部分に相続人全員による訂正印を押すというものです。しかし、この方法は手間がかかるため、なるべく使わない方が望ましいといえます。
そこで、あらかじめ捨て印を押しておく方法により、軽微なミスを簡単に修正できるようにしておく必要があるのです。
捨て印による訂正方法は、訂正箇所を二重線で消して、近くに正しい記述を行い、捨印が押された場所の近くに、消した文字数と修正のために記載した文字数を「3文字削除、5文字追加」などと記入します。
ただし、捨て印による修正は、相続分を変更するような大幅な修正には使えません。なぜなら、相続人の1人によって、遺産分割協議書を改ざんできることになってしまうからです。

相続人の中に海外在住者がいます。署名や実印、印鑑証明はどうしたら良いですか?

海外に在住している相続人がいる場合、その相続人は印鑑証明書を発行してもらうことができないので、実印や印鑑証明書の代わりに、領事の面前でのサインを行って「サイン証明書」を発行してもらいます。
サイン証明書は、相続人が住んでいる国の日本大使館または領事館で発行してもらいます。発行手数料は、日本円で1700円相当の現地通貨です。
なお、日本国籍を有する相続人が特定の国に3ヶ月以上在住しており、その相続人が不動産を相続するケースでは、住民票の代わりの書類として「在留証明書」も必要となるため併せて発行してもらいましょう。

遺産分割協議書を無効にするにはどうしたら良いですか?

有効に成立した遺産分割協議は、基本的に無効にすることはできません。協議をやり直すためには、相続人全員の合意が必要です。
なお、遺産分割協議が無効なケースや取り消せるケースがあります。それぞれ、以下のような場合です。

【無効な場合】

  • 遺産分割協議に参加しなかった相続人がいた場合
  • 認知症等により意思能力を欠いている相続人がいた場合
  • 未成年者と、その法定代理人である両親等が相続人であり、協議して合意した場合
  • 犯罪が行われることを前提としている等、遺産分割の内容が公序良俗に反する場合

【取り消せる場合】

  • 重要な勘違いによって合意した場合
  • 他の相続人に騙されて同意した場合
  • 他の相続人から脅されて同意した場合

遺産分割協議書についてお困りの場合には、弁護士にご相談ください

遺産分割協議書は、相続人の相続分を証明するだけでなく、相続手続きに使う大切な書類です。しかし、書き方を間違えると相続争いが蒸し返されたり、手続きに使えなくなったりするおそれがあります。

そこで、遺産分割協議書を作成するときには弁護士にご相談ください。弁護士であれば、遺産分割協議書を作成するときの注意点などについて、相続財産の内容等に応じたアドバイスができます。

書面の作成以外についても、相続に伴って心配していることがある方は、遠慮なく併せてご相談ください。

交通事故に遭った場合、相手方保険会社との交渉や慰謝料の増額など、弁護士に依頼するとたくさんのメリットを受けられます。しかし、弁護士への依頼は費用がかかるため、費用を気にされて依頼をためらってしまう方もいらっしゃるでしょう。

しかし、弁護士費用は、「弁護士費用特約」を使用することで補償の範囲を超えない限り、費用を気にする必要はなくなります。

問題となるのは、交通事故に遭った際に弁護士費用特約がない場合です。

この記事では、弁護士費用特約がない場合の対処法や特約がない場合の弁護士費用などについて解説していきます。

弁護士費用特約なしの場合の対処法

弁護士費用特約は、通常、自動車任意保険や火災保険に付帯させることができます。しかし、ご自身の保険に弁護士費用特約がついていなかったとしても諦める必要はありません。

まずは、以下で紹介する2つの方法を試してみましょう。

自動車保険以外の保険を確認する

弁護士費用特約は、自動車保険以外にもついている可能性があります。まずは、以下の保険などを確認してみましょう。

  • 火災保険
  • 生命保険
  • 医療保険
  • バイク保険
  • 自転車保険
  • クレジットカード など

「弁護士費用特約をつけたことを忘れていた」という場合もありますので、まずは契約内容を確認してみましょう。このとき、弁護士費用特約の補償上限についても確認しておくと安心です。

家族や同乗者の保険を確認する

弁護士費用特約は、加入者の家族も補償対象となっているケースもあります。

つまり、自分の保険には弁護士費用特約がついていなくても、家族の保険についていれば使えることがあるのです。

一般的な弁護士費用特約が適用される範囲は以下のとおりです。

  1. 保険の契約者本人(記名被保険者)
  2. 契約者の配偶者
  3. 契約者または配偶者の同居の親族
  4. 契約者または配偶者の別居の未婚の子
  5. 契約の車に搭乗中の者
  6. ①~④の者が運転する自動車またはバイクに同乗していた者

特約がない場合、弁護士費用はどれくらいかかる?

調べてみた結果、弁護士費用特約がついていなかったというケースもあるでしょう。

弁護士への依頼は弁護士費用特約がなくても可能です。しかし、費用が気がかりになるでしょう。

では、必要な弁護士費用にはどのようなものがあるのか詳しく見ていきましょう。

相談料

相談料とは、弁護士と委任契約を結ぶ前に行う法律相談にかかる費用のことです。

相場は30分5000円~1万円程度ですが、事務所によっては無料相談を行っているところもあります。

弁護士との法律相談では、不安に感じていることや困りごとを弁護士に相談したり、依頼した場合に見込める金額などを試算してもらうことができます。

弁護士に相談をしたからといって、必ず契約を結ばなければならないわけではありません。別の弁護士に相談に行くことも可能です。

着手金

着手金は、弁護士と委任契約を結び、弁護士が事件に着手する際に支払う費用です。

着手金の金額については弁護士事務所によって様々ですが、多くの事務所で「経済的利益に応じた料金+固定料金」という形で設定されており、数十万程度を見ておきましょう。

実費

事件の事務処理を進めるにあたって発生する諸費用のことです。弁護士は事件を進めるなかで依頼者や相手方、相手方保険会社などと様々なやり取りを行います。

実費の具体的な内容について見ていきましょう。

  • 各種書類を送付する費用

    郵便切手代 など

  • 各種書類入手のための費用

    治療状況を医療機関に確認するための医療照会費用、事故状況を確認するための実況見分調書の取得費用 など

  • 交通費

    警察や病院、事故現場、その他の交通事故関係機関に赴く際の費用 など

  • 手数料

    訴訟提起の際の手数料(収入印紙・予納郵券代) など

成功報酬

成功報酬とは、事件が解決した際に、その解決に対する対価として支払う費用のことで、弁護士事務所によって相場が大きく異なります。

目安としては、経済的利益の20%前後であることが多いかと思いますが、事前に契約を結ぶ前に確認しておくと良いでしょう。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼すべき?

弁護士費用特約がない場合、ご自身で弁護士費用を支払う必要があります。そのため、事件が解決したとしても手元に残るお金は少ないのでは?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

はたして、弁護士費用特約がなくても、交通事故は弁護士に依頼すべきなのでしょうか。

ここからは、物損事故のケースと人身事故のケースに分けて、弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼すべきかについて解説していきます。

物損の場合

物損事故とは、自動車や建物など物に対する損害は発生したものの、人がなくなったり怪我をしたりすることがなかった事故のことをいいます。

車両等が少し損傷したような軽微な事故の場合では、弁護士に依頼しても費用倒れとなってしまう可能性もあり、弁護士に依頼する必要はないかもしれません。

しかし、自動車や建物の損傷が大きな物損事故の場合では、弁護士への依頼を検討すべきケースといえるでしょう。

大きな事故になれば、過失割合に納得できなかったり、修理費が高額になったりするため、弁護士に交渉して解決してもらうと安心でしょう。

人身事故の場合

事故により怪我をしたり、死亡に至ったような人身事故の場合でも、弁護士費用特約がない場合は、ケースバイケースといえます。

例えば、怪我はしたものの、擦り傷程度で通院も1日で終わるような場合では、弁護士に依頼することで費用倒れとなる可能性もあります。

しかし、軽微ではない怪我のケースでは、弁護士に依頼することで、示談金が増額する可能性が高く、弁護士費用を払っても示談金が手元に残る可能性が高まります。

人身事故の場合は、まずは一度弁護士に相談してみましょう。

費用倒れのリスクがないかは確認してもらえる

弁護士費用特約がない場合、費用倒れになるかどうかは気になる問題だと思います。

弁護士法人ALGでは、電話相談の段階でご相談者様の事故状況や弁護士費用特約の有無を丁寧にヒアリングし、費用倒れになりそうな場合はお伝えさせていただいています。

無理な契約などは一切ございませんので、お気軽にお問い合わせください。

特約なしの交通事故の解決事例

(事案の概要)

