交通事故の慰謝料相場

交通事故の慰謝料相場

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

保険会社より事故の慰謝料を提示されたとき、「これは本当に妥当な金額なの?」と疑問を持たれた方は多くいらっしゃると思います。
しかし、「交通事故を数多く扱っているプロだから妥当な金額を提示しているだろう」、「よくコマーシャルなどで聞く名前の保険会社が言うのだから間違いないだろう」と思って、なんとなく提示金額を受け入れていませんか?

実は、交通事故の慰謝料の算定基準には、3つの基準があり、同じ事故の慰謝料でも、どの基準を選ぶかにより、慰謝料の相場が変わります。
相手方の保険会社より提示された額が、実際には妥当な金額ではなかったという可能性は大いにあります。
本記事では、算定基準別の慰謝料の相場、適正な相場で慰謝料を獲得するためのポイントなどについて、説明していきたいと思います。
慰謝料額の相場について気になっている方はぜひご覧ください。

算定方法によって慰謝料の相場は大きく変わる

慰謝料の算定基準には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士基準の3つの基準があります。同じ慰謝料でも、どの基準を選ぶかにより、慰謝料の金額が変わります。
自賠責基準は被害者を最低限救済するための基準であるため、被害者側に過失が無い事故では、最も低額となります。次に任意保険基準ですが任意保険基準は各保険会社が独自に設定する基準で、非公表であり、自賠責基準とほぼ同額か多少高い程度と言われています。

ぜひ知っていただきたいのは、3つ目の基準である弁護士基準です。弁護士基準は過去の交通事故問題の裁判例をもとに作られた基準で、弁護士が代理人となって示談交渉する場合や裁判などにおいて用いられる基準であり、3つの基準の中で、最も高額になります。
具体的には、「損害賠償額算定基準」(通称:赤本)という本に弁護士基準額が記載されています。

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実際に慰謝料の相場を比較してみよう

それでは、具体例をもとに、3つの算定基準により慰謝料相場にどの程度の差が出るのか、比較していきたいと思います。

怪我をした場合の慰謝料相場

下記の具体例をそれぞれの算定基準にあてはめ、慰謝料相場を算出してみたいと思います。(例)入院1ヶ月(30日)、通院3ヶ月(90日)、実通院日数40日

① 自賠責基準
入院1か月、通院3か月で治療期間が120日になるため、自賠責基準での入通院慰謝料の相場は、51万6000円となります。
自賠責基準での慰謝料の計算方法は、

  • 4300円×対象日数=入通院慰謝料

とされているのですが、実際は非常に特殊な計算となっています。

対象日数は、原則的には治療期間となりますが、実際に入院及び通院した日数(実通院日数)が治療期間の2分の1に達しない場合は、計算方法が異なり、実通院日数×2をした日数となります。
分かりにくいと思いますので、

  • 入院期間+通院期間(治療期間)
  • (入院期間+通院期間の中で実際に入院、通院した日数)×2

を比較し、小さい方の数に4300円を掛けると考えてください。
※2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、4200円×対象日数を適用します

②任意保険基準
任意保険基準は非公表ですが、以前使用されていた慰謝料算定表(旧基準)を参照すると、入院1ヶ月、通院3ヶ月の入通院慰謝料額は60万4000円とされており、現在もこれに近い金額を設定する保険会社が多いとされています。

③弁護士基準
弁護士基準では、通常の怪我(別表Ⅰ)と軽症(別表Ⅱ)に分かれた「慰謝料算定表」を参照し、入院期間と通院期間の交わる部分が入通院慰謝料です。
入院1ヶ月、通院3ヶ月で、

  • 通常の怪我(骨折など)➡別表Ⅰより115万円
  • 軽症(他覚所見のないむちうちなど)➡別表Ⅱより83万円

となります。
よって、上記例の場合、弁護士基準の慰謝料額が最も高額になります。

通常の怪我の場合【別表Ⅰ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 AB 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286
むちうち等他覚所見のない比較的軽傷の場合【別表Ⅱ】
入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 A’B’ 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

引用元:「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」

軽傷(擦り傷、打撲等)の慰謝料相場

擦り傷程度の軽傷でも、被害者にとって怖い思いをしたことに変わりありません。
怪我の治療のために通院をしたならば、たとえ通院日数が少なかったとしても、慰謝料を請求することが可能です。

例えば、擦り傷を負い、通院1ヶ月、実通院日数10日の場合、自賠責基準による慰謝料は、4300円×2×10日=8万6000円となります。また、弁護士基準による慰謝料は、算定表の別表Ⅱを参照すると、19万円となります。

後遺障害が残った場合の慰謝料相場

後遺障害が残った場合の慰謝料相場は、下記表のとおり、後遺障害等級別に定められています。
自賠責基準よりも弁護士基準による慰謝料の方が高額になります。なお、任意保険基準は非公表ですが、自賠責基準より多少高い金額を設定する保険会社が多いです。

(後遺障害慰謝料の相場)
後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
1級1,150万円
(1,650万円)
2,800万円
2級998万円
(1,203万円)
2,370万円
3級861万円1,990万円
4級737万円1,670万円
5級618万円1,400万円
6級512万円1,180万円
7級419万円1,000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

複数の後遺障害が残った場合の慰謝料相場は?

複数の後遺障害が残った場合、4級と5級など、複数の後遺障害等級が認定される可能性があります。その場合、認定された等級を併合し、併合後の等級に応じた後遺障害慰謝料を請求することになります。後遺障害等級の併合のルールは下記のとおりです。

①5級以上の後遺障害が2つ以上→最も重い等級を3級繰り上げ
②8級以上の後遺障害が2つ以上→最も重い等級を2級繰り上げ
③13級以上の後遺障害が2つ以上→最も重い等級を1級繰り上げ
④14級の後遺障害が2つ以上→14級のまま

死亡事故の慰謝料相場

自賠責基準による死亡慰謝料は、被害者本人に対する慰謝料と遺族に対する慰謝料の合計額です。
死亡慰謝料を請求できる権利をもつ遺族は、被害者の父母、配偶者、子となります。
なお、下記表は被害者本人と遺族を合わせた死亡慰謝料の合計額になります。

【自賠責基準】
遺族扶養家族なし扶養家族あり
1名950万円1150万円
2名1050万円1250万円
3名以上1150万円1350万円
【弁護士基準】
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他2000万~2500万円

弁護士基準の相場がこんなに高額なのはなぜ?

算定基準別の慰謝料相場をみて、弁護士基準の相場がなぜ高額なのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。弁護士基準は過去の交通事故事件の裁判例をもとに作られた一応の目安の基準であり、被害者にとっての「一応の相場」といえます。すなわち、弁護士基準が高額なのではなく、他の基準が低いということになります。

弁護士基準で慰謝料を獲得したい場合、どうしたらいい?

事故の被害者が弁護士基準の相場で慰謝料を獲得するためには、どうすればいいのでしょうか。適正な慰謝料を請求するためのポイントをいくつか挙げたいと思います。

弁護士へ依頼をする

適正な慰謝料を獲得するためには、弁護士基準により、慰謝料を算定することが必要です。
弁護士基準で慰謝料を請求したい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士が介入すれば、弁護士基準での賠償に相手方が応じる可能性が高くなるでしょう。

通院中の人ができること

適正な慰謝料を請求するためには、怪我の治療に必要な範囲で、適切な通院頻度を保つことが必要です。通院頻度が低すぎたり、もしくは、高すぎたり、症状固定の時期が早かったりすると、入通院慰謝料が低額になり、後遺障害等級認定の際にも不利になるおそれがあるからです。
また、後遺症が残りそうな場合は、後遺障害等級認定を見据えた治療や検査を受けておくことも必要になるでしょう。

適正な通院頻度を保つ

適正な通院頻度は、怪我の状態や治療状況などにより異なります。仕事や家事でなかなか通院できないという方もいらっしゃるかもしれませんが、主治医と相談しながら、怪我の治療に必要な範囲で、適切な通院頻度を保つことが必要です。
例えば、交通事故で最も多いとされる、むち打ち症の場合は、主治医の指示のもと、週2~3回、1ヶ月に10日程度、怪我が完治または症状固定まで通院することをおすすめします。
なお、過剰に通院日数が多いと、治療の必要性を疑われ、治療が早期に打ち切られたり、通院日数としてカウントされなかったりという可能性もあるので注意が必要です。

後遺障害等級を認定してもらう

後遺症について、自賠責保険の後遺障害認定を受けると、後遺障害慰謝料の請求が可能になります。後遺障害等級が上級になるほど慰謝料も増額するため、いかなる等級に認定されるかが重要になります。

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弁護士なら、適正な慰謝料相場に向けて様々な場面でサポートが可能です

これまで、慰謝料の相場についてみてきましたが、弁護士基準を適用すると、大半のケースで慰謝料が増額することがお分かりいただけたと思います。
しかし、被害者自身で弁護士基準による慰謝料を計算し、保険会社に提示したとしても、「これは裁判で使う基準です」などと言われ、拒否される可能性が高いでしょう。

一方、弁護士が示談対応する場合は、基本的には弁護士基準での交渉となるため、高い基準である弁護士基準での賠償金額になる可能性が高まりますので、適正な慰謝料を請求したい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士が介入すれば、慰謝料の計算や示談交渉、必要な資料の収集や手続きなどを代行して行いますし、慰謝料請求に必要な通院頻度や検査のアドバイス、後遺障害診断書作成の際のサポートなどをすることも可能です。
慰謝料の請求についてお困りの場合は、交通事故問題に精通した弁護士が所属する弁護士法人ALGまでお問い合わせください。

寄与分とは、被相続人の財産を維持したり増加させたりするために、特別に貢献した相続人がいた場合には、遺産分割の際に、その貢献した度合いに応じて認められる法定相続分に上乗せした相続分の増額分をいいます。
本ページでは、この寄与分を請求するにあたり期間制限があるのか、2019年の民法改正時に新しく創設された特別寄与料について解説します。

まずは知っておきたい「寄与分」の意味

寄与分とは、家業を手伝ったり、介護を行ったり、金銭の給付をしたりするなどして、被相続人の財産を維持したり増加させたりする特別の貢献をした場合に、遺産分割の際にその貢献度を上乗せして分割の方法を決めることが出来るものです。
もっとも、これは、法律で定められている相続人(法定相続人)が行った貢献度合いに限られています。

寄与分が認められるための要件

寄与分とは

寄与分は、だれでも認められるものではなく、条件があります。

①法定相続人であること
いくら被相続人の財産の維持増加に貢献したとしても、被相続人の法定相続人でなければ、認められません。

②財産が維持・増加していること、財産の維持・増加と因果関係があること
被相続人の財産の増加に貢献している必要があります。

③期待を超える貢献があること
親族間では通常相互に協力することが想定されていますので、この通常考えられる貢献を超えた特別の貢献をしている必要があります。

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寄与分に時効はあるのか?

