- 後遺障害等級:
- 14級9号
- 被害者の状況:
- 頑固な頸部痛
- 腰部痛の残存
- 争点:
- 醜状障害に関する慰謝料
- 逸失利益
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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賠償金額 | 約187万円 | → | 約427万円 | 約250万円の増額 |
交通事故事件の概要
ご依頼者は30代の女性、兼業主婦。信号待ちで停車中に前方不注意の後方車両にほぼノーブレーキのまま衝突され、頸部、腰部に強い衝撃を受けました。その後、治療を継続したものの、症状が残存し、頸部と腰部にそれぞれ14級9号が認定され、併合14級の判断となりました。そして、保険会社から賠償案の提示のあった時点からALGにご相談された事案です。
争点としては、後遺障害逸失利益や慰謝料を中心とした賠償金額です。頸部捻挫等の後の14級の事案では、後遺障害逸失利益は5年間の喪失期間、5%の喪失率に制限されることが多いです。しかし、本件のご依頼者は、症状固定後、残存している症状が重く、日常生活や仕事に大きな影響が出ていたため。示談交渉でどこまで後遺障害逸失利益が認定されるかが大きな争点となりました。
横浜法律事務所・交通事故案件担当弁護士の活動及び解決結果
担当弁護士の方では、慰謝料については、裁判基準に引き直して計算するとともに、後遺障害逸失利益については、14級の事案では後遺障害逸失利益を5年5%以上認めた判例を示しつつ、本件のご依頼者に残存している症状からどのような支障が出ているかを詳細に説明し、保険会社と交渉しました。その結果、示談交渉段階では、慰謝料の相場といえる裁判基準の9割を傷害慰謝料、後遺傷害慰謝料それぞれ獲得するとともに、後遺障害逸失利益については、10年5%の金額を獲得することができました。また、休業損害についても、通院中の家事労働の負担の大きさを具体的に主張し、100万円以上の賠償金の獲得となりました。
その結果、当初提示額から250万円程度増額した内容での示談となり、ご依頼者としても納得の解決となりました。
- 依頼者の属性:
- 40代
- 女性
- 会社員
- 相手の属性:
- 40代
- 女性
- 受任内容:
- 不貞慰謝料請求の示談交渉において、退職条項を外す
事案の概要
本件は、ご依頼者様不貞を行ったところ、不貞相手の妻から慰謝料請求をされていました。それまではご依頼者様自身で交渉をしていたのですが、相手方が感情的になるため、強い恐怖を感じている状態で弊所に来所されました。金額等主要な条件は合意できていましたが、相手方は、退職条項を含めることに強く固執しており、最終的な合意ができない状況でした。
弁護方針・弁護士対応
本件は、ご依頼者様も不貞の事実は認めているものの、以下のような争点・懸念点がありました。
- ・退職を強制する条項を入れることに、相手方が固執していた点。
- ・相手方が、ご依頼者様だけでなくご家族にも連絡をしたりしていた点
弁護士が介入し、なぜ退職させることに固執するのか注意深くヒアリングすると、今後、ご自身の夫と二度と会わないことを約束するために退職条項に固執しているという事情がありました。
そこで、弁護士が、不貞をしたとしても私生活上の話であり、退職を妻が強制することはできないこと、会社に連絡をすることは名誉棄損に当たる可能性があることを積極的に主張しました。
横浜法律事務所・離婚案件担当弁護士の活動及び解決結果
交渉結果として、
- ・ご依頼者様が相手方に解決金として100万円を一括で支払うこと
- ・会社の外で、二人きりで会うことはしないこと
- ・会社の外で、二人きりであった場合には、確実な資料を示したうえで、ご依頼者様が相手方に10万円を支払うこと
- ・ごご依頼者様と相手方は、正当な理由がない限り、接触しないこと
等の内容で合意に至りました。
ご依頼者様は受任時点でかなり恐怖心を抱いていましたが、弁護士介入後は、相手方からの連絡がなくなり、安心して過ごせるようになりました。また、相手方が一番求めていた、退職条項を外すことができ、ご依頼者様のご希望に沿った解決をすることができました。
- 依頼者の属性:
- 20代
- 事務
- 相手の属性:
- 20代
- 事務
- 子1人
- 受任内容:
- 人身保護請求
事案の概要
子を連れ去られた母を依頼者とする、人身保護請求事案です。
もともとは子の所在を隠匿されたことを契機とする、子の引渡し・監護者指定案件として依頼を受けました。当方を監護者として定め、子を引き渡すよう求める審判が下されたにも関わらず、相手方はなおも子の引渡しを拒否したため強制執行に踏み切りましたが、奏功しませんでした。そこで最終手段として人身保護請求を試みました。