依頼者は、交通事故による治療中に2度目の事故に遭ってしまいました。

1事故目の示談成立後に2事故目の賠償額提示があったのですが、1事故目の賠償により損害の一部が既に補填されているとして低額の賠償にとどまっていたため、当事務所に依頼されました。

(担当弁護士の活動)

担当弁護士は、1事故目と2事故目とでは、受傷部位が全く異なることから、別個独立の交通事故と評価すべきと主張し、慰謝料についても1事故目を理由に減額されることは許されない旨を主張しました。

(結果)

担当弁護士の粘り強い交渉の結果、弁護士に依頼する前は約70万円の提示でしたが、約250万円で示談が成立しました。依頼者は弁護士費用特約に入っていませんでしたが、弁護士費用を差し引いても十分な増額幅となりました。

弁護士費用特約に加入していなくても、まずはご相談ください

交通事故に遭い、弁護士に相談しようと思った場合に、弁護士費用特約がなければ、「弁護士費用が支払えるか心配だな」とご不安になるでしょう。

しかし、交通事故では、弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼することで受けられるメリットがたくさんあります。

交通事故でお悩みの際は、まずは私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

私たちは、ご相談者様のお悩みや、事故や怪我の状況、弁護士費用特約の有無など詳しくヒアリングし、受けられるメリットや費用倒れになる可能性など、ご不安な部分をしっかりとお伝えしていきます。

また、ご相談者様の利益優先で尽力いたします。

少しでも不安が残る方は、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。

「内縁関係」とは、法律上定義されたものではありませんが、婚姻届は提出していないものの、お互いに婚姻の意思があり、実質的には結婚している夫婦と同様の状態にある関係をいいます。

内縁関係にある場合、婚姻に準ずる関係として、法律婚と同様の法的保護を受けられる場合があり、そうしたときに内縁関係の証明が必要となります。

以下では、内縁関係をどのように証明していけばいいか、必要な書類や方法について詳しく説明していきます。

内縁関係の証明が必要となるのはどんな時?

内縁関係は、「婚姻に準ずる関係」と認められており、結婚している夫婦と同様に、法的に保護されているものがあります。例えば、次のようなものです。

  • 内縁関係にある相手方が不貞行為をした場合の慰謝料請求
  • 正当な理由がない一方的な内縁関係の解消があった場合の慰謝料請求
  • 内縁関係を解消する場合の財産分与請求

このように、夫婦であれば当然発生するような権利を主張する際に、内縁の相手方が内縁関係を否定する場合には、権利を主張する側が内縁関係を証明する必要があります。

内縁関係を証明するには?書類や方法について

内縁関係にあるかどうかは、①双方に婚姻の意思があるか、②夫婦としての共同生活を送っているかどうかによって判断されます。

法律婚であれば、戸籍謄本から夫婦であることを簡単に証明することができますが、内縁関係の場合、こうした決定的な証拠はありません。そのため、以下のような書類や事実関係から、内縁関係にあることを証明していくことになります。

住民票

内縁関係を証明する書類として、まず、住民票が挙げられます。住民票上の世帯を同一にしておけば、2人が同居していたことや同居期間の長さ等の事実を証明することができます。

さらに、住民票の続柄の欄に、「妻(未届)」ないし「夫(未届)」と記載されていれば、当事者双方に婚姻の意思があることがより認められやすくなります。

このように、住民票は、同居の事実や婚姻の意思の有無に関する事実を示すことができる公的な書類であることから、内縁関係を証明する証拠として、特に重要なものといえます。

賃貸借契約書

同居する際に作成された賃貸借契約書も、内縁関係を証明するものとなり得ます。

例えば、賃貸借契約書の同居人の欄に、内縁の相手方の氏名が記載され、続柄に「内縁の妻」「内縁の夫」といった表記がされていれば、同居の事実や婚姻の意思があったことの証明に繋がるといえます。

健康保険証

内縁配偶者の「被扶養者」として記載された健康保険証も、内縁関係を証明する証拠の一つとなると考えられます。

健康保険証の「被扶養者」には、主として被保険者によって生計を維持している事実上の配偶者も含まれます。

例えば、内縁の妻(夫)が健康保険法上の被扶養者の条件を満たし、内縁の夫(妻)の被扶養者として認定され、内縁の夫(妻)の勤務先から健康保険証の交付を受けている場合には、その保険証も、2人の内縁関係を証明する1つの材料となり得ます。

遺族年金証書

「遺族年金証書」も、内縁関係を証明するための証拠になり得ます。

遺族年金とは、国民年金または厚生年金の保険に加入していた者が亡くなったとき、その者に生計を維持されてきた遺族(配偶者や子供など)が受け取る年金のことをいいます。

上述の健康保険と同様に、遺族年金の受給者とされている配偶者にも事実婚状態にある者が含まれているため、内縁関係であっても、受給要件を満たしていれば遺族年金を請求できます。

請求が認められると、遺族年金証書が送られます。遺族年金を支給する際には、内縁関係であることを確認してから支給することになりますので、遺族年金証書は内縁関係を証明する証拠となるといえます。

給与明細

勤務先からの給与明細も、内容によっては内縁関係を証明する証拠の1つとなり得ます。

例えば、内縁関係の相手が勤務先に対し、内縁の相手を被扶養者として申告し、勤務先もこれを認めていた場合、勤務先によっては、「家族手当」や「扶養手当」、「住宅手当」等の諸手当が支給されることがあります。

このように、勤務先が内縁の相手を被扶養者として認め、内縁の相手にかかる諸手当を支給している場合には、その給与明細も、内縁関係にあることを証明する証拠になるといえます。

民生委員が作成する内縁関係の証明書

民生委員が作成する「内縁関係の証明書」も、内縁関係を証明する際の証拠になり得ます。

民生委員とは、住民の立場に立って相談を受けて必要な援助を行うなど、社会福祉の増進に努める非常勤の地方公務員のことをいいます。民生委員に依頼すれば、「内縁関係の証明書」を作成してもらえることがあり、内縁関係の証明に役立つ可能性があります。

もっとも、民生委員は、社会福祉の増進に努める地方公務員ですので、内縁関係の証明書についても、福祉サービスを利用するための支援としてでなければ作成してもらえず、また、法律に触れるような問題であったり法的証拠として取り扱われたりするものについては作成してもらえないことにご留意ください。

長期間の同居

夫婦同然の共同生活をしていた同居期間の長さは、内縁関係の成立の判断で考慮される事情の一つです。

同居期間は長ければ長い方が、内縁関係にあることを証明しやすくなります。

内縁関係の成立が認められるためには、一般的には3年程度の同居期間が必要だといわれていますが、実際には個別の様々な事情から内縁関係の成立の有無が判断されるため、3年というのもあくまで目安にすぎません。

親族や友人たちから夫婦として扱われている

親族や友人など周囲の人たちから、夫婦としての扱いを受けているといたという事実は、内縁関係を証明する事実の一つとなります。

例えば、「親族の冠婚葬祭に夫婦として呼ばれている」「お互いの友人に夫婦だと紹介している」というような場合は、お互いに婚姻の意思があり、かつ、夫婦として共同生活を送っていると認められやすくなりますので、内縁関係を証明する上で重要な事実といえます。

結婚式や披露宴を挙げたことがわかる書類や写真

結婚式や披露宴を挙げたことがわかる書類や写真は、内縁関係の証明となる可能性があります。

婚姻届を提出していないとしても、結婚式や披露宴を挙げていた場合には、双方に婚姻意思があることが読み取れますので、それらの写真等は、内縁関係があったと証明する証拠となり得ます。

また、結婚式や披露宴を挙げているということは、お互いの親族や友人からは夫婦であると扱われている可能性が高いので、上述の事実関係と相まって、内縁関係を証明する上で重要な事実といえます。

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内縁関係の証明に関するQ&A

半同居生活を送っていた場合でも内縁関係を証明することはできますか?