寄与分の請求をするにあたって、時効はありませんので、過去の寄与分を主張することも可能です。
ただし、寄与分は遺産分割の協議をする中で主張をしますが、遺産分割協議が完了するとその遺産分割の内容を後から覆すことはできないので、寄与分の主張を遺産分割協議が完了した後に求めることはできなくなります。
そのため、寄与分の請求に時効はないものの、実質的には遺産分割協議中に請求をしないといけません。

昔の寄与分が認められにくいのは本当?

寄与分の主張は、時効がないので、過去にさかのぼって主張をすることは可能です。
もっとも、あまり昔の寄与分を主張しようとすると、その詳しい内容を覚えていなかったり、貢献の内容を客観的に示す資料がなかったりして、その立証が難しくなり、寄与分が認められにくくなる危険があります。そのため、寄与分を主張するのであれば、その資料や記録は残しておいた方が良いですし、寄与の内容はなるべく早めに主張をすることをお勧めします。

「特別寄与料」には期限があるため注意!

2019年7月1日施行の民法改正にあたり、特別寄与料という制度が新たに創設されました。法定相続人ではない者が、被相続人の財産の維持、増加に貢献した場合に、その貢献を考慮するための制度です。特別寄与料を求めるためには、①被相続人の相続人ではない、②無償で労務を提供したこと、③②によって被相続人の財産の維持、増加に特別に寄与したことが要件となります。
この特別寄与料という制度は、寄与分とは異なり、主張における期間制限があり、注意が必要です。

特別寄与料の消滅時効

特別寄与料には、特別寄与者が「相続の開始及び相続人を知った時」から「6か月」経過したときに消滅時効となります。消滅時効とは、権利を有していても、一定期間行使しないことでその権利が消滅してしまう制度ですので、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月経過したときには、特別寄与料を請求する権利があったとしても、その主張をすることが出来なくなります。

特別寄与料の除斥期間

特別寄与料の請求には、消滅時効の他に、「相続開始の時か」ら1年を経過したときに除斥期間となります。除斥期間は、法律で定められている期間を経過すると、当然にその権利が消滅する制度で、消滅時効とは異なり、この期間を伸長することはできません。そのため、「相続の開始」から1年を経過すると、特別寄与料を請求することは完全にできなくなってしまいます。

寄与分を主張するためのポイント

寄与分は、遺産分割の内容にも大きく影響を与えるものですので、なるべくはやい段階で主張をする必要があります。そして、共同相続人間で、当該寄与分について争いがない場合に問題はないですが、争いが発生することを想定して、その根拠となる証拠を集める必要があります。
弁護士にご相談、ご依頼いただければ、寄与分の的確な主張や証拠収集のサポート、証拠に基づく寄与分に関する主張を行うことが出来ます。

寄与分を請求する流れ

寄与分を主張する方法

寄与分は、遺産分割協議の中で取り決めを行うことになります。
遺産分割は、まずは、共同相続人間で遺産分割協議を行います。当事者間の遺産分割協議で合意ができない場合には、裁判所で行う遺産分割調停を申し立て、調停内で協議を行います。調停でも合意ができない場合には、裁判官が判断する遺産分割審判の中で判断をすることになります。
寄与分も、この手続きの流れの中で行うことになります。

よくある質問

遺産分割協議後に寄与分を主張することはできますか?

遺産分割協議は、法的安定性の観点から、一度協議が成立した後に遺産分割協議をやり直すことはできません。例外的に、共同相続人の全員がやり直すことに合意をした場合、遺産分割協議において相続人が騙されたり脅迫されたりした場合など限定されています。
寄与分は、遺産分割協議の中で主張をするため、限定的な場合を除いて、遺産分割協議が成立した後には寄与分の主張をすることはできません。

特別寄与料の時効を延長することは可能ですか?

特別寄与料の消滅時効は、時効の完成猶予、時効の更新等を行うことで時効の延長をすることは可能です。他方で、特別寄与料の除斥期間は、当然に権利が消滅するので、時効を延長することはできません。

夫の親(被相続人)を介護した妻にも寄与分は認められますか?

特別寄与料は、被相続人の相続人であることが要件です。夫の親の妻は、被相続人の相続人ではないので、寄与分は認められません。
他方で、特別寄与料の請求あれば、妻は、被相続人の相続人ではありませんが、被相続人の親族にあたるため、請求することが出来ます。
夫の妻が配偶者の親の介護をすることはよくあるものの、その貢献が評価されないのでは不公平であることから、新設された特別寄与料の制度が設けられました。

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寄与分はできるだけ早い段階で主張することをおすすめします。まずは弁護士にご相談下さい。

寄与分には時効はありませんが、証拠収集が可能な段階で集めておく必要や記憶喚起の必要があることから、なるべく早めに主張した方が良いですし、証拠の収集などその準備も早めに進める必要があります。
新設された特別寄与料には、消滅時効だけでなく、時効の延長が認められない除斥期間も定められているので、相続の開始を知った場合には速やかに対応する必要があります。
寄与分も特別寄与料も、早め早めの対応が大切ですので、相続財産への貢献があると考えておられる方はお早めに弁護士へのご相談ください。

相続における寄与分とは、複数の相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について特別な貢献をした人(寄与者)がいた場合、遺産分割にあたって、その寄与者が取得できる遺産を増額させる制度です。
寄与分として認められる行為には主に5つの類型があります。この記事では、そのうちの「家事従事型」と呼ばれる類型について解説します。

家事従事型の寄与分とはどんなもの?

家事=炊事洗濯ではない。家事従事型の具体例

家事従事型の「家事」とは、炊事洗濯といった意味ではなく、「家業」や「事業」を意味します。
具体例としては、以下のようなケースが挙げられます。

  • 農業を営む父の手伝いを、長期間にわたってほぼ毎日無償で行い、農地からの収穫を維持できるようにした。
  • 母が開業したブティックにおいて無償で勤務して経営を支え、売り上げの大幅な増加に貢献した。
  • 配偶者が経営する診療所で、週5日ほぼ無給で医師として勤めた。

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寄与分を認めてもらう要件

寄与分が認められるための要件は、以下のとおりです。
①相続人自らの寄与があること、②当該寄与行為が特別の寄与に当たること、③被相続人の遺産が維持または増加したこと、④寄与行為と被相続人の遺産の維持または増加の間に因果関係があること。

家事従事型の独自の要件

寄与分の一般的な要件に加えて、家事従事型で求められる要件は以下のとおりです。

  • 無償ないしこれに近い状態で行われていること(無償性)
    提供した労務に見合うだけの報酬が支払われていた場合は、寄与分として認められません。
  • 労務の提供が長期間継続していること(継続性)
    一時的な手伝いではなく、一定期間継続する必要があります。
  • 労務の内容がかなりの負担を要するものであること(専従性)
    専業であることまでは求められませんが、片手間ではできず、一定の負担を要する労務である必要があります。

通常の手伝いをした程度では認められない

相続人が、ただ単に被相続人の営む農業や商工業などの手伝いをしたことがあるという程度では、寄与分が認められる可能性は、非常に低いです。
そもそも、親族間には民法上の扶養義務があるため、通常の手伝いや身の回りの世話をしたという程度では、親族としての扶養義務を果たしたにすぎないと評価されてしまい、寄与分は認められません。

「特別の寄与」として寄与分が認められるか否かを判断するためには、被相続人との関係(夫婦、親子、兄弟姉妹等)、労務の提供の内容、これに伴う報酬の有無及び内容等を具体的に検討する必要があります。

家事従事型の寄与分を主張するためのポイント

家事従事型の寄与分を主張するためのポイントとしては、以下のような項目が挙げられます。

  • 労務を提供するようになった経緯
  • 労務の具体的内容、時期、頻度、1日のうち労務に充てた時間
  • 被相続人との同居の有無(同居していた場合、生活費等は誰が負担していたか)

これらの事情を総合的に考慮して、「特別の寄与」があったか否かを判断することとなります。

こういったものが証拠になります

家事従事型の寄与分を主張する際には、以下のようなものが証拠となり得ます。

労務の実態が分かる資料:
労務の内容を裏付ける日記、業務日報、タイムカード、電子メール、他の従業員の供述等
無償性(又はこれに近い状況)を裏付ける確定申告書、給与明細書、預貯金通帳等