弁護方針・弁護士対応
本件の問題点は、強制執行さえも拒否する強硬な姿勢をとる相手方からどのようにして子を取り戻すのかという一点につきます。
人身保護請求は弁護士側においても、裁判所側においても、多くの人員と集中しての時間を求められる厳格な手続きです。したがって、人身保護請求の申立てに先立ち、裁判所に事前相談を試みて受け入れ態勢整備の協力を求めました。
その上で、資料を精査し、早急に申立書の起案を行い、人身保護請求の手続きに入りました。同時並行で、裁判所側と詳細な打合せを実施し、仮に請求が認められる場合には、裁判所構内のどのルートをどのように通り、裁判所を出た後は、どのような交通ルートを通じて子をご依頼者宅に移動させるのかという計画を立案し安全性と迅速性の検証をし続けました。
横浜法律事務所・離婚案件担当弁護士の活動及び解決結果
子の身柄を取り戻しました。
人身保護請求は子の引渡しの最終局面として位置づけられますが、全体の事件数としてそこまで多くはなく、経験のある弁護士も多くはありません。国選代理人対応といった特殊な要素に臨機応変に対応する柔軟さに加えて、事務的な「段取力」も多分に要求されます。経験がモノをいう事案であったといえるでしょう。
- 依頼者の属性:
- 40代
- 女性
- 派遣社員
- 子供有
- 相手の属性:
- 40代
- 男性
- 会社員
- 受任内容:
- 未払い養育費の回収
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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養育費 | 約10年前から 養育費が支払われない |
→ | 未払い分も含め 養育費を全額支払う |
養育費の支払い義務を認めさせる |
事案の概要
協議離婚をし、公正証書に養育費の取り決めを行った。しかし、その後10年前から養育費が支払われなくなったため、未払い分の養育費の回収したいとしてご相談に来られました。
弁護方針・弁護士対応
本件では、未払養育費の時効は5年であるところ、本件では10年前からの養育費を請求するということで、相手方が時効援用をした場合には、その5年分は回収ができないこと、相手方の勤務先も連絡先も不明であり、そこから調査を行う必要があったことの2点の懸念点がありました。
そこで、弊所担当弁護士は、まず相手方の居場所を突き止めるため戸籍の収集を行い、現住所が判明してから時効の進行を止めるため、相手方に内容証明を送付しつつ、並行して強制執行の準備を行いました。
その後、内容証明を送付した結果、相手方が書面を受領したとのことで弊所に連絡がありました。
横浜法律事務所・離婚案件担当弁護士の活動及び解決結果
相手方から連絡があり、弁護士から、強制執行の流れや現在のお子様の状況などを伝えつつ、養育費の支払いについての交渉を行いました。その結果、時効消滅するはずの部分も含め、約1500万円全ての養育費の支払い義務があること認めて、今後分割して支払うとの合意をすることができ、その結果を再度公正証書にまとめることができました。
- 依頼者の属性:
- 30代
- 男性
- 正社員
- 子供有
- 相手の属性:
- 30代
- 女性
- 無職
- 受任内容:
- 監護者指定
- 子の引渡し審判及び保全処分への対応
事案の概要
本件は、妻の子(4歳未満)に対する態度(大声で怒鳴る等)に見かね、子を守るため、子を連れて別居を開始なさった夫からご依頼をいただきました。
ご依頼いただいたタイミングでは既に妻側は弁護士に依頼していたため、ご依頼者において「子を守りたいが、何をどうすればいいのかわからない」とご不安を訴えておられました。
弁護方針・弁護士対応
本件には、以下のような争点・懸念点がありました。
①一般論として、幼い子の身の周りの世話をするのは妻であることが多いため、裁判所は妻側を監護権者として指定する傾向にあり、事実そのような主張が妻側の代理人から展開されていたこと
②監護者指定、子の引渡し審判に加えて、保全処分という緊急を要する手続きが付加されていたため、対応を迅速に行う必要があったこと
そこで、弊所担当弁護士は、まず②について、本件は子の身の安全が害されるような緊急の事案ではないことの印象付けを目的の一つとして、ほぼ毎週の面会交流の提案を行い、①については母側が監護権者として指定される運用は、「子の監護実績が十分にあること」に由来することを示し、夫にも、従前からの十分な監護実績があることを説得的に審判手続内で主張しました。
横浜法律事務所・離婚案件担当弁護士の活動及び解決結果
結果として、