内縁関係を証明するためには、お互いに婚姻の意思があり、かつ、夫婦としての共同生活を送っていることを立証する必要がありますので、基本的には、同居をして共同生活を送っていることが前提となると考えられます。

もちろん、最終的には様々な個別的事情を考慮して判断されるため、半同居生活であることから直ちに内縁関係が否定されるとはいえません。

半同居であったとしても、家計を同一にしていた等の事情があれば、夫婦同然の共同生活を送っていたものとして、内縁関係を証明できる可能性はありますが、完全に同居していた場合に比べると、証明は難しくなることが予想されます。

自分で作成した契約書は内縁関係を証明する証拠になりますか?

自分たちで作成した契約書も、内容次第では内縁関係を証明する証拠になります。

例えば、双方に婚姻意思があることを証明するため、「お互いに婚姻の意思があることを確認し、夫婦として共同生活を始める」といった内容で契約書にしておくと、同契約書を根拠に内縁関係があったことを主張しやすくなります。

また、作成した契約書を公証役場で「公正証書」にすれば、さらに、契約書の証拠価値が高まります。

自動車保険は内縁関係を証明する証拠になりますか?

一般的に、自動車保険では、内縁関係にある者も配偶者として取り扱うとされています。

内縁関係を配偶者とする場合、通常、保険会社が内縁関係にあることの確認をした上で契約を締結することになりますので、自動車保険の契約内容から内縁関係を証明することが可能となります。

例えば、自動車保険の内容が、内縁の妻(夫)を配偶者として補償を受ける対象としている場合など、内縁関係にある者が配偶者と同等の扱いを受けていれば、その自動車保険の契約書等が内縁関係を証明する証拠になるといえます。

内縁関係を証明できれば浮気相手から慰謝料をもらうことができますか?

内縁関係であっても、法律婚における夫婦と同様、お互いに貞操義務を負っていると考えられますので、内縁関係にある者以外の者と性的関係をもつことは不貞行為にあたるといえます。

したがって、内縁関係を証明できれば、不貞行為を行った内縁関係の相手方及び不貞相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

なお、慰謝料を獲得するためには、内縁関係の証明だけではなく、内縁関係の相手方が不貞相手との間で不貞行為があったという事実を証明することも必要となります。

また、浮気相手が「単なる同居人だと聞いていた。内縁関係にあるとは知らなかった」などと反論してくる可能性もあります。

そうした主張をされたときは、浮気相手が内縁関係にあると知っていた、または知り得る状況にあったということを証明する必要があります。

内縁関係を証明できるか不安なときは弁護士にご相談ください

以上、内縁関係を証明するために必要な書類や事実関係等について説明してきましたが、これらの証拠や事実関係は、どれか1つがあれば、直ちに内縁関係が認められるものではありません。

法律婚と違って、戸籍謄本によって簡単に証明することができるわけではないため、様々な事情を組み合わせて証明していく必要があります。

内縁関係の成立の有無によって法的な保護を受けられるかどうかが変わってきますので、内縁関係の証明に関してご不安な場合には、お早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

配偶者がアルコール依存症である場合、アルコール依存症であることを理由に離婚は認められるでしょうか。アルコール依存症の患者数には日本国内で80万人以上にものぼるといわれています。

人によっては家族に対して暴力を振るってしまったり、暴言を吐いてしまったりすることがあるため、アルコール依存症の配偶者との離婚を希望する事例は珍しくないでしょう。アルコール依存症との配偶者の離婚について、以下解説していきます。

アルコール依存症を理由に離婚できるのか

合意できればもちろん離婚できる

離婚は大きく分けると、合意により離婚する場合と、裁判官の判断により離婚する場合に分類できます。

離婚に合意して離婚届を役所に提出することにより離婚が成立する協議離婚と、家庭裁判所の離婚調停という手続きの中で合意して離婚が成立する調停離婚の場合は、双方が同意すれば離婚できます。

そのため、合意が成立すれば、アルコール依存症の配偶者とも離婚することができます。

合意できず裁判まで発展した場合は…

他方、合意による離婚ができなかった場合には、離婚訴訟を提起して裁判所に強制的に離婚を認めてもらうしかありません。離婚訴訟において、裁判官が離婚を認めるためには、民法770条第1項第1号から第5号に定める離婚事由の存在が認められる必要があります。

このうち、アルコール依存症の配偶者を被告として離婚請求する場合には、多くの事案では、第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として主張を展開することになることが多いです。

訴訟における主張の中で、配偶者のアルコール依存症により被った被害等について詳細に主張し、裁判官の判断を仰ぐことになります。

離婚の同意が得られなければ別居してみる

「婚姻を継続し難い重大な事由」としてアルコール依存症による被害等を主張していくことになりますが、他方で、そのような配偶者と同居したままの状態でいると、「同居可能なわけであるから、婚姻関係が破綻しているとは評価できず、婚姻を継続し難い重大な事由は認められない」という判断に傾く可能性があります。

そのため、多くの事案では、別居をした上で離婚請求をすることが多いです。離婚について合意が得られず離婚訴訟も含む法的手続きを視野に入れなければならない場合には、離婚前に別居を開始することを検討した方がよいでしょう。

アルコール依存症を理由にした離婚で慰謝料請求できる?

アルコール依存症というだけでは慰謝料は認められにくい

離婚訴訟の中で離婚慰謝料を請求する場合、配偶者がアルコール依存症であるというだけでは、裁判官が離婚慰謝料の支払いを認める可能性は高くないと考えられます。

請求自体は可能ですが、裁判官が離婚慰謝料を認めるハードルは高いものと考えられます。アルコール依存症であるということだけでなく、その結果として暴力行為等があったなどの事情が必要となることが多いです。

モラハラやDVを受けているなら請求できるけど証拠が必要

アルコール依存症の配偶者からモラハラやDVを受けるというケースもあります。モラハラやDVという形で被害を受けている場合に、離婚慰謝料を請求することが考えられます。

モラハラやDVにより裁判官が離婚慰謝料を認めるケースはあると考えられますが、継続的に被害を受けているということがわかる詳細かつ客観的な証拠が必要です。写真や日記、診断書といった証拠の収集を心がけましょう。

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アルコール依存症の配偶者に離婚慰謝料を請求する流れ

アルコール依存症の配偶者に離婚慰謝料請求をする場合、他のケースでも基本的には同様ですが、まずは協議や調停の場で離婚慰謝料の請求をしてみましょう。

これらの手続きでは合意さえ成立すれば、相手方が離婚慰謝料の支払いをしてくれます。合意が成立せず、離婚訴訟に至った場合には、離婚慰謝料の請求を正式に裁判所に申し立てる必要があります。

そして、裁判官が、提出された証拠をもとに慰謝料を認めるか否か、認めるとして金額を判断します。

アルコール依存症が理由の離婚に関するQ&A

アルコール依存症の妻でも、離婚時に親権を獲得する可能性はありますか?

離婚訴訟において、親権者の指定について合意が成立しない場合には、裁判官が親権者を定めることになります。このとき、アルコール依存症の妻でも親権を獲得する可能性はあります。他方、症状の程度や生活能力、従前の監護に携わってきた程度等次第では、妻を親権者として指定せず、夫を親権者として指定するということも十分に考えられます。

アルコール依存症の配偶者からの暴力で離婚し、慰謝料を請求しましたが支払ってもらえません。義両親に支払ってもらうことはできますか?