被相続人の財産の推移が分かる資料:
被相続人の確定申告書、領収書、預貯金通帳、会計帳簿等

家事従事型の寄与分に関する裁判例

家事従事型の寄与分については、具体的な事情を考慮する必要があります。以下、裁判例をご紹介します。

相続人以外の寄与分が認められた裁判例

東京高裁平成22年9月13日決定
被相続人Aは,相続人Bの妻であるCが嫁いで間もなく脳梗塞で倒れ、半身となりました。
CによるAの入院期間中の看護、その死亡前の介護は、本来家政婦などを雇って当たらせることを相当とする事情の下で行われ、それ以外の期間についても入浴の世話や食事及び日常の細々とした介護が13年余りの長期間にわたって継続して行われました。こうしたCによるAの介護は、同居の親族の扶養義務の範囲を超え、Bの履行補助者として相続財産の維持に貢献したものと評価することが相当と判示し、寄与分を認めました。

家事従事型の寄与分が認められなかった裁判例

札幌高等裁判所 平成27年7月28日決定
相続人Bは、被相続人Aの求めに応じて被相続人の経営していた簡易郵便局に夫婦で勤め、2人で月25万円から35万円の給与を得ていましたが、この給与は、当時の賃金センサスによると、大卒46歳時の平均給与の半分にも満たない低い金額でした。
しかし、Aが引退するまでの間の業務主体はAであったこと、給与水準は事業の内容・企業の形態・規模・労働者の経験・地位等の諸条件によって異なること、B夫婦はAと共に住んでおり、家賃や食費はAが支出していたことをも考慮すると、Bは郵便局の事業に従事したことにより相応の給与を得ていたというべきであると判断され、寄与分は認められませんでした。

家事従事型の寄与分の額はどのように決めるか知りたい

家事従事型の寄与分額は、基本的に、以下のような算式で求めた金額が目安となります。
寄与者が通常得られたであろう年間の給付額×(1-生活費控除割合)×寄与年数-現実に得た給付
「寄与者が通常得られたであろう年間の給付額」は、相続開始時(被相続人が亡くなったとき)における、家業と同種同規模の事業に従事する、寄与者と同年齢層の年間給与額を基準にします。実際には、賃金センサス等を参考にすることが多いです。
また、寄与者が被相続人と同居しており、家賃や食費を支払わずに済んでいた場合、被相続人から利益を得ていたとみなされるため、その分が「生活費控除割合」に換算され、控除されます。さらに、少額であっても現実に給付を得ていたようであれば、その分についても控除されます。
ただし、寄与分を決める際には、寄与の時期や方法、程度、相続財産の額といった一切の事情が考慮されるため、上記の計算式によって算出した額からさらに調整される可能性があります。

家事従事型の寄与分に関するQ&A

夫の飲食店を無償で手伝っていたが離婚しました。寄与分は認められますか?

寄与分が認められるのは、法定相続人(民法で定められた相続人)に限られます。被相続人の配偶者であれば必ず法定相続人になれますが、相続開始時にすでに離婚していた場合は、法定相続人とは認められません。そのため、過去にどんなに負担の大きい労務を無償で提供していたとしても、離婚した人には寄与分が認められないどころか、相続権もないので、一切の遺産を受け取ることができません。

長男の妻として農業を手伝っていました。寄与分は主張できるでしょうか。

被相続人の長男の妻(被相続人の子の配偶者)は法定相続人ではないため、寄与分は認められません。
ただし、無償で農業を手伝うことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、相続人に対し特別寄与料(民法1050条1項)の支払を請求できる可能性があります。

夫の商店を手伝いながら、ヒット商品の開発にも成功しました。寄与分を多くもらうことはできますか?

単に被相続人の事業を手伝うだけでなく、ヒット商品を開発するなどして、被相続人の財産の維持又は増加に大きく貢献したような場合、その貢献の程度に応じて寄与分が認められる可能性があります。
ただし、寄与分の具体的な金額については、その貢献の程度や、遺産の総額に左右されます。

父の整体院を給与無しで手伝っていました。小遣いを月4万円もらっていたのですが、寄与分は請求できるのでしょうか?

被相続人の整体院を無給で手伝うことが日常的であり、長期間にわたっていた場合、その整体院従業員の標準的な賃金に相当する額が、寄与分として認められる可能性があります。
ただし、小遣いを月4万円もらっていたという点については、その総額が現実に得た給付額として控除されます。

父の会社に従業員として勤めて経営を支えていた場合、寄与分は認められますか?

寄与分が認められる被相続人の事業とは、基本的には個人事業を想定しており、被相続人が設立した法人や、取締役等を務める法人を含まないのが原則です。法律上、個人と法人は別人格として扱われるため、会社内での従業員としての貢献は、被相続人の財産に対する貢献ではなく、会社の財産の維持・増加に貢献したものと評価されます。したがって、この場合は、寄与分は認められにくいものと考えられます。

無給で手伝っていましたが、たまの外食や旅行等に行く場合は費用を出してもらっていました。
寄与分の主張はおかしいと言われましたが、もらうことはできないのでしょうか。

親族であれば、たまの外食や旅行等にかかる費用を、割り勘にせずに一部の人のみが負担することもあり得るものです。そのため、被相続人の事業を無給で日常的に手伝っている者が、被相続人にときどき外食代や旅行代等を支払ってもらっていたという程度であれば、寄与分額の算定で控除すべき対象と評価される可能性は低いと考えられます。
ただし、被相続人と同居し、家賃や食費をほぼ被相続人が負担していたような場合は、寄与者の利益として控除となるでしょう。

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ご自身のケースが寄与分として認められるか、弁護士へ相談してみませんか?

これまで述べてきたように、寄与分が認められるための要件を満たすことができるかどうかといった点や、具体的な主張・立証方法については、なかなか判断が困難な面があります。
しかし、寄与分は、 相続人が被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与・貢献をした場合に、その相続人が取得できる遺産を増額させるという制度であり、公平の見地から認められているものです。あなたがこれまで被相続人のために尽くされたのであれば、その努力は正しく評価されるべきです。
寄与分について判断に迷ったり悩んだりしたときは、是非、弁護士にご相談ください。

夫婦が離婚するとき、2人で積み上げた財産を分ける「財産分与」という手続を行います。

では、離婚時には支払われていない退職金は、財産分与の対象となるのでしょうか。長期間勤めた場合、一般的に退職金は高額になることから、退職金を分与するか否かは、離婚時の大きな懸念点になります。

今回は、退職金が財産分与の対象になるのか、また、対象になるとしてどのように分配されるのかについてご紹介していきます。

退職金は財産分与の対象になる?

結論から言うと、退職金は財産分与の対象になります。なぜなら、退職金は、給与の後払い的な性格があるからです。働いた対価である給与を、働いている間にもらうか、退職後にもらうかで、給与としての性質に差はないと言えます。

ただし、財産分与は夫婦で積み上げた財産の清算ですから、退職金の全額が財産分与の対象となるわけではありません。財産分与の対象となるのは、働いていた期間と、結婚していた期間が重なる部分に限られます。

自己都合かどうかによる影響はあるか

離婚時に自己都合退職したと仮定して退職金を計算する場合、定年まで勤めて退職金を受け取る場合と比べ、金額は低くなります。定年まで長期間を残して離婚する場合、確実に定年退職基準の退職金を受け取れるかは分かりません。そのため、財産分与の基準時点である別居開始日に自己都合退職したとして退職金を計算するのが一般的です。

ただし、熟年離婚する場合など、定年まであまり期間がない場合には、定年退職時を基準に計算することもあります。

退職金を財産分与するときの計算方法

退職金をどのように財産分与するかについて、すでに退職金が支払われている場合と、まだ退職金が支払われていない場合では計算方法が異なります。そのため、それぞれのパターンに分けてご紹介します。

すでに支払われている退職金について

すでに退職金が支払われている場合、通常は銀行口座等に入金され、預貯金の形で残っていることが多いでしょう。この場合は、預貯金として財産分与の対象になります。
婚姻期間に退職金が支払われたとしても、実際に分与の対象となるのは、その内の婚姻期間に相当する部分だけです。

具体的な計算方法は、分与される退職金=支給される退職金×婚姻期間÷就業期間 となります。
ただし、財産分与の対象となる共有財産は、別居時に存在している財産だけです。そのため、別居時までに受け取った退職金が消費されていた場合、財産分与できる退職金はないことになります。

まだ支払われていない将来の退職金について

すでに説明したように、現時点で退職金が支払われていない場合、将来定年まで勤めあげて退職金を受け取れるかは決まっていません。そのため、離婚時点において、定年までの期間が長く、定年退職金を受け取ることが確実とは言えない場合には、現時点で自己都合退職したとして、退職金を算定するのが一般的です。

他方、定年までの期間が短く、定年退職金を受け取る可能性が高い場合には、定年退職すると仮定して計算することもあり得ます。この場合、将来受け取るはずの金額の前渡しを受けることになりますから、その分の利息が差し引かれることになります。
ただし、婚姻期間中に別居していた場合、その期間は夫婦で財産を形成したとは言えませんから、財産分与の対象から外れることもあり得ます。

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退職金の請求方法

話し合い

まだ同居している場合、話合いによって退職金の分与を決めることになるでしょう。分与を求める側としては、相手が退職金を受け取る予定があるのか、また、退職金をどのように計算するのかを聞いておく必要があります。

別居している場合、LINEやメール等で交渉するか、直接話し合う場合は第三者の目がある場所が良いでしょう。話合いがまとまったら、話合いの内容を公正証書に残しておくと、後々のトラブルを回避しやすくなります。

離婚調停での話し合い

話合いがまとまらなければ、調停手続に移行することになります。
これから離婚をする段階であれば、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、離婚と一緒に財産分与についても協議することができます。