・保全処分の取り下げ
・子の監護者を夫とする内容での和解成立
を実現し、続く離婚調停においても、夫側を親権者とする内容で離婚を成立させました。
- 相続財産:
- 土地3筆(固定資産評価額合計約1200万円)
- 建物2棟(固定資産評価額合計約300万円)
- 預貯金約350万円
- 依頼者の被相続人との関係:
- 娘
- 相続人:
- 依頼者
- 弟
- 争点:
- 分割の方法
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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弟/土地と建物 姉/預貯金 |
→ | 弟/土地1つ、建物2つ、預貯金50万円 姉/土地2つ、預貯金300万円 |
価値的に平等の割合で解決 |
事案の概要
土地3筆の上に、建物が2棟またがるように立っており、弟はその建物1棟で、家業を継いでいました。そのため、実際に土地及び建物を使用しているのは弟であり、姉である依頼者はまったく不動産には関知していないという状況でした。そして、弟としては、被相続人が生前不動産は全て弟に譲るということを口頭で言っていたという認識であり、また、実際に使用しているのは弟であるし、さらに、不動産が共有になってしまうのは避けたいということで、不動産を全て弟が取得するといって譲りませんでした。依頼者としては、原則通り半分ずつの割合で、遺産を取得したいという相談でした。
弁護方針・弁護士対応
遺言書がない以上、依頼者が不動産を全て弟に譲るということをする必要はありません。そのため、価値として平等の割合になるように、様々な方法で弟に提案を行いました。しかし、どの方法をとっても、不動産の名義について、依頼者の名義が含まれるようになることは避けられないことが問題となりました。その点で弟が強い反発を示し、交渉は難航しました。一方、調停、審判に移行することもためらわれる事情がありました。
そこで、交渉での解決を模索しました。
様々な交渉をする中で、弟は、不動産の名義に姉が含まれると、全体として価値が落ちたり、自由に売れなくなったり、土地や建物の使用料を姉に支払い続けなければならないということを危惧していることがわかりました。一方、依頼者としては、遺産を平等に取得できるのであれば、売るときには一緒に売るし、使用料ももらう意思はないという意志でした。そこで、相手の危惧は回避できるということを伝えたうえで、具体的な分割案や合意案を提示していきました。
横浜法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果
結果としては、不動産の名義を姉も取得する形で、価値的には平等で遺産分割ができました。そして、その前提として、売却のタイミングは弟に委ねるということや、使用料を請求しないという合意を同時に行いました。
このように、不動産をめぐる案件は単純に解決できない場合もありますが、相手方の危惧や要望をうまくくみ取ることで、膠着状態にあった交渉が進み、結果として円満に遺産分割が成立することがあります。それも、厳密に裁判所で判断される場合よりも、有利に終わった可能性もあるため、リスクを回避しながら、良い形で調整ができた事案です。
- 相続財産:
- 預貯金はあまりないが、不動産が複数ある
- 依頼者の被相続人との関係:
- 二男
- 相続人:
- 配偶者と夫
- 争点:
- 遺留分侵害額請求
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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相続財産 | 取得できる財産がほとんどない | → | 適切な遺留分を取得 | 合意が成立 |
事案の概要
本件の相続人は配偶者と兄弟二人でしたが、被相続人は公正証書遺言を作成しており、内容としては相続財産の大部分を長男が取得するものとなっていました。ご依頼者様は何か長男に請求できるものがないかをご自身でもお調べになり、遺留分侵害額の請求を希望されて弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所に相談に来られました。
弁護方針・弁護士対応
ご依頼者様は当初は被相続人の所有していた先祖代々の不動産に自分も名義を残されたいという希望をお持ちでした(現在は法改正されていましたが、依頼当時は遺留分を侵害された分の不動産の持ち分を取得することも可能でした。)。しかし、長男との関係性は良好ではない状況からすると、持ち分を取得しても、今後の兄弟トラブルの要因になることは容易に相続できたため、金銭で清算することを弁護士から提案したところ、最終的にはご依頼者様も納得されて、金銭清算の選択をされました。