離婚訴訟において当事者となれるのは、あくまで夫と妻だけです。したがって、アルコール依存症の配偶者からの暴力について、裁判官が離婚慰謝料を認めた場合には、あくまでその配偶者の財産に対して強制執行ができるのみで、配偶者の両親の財産に強制執行ができるわけではありません。 他方、離婚協議をするにあたり、任意に配偶者の両親が、自身らの子の暴力について慰謝料を支払うということで合意をしたのであれば、配偶者の両親から慰謝料を支払ってもらうことが可能です。

アルコール依存症の配偶者とスムーズに離婚するためには、弁護士にご相談ください

アルコール依存症の配偶者の場合、ケースによっては、協議をすること自体困難なこともあります。

そのようなケースでも離婚手続きを進めることは可能ですが、調停や訴訟等の法的手続きが必要になってきます。裁判所を利用したことのある人は稀でしょうから、スムーズに離婚を実現させるためにも、裁判所手続きに精通した弁護士に相談をすることをお勧めいたします。

家族が亡くなって遺言書を発見したら、内容を確認したくなる人が多いでしょう。しかし、遺言書が封筒に入っている場合、勝手に開けてはいけないと聞いたことのある人がいるかもしれません。

実は、遺言書には、勝手に開けることが禁止されているものがあります。そのような遺言書については、家庭裁判所において「検認」という手続きを行わなければなりません。

この記事では、遺言書の検認手続きが必要となるケースや、検認手続きの流れ等について解説します。

遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、以下のようなことを目的とした手続きです。

  • 相続人に遺言書の存在や内容を知らせること
  • 遺言書の内容を明らかにして偽造や変造を防止すること

検認は、遺言書の現状を保全する効力のある手続きです。つまり、遺言書の書き換え等を防止するための手続きなので、検認は遺言書の有効性とは無関係です。

有効性を判断されるものではない

検認は、あくまでも遺言書の現状を保全するための手続きなので、遺言書に効力があること等の確認はしません。そのため、検認の手続きを行った遺言書であっても、無効となることはあり得ます。遺言書が無効となるのは、主に以下のようなケースです。

  • 遺言書に形式的な不備があるケース
  • 前の遺言書が撤回されて新たな遺言書が作成されていたケース
  • 遺言書を作成したときに認知症等によって意思能力が失われていたケース
  • 誰かに騙されたり、遺言の内容について勘違いをしたまま遺言を作成したケース

遺言書の検認が必要になるケース

遺言書の検認は、次のケースで必要となります。

  • 自筆証書遺言が作成されて、法務局で保管されていないケース
  • 秘密証書遺言が作成されたケース

一方で、次のケースにおいては、検認は不要です。

  • 自筆証書遺言が作成されて、法務局で保管されているケース
  • 公正証書遺言が作成されたケース

検認せずに遺言書を開封してしまったらどうなる?

検認が必要な遺言書を、検認を受ける前に開封してしまうと5万円以下の過料に処せられるおそれがあります。また、他の相続人から改ざん等を疑われる原因になるおそれもあります。

しかし、検認しないままで開封した遺言書であっても無効となるわけではありません。そのため、開封した状態で検認を受けることになります。

遺言書の検認に期限はある?

遺言書の検認に、明確な期限は設けられていません。しかし、検認が必要な遺言書を発見した場合、相続放棄や相続税の申告の兼ね合いもありますので、なるべく早く検認手続きを行う必要があります。

まず、相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して、権利や義務を相続しないようにするための手続きです。

相続放棄の期限は、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内とされていることから、遺言書を発見した後、検認手続きをしないまま3か月が経過してしまうと、遺言書の内容を知らなくても相続放棄ができなくなる可能性があります。

また、相続税の申告や納税についても、自己のために相続が開始されたことを知ってから10ヶ月以内とされています。遺言書の内容が分からなければ正しく納税できないので、早く検認を受けて遺言書の内容を把握する必要があります。

遺言書の検認手続きの流れ

遺言書の検認手続きは、主に以下のような流れで行われます。

  1. 申立書を作成する
  2. 検認を申し立てる
  3. 期日が決まったら家庭裁判所から連絡が来る
  4. 期日に家庭裁判所に行く
  5. 検認済証明書の申請をする

申立書は、裁判所が公開している「家事審判申立書」の書式を用いて作成できます。申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所から期日の連絡が来たら、申立人は当日に遺言書を持参しなければなりません。申立人が欠席してしまうと、検認手続きは行われないので必ず出席しましょう。

検認が終わると、遺言書には「検認済証明書」が添付されます。検認済証明書の発行には150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となるので、忘れずに持参しましょう。

手続きをする人(申立人)

遺言書の検認を申し立てるのは、以下のいずれかの人です。

  • 遺言書の保管者
  • 遺言書を発見した相続人

必要書類

遺言書の検認申立ての必要書類として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 申立書
  • 当事者目録
  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本

なお、相続人になる予定だった人が被相続人よりも先に亡くなっているケース等では、追加で必要になる書類があります。

必要書類をそろえるためには相続人調査が必要となります。相続人調査については以下のページをご確認ください。

相続人調査について詳しく見る

申立先

遺言書の検認の申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。 管轄裁判所を調べたい方は、以下の裁判所のサイトでご確認ください。

裁判所の管轄区域|裁判所について

検認手続きにかかる費用

検認手続きにかかる費用は、主に以下のとおりです。

  • 遺言書1通あたり800円分の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手代(相続人の人数によって金額が変動するため、裁判所の事件受付係へお問い合わせください)

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遺言書の検認が終わった後の流れ

遺言書の検認が終わったら、検認済証明書を発行してもらい、遺言書の原本に添付してもらいます。 有効な遺言書があれば、遺産分割協議を行う必要がないケースもあります。しかし、主に以下のような場合については、遺産分割協議を行うことになります。

  • 遺言書に相続分などが指定されているが、具体的な遺産分割方法が明記されていない場合
  • 相続人全員が遺産分割協議を行うことに同意している場合
  • 遺言書で分配方法が書かれていない相続財産がある場合
  • 遺言書に形式的なミスがある場合

遺産分割協議について、詳しくは以下のページをご確認ください。

遺産分割協議について詳しく見る

遺言書の検認に関するQ&A

遺言書の検認に行けない場合、何かペナルティはありますか?

遺言書の検認期日は、欠席してもペナルティはありません。ただし、申立人は遺言書を持参して提出しなければならないため、出席が義務づけられています。

検認が行われる裁判所が遠くて行けない場合や、体調を崩してしまった場合等であっても、相続することは可能であり、罰せられることはありません。

また、裁判所への欠席連絡も不要です。ただし、検認期日に出席しないと、遺言書の内容を知るのが遅れてしまいます。不安な方は、弁護士等の代理人に出席を依頼する方法があります。

検認できない遺言書はありますか?

検認できない遺言書は、検認の必要のない遺言書を除けば基本的にないので、封印されていない遺言書や、誤って開封してしまった遺言書等であっても検認を受けることができます。 検認の必要のない遺言書は、以下のようなものです。

  • 公正証書遺言
  • 法務局で保管されている自筆証書遺言

遺言書の検認を弁護士に頼んだら、費用はどれくらいになりますか?

遺言書の検認を弁護士に依頼した場合、10万~15万円程度かかる場合が多いです。

弁護士法人ALGでは、依頼料として「手数料11万円+諸経費3.3万円(税込)」がかかります。また、相談料や実費等は別途かかるケースもあります。

弁護士費用を抑えたい場合には、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本を自分で収集すれば、費用が抑えられる可能性があります。

ただし、被相続人が何度も転居していた場合等、自分で収集するのが難しいケースも少なくないため、手に負えないと感じたら弁護士を頼ることをおすすめします。

検認せずに開けてしまった遺言書は無効になりますか?