すでに離婚しており、財産分与のみを協議したい場合には、財産分与請求調停を申し立てることになります。調停では、調停委員という第三者を交えて話し合うため、当事者同士の話合いと比べて、客観的かつ冷静に協議することが期待できます。
調停を申し立てるためには、申立書、戸籍謄本、夫婦の収入に関する資料等を揃える必要があります。

調停のあとは離婚裁判

離婚調停でも協議がまとまらなければ、離婚裁判によって決めることになります。
当事者だけの協議や調停委員を交えた調停と違い、裁判は、証拠に基づいて裁判官が判断を下す手続です。そのため、退職金の財産分与を求める側が、自分の主張が認められるように証拠を集め、提出することになります。

財産分与で退職金がもらえる割合

財産分与の割合は、預貯金や退職金など、財産の種類に関係なく基本的に2分の1ずつです。これは、一方が専業主婦で、婚姻期間中一切収入がなかったような場合でも変わりません。なぜなら、専業主婦として家庭内の仕事を負担したことによって、夫婦の財産の形成に貢献したという点では同じだからです。

退職金の仮差押

相手が受け取った退職金が、知らない間に使われることを防ぐために、「仮差押え」という手続をとることができます。

よく似た言葉に差押えというものがありますが、こちらは、すでに裁判で勝訴判決をもらっている場合等に、相手の所有している財産を強制的に確保することです。
これに対して、仮差押えとは、将来財産分与する際の財産を確保しておくために、今ある財産の処分を禁止する手続です。
これは、調停とは別途裁判所に申立てを行う必要があります。

仮差押の方法

仮差押えを行うためには、裁判所に仮差押えの申立てをする必要があります。

申立てをする際には、「どのような権利を保全するのか」、「なぜ保全する必要があるのか」という事情を説明する必要があります。なぜ保全する必要があるのかという理由については、今仮差押えをしないと相手に浪費されてしまい、将来財産分与をするときまで財産が残っていないということを具体的に説明しなければなりません。説明のために、裁判官と面接をする場合もあります。

また、仮差押えの手続を取るためには、仮差押えの対象となる財産の2割から3割を担保金として納めなければならないことには注意してください。

退職金についてのQ&A

夫が公務員の場合、退職が10年以上先でも財産分与してもらえるの?

公務員の場合、倒産のおそれが基本的にはなく、退職金が支給されることはほぼ確実です。また、変動の幅も少なく、金額についての予測可能性も高いため、退職が10年以上先でも、退職金が財産分与の対象となる可能性が高いです。

もらえる予定の退職金を財産分与で前払いしてもらうことは可能?

相手が公務員や、大企業に勤めている場合など、退職金をもらうのが確実といえるときには、財産分与を前払いでもらうことも可能です。
反対に、相手が中小企業に勤めていて、退職金が支給されることが確実とは言えない場合には、前払いでもらうことは難しくなります。
また、相手の資力が十分でない場合には、離婚時に支払ってもらうことは困難ですから、将来退職金が支払われたときに支払うという合意をすることも考えられます。その場合は、公正証書などの形に残して、確実に支払いが行われるようにした方が良いでしょう。

別居中に相手に退職金がでていることがわかりました。財産分与できますか?

別居中でも、婚姻関係が続いていた場合は、別居期間中に支払われた退職金も財産分与の対象になり得ます。
しかし、財産分与は、婚姻期間中に共同で積み上げた財産が対象です。そして、別居期間は、婚姻期間には含まれません。そのため、退職金のうち、別居期間の占める割合部分については、財産分与の対象とはならないので、ご注意ください。

共働きの夫婦が離婚するときも退職金は財産分与の対象ですか?

共働きの夫婦でも、退職金が財産分与の対象にならないというわけではありません。そのため、夫婦両方に退職金が支払われる場合には、退職金を合算した金額が財産分与の対象になります。ただし、この場合も確実に支給されるかという点を考慮し、婚姻期間に相当する部分のみが財産分与の対象になるので、片方だけに退職金が支払われる場合と比べて計算が複雑になる可能性があります。

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退職金は財産分与の判断が難しいので弁護士に相談して確認してもらいましょう

退職金の金額は、一般的に高額になることが多いです。また、まだ退職金が支払われていない場合は、「退職金が確実に支払われるのか、財産分与の対象になるのはいくらなのか」という点が争われることも多く、交渉は難航します。
弁護士であれば、退職金の調査、相手との交渉、裁判所での主張等の手続を代わりに引き受けることで、適切な財産分与を行うことができます。離婚では、一方的に不利な条件で合意してしまわないように、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、必要な交渉や調査を依頼してください。弁護士法人ALGでは、経験豊富な弁護士が、ご要望に合わせた解決方法をご提案いたします。

「付き合っていた頃は優しかったのに、結婚後に豹変し、何かにつけて暴力をふるう相手。別れたいけど、仕返しが怖い・・」
配偶者からDVを受け、離婚を考えている方はいらっしゃいませんか?
どんな理由であれ、配偶者からのDVは許されません。

DVの被害を受けているならば、まずは身の安全を確保したうえで、第三者を介した離婚を目指すべきです。ただし、DV加害者と離婚する場合は、証拠集めなど事前の準備と適切な手順を踏むことが必要となります。何も準備せずに別居や離婚交渉を始めると、ご自身に不利な結果となる可能性があるため注意が必要です。
この記事では、DV加害者と離婚するために知っておくべきことについて解説していきます。

DV加害者と離婚する方法

DV加害者と安全に離婚するためにとるべき手順や注意点について、以下でご説明します。

まずは身を守るために別居する

DV加害者へ離婚を切り出す前に、まずはご自身の身を守るためにも別居しましょう。同居したまま離婚を切り出すと、逆上されて暴力を振るわれる可能性があるからです。
なお、別居の準備は、相手に感づかれないよう進める必要があります。

接近禁止命令の発令を検討する

別居後も、身の危険を感じる場合は、裁判所から相手に「接近禁止命令」を発令してもらうという方法があります。
接近禁止命令とは、DV加害者による被害者身辺へのつきまとい、住居や勤務先周辺でのうろつきを6ヶ月間禁止する命令です。違反した者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるため、暴力は辞めようという心理が相手に働くことが期待されます。
裁判所に接近禁止命令を申し立てる場合は、事前に警察署や相談支援センターに相談するか、もしくは公証役場で宣誓供述書を作成する必要があります。そのうえで、DV被害の証拠も提出しなければなりません。例えば、ケガの写真、医師の診断書、DVの音声・動画データ記録などが挙げられます。

DVシェルターは一時的にしか使えない

DV被害者が一時的に避難できるDVシェルターもあります。しかし、DVシェルターは、生命や身体への危険があるなど、緊急性が認められる場合でないと入居できません。
また、DVシェルターは一時的な保護施設であるため、入居できる期間は、基本的に数日から2週間程度となります。
身の安全を守りながら相手と離婚するには、別居状態の継続が必要となります。そのため、DVシェルターを利用する場合は、シェルターを出た後にすぐ住める場所を確保しておくことが望ましいでしょう。

DVの証拠を集める

DV加害者は外面が良く、世間体を気にして離婚を拒否する者が多いため、夫婦間の離婚の話し合いは難航することが予想されます。協議や調停で合意できなければ、離婚裁判へと進むことになります。
裁判で、DVによる離婚と慰謝料の支払いを認めてもらうには、DVを受けていたことを証明する証拠の提出とその立証が必要となります。具体的には、以下のような証拠を集めなければなりません。

診断書

医師による診断書は、DVの有力な証拠になり得ます。
配偶者の暴力によりケガをした場合や、度重なる暴言を受けて過呼吸やうつ病等になった場合は、早めに外科や心療内科などの病院を受診し、医師に診断書の作成を依頼しましょう。
診断書には、「受診日」「傷病名」「ケガを負った経緯」「ケガの症状や程度」「要治療期間」などを記載してもらいます。ケガが複数ある場合は、ケガの大小にかかわらず、すべてのケガを医師に申告することが必要です。また、必ず医師に「DVにより負ったケガ」であることを伝えましょう。DVの話をするのは気が引けるかもしれませんが、DVが原因であることが診断書に記載されれば、証拠としてより有効な診断書になるからです。

怪我の写真

DVにより負ったケガの写真も、有力な証拠となり得ます。自分自身のケガであることを証明するため、顔とケガを一緒に写した写真と、ケガの部分を拡大して写した写真、いずれも撮って残しておきましょう。また、後から見た時に、いつ何を撮ったのか判断できるよう、写真に日付や写真の内容を説明するメモを添付しておくと良いでしょう。
さらに、新聞やテレビ画面など、撮影日の証拠となるものを一緒に撮ると、証拠としての有効性が高まります。ただし、デジタルカメラを使うと加工を疑われる場合があるため、使い捨てカメラなどのフィルムカメラで撮影するのが望ましいでしょう。

音声・動画

DV行為を受けているときの音声・動画データも、有効な証拠になり得ます。
この場合、被害者と加害者が誰なのか、はっきりとわかる内容で記録することが重要です。
例えば、両方の姿が映っている動画や、互いの名前を呼ぶ声が入った音声などの記録が挙げられます。
なお、DV行為中にとっさに録音することは困難ですから、あらかじめ、服のポケットの中など相手に気づかれない所にICレコーダー等を忍ばせて、いざという時に使うことをおすすめします。常時録音にしておくという方法もあります。

DVを受けたことが記載してある日記

DVの証明として、日記をつけておくことをおすすめします。日記には、「DVを受けた日時や場所」「DVの内容」「ケガの症状」等について、具体的に書いておきましょう。また、日記の内容を後から書き直してはいけません。証拠としての有効性が低くなるからです。
ただし、日記だけではDVの証拠として不十分です。あくまで、日記は、写真や音声・動画データ、診断書などの証拠を補てんするためのものであるとご理解下さい。