横浜法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果
金銭で清算する方針が決まったことから、長男に受任通知を送り、ご依頼者様側で把握できていない相続財産の開示を受けたうえで、弁護士の方で遺留分侵害額を計算し、長男に請求したところ、何度か話し合いを繰り返した末に妥当な額で決着がつくことになりました。相続案件は当事者間の感情も関わるため、長期化することも少なくありませんが、話し合いでの早期解決となった事案です。
- 後遺障害等級:
- 12級14号
- 被害者の状況:
- 前額部に醜状が残っているものの、身体的能力の制限はなし、就労にも支障はなく、収入の減額もない状況
- 争点:
- 醜状障害に関する慰謝料
- 逸失利益
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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賠償金額 | 約250万円 | → | 約700万円 | 賠償金約450万円増額 |
その他 (後遺障害診断書作成料) | 認めない | → | 認める | 作成料を認めさせる |
交通事故事件の概要
ご依頼者様は、女性会社員で横断歩道を歩いている際に右折車に巻き込まれて、地面を引きずられ、顔面に傷を負いました。その後、約2年に渡って治療を続けましたが、傷跡は完治せず、症状固定となった結果、醜状障害が残存したものとして後遺障害等級12級14号に該当すると判断されました。その後、ご依頼者様は保険会社から賠償金の提示を受けましたが、後遺傷害部分について自賠責と同額の認定されていない内容であったことから、賠償金の増額を希望してALG横浜支部にご相談に来られました。
横浜法律事務所・交通事故案件担当弁護士の活動及び解決結果
担当弁護士は、ご依頼者様の醜状障害の状況を確認し、醜状障害について後遺障害逸失利益を算定して請求するとともに、後遺障害車両について裁判基準での認定を求めました。保険会社側は、慰謝料についてはこちらの主張を受け入れたものの、逸失利益については醜状障害は身体的制限が認められないから認定できないと強硬に主張してきました。
そこで、仮に、逸失利益が認めらないとしても、醜状障害については、慰謝料を増額して認定する判例は多数あることを主張し、結果としては、後遺障害慰謝料について、裁判基準よりも約220万円を増額する合意を取り付け、その保の損害額を含め、最終支払額700万円での合意となりました。逸失利益が認められれば、損害額はさらに上乗せされうる事案ではありましたが、ご依頼者様が早期解決を強く希望したこと、判例上も、醜状障害について逸失利益を0円とするものは複数あり、ご依頼者様も実際には醜状障害によって仕事に大きな影響を受けている事実はなく、収入も減っていないことからすると、慰謝料が相当額増額された示談をするメリットがあると考え、ご依頼者様も納得されて解決となりました。
醜状障害の逸失利益は非常に争点になりやすい部分であり、本件はご依頼者様の要望も踏まえた柔軟な解決となったといえます。
- 後遺障害等級:
- 14級9号
- 被害者の状況:
- 左胸部痛
- 右手関節痛
- 右手関節機能障害
- 争点:
- 後遺障害等級
- 後遺障害逸失利益
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||||
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後遺障害等級 | 非該当 | → | 14級9号 | 14級9号の獲得 |
交通事故事件の概要
自動二輪車で特進していたところ、中型貨物自動車が転回したため避けきれず衝突した事故に遭い、事故によって、左肋骨骨折、頸椎捻挫、頭部打撲傷などの傷害を負いました。約半年間の治療後も症状が残存していたため、後遺障害等級認定申請を行いましたが、非該当との結果でした。しかし、痛みがまだ残っていたことから、非該当の結果は不当であるとして、異議申し立てを行うとのことでご依頼いただきました。
横浜法律事務所・交通事故案件担当弁護士の活動及び解決結果
異議申立てを行うにあたって、診断書の他に診療録を取り付け、事故直後から症状固定時までどのような症状を訴えていたのかを全て確認し、当初から一貫して症状を伝えていたことを発見しました。その他にも、通院頻度が多いことや事故による修理費用が同種の事故に比べて大きいこと、その車両の写真を集めて、最初の非該当との結果に対して異議申し立てを行いました。異議申立ての結果、無事14級が認定されました。