遺言書の検認を行わずに開けてしまっても、遺言書は無効になりません。開封してしまった場合には、そのままの状態で検認を受ける必要があります。

間違って開封してしまっても、遺言書を捨ててしまうと「相続欠格」に該当して、相続権を失うおそれがあるので注意しましょう。

相続欠格とは、相続によって不正に利益を得ようとした人について、相続権を自動的に失わせる制度です。相続欠格に該当するのは以下のような人です。

  • 故意に被相続人等を殺害した人(未遂も含む)
  • 被相続人が殺害されたのを知って告発や告訴を行わなかった人
  • 詐欺や脅迫によって、被相続人の遺言を取り消す等させた人
  • 詐欺や脅迫によって、被相続人が遺言を取り消すこと等を妨害した人
  • 被相続人の遺言書を破棄する等した人

遺言書の検認手続きは専門家にお任せください

遺言書の検認手続きを行わなければ、封印された遺言書の内容を確認できず、相続登記等の手続きを遺言書によって進めることもできません。そのため、遺言書を発見したら、すぐに検認手続きを進める必要があります。

しかし、慣れない人にとっては、検認手続きに必要な書類を作成したり、集めたりするだけでも大変なことです。そこで、遺言書を発見したら弁護士にご相談ください。

弁護士であれば、必要書類の作成や収集についてアドバイスできます。また、検認手続きが終わった後のことについても、前もって相談しておくことが可能です。

相続人に関係の悪い人がいるケース等、相続や遺言書に関連する相談についても併せて対応できますので、不安のある方はお気軽にご相談ください。

交通事故に遭った後で、めまいに悩まされる方も少なくありません。事故によるめまいで通院が必要になったり、後遺症としてめまいが残ってしまった場合、事故の加害者に慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

交通事故によるめまいで疑われる症状を踏まえて、本ページで詳しく解説していきます。

交通事故によるめまいで慰謝料はもらえるのか

交通事故によってめまいが生じた場合、慰謝料を請求できる可能性があります。 ただし、単に「めまいがする」と訴えるだけでは慰謝料を認めてもらうことはできません。

慰謝料とは、交通事故が原因で被害者の方に生じた精神的苦痛に対する賠償金のことで、事故によるめまいで請求できる可能性がある慰謝料は“入通院慰謝料”“後遺障害慰謝料”の2種類です。

このうち、入通院慰謝料は事故が原因で通院・入院した場合に認められますが、後遺障害慰謝料を認めてもらうためには、事故とめまいの因果関係が証明されて“後遺障害等級”の認定を得る必要があります。

交通事故でめまいが起こる原因

交通事故後にめまいの症状があらわれた場合、次に挙げる症状が原因であることが考えられます。

  1. 良性発作性頭位めまい症
  2. 外リンパ瘻
  3. むちうち
  4. バレリュー症候群
  5. 軽度外傷性脳損傷
  6. 脳脊髄液減少症

このなかには重篤な後遺症に繋がるものもあるので、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。 それぞれの傷病について、次項で詳しくみていきましょう。

良性発作性頭位めまい症

良性発作性頭位めまい症は、交通事故で頭部に衝撃を受けることで発症することが多い、耳の病気です。 衝撃ではがれた耳石が三半規管に入り込むことにより、めまいなどの症状を引き起こします。

【特徴】

頭を動かしたときに回転性のめまいが生じ、耳鳴りや難聴を伴わないのが特徴です。 めまいのほかには、頭痛、吐き気、しびれといった症状があります。 こうした症状があらわれた場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

【治療】

安静にしていれば自然治癒することが多いですが、症状が強い場合は耳石を戻すために耳石置換法という治療が行われることがあります。

外リンパ瘻

外(がい)リンパ瘻(ろう)は、交通事故の衝撃やエアバックに頭部を打ちつけることで発症することがある、耳の病気です。 内耳に穴があいてリンパ液が漏れてしまうことで、めまいなどの症状を引き起こします。

【特徴】

めまいのほかに、耳鳴り、難聴といった症状が生じます。 水の流れるような耳鳴りや、水の中にいるような耳鳴りがあらわれたら、外リンパ瘻の疑いがあるので、耳鼻咽喉科で精密検査を受けましょう。

【治療】

一般的には、安静にして穴が自然閉鎖するのを待ちます。 症状によっては、穴を塞ぐための手術が必要になる場合があります。

むちうち

むちうちは、交通事故による衝撃で首に強い負荷がかかることにより引き起こされる症状の総称です。 首まわりの骨、関節、筋肉、神経が傷ついて、痛みやしびれ、吐き気、めまいなどのさまざまな症状を引き起こします。

【特徴】

むちうちによるめまいは、画像検査などで異常がみつからないことも多く、診断が難しいという特徴があります。 一見すると交通事故とは無関係に思えるめまいでも、むちうちが原因である可能性が考えられるので、整形外科を受診しましょう。

【治療】

むちうちの症状の多くは、整形外科に通院してリハビリを行うことで改善します。 なかには症状が長引き、後遺症として残ってしまう場合があります。

バレリュー症候群

バレリュー症候群は、交通事故で首まわりを損傷することにより発症することがあります。 首に受けた衝撃により、交感神経に不具合が生じて、めまいなどの自律神経に関わるさまざまな症状を引き起こします。

【特徴】

めまいのほかに、頭痛、しびれ、耳鳴り、難聴、食欲不振、不眠、全身倦怠など、自律神経に関わる症状が主体となるのが特徴です。 むちうちと似た症状が多いので、まずは整形外科を受診しましょう。

【治療】

一般的には、むちうちの治療に準じて安静と消炎鎮痛剤による治療が行われますが、交感神経の働きを正常に戻すために、麻酔科医やペインクリニック科で星状神経ブロックなどの療法が行われる場合もあります。

軽度外傷性脳損傷

軽度外傷性脳損傷は、交通事故で頭部を強く打ったり、揺さぶられたりすることで発症することがあります。 脳に衝撃が伝わって脳損傷が起こり、めまいなどの症状を引き起こします。

<WHOの定義>
軽度外傷性脳損傷(MTBI)について、世界保健機関(WHO)では「30分以内の意識喪失、24時間未満の外傷後健忘症を示す軽度の脳損傷」と定義しています。

【特徴】

画像検査で異常がみつからないことが多いです。 事故後、数日から数週間後にめまいや頭痛、記憶障害、手足のしびれといった症状があらわれることがあるので、いつもと違うと感じたら、すみやかに脳神経外科や整形外科を受診してください。

【治療】

名称に「軽度」とつくものの、重度の意識障害がないというだけで、決して症状が軽いわけではなく、慢性化したり後遺症が残ったりすることもあります。 脳神経外科や整形外科など、複数の診療科による総合的な診断が必要になります。

脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症は、交通事故で頭部を損傷したり、身体に強い衝撃を受けたりして発症することがあります。 外傷などが原因で脳脊髄液が慢性的に減ることにより、めまいや頭痛、吐き気などの症状を引き起こします。

【特徴】

起立性頭痛、吐き気、めまいが主な症状です。 ほかにも、頚部痛、倦怠感、視覚や聴覚に関する異常が生じたら、脳神経外科や整形外科を受診し、画像検査を受けましょう。

【治療】

安静と、水便補給や点滴で自然閉鎖するのを待ちます。 改善しない場合は、ブラッドパッチという硬膜外に自己血を注入して漏れを止める治療が行われることがあります。

交通事故から数日後にめまいがした場合について

交通事故から数日後にめまいがした場合、明らかな外傷がみられないときは、むちうちが原因であることが疑われます。 むちうちの症状は首の痛みだけとは限りませんので、めまいを感じたら、整形外科を受診して、画像検査や神経学的検査を受けましょう

《むちうちの主な症状》

  • めまい、頭痛、耳鳴り、吐き気、倦怠感などの自律神経に関する症状
  • 首や肩まわりの痛み、運動制限
  • 手足のしびれ など

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めまいで後遺障害等級認定を受けるためには検査が必要

めまいの症状が後遺症として残ってしまった場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求するために“後遺障害等級認定”を受けなければなりません。 等級認定を受けるためには、次のような検査で、めまいと交通事故の因果関係を医学的に証明する必要があります。