警察や配偶者暴力相談支援センター等への相談記録

DVを受けた際には、警察や配偶者暴力相談支援センター、女性センター等の公的支援機関に相談しましょう。
これらの相談記録は、DVを受けていたことの有効な証拠となるだけでなく、接近禁止命令の申立てやシェルターの利用にも必要とされているからです。

経済的DVを受けている場合

経済的DVとは、相手の金銭的な自由を奪い、経済的・精神的に追い詰める行為のことです。経済的DVの例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 収入があるのに、相手に生活費を全く又はほとんど渡さない
  • 相手に専業主婦(主夫)であることを強要し、外で働かせない
  • 特別の理由なく一切働かない
  • ギャンブルや趣味など浪費のために借金を繰り返す
  • 相手に対し、お金の使い道を必要以上にチェックし、自由に使わせることを認めない

また、経済的DVの証拠になるものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 生活費が振り込まれていないことが分かる銀行通帳
  • 加害者の浪費が分かるクレジットカードの利用明細書
  • 加害者の借金の契約書や督促状
  • 「生活費を支払うつもりはない」など、お金に関する加害者の暴言が録音された音声

離婚の手続きを進める

離婚する場合、まずは夫婦間で離婚について協議し、話し合いがまとまらない場合は、離婚調停を申し立て、調停委員を介した話し合いを行います。調停で合意できなかった場合は、裁判を起こし、裁判所に離婚や離婚条件についての判断をゆだねることになります。
しかし、DVを理由とする離婚の場合は、相手と話し合うこと自体が難しく、相手が離婚に応じないケースも多いため、調停、裁判へと進む可能性が高いといえます。

相手が離婚してくれない場合

相手が離婚に応じない場合は、まずは家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員の仲介のもとに話し合いを進めていきます。調停を有利に進めるには、DVの証拠を準備し、DVの被害の実情を訴え、調停委員を味方につけることが役立ちます。
また、調停が不成立となった場合は、離婚裁判へと進むことになります。裁判で離婚を認めてもらうには、相手のDV行為が法定離婚事由(婚姻を継続し難い重大な事由)にあてはまることを、客観的な証拠にもとづき立証しなければなりません。
これらの作業には法的知識が必要とされるため、ご自身だけで調停・裁判を戦うのは難しいといえます。有利な条件で離婚したいならば、法律の専門家である弁護士を介入させることをおすすめします。

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DVで離婚するときは慰謝請求ができる

DVで離婚する場合、DVの証拠があれば、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
DV離婚の慰謝料の相場は、50万~300万円程度となります。
ただし、具体的な慰謝料額は、以下のような点を考慮し、総合的に判断されます。

  • DVの回数・頻度・期間
  • DVによるケガの症状や程度
  • 夫婦の婚姻期間の長さ
  • 養育が必要な子供の有り無し・人数
  • DV被害者の落ち度(浮気をした、喧嘩を吹っ掛けたなど)
  • DVによりうつ病、パニック障害になった

親権をDV加害者にとられる可能性はある?

DV加害者が配偶者にDVを行っていたとしても、子供に対してDVを行っていないのであれば、DV加害者に親権をとられる可能性はあります。なぜなら、離婚後の親権は「子供との関係が良好で、かつ子供の世話を中心的にしている方」に認められることが多いからです。そのため、DV加害者に親権を取られないようにするためには、相談者も積極的に育児に参加するなどの努力が必要となります。
ただし、子供にもDV被害が及んでいる場合は、子供の健全な成長を妨げるリスクがあるため、相談者が親権をとる可能性が高くなります。

DVで離婚した場合でも面会交流はしなければいけない?

DVによって離婚した場合でも、DV加害者が子供に対してDVを行っていなかったのであれば、面会交流は認められるのが基本です。しかし、面前DV(子供が見ている前で行われるDV)のトラウマで、子供がDV加害者に恐怖感を抱き、面会交流を拒否しているような場合は、子供への精神的ダメージを考慮し、面会交流を拒否できる可能性があります。
なお、面会交流について、DV加害者と争いになった場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てるという方法があります。

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DV加害者と離婚したい場合は弁護士にご相談ください

DV加害者と離婚する場合、夫婦間だけで話し合いを進めると、相手が離婚を拒否したり、逆上されて暴力を振るわれたりする可能性があるため、注意が必要です。
そのため、DVによる離婚を目指したいのであれば、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士は、接近禁止命令の申立て、DVの証拠集め、DV加害者との交渉、調停への同席や裁判の出廷など、様々な状況においてサポートを行い、有利な条件で離婚できるよう尽力することが可能です。
弁護士法人ALGは、これまで数多くの離婚問題を解決してきました。DV被害から抜け出し、人生の新たなスタートを踏み切れるよう全面的にバックアップいたしますので、ぜひ弁護士法人ALGにご相談ください。

交通事故による損害賠償において、「慰謝料」という言葉を耳にしたことはありませんか。
これは、事故によって受けた精神的苦痛に対する賠償のことを指し、治療費などと同様、賠償金の一部になりますので、加害者に請求することが可能です。
慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準と3つの基準があり、同じ事故の慰謝料でも、どの基準を選ぶかにより、金額が変わります。
ここでは、自賠責基準と弁護士基準を用いて、具体例を使いながら、慰謝料額にどの程度の差が出るのか、確認していきます。

慰謝料の計算方法は算定基準により異なる

慰謝料の算定基準には以下3つの基準があります。同じ事故の慰謝料でも、どの基準を採用するかにより、慰謝料の金額が変わります。

①自賠責基準
自賠責基準は被害者を最低限救済するための基準なので、最も低い基準となることが多いです。

②任意保険基準
保険会社が独自に設定する基準で、非公表であり、自賠責基準とほぼ同額か多少高い程度と言われています。

③弁護士基準
過去の交通事故問題の裁判例をもとに作られた基準で、3つの基準の中で最も高い基準になります。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料とは、事故によりケガを負い、入院や通院を強いられた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことをいいます。具体的にどのように計算されるのか、自賠責基準と弁護士基準を用いて、基準別の計算方法を解説します。

自賠責保険基準の計算方法

自賠責基準の場合、入通院慰謝料の計算式は下記のとおりとなります。

4300円×対象日数(※)=入通院慰謝料

※①入院期間+通院期間(入通院期間)と②入院期間+通院期間の中で実際に入院、通院した日数×2を比較し、小さい方の日数を対象日数とします。
※2020年3月31日以前に発生した事故の場合は4200円×対象日数を適用します。

入院10日間・通院期間6ヶ月(180日)のうち90日通院した場合の計算例

下記例を、自賠責基準の計算式にあてはめてみましょう。

(例)入院10日間・通院期間6ヶ月(180日)のうち90日通院した場合

①(2020年4月1日以降に発生した事故の場合)
入院期間+通院期間は190日、実際に入院、通院した日数は10日+90日=100日となります。
190日<100日×2ですので、190日を対象日数とします。
よって、入通院慰謝料は4300円×190日=81万7000円となります。

②(2020年3月31日以前に発生した事故の場合)
入通院慰謝料は4200円×190日=79万8000円となります。

弁護士基準の計算方法

弁護士基準による入通院慰謝料は、「慰謝料算定表」を参照し、通院日数ではなく、怪我をして通院を開始した日から完治または症状固定日までの通院期間に基づき、算定します。

算定表には2種類あり、以下のように使い分けます。

  • 骨折や脱臼など通常の怪我の場合→別表Ⅰ
  • 他覚所見のないむちうち症や打撲など軽傷の場合→別表Ⅱ

【算定表の使い方】
30日を1月と換算し、入院期間と通院期間が交差する部分の金額が、入通院慰謝料の金額となります。
なお、入院期間や通院期間が1ヶ月未満の場合や、日数を月数に換算し端数が出る時は、日割り計算をし、慰謝料額を算定します。

※ただし、この算定表はあくまで目安です。通院頻度、怪我の部位や程度、治療内容などにより、慰謝料額が増減する可能性がありますので、注意が必要です。

むちうち等の軽傷と重傷の場合で参考にする表が異なる

それでは、算定表を使い、実際に計算の流れをみてみましょう。

  • 骨折など重傷の場合

    (例)骨折、入院10日間・通院期間6ヶ月(180日)のうち90日通院した場合
    ①骨折など重傷の場合は、別表Ⅰを参照します。

    ②入院期間+通院期間は190日となり、190日をひと月30日で換算すると、6ヶ月と10日になります。

    ③まず、別表Ⅰの縦列の通院期間の6月の部分をみると、116万円であることが確認できます。

    ④次に、7月の124万円から6月の116万円を控除したものに、10日/30日を乗じ、端数10日分の金額を出し、2つを合算します。

    6ヶ月分の通院慰謝料  116万円
    10日分の通院慰謝料 (124万円-116万円)×10日/30日≒2万6667円
    190日分の通院慰謝料 116万円+2万6667円=118万6667円

    ⑤上記190日分の通院慰謝料には、入院日数10日分の通院慰謝料が重複してしまっているので、その分を控除します。さらに、10日分の入院慰謝料を加算します。
    118万6667円-(28万円×10日/30日)+(53万円×10日/30日)=127万円

    ⑥よって、入通院慰謝料は127万円となります。

  • 他覚所見のないむち打ち症など軽傷の場合

    ①むち打ち症など軽傷の場合は、別表Ⅱを使い、上記①の例と同様の方法で計算を行います。

    6月分の通院慰謝料  89万円
    10日分の通院慰謝料 (97万円-89万円)×10日/30日≒2万6667円
    190日分の通院慰謝料 89万円+2万6667円=91万6667円