交渉時点では、後遺障害逸失利益の算定にあたっては、仕事の中でできないことを文字で記載するだけでなく、実際にできない体勢や仕事内容を写真に撮ってもらい、保険会社に提示しました。そうすると、14級の場合の逸失利益は、5年5%で算定することが多いですが、本件では、10年5%で逸失利益を賠償してもらえることになりました。
- 相続財産:
- 預貯金約9500万円
- 有価証券約1200万円
- 土地約1600万円(路線価)
- 建物約390万円(固定資産評価額)
- 相続債務約270万円(うち葬儀関係費用が約245万円)
- 依頼者の被相続人との関係:
- 兄の子(代襲相続人)
- 相続人:
- 兄2人(うち1人は死亡しており、依頼者がその代襲相続人)
- 争点:
- 相手方が、被相続人と半血兄弟か否か
弁護士法人ALGに依頼した結果 | |||||
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法定相続分 | 平等で合意 | ||||
解決金 | 未提示 | → | 約400万円 | 解決金として約400万円獲得 | |
不動産 | 未提示 | → | 最高額で計算して代償金を取得 | 不動産評価額を最高額で取得 | |
その他 | 未提示 | → | 葬儀関係費用は相手方単独の負担 | 遺産からは支出しない |
事案の概要
三人兄弟の三男が死亡し、長男と二男の子(代襲相続人:依頼者)が相続人となりました。依頼者としては、長男は、二男と三男とは父親が異なるという認識を持っていました。そこで、当事者同士の遺産分割協議の際、依頼者が、長男は半血兄弟であるから、法定相続分は依頼者の半分であると主張しましたが、長男は半血兄弟であることを否定し、当事者間で話し合いがまとまることはありませんでした。そこで、当事務所にご相談があり、遺産分割協議を有利に進めるために、遺産分割交渉の代理人として就任しました。
弁護方針・弁護士対応
弁護士の対応としては、まずは、長男が半血兄弟であることを示す証拠がないかどうかを依頼者と確認していきました。しかし、戸籍上は長男の父は、二男及び三男と同一でした。その他の状況証拠や関係者からの聞き取り内容も、長男の半血性を確実に立証できるレベルのものはありませんでした。遺産分割の前提として、長男の半血性を訴訟で争う場合には、DNA鑑定を実施することになりますが、依頼者も、DNA鑑定の結果どのような結果が出るか確証はありませんでした。また、親子関係不存在訴訟(または、認知無効訴訟)に特有の問題として、仮にDNA鑑定で半血であることが明らかとなっても、それでも勝訴できない可能性がありました(むしろ、他の裁判例と比較すると、勝訴できない可能性の方が高い状況でした)。
一方、長男自身も、様々な理由を付けて、交渉段階ではDNA鑑定の実施を拒否しており、半血性について争われたくないという印象を受けました。
そこで、交渉段階で、長男が仮に半血ではないと信じているのであれば、DNA鑑定を拒否する理由はないこと、DNA鑑定の拒否自体が裁判所の心証に影響を及ぼすことなどを主張し、何度もDNA鑑定実施を求めました。その後、仮に遺産分割において、依頼者に多少有利な状況で遺産分割がまとめるのであれば、あえて半血性を争うことはしないという提案をしました。長男は一度その申し出を断りました。しかし、その後遺産分割調停において、当方が半血性を争うという訴訟を提起することを明確に打ち出した際(実際、当方としては、相手方が当方に多少有利な遺産分割に応じないのであれば、訴訟を提起するよりありませんでした)、再度協議による解決という機運が盛り上がりました。その結果、協議の末、今回の解決結果に至ることができました。
横浜法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果
協議では、遺産分割割合に拘らず、最終的に依頼者がどれだけの経済的利益を獲得するかという点に焦点があてられました。結果としては、資産については、不動産の価値を当方の有利になるように計算することで合意され、約400万円の解決金が支払われ、葬儀費用に関しても長男の独自の負担とする(遺産から支出はしない)ということで合意できました。その代わり、今後半血性について一切主張を行わないという取り決めをすることになりました。
依頼者も、半血性を争う訴訟の見通しが明るくないことは理解されていたため、多少でも有利な結果になるのであれば良いということで、最終案にも速やかに合意していただきました。結果として、不利な証拠や事実関係からも、適切な交渉を行うことで、依頼者も納得のいく合意が成立したケースとなりました。