《めまいの症状を医学的に証明できる可能性がある検査》

  • CTやMRIなどの画像検査など
  • 眼球運動に関する眼振検査、迷路刺激検査、視刺激検査など
  • 体のバランスに関する体平衡検査など
  • 内耳機能に関する聴力検査など

めまいで認定される可能性のある後遺障害等級

交通事故によるめまいは、以下の認定基準に従って後遺障害等級に該当するかどうかが判断されます。

《失調、めまい及び平衡機能障害》

後遺障害等級 認定基準
3級3号 生命の維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために労務に服することができないもの
5級2号 著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力がきわめて低下し一般平均人の1/4程度しか残されていないもの
7級4号 中等度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の1/2以下程度に明らかに低下しているもの
9級10号 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
12級13号 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの
14級9号 めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの

めまいが後遺障害等級認定された裁判例

交通事故により回転性めまいなどの後遺症が生じたとして、後遺障害等級が認定された裁判例をご紹介します。

【福岡地方裁判所 平成30年3月30日判決】

<事案の概要>

乗車していたバスが発進時に急ブレーキをかけた反動で左頭部を窓ガラスにぶつけ、左耳に傷害を負った事故において、被害者のめまいは、外リンパ瘻に対する手術により軽快した後、術後に再び症状が生じたという事案について、加害者側から被害者にめまいが残存しているとしても、事故以外による要因によるものである因果関係が争われたものです。

<裁判所の判断>

裁判所は、回転性めまいについて

  • 外リンパ瘻以外の原因(ストレスなど)によるものと認めるに足る証拠はない
  • 事故による受傷当初から症状が認められている
  • 眼振そのほか平衡機能検査の結果に異常所見が認められる

と認定したうえで、めまいについて後遺障害等級12級13号と評価して、東急に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益の支払うことを加害者に命じる判決を下しました。

交通事故後にめまいが続く方は弁護士にご相談ください

めまいの原因にはさまざまなものがあり、症状が交通事故によって生じているのか、事故以外の要因によるものなのかを評価することは簡単ではありません。

交通事故について適正な慰謝料を受け取るためにも、交通事故後にめまいがしたら、なるべくはやめに医療機関を受診して、症状と交通事故の関係性を確認しておくことが重要です。

弁護士法人ALGでは、これまでにも多くの交通事故問題に取り組んできました。

その経験と知識を生かして、事故によるめまいでお困りの方や慰謝料請求をお考えの方のお力になれるよう、通院の仕方や治療・検査の受け方、後遺障害等級認定の申請など、幅広くアドバイス・サポートいたします。

相手方の保険会社とのやりとりも任せていただけますので、まずは困っていること、不安に感じていることを、私たちにお気軽にご相談ください。

不貞した妻と離婚協議をしていたところ、ある日、仕事から帰宅すると、妻と子が突然別居をしており、別居後に婚姻費用を請求され、不貞をした妻に生活費を支払うことが理不尽に感じる方もおられるのではないかと思います。

本記事では、例として挙げたような事例も含めて、婚姻費用を請求された場合に拒否できるケースがあるのかを解説していきます。

婚姻費用の支払いは拒否できない

夫婦はお互いに生活保持義務を負っていることから、別居をしたとしても、収入が高い方から低い方に対して生活費を分担する必要性が生じることになり、婚姻費用は法的義務として位置付けられます

そのため、婚姻費用を請求された場合には、基本的に支払いを拒否するという対応はできないということになります。

この結論は、どちらかの配偶者が無断で別居したり、別居先がどちらかの配偶者の実家であるために生活費の負担がないという場合でも変わりません。

拒否できる可能性があるケース

例外的に婚姻費用の支払いを拒否できるケースとして、婚姻費用を請求した側の配偶者に有責性が認められる場合が挙げられます。

典型的な有責性は不貞行為であり、不貞行為をした配偶者からの婚姻費用の請求は、有責配偶者からの婚姻費用請求として、信義則や権利濫用の観点から否定されることがあります。

しかし、不貞行為があれば必ず婚姻費用の支払いを拒否できるわけではなく、不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したという点を主張していく必要があります。

また、婚姻費用を拒否できる場合でも、拒否できるのは配偶者の生活相当分だけにとどまり、子の生活費相当分を拒否することはできません。

相手が勝手に別居した場合は?

どちらかの配偶者が無断で別居をしたという事情だけでは婚姻費用の支払いを拒否することはできません。

無断で別居した配偶者にお金を支払うことになる抵抗感から、別居が無断でされたことを理由に婚姻費用を拒否する主張がされることもありますが、民法には同居義務が規定されていますし、裁判所は、無断の別居を理由に婚姻費用の支払いを免れさせる判断をすることはありませんので、適切に対応しないと婚姻費用の不払いが蓄積するだけになってしまいます。

婚姻費用の支払いを拒否し続けるリスク

婚姻費用は、請求されたら基本的に拒否が難しい性質を有するため、支払いを拒否し続けると未払額がどんどんと膨らんでしまい、事後的に一括で精算することができない状況に陥るリスクがあります。

婚姻費用の精算ができない状況となれば、請求側から強制執行の手続きをされて、会社や取引先に事情が判明してしまうといった婚姻費用の支払い以外にもトラブルが波及してしまうリスクもあります。

また、夫婦の問題について早期解決をしたいと考えている場合であれば、婚姻費用の支払いを拒否し続けていると、婚姻費用分担請求調停という法的手続きに移行することになってしまい、解決は長引きがちになるというリスクもあります。

婚姻費用の支払いを減額することはできる?

婚姻費用は、標準算定方式という計算式で算定されることが多いのですが、標準算定方式は当事者双方の収入と子の人数・年齢から金額を算定することになります。計算式できちんと算定された金額が出てくる以上、標準算定方式で算定される金額を減額する交渉というのは基本的には難しいといえます。

しかし、婚姻費用は、生活費の分担という性質上、単に標準算定方式に当てはめるだけでは解決できない事例も多く、相手方が過大な請求をしてくる事例も少なからずあります。

そのような場合、支払側が既に負担している生活費(水道光熱費や子の習い事費用など)を踏まえる形で請求された額を減らしていくことができるケースも多いといえます。

弁護士の介入により婚姻費用を減額できた事例

婚姻費用に関して、①標準算定方式が想定している上限よりも高額な収入がある、②子らが大学や私立高校に行っており、支払側が学費を負担をしている、③支払側が子らの携帯代を支払っているといった複数の争点がある事案を担当した際、請求側からは相当高額な請求をされていたのですが、支払側が負担している金額から婚姻費用の既払いに該当するものを裏付け資料とともに丁寧に主張・立証した結果、請求額を大幅に減額できた事案もあります。

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婚姻費用の拒否に関するQ&A

離婚を前提として別居しているため婚姻費用の支払いを拒否したいです。可能ですか?

婚姻費用は別居中の生活費の分担であることから、単身赴任とか里帰り出産をしているだけであるとか、離婚を前提とした別居をしているかどうかが請求の可否に関係しません。

離婚を前提にした別居であったとしても、請求側に不貞行為等の有責性が認められる事案を除くと、婚姻費用の支払いを拒否することはできません

子供と会わせてもらえないことを理由に婚姻費用の支払いを拒否できますか?

面会交流と婚姻費用は、同じ当事者の間で協議する要素となることから、当事者心理としては、子供と会えるなら婚姻費用を支払うし、会えないなら支払いたくないという考えが出てくることはやむを得ないといえます。

しかし、面会交流と婚姻費用は別の要素ですので、子供と合わせてもらえないという事情があったとしても、婚姻費用の支払いを拒否できることにはなりませんし、むしろ、子供の生活費も含まれている婚姻費用の支払いを拒否することで、より一層子供と会えなくなる可能性も出てきてしまいます。

生活が苦しいため婚姻費用の支払いが難しいです。拒否できますか?