    ②上記190日分の通院慰謝料から入院日数10日分の通院慰謝料の重複分を控除し、入院慰謝料10日分を加算します。

    91万6667円-(19万円×10/30)+(35万円×10/30)=97万円

    ③よって、入通院慰謝料は97万円となります。

表の期間以上の入院・通院があった場合

慰謝料算定表は15ヶ月までしか記載されておりませんので、16ヶ月以降の入院・通院があった場合は、15ヶ月から14ヶ月の差額分の慰謝料を、月毎に加算していくことになります。
具体例をもとに慰謝料計算の流れをみてみます。

①重傷で、入院のみ16ヶ月行った場合
まず、別表Ⅰの横列の入院期間の15月の部分をみると、340万円であることが確認できます。
次に、15月の340万円から14月の334万円を控除し、その差額分を15月の340万円に加算します。
340万円+(340万円-334万円)=346万円
よって、入通院慰謝料は346万円となります。

②重傷で、通院のみ16ヶ月行った場合
別表Ⅰの縦列の通院期間の15月の部分をみると、164万円であることが確認できます。次に、15月の164万円から14月の162万円を控除し、その差額分を15月の164万円に加算します。
164万円+(164万円-162万円)=166万円
よって、入通院慰謝料は166万円となります。

通院日数が少ない場合

【自賠責基準】
実際に通院した日数を2倍した日数が通院期間の日数に満たない場合は、実通院日数×2が慰謝料算定の基準となりますので、実通院日数が少なくなると、慰謝料が減額される可能性があります。

【弁護士基準】
通院期間が長期でも、実際に通院した日数が少ない場合には、怪我の症状や通院頻度等をふまえ、重傷の場合は実通院日数の3.5倍程度、他覚所見のないむち打ち症など軽傷の場合は実通院日数の3倍程度が慰謝料算定のための通院期間とされる場合があります。

リハビリの通院について

事故によりケガを負い、リハビリが必要になる場合があります。このリハビリのための通院は、入通院慰謝料の算定のための通院期間に含まれます。
ただし、症状固定後にリハビリで通院した場合、その部分の通院は、基本的には、通院期間に含まれません。なお、症状固定とは、これ以上治療やリハビリを続けても、症状の改善が見込めない状態になったことをいいます。
しかし、症状固定後であっても、リハビリをしないと症状が悪化する等の事情がある場合には、例外的に通院期間に含まれる場合があります。保険会社との交渉次第になりますので、争いになった場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
なお、症状固定後、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を受ければ、後遺障害慰謝料を請求することが可能になります。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料とは、事故により後遺障害が残ってしまった場合の精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。後遺症について、自賠責保険の定める後遺障害等級認定を受けた場合に、請求可能となります。

自賠責基準の後遺障害慰謝料

自賠責基準による後遺障害慰謝料は、下記表のとおり、等級に応じ金額が定められています。
なお、介護を要するものとは

①神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常にまたは随時介護を要するもの
②胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常にまたは随時介護を要するもの

のことをいいます。上記の場合で、常に介護が必要な場合は1級、随時介護が必要な場合は2級と区別されています。
(2020年4月1日以降に発生した事故における後遺障害慰謝料)

後遺障害等級自賠責基準
1級(介護を要するもの)1650万円
2級(介護を要するもの)1203万円
1級1150万円
2級998万円
3級861万円
4級737万円
5級618万円
6級512万円
7級419万円
8級331万円
9級249万円
10級190万円
11級136万円
12級94万円
13級57万円
14級32万円

弁護士基準の後遺障害慰謝料

弁護士基準による後遺障害慰謝料額は、下記表のとおりです。自賠責基準による後遺障害慰謝料より、弁護士基準の方が高額になることが確認できます。
※下記の金額はあくまで基準であり、被害者の事情や加害者の対応、事故状況などにより、金額が増減しますので、注意が必要です。

後遺障害等級弁護士基準
1級2800万円
2級2370万円
3級1990万円
4級1670万円
5級1400万円
6級1180万円
7級1000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

死亡事故慰謝料の計算方法

死亡慰謝料とは、事故により被害者が亡くなられてしまった場合の精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。具体的には、遺族の人数や被害者の家族内での立場などに基づき、慰謝料の金額が決定されます。

自賠責保険基準の死亡慰謝料

自賠責基準では、被害者本人に対する慰謝料と遺族に対する慰謝料があり、以下の合計額が死亡慰謝料となります。
死亡慰謝料を請求できる権利をもつ遺族は、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者、子(養子、認知した子、胎児を含む)です。

  • 被害者本人には400万円
  • 遺族には、遺族の人数が1人なら550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円が支払われ、被害者に被扶養者がいる場合にはさらに200万円が加算される

弁護士基準死亡慰謝料

弁護士基準による死亡慰謝料は、被害者の家族内での立場に基づき、下記表のとおり相場が定められています。

例)
被害者が一家の支柱であった場合の慰謝料額は2800万円、母親や配偶者など一家の支柱に準ずる場合は2500万円、独身の男女や子供などの場合は2000~2500万円が相場となります。

※下記表の金額はあくまで目安であり、被害者の年齢や収入、社会的地位、家庭環境などにより、金額が変動する可能性があるので、注意が必要です。

被害者死亡慰謝料
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他(独身の男女、子供、幼児等)2000万~2500万円

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交通事故の慰謝料計算は弁護士にお任せください

交通事故に遭った際に受け取れる慰謝料には種類があり、計算方法も様々です。
しかし、事故に遭うと、怪我の治療のために通院したり、後遺障害が残り日常の生活が不便になったりと、慰謝料の計算や相手方保険との交渉まで気が回らない方が多いのではないでしょうか。
さらには、適正な慰謝料額を受け取れるよう、治療の段階から注意すべき点が多くあるとは思いもよらなかった方もいらっしゃるでしょう。

弁護士であれば、慰謝料の計算や示談交渉、必要な資料の収集や手続きなどを代行して行いますし、治療中の段階であれば、慰謝料請求に必要な通院回数や検査、後遺障害等級認定申請に必要な資料などのアドバイスをすることも可能です。

慰謝料の請求についてお困りの場合は、まずは、お気軽に、交通事故に詳しい弁護士が多数所属する弁護士法人ALGまでお問い合わせください。

相続が発生した場合、各相続人は、原則として、民法に定められたルールにしたがって遺産を分け、取得することになります。ただし、亡くなった方(以下「被相続人」といいます)の財産を、生前に増やしていた、又は減少させずに済んだ場合には、「寄与分」といって、より多く遺産を受け取れる可能性があります。

寄与分が認められる行為には様々な形がありますが、今回は「扶養型」の寄与分を紹介していきます。

扶養型の寄与分とはどんなもの?

寄与分が認められるためには、法律上求められる義務を超えて、特に貢献したこと(「特別の寄与」といいます)が必要となります。
この「特別の寄与」については、具体的にどのようなものなのか、ある程度類型化されています。

扶養型の寄与分とは、相続人が、被相続人を扶養することで、被相続人が本来必要だった支出を免れたことにより、その財産の維持に寄与した(貢献した)場合に認められます。

扶養型の具体例

扶養型の寄与分の具体例としては、相続人やその家族が、被相続人を引き取り、同居して面倒を見ていた場合や、定期的に仕送りをすることによって被相続人の生活費を負担していた場合があります。

このような場合には、相続人の行為によって、被相続人は生前、ヘルパー等を雇うための費用を出さずに済んだと言えます。生活費の支出を免れ、財産を維持することができたと評価できるからです。

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扶養型の寄与分が認められるために必要な要件

寄与分が認められるためには
①相続人による寄与であること
②財産の増加・維持があること
③特別の寄与があること
④財産の増加・維持と因果関係があること
という条件を全て満たす必要があります。

ただし、もともと扶養するのが法律上の義務として定められている場合に、相続人の扶養が特別の寄与であると認められるためには、通常期待されるような扶養行為では足りず、特別の支援を行ったといえる必要があります。

通常期待される扶養義務の範囲とは

直系血族及び兄弟姉妹(特別の事情があるときは三親等内の親族も含みます)については、法律上、扶養義務が定められています。したがって、相続人の行った扶養が、通常期待される程度のものである場合は、寄与分は認められません。

相続人の行った扶養が、法律上求められる範囲を超えて、特別の寄与であると認められるためには、
①被相続人の扶養が必要だったこと(必要性)
②扶養が無償又は無償に近い状態で行われたこと(無償性)
③扶養が長期間に渡って行われたこと(継続性)
などの観点から判断されます。

扶養型の寄与分を主張するポイント

扶養型の寄与分が認められるためには、通常求められる程度を超えて扶養を行ったことを証明しなければなりません。

しかし、被相続人の生前にどのような扶養が行われていたかは、当事者しか知らないことも珍しくありません。そのため、被相続人が死亡している以上、寄与分を主張する本人が、被相続人に対して扶養を行っていた証拠を提出する必要があります。

有効な証拠を集める

定期的な仕送りをしていたのであれば、振込明細書や、被相続人と相続人の預金通帳などが、相続人の行った扶養の内容や金額を知るための証拠になります。

被相続人と同居して扶養をしていた場合、被相続人のために支出した金額のみを特定することは難しいですが、家計簿や、相続人と被相続人の預金通帳があれば、金銭の流れから被相続人のために支出した扶養料を算出できる可能性があります。

また、被相続人に扶養が必要になったことを証明するために、被相続人の診断書や、扶養するに至った事情を説明するための資料もあると良いでしょう。

扶養型の寄与分が認められなくても請求できる可能性あり!過去の扶養料求償とは?