婚姻費用は、税金等の負担を控除した基礎収入を当事者間で分配するという形で算定されることになりますので、本来であれば、婚姻費用を支払うことで生活が苦しくなるということは想定されないはずです。

しかし、別居前に家族で利用することを前提にローンで自動車を買ってしまっていたとか、毎月投資のために相当額の支払いが予定されているといった事情があると、別居後に婚姻費用として決まった額の支払いが新たに発生することで月々の負担が重くなることはあります。

もっとも、婚姻費用は、夫婦間の生活保持義務から生じるものであり、他の支払いよりも優先する位置づけであることから、生活が苦しいから婚姻費用の支払いを拒否するということは難しいです。

算定表で決めた婚姻費用を支払っています。子供の進学費として追加で請求されているのですが、拒否できますか?

婚姻費用を算定する際の標準算定方式は、子の教育費について公立学校の費用を想定しており、私立学校や大学の学費は考慮されていません。

そのため、当事者双方の学歴や支払側の子の進路への認識等によっては、進学のための費用が標準算定方式で算定される額に追加されることがあります

他方で、進路に全く関与してない場合や進学費が高額に過ぎる場合(私立の医学部等)などは、進学費の支払いを拒否できる場合もあります。

婚姻費用の支払いを拒否したいと思ったら弁護士にご相談ください

婚姻費用は、標準算定方式という計算式があるため、計算式どおりにすればいいと考え、弁護士への相談をしないケースも少なくありません。

しかし、実際には計算式どおりで解決できない事例も多数あり、離婚の前段階として協議される婚姻費用を円滑に解決することは離婚の解決にも影響してくることがあります。

そのため、婚姻費用の請求をされた場合には、お早めに弁護士に相談をしていただき、離婚までを見据えた中長期的な方針で対応を検討していくことをおすすめいたします

夫婦は、お互いに同じ程度の生活を保持させる義務があり、これを生活保持義務といいます。

生活保持義務は、別居中でもなくなるものではないため、収入の高い配偶者は、相手に対して、自分と同程度の生活ができるように、婚姻費用を支払う義務があります。

では、支払い義務があるにもかかわらず、配偶者が支払いを拒否する場合には、婚姻費用を請求することはできないのでしょうか。

今回は、婚姻費用の支払いを拒否された場合の対処法を解説します。

婚姻費用の支払いを拒否された場合の対処法

別居前または別居直後に、相手に婚姻費用の支払いを拒否された場合の対処法としては、内容証明郵便の送付、婚姻費用分担調停・審判、という方法があります。

また、婚姻費用分担調停の申立て後は、調停前の仮処分・審判前の保全処分なども利用することで、迅速な婚姻費用の支払いを求める方法もあります。

内容証明郵便の送付

口頭やメールで婚姻費用を請求しても、相手が婚姻費用の支払いに応じてくれない場合は、弁護士に依頼して、婚姻費用の支払いを求める内容証明郵便を送付することが考えられます

内容証明郵便自体には、相手に婚姻費用の支払いを強制する効力はありませんが、弁護士の名前で内容証明郵便が届くことで、相手が任意の支払いに応じることが期待できます。

また、婚姻費用の支払い義務は、請求した時から生じるとされているため、婚姻費用請求の明確な意思表示の証拠として、早期に内容証明郵便を送付することは有効です。

婚姻費用分担請求調停・審判

口頭での請求や、内容証明郵便を送付しても、相手が婚姻費用の支払いに応じない場合は、婚姻費用分担調停を申し立てる必要があります。

また、相手が婚姻費用の支払いを明確に拒否している場合には、早急に婚姻費用分担調停を申し立てることが必要です。

調停が始まると、裁判所に行って、婚姻費用についての話し合いを行います。調停で相手と婚姻費用についての合意ができれば、合意した金額を毎月相手に請求することができます。

調停で話し合いが成立しない場合、調停は不成立として終了し、審判という手続きで裁判官が婚姻費用を決定します。

調停前の仮処分・審判前の保全処分

経済的な問題から、すぐにでも婚姻費用を受領しなければならない状況も考えれます。

調停申立て後、調停終了までであれば、調停前の仮処分を求めることができます。

調停前の仮処分とは、裁判所に緊急で婚姻費用が支払われなければならないことを上申し、裁判所が緊急性を認めれば、裁判所から相手に対して婚姻費用の支払い勧告・命令がされます。支払い勧告に強制力はありませんが、勧告・命令を無視した場合、10万円の過料が科せられるため、相手の任意の履行を期待できます

また、審判が出るまでは、審判前の保全処分を利用することができ、調停前の保全処分とは違い、強制執行が可能です。

しかし、強制力を伴うことから、仮処分よりも高い緊急性を裁判所に説明して、認めてもらう必要があります。

婚姻費用の支払いの強制執行

調停が成立した、又は婚姻費用の支払いを命じる審判が出たにもかかわらず、相手が婚姻費用を支払わない場合には強制執行をする必要があります。

強制執行には、直接強制と間接強制の2種類があります。

直接強制とは、相手の給与、預金などの財産を差し押さえて、直接回収する方法です。

すでに期限の到来している部分だけでなく、将来期限が到来する部分についても、給与を差し押さえて、取り立てることができます。

間接強制とは、定められた期間内に婚姻費用が支払われない場合に、追加で金銭の負担を命じるもので、義務者に対して心理的なプレッシャーを与えて、支払いを促すことが目的です。

婚姻費用の支払いに対する遅延損害金の請求

義務者が、期限までに婚姻費用を支払わない場合、婚姻費用に追加して、遅延損害金を請求することができます。

遅延損害金について、何も取決めをしていない場合でも、民法で定められている年3%(令和2年4月1日以前は5%)の利率で遅延損害金を請求できます

婚姻費用の支払い拒否が認められるケース

いわゆる性格の不一致で別居が開始したというだけでは、別居に合意していない場合でも、婚姻費用の支払いを拒否することは認められません

しかし、別居の原因が、婚姻費用の請求した側の暴力や不貞行為にある場合は、別居・婚姻関係の破綻の責任は請求した側にあるとして、婚姻費用を請求することが認められないことがあります。

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婚姻費用を拒否された場合のQ&A

時効を理由に婚姻費用の支払いを拒否されました。諦めるしかないのでしょうか?

公正証書などで婚姻費用について合意していたにもかかわらず、相手が婚姻費用を支払ってこなかった場合、支払期限から5年で時効消滅してしまいます。

しかし、相手が時効消滅を主張していても、実際には時効の完成が猶予されて、時効が完成していない場合もあるので、不安な場合は弁護士に相談してみましょう。

別居中です。夫が家を出ていき、私は夫名義の家に住んでいます。この家の住宅ローンを支払っているからと婚姻費用の支払いを拒否されましたが、払ってもらえないのでしょうか?

住宅ローンの支払いは、不動産という財産の取得を目的にしており、婚姻費用の支払いとは性質が異なります。

そのため、住宅ローンを支払って、事実上、相手の家賃を負担しているからと言って、婚姻費用の支払いを拒否することはできません。

しかし、出ていった夫が住宅ローンを支払うことで、妻が住居費用を免れていることになるので、算定表上の婚姻費用から、一定額減額されることになります。

相手の浮気が原因で別居していますが、「勝手に出て行った」として婚姻費用の支払いを拒否されています。請求はできないのでしょうか。

夫婦には同居義務、扶助義務があるため、別居の理由によっては婚姻費用の請求が認められないことはあります。

しかし、相手の不貞が原因で同居を続けることが困難となり、別居を始めた場合は、同居義務・扶助義務に違反したとはいえないため、婚姻費用の請求を諦めるべきではありません。

婚姻費用の支払いを拒否されてしまったら、一度弁護士へご相談ください。

婚姻費用は、別居して生活をしていくうえで必須のものですが、多くの場合、婚姻関係が悪化した相手から、任意に支払われることは多くありません。

当事者同士では話し合いが難しい場合、弁護士が代理人として交渉することができますし、早期に婚姻費用分担調停を申し立てることで、できるだけ早く婚姻費用を支払ってもらうことが可能です。

相手から婚姻費用の支払いを拒否されたときは、速やかに弁護士にご相談してください。

交通事故の損害賠償金は、基本的に加害者が加入する任意保険会社から支払われます。

しかし、事故の相手が必ずしも任意保険に加入しているとは限りません。

加害者が「無保険」であった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

この記事では、「加害者が無保険だった場合に考えられるリスクや問題点」、「無保険の加害者に損害賠償を請求する方法」、「支払いに応じない場合の対処法」などについて解説していきます。

交通事故における無保険とはどういう状態?

交通事故の加害者が「無保険」の状況としては、以下の2つが考えられます。

  1. 「自賠責保険」には加入しているが「任意保険」には未加入
  2. 「自賠責保険」と「任意保険」ともに未加入

任意保険は、車やバイクの所有者が保険会社やプランを自由に選択でき、また、加入も任意となっています。一方、自賠責保険は最低限の対人賠償の確保を目的とした「強制保険」です。車やバイクの所有者は自賠責保険に加入する義務があります。

ところが、車検切れであったり、自賠責保険の更新を忘れていたりする「無保険」の状態で道路を走行し、事故を起こしてしまうことも珍しくありません

交通事故の相手が無保険の時のリスクと問題

交通事故の相手が「無保険」の場合には、どのようなリスクや問題があるのでしょうか。
ここでは、起きる可能性が高い問題などについて詳しく解説していきます。

加害者と直接交渉しなければならない

一般的に、交通事故の示談交渉は被害者と加害者の任意保険会社の示談交渉サービスによって行われることが多いです。

しかし、事故の加害者が自賠責保険のみ加入の無保険の場合には、自賠責保険に示談交渉サービスがないことから、加害者が直接被害者の任意保険会社と交渉していくことになります。

さらに、事故がもらい事故など被害者に一切過失が付かない事故の場合は、被害者も任意保険会社の示談交渉サービスを利用することができません。これは、「弁護士法」により定められています。

つまり、その場合には、被害者と加害者の当事者同士で示談交渉を行うことになります。専門知識がない当事者同士で交渉すれば、お互いの主張が衝突してしまう可能性が高いでしょう。

物損の補償をしてもらえない

事故の加害者が自賠責保険にのみ加入していて、任意保険には加入していない「無保険」の場合は、車の修理費など物損の補償が期待できない可能性があります。

そもそも自賠責保険は、怪我の治療費や休業損害など「人的損害」に対しての補償はしますが、車の修理費など「物的損害」の補償はしてくれません。

つまり、車を修理しなければならず、加害者が自賠責保険しか加入していない状態では、修理代を直接加害者に請求しなければなりません

音信不通になる

加害者は、任意保険のみ未加入の場合は自賠責保険でまかなえない部分を負いますし、自賠責保険も任意保険も未加入の場合は、損害の全体を自ら賠償する責任を負います。

しかし、加害者がこのような責任をおそれて被害者と音信不通になってしまう場合があります。最悪の場合には、連絡を取りたくないために着信拒否をしたり、連絡を無視したりする可能性もあります。

とくに、「どうせ裁判までは起こさないだろう」と考え、誠実な対応をしない加害者は珍しくありません

踏み倒される可能性がある

被害者がみずから損害賠償金を計算し、加害者に提示したとしても、加害者が「そんなに支払えない」と支払いを拒否する場合もあります。

しかし、加害者が任意保険に加入しているのであれば、任意保険会社から損害賠償金を受け取ることができますが、任意保険や自賠責保険に未加入である場合は、加害者に直接請求するしかありません

特に、後遺障害が残るような事故であれば損害賠償金も高額になります。加害者に資力がなければ、「払えない」とかわされたり、実際に支払いを受けられなくなる可能性は十分考えられます。

無保険の加害者に請求する方法

では、無保険の加害者にどうやって損害賠償金を請求したら良いのでしょうか。

ここからは、「相手が任意保険に入っていない場合」と「相手が自賠責保険にも入っていない場合」に分けてそれぞれについて解説していきます。

相手が任意保険に入っていない場合

自賠責保険に請求する

人身事故の場合、被害者は一定限度額の範囲で自賠責保険を通じて最低限の補償を受けることができます。怪我の治療費や休業損害など障害部分については、最大120万円まで補償され、後遺障害が残った場合には、その等級に応じた金額を受け取ることが可能です。

しかし、この補償を受けるためには、被害者自身が必要書類を準備・作成しなければならず、負担がかかってしまう可能性があります

不足分は加害者に請求する

自賠責保険からの補償では、損害の全てを補填できなかった場合、残りの損害賠償金を加害者本人に請求することになります。

請求する金額は自賠責保険分を差し引いた金額なので、加害者も比較的応じやすいでしょう。しかし、加害者の責任意識が薄かったり、資力に乏しかったりする場合は支払ってもらえない可能性もあります

相手が自賠責保険にも入っていない場合

事故の加害者が「任意保険」にも「自賠責保険」にも未加入の無保険の場合は、どのように損害賠償金を受け取るのでしょうか。

具体的な方法を見ていきましょう。

まずは自身の保険会社に対応できないか聞いてみましょう

まずは、ご自身が加入している任意保険に利用できるものがあるか確認してみましょう。

特に「人身傷害補償保険」に加入していれば、自分が交通事故に遭った場合に対人賠償保険と同じ保障が受けられます。つまり、加害者との協議状況とは無関係に加入する任意保険会社との契約に従って補償金が支払われます

また、「無保険車損害保険」に加入していれば、被害者に後遺障害が残った場合に人身傷害保険の不足分の補償も受けることができます。

政府保障制度を活用する

政府保障制度とは、ひき逃げ事故や無保険事故などに遭った被害者に対し、自賠責保険と同等の補償を受けられる制度です。

ひき逃げ事故や無保険事故などの被害に遭われた被害者を救済するために用意されています。

この制度を利用すれば事故の加害者が自賠責保険未加入であっても、国から自賠責保険と同等の補償額を受け取ることができます

ただし、支払いには上限があり、傷害部分は120万円、後遺障害部分は等級に応じて支払われます。

労災に請求する

交通事故が通勤中や仕事の最中に起きたのであれば被害者自身の勤務先の労災保険を利用できる場合があります。

労災保険を利用することで、治療費の支払いを受けられるだけでなく、休業損害の一部として休業補償給付と特別支給金あわせて給与の8割を補償してもらえます

ただし、労災保険では慰謝料の支払いを受けることはできません。

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加害者が支払いに応じなかった場合の対処法

被害者としてできる限り様々な方法を取ったとしても、損害の全部が補償されない場合、最終的には加害者本人に請求するしかありません。しかし、加害者が支払いに応じない場合には、どうすればいいのでしょうか。

そもそも支払い能力がない場合

加害者に支払い能力がない状態で無理に支払いをさせようとしても、自己破産され回収できる金額が減ってしまう可能性もあります。そのため、損害賠償請求の「分割払い」や「減額」に応じて、少しでも加害者が支払いやすい条件にすると良いでしょう。

また、分割払いや減額で加害者が支払いに応じた場合は、後から「言った・言わない」のトラブルにならないよう法的に適切な書面に残しておくことが大切です。

自己破産したと言われたら?

加害者のなかには、「支払い能力がないから自己破産する」と言ってくる可能性もあるかもしれません。

自己破産の手続きを進めてしまうと、損害賠償請求の支払い義務も免責されてしまう場合があり、被害者にきちんと損害賠償金が支払われないおそれもあります。

しかし、事故の状況によっては、加害者の責任が「故意または重大な過失により生命または身体を害する不法行為(破産法253条3号)」に該当し、被害者の損害賠償請求権は免責されない可能性もあります。

その場合、加害者は被害者に対し変わらず損害賠償金の支払い義務を負います

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
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