扶養が必要だった相続人を、相続人の内の一部の者が扶養していた場合、その他の相続人に対して、過去に支払った扶養料を請求することができます。扶養型の寄与分と過去の扶養料は別個のものであるため、扶養型の寄与分の主張が認められなくても、過去の扶養料の支払いを求めることは可能です。

ただし、扶養型の寄与分の主張を却下する審判に不服を申し立てることなく、扶養料を求める審判を申し立てることは許されないとする裁判例があります。

寄与分が認められない場合に無制限に扶養料を請求できるわけではないことに注意が必要です。

扶養型の寄与分を評価する方法

扶養による寄与分を認めてもらうために、まず実際に扶養を負担した金額を確定します。仕送りをしていた場合はその合計額であり、同居して生活費を負担していた場合は、被相続人のための食費、光熱費や公租公課等がこれに当たります。また、具体的な金額を把握できない場合でも、生活保護基準等を参考にして、相当な額が算定されます。

次に、負担した額が全て寄与分として認められるわけでありません。なぜなら、被相続人に扶養義務がある場合は、扶養義務に相当する部分を控除しなければならないからです。この割合は、寄与の内容、扶養に至った経緯や相続人の扶養能力等の事情を総合的に考慮して、裁判所の裁量によって決められます。

扶養型の寄与分に関するQ&A

実家の両親に仕送りをしていました。扶養型の寄与分は認められるでしょうか?

両親は直系尊属であり、法律上扶養義務が認められています。そのため、少額のお小遣い程度を短期間仕送りしていただけでは、通常の扶養義務の範囲内として寄与分は認められません。

しかし、経済的に扶養の必要のある相続人に対して、分担義務の範囲を著しく超えて仕送りをした場合は、扶養型の寄与分が認められる可能性があります。

父の介護施設の月額費用を支払っていました。寄与分は認められますか?

父親は、直系尊属であり、その子には扶養義務があります。そのため、扶養義務者として通常負担すべき範囲内の介護費用を支払っていても、寄与分は認められません。

しかし、扶養義務があるとしても、負担した金額・期間等を他の共同相続人の負担分と比較して、その分担範囲を著しく超えて費用を支払っていた場合には、特別の寄与として、寄与分が認められる可能性があります。

母がやりたがっていた習い事の月額費用を払っていたのですが、これは寄与分になるでしょうか?

母親は、直系尊属であり、その子には扶養義務があります。そのため、習い事の費用が、扶養義務者が通常負担すべき程度の金額である場合は、寄与分は認められません。

しかし、上記のように、寄与分権者の負担した習い事の費用が、他の共同相続人の負担分と比較して、著しく高額であるような場合には、寄与分が認められる可能性はあります。

同居の父を看病していました。寄与分は認められますか?

病気の父親のために、自宅で看護を行った場合には、療養看護型という種類の寄与分を主張することも考えられます。この類型でも、寄与分が認められるための条件として、特別の寄与が必要になりますから、相続人が付き添い看護をすることで、本来かかるはずだった看護費用を抑えることができたというような場合には、寄与分が認められる可能性があります。

また、生活費を負担しながら自宅で療養看護を行ったというように、複数のパターンに該当する可能性がある場合には、扶養型と療養看護型のそれぞれの寄与分を主張することが可能です。

扶養型の寄与分に関する裁判例

扶養型の寄与分が認められなかった裁判例

相続人が、被相続人の食事の世話を無償で行っていたにもかかわらず、寄与分の主張を認めなかった裁判例があります(大阪高決平成27年3月6日)。

相続人は、被相続人を自宅の近くに呼び寄せ、1日約1000円に相当する食費の提供を、無償で約18年間続けたという事案において、親子関係に基づいて通常期待される扶養の範囲を超えたものではないとして、寄与分を否定しました。また、一審では、そもそも長期に渡り食事を提供した事実も、これを被相続人の負担で行った事実も認める証拠がないとして、寄与分の主張を否定しました。

寄与行為として求められる扶養行為の程度は、相当に高いレベルであるというだけでなく、証拠を集めることの重要性が分かる裁判例です。

扶養型の寄与分は判断が難しい

扶養型の寄与分が認められるためには、通常の寄与分の要件を満たすことに加え、通常求められる範囲を超える程度の扶養を行う必要があります。どのような場合に、通常求められる範囲を超えたと認められるかは、被相続人の生活状況、相続人と他の相続人との関係、相続人の行った扶養の内容等、様々な事情を総合的に考慮して判断されることになります。そのため、扶養型の寄与分を主張するためには、知識に基づき丁寧に事実を検討する必要があります。

また、寄与分が認められる事情があったとしても、証拠がなければ裁判所は認めてくれません。証拠が散逸する前に、迅速に行動して、証拠を確保する必要があります。

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扶養型の寄与分についてお困りなら弁護士にご相談ください

扶養型の寄与分が認められるかどうかは、個別の事情によるところが大きく、相談者の方がご自分で判断するのはかなり難しいと思われます。また、家族として当然に同居や介護をしていた場合、被相続人のために支出した費用についての明確な証拠が少なく、複数の証拠を組み合わせて主張しなければ裁判官に認めてもらえない場合もあります。

正当な寄与分を主張するためには、重要な事情を整理し、必要な証拠を確保する必要がありますから、なるべく早く、弁護士に相談いただいた方がよいかと思います。

養育費は、子供に必要な生活費をいいます。
子が3人いる家庭において離婚を考える場合、離婚後の養育費について相手ときちんと金額や内容を取り決めておくことが重要です。

本ページでは、養育費の決め方や子供が3人いた場合の養育費の相場など、3人のお子様がいる方にむけて養育費について詳しく解説します。

養育費の決め方

養育費とは、子供の監護や教育のために必要な費用をいいます。
養育費の金額を算定するうえでは、子の人数と年齢、当事者双方の収入に加えて、私立学校や大学の学費などのその他の要素も検討していきます。

子供が3人いる場合、子の進学のタイミングが重なる場合も多く、同時期に高額な出費を要する場合もありますので、月々の支払い以外の取り決めをしておく必要もあります。

養育費に含まれるもの

  • 衣食住に必要な費用(食費、衣服費など)
  • 教育費(義務教育費用、公立高校の費用など)
  • 医療費(通院治療費、薬剤費など)

上記に加えて、子の習い事費用や私立学校・大学の学費を含めて算定するのかは個別の検討を要する部分となります。

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子供が3人いた場合の養育費の相場

例えば、養育費の支払う側が給与所得者で、受け取る側が専業主婦(主夫)で無職の場合と年収300万円の給与所得者の場合の養育費の相場を「養育費算定表」を参考にして、下記表にまとめてみました。

養育費を支払う側の年収 養育費を受け取る側の年収 子供3人0~14歳 子供2人0~14歳
子供1人15~19歳
子供1人0~14歳
子供2人15~19歳
子供3人15~19歳
200万円 0円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
300万円 0円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
300万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
400万円 0円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 10~12万円
300万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円 4~6万円
500万円 0円 10~12万円 10~12万円 12~14万円 12~14万円
300万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円 6~8万円
600万円 0円 12~14万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円
300万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円 8~10万円
700万円 0円 14~16万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円
300万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円 10~12万円
800万円 0円 16~18万円 18~20万円 18~20万円 18~20万円
300万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円 12~14万円
900万円 0円 18~20万円 20~22万円 20~22万円 20~22万円
300万円 14~16万円 14~16万円 14~16万円 16~18万円
1000万円 0円 20~22万円 22~24万円 22~24万円 24~26万円
300万円 16~18万円 16~18万円 16~18万円 18~20万円

裁判所実務で利用されている算定表は上記の表のように、2万円単位でおおよその養育費を算定する形で作成されています。
しかし、養育費は厳密には1円単位まで計算することができますので、上記はあくまでも目安として具体的な金額を協議することをおすすめします。

養育費の増減について

増額するケース

  • 子供が私立学校の通学している、あるいは入学することに同意している場合
  • 子供の習い事や塾代などで相場より教育費が高くかかる場合
  • 子供に持病があり継続的に高額な医療費が必要な場合
  • 3人のうちいずれかの子供が障害をもっている場合

減額するケース

  • 支払う側が子供の住む住宅のローンを支払い続ける場合
  • 受け取る側が就職して収入が増加する予定がある場合
  • 支払う側が前婚の時の子の養育費を支払っている場合

養育費算定表の養育費の金額はあくまでも目安となりますので、上記表のような個別の事情があれば、養育費の相場より増額や減額することは可能な場合があります。

3人の養育費が支払われる期間

元々、養育費の支払期間は法律での定めはありません。
夫婦間の合意で「高校卒業するまで」や「大学卒業するまで」や「22歳まで」などとすることも自由に決めることができますが、実務上は20歳までと取り決めることが多いです。

なお、現時点では、養育費の支払期間は成人年齢の引き下げによる影響はなく、従前の実務の運用と同様に、20歳までとすることが原則とされています。

養育費の対象とならない期間

養育費が子の監護・養育のために必要なお金である以上,監護・養育の必要がない、あるいは、監護・養育費が必須ではないような場合には、養育費の対象期間から除外されます。

①高校卒業して働き始める
高校卒業後働き始めているということは,もはや経済的に自立していますので養育費の支払いは不要と考えることになります。

②成人しているがニート・フリーターで自立ができていない
子が成人した後は,大人として経済的に自立することが期待されるため、大学や専門学校などに進学していないようなケースでは,養育費の支払い期間には含まれません。

③大学院や留学の費用
養育費の支払いは,実務上は長くとも22歳までとすることが多く、当事者間で大学院への進学や留学について従前に合意がない場合には、大学院の費用は留学の費用も必須の教育費には含まれないと判断されることが多いです。

子供が3人いた場合の養育費に関するよくある質問

3人分の養育費を一括で受け取ることはできますか?

養育費を一括で受け取ることは可能です。
養育費は子供の日々の生活費ですので、夫婦間で一括払いでの合意が成立していれば支払いを受けることは可能であるものの、一括の場合の合計額は相当高額になるケースが多いと思われ、現実的には月払いとなるばあいがほとんどです。

養育費の支払い対象となる子供が3人ですので、子供ごとに養育費の額や支払終期などを詳細にして一括払いの内訳をわかるように書面で残しておくことをお勧めします。

再婚した場合は養育費を受け取ることはできませんか?

再婚したからといって、元夫から養育費を受け取ることができなくなると決まっているわけではなく、取り決めた養育費を引き続き受け取ることは可能です。

しかし、再婚相手と子供3人が養子縁組すると、再婚相手が第一次的な扶養義務者となり、元配偶者が第二次的な扶養義務者となるため再婚相手が優先的に子供たちを扶養しなければなりません。

そのため、養子縁組をした場合には、養育費を減額されたり、受け取ることができなくなったりする場合があります。

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3人の子供の養育費について離婚問題に詳しい弁護士にぜひご相談ください

本ページでは3人のお子様がいる方にむけて、離婚する際に取り決める養育費について解説してきました。
養育費は子供3人を健やかに育てるために大切なお金ですので、適切な養育費の金額や内容を取り決めることが大切です。しかし、それぞれの家庭の事情によって複雑になることもありますので、「養育費」について、お悩みのある方はぜひ、弁護士にご相談ください。

3人のお子様の年齢や状況を伺ったうえで、適切な養育費の金額や内容をアドバイスさせていただきます。
離婚後のご自身とお子様3人との生活が安心して送れるようにサポートさせていただきますので、まずはお気軽にお問合せください。

交通事故によりケガを負い、後遺症が残ってしまった場合に、後遺障害等級認定が得られれば、後遺障害慰謝料や逸失利益などの補償が受けられるようになります。
後遺障害等級認定においては、医師の作成する後遺障害診断書が最も重要な医療証拠となるため、適切な内容で後遺障害診断書を作成することが必要になります。

ここでは、後遺障害診断書の入手方法、記載内容や注意点などについて、解説していきたいと思います。

後遺障害診断書とは

交通事故後に治療を継続したにもかかわらず、症状の改善が見込めなくなった場合に、後遺障害として自賠責保険に対して、後遺障害等級の認定申請を行うことになります。後遺障害診断書は、後遺障害等級の認定申請に不可欠な書類のことをいいます。

後遺障害診断書は、主治医に作成を依頼し、後遺症の部位や程度、検査結果や治療期間などを記載してもらうことになりますが、後遺障害等級の認定は後遺障害診断書の記載を基に判断されることになります。そのため、適切な賠償金を得るためには、不備のない、正確な後遺障害診断書の作成が求められます。

後遺障害診断書のもらい方

後遺障害診断書は、医師のみが作成できるものですが、どの医師に書いてもらってもよいというわけではありません。症状の経過を把握している主治医に作成してもらうことが基本となります。

しかし、時には、トラブルに巻き込まれたくないなどの理由で後遺障害診断書の作成を頑なに拒否されてしまうケースもあります。そのような場合には、後遺障害診断書を作成してくれる病院を探して転院をして、一定期間通院し、その治療経過をもとに、後遺障害診断書を作成してもらうのが良いでしょう。

整骨院や接骨院では作成できない

整骨院や接骨院で施術を行う柔道整復師は医師でなく、後遺障害等級認定に必要な後遺障害診断書を作成することはできません。

早めに整形外科への通院に切り替えるか、または、医師の指示のもと、整形外科と整骨院を並行して通院して、後遺障害診断書の作成は医師に依頼する形にするべきといえます。

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後遺障害診断書の取得方法

後遺障害診断書は、保険会社から郵送してもらうか、インターネットからダウンロードする方法でも取得することができます。なお、醜状障害や歯牙障害の場合には、専用の用紙があることに注意が必要です。

後遺障害診断書の作成料金や作成時期について、以下、説明したいと思います。

後遺障害診断書の作成料

後遺障害診断書の作成料は病院により異なりますが、基本的には、5000円~10000円が相場となります。ただし、相場より高額な病院もあるため、後遺障害診断書の作成を依頼する前に、金額を確認した方がよいでしょう。作成料は一旦自己負担になりますが、後遺障害等級認定を受ければ、後日、加害者側の保険会社より支払われることになります。

しかし、残念ながら、後遺障害等級が非該当となった場合は、基本的には、被害者の負担となります。

後遺障害診断書の作成のタイミング

後遺障害診断書を医師に作成してもらうタイミングは、症状固定になったときです。
症状固定とは、「これ以上治療を続けても、改善の見込みがない状態」のことをいいます。症状固定になるまでは、完治する可能性もあるため、後遺障害がどの程度残るのかを判断できません。

症状固定になるまでの期間はケガの部位や症状により異なります。例えば、むち打ち症の場合は、事故から半年程度で症状固定となるのが一般的です。

後遺障害診断書の書き方

後遺障害診断書には「自覚症状」、「他覚症状及び検査結果」等記載すべき項目が複数あり、記入漏れや誤記があると、適正な後遺障害等級認定を受けられない可能性があります。
後遺障害診断書にどのような項目が記載されるのか、説明していきたいと思います。

後遺障害診断書

被害者の基本情報

被害者の氏名、性別、生年月日、住所、職業などの基本情報が記載されます。
後遺障害等級認定の申請者を特定するための項目ですので、誤記がないかどうか確認しましょう。

受傷年月日

交通事故に遭った日付が記載されます。
事故後すぐに病院に行かず、翌日以降に病院に行った場合、医師が誤って初回の通院日を記載している可能性もあるため、よく確認しましょう。

入院期間・通院期間

後遺障害診断書を作成してもらう病院に入院した期間と通院期間が記載されます。通院期間については、実際に通院した日数も記載されます。複数の病院に通院していた場合であっても、すべての治療歴が診断書に記載されるわけではありませんので注意が必要です。

傷病名

症状固定時に残存する症状の傷病名が記載されます。なお、治療中に完治したケガについては、記載されません。
症状名は、「首が痛い」などの抽象的な記載ではなく、「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」などの具体的な傷病名を正確に記載してもらう必要があります。

既存の障害

既存の障害とは、交通事故以前から被害者が持っていた精神的、肉体的障害のことです。既存障害があるならば、その障害の部位や程度が記載されます。後遺障害等級認定では、今回の交通事故で後遺症が残ったと証明することが必要になるため、既存障害の欄が設けられています。

自覚症状

「頚部痛」など、被害者自身が感じている症状が記載されます。自覚症状は後遺障害等級認定において重要なものですので、痛みのある部位、痛みの程度、医師に訴えていた内容が正確に記載されているかを確認しておくようにしましょう。

なお、後遺障害等級認定においては、常時痛があるかどうかが重要な判断要素となっていることから、常時症状があるのであれば、その点を後遺障害診断書に記載してもらうことが重要です。

他覚症状および検査結果

後遺障害等級認定において、最も重要な項目となります。
レントゲンやMRI、CTなどの画像検査やスパーリングテスト、ジャクソンテストなどの神経学的検査等の結果と、それに基づく医師の見解を記載してもらうことになります。何らかの異常所見が記載されれば、後遺障害として認定される可能性が高まります。

ただし、交通事故案件に不慣れな医師の場合、そもそも、後遺障害等級認定に必要な検査をしていない場合もありますので、等級認定申請の前に、一度、弁護士などに相談し、確認してもらうことをおすすめします。

障害内容の増悪・緩解の見通し

後遺症について、医学的所見をもとに、今後、症状が悪くなるのか、同じ症状が変わらず続くのか、症状が軽くなるのか等、今後の見通しを記載してもらうことになります。

ここでは、「上記の症状を残し、症状固定とする」「今後も治る込みがない」など記載してもらうことが理想的です。
「今後、改善の見込みがある」「予後不明」などと記載されてしまうと、後遺症が残っているわけではないのではと判断され、等級非該当になってしまう可能性がありますので、注意が必要です。

医師が後遺障害診断書を書いてくれないときの対処法

後遺障害診断書の作成を医師に依頼しても、拒否される場合があります。そのような場合、医師が後遺障害診断書を書けないと主張する理由に応じた対応方法を、以下、ご紹介したいと思います。

治療の経過がわからないから書けないと言われた場合

転院したことによって治療経過が分からず書けないと言われた場合、転院先の病院に一定期間通院し治療経過を診てもらったり、転院前の病院から診断書や診療録などを取り寄せ、改めて転院先の病院に後遺障害診断書の作成を依頼することが必要になるでしょう。

後遺障害はないと言われた場合

後遺障害診断書は後遺障害が残っていることを前提に作成されるものです。よって、医師が「ケガは完治した。後遺症はない」と判断した場合、後遺障害診断書の作成を拒否される可能性があります。

しかし、重い障害ではなく、軽い痛みやしびれなどの症状であっても、自賠責上の後遺障害として認められる可能性があります。そのような場合は、具体的な症状を医師に伝え、これでも後遺症がないと判断できるのか、再度確認することが必要です。

症状を訴えても、後遺症はないと医師が固持した場合は、転院して、別の医師に作成を依頼するという方法も考えられるでしょう。

健康保険で治療しているので書けないと言われた場合

健康保険を使って通院している場合、「健康保険を使った治療だから、自賠責保険用の書類を書くことはできない」と医師より後遺障害診断書の作成を断られる場合があります。
これは、自賠責保険の手続きには健康保険を利用できないという誤解があるからです。

しかし、交通事故によるケガの治療でも、健康保険を利用することは可能ですし、後遺障害等級認定を申請しても問題はありません。
医師に、後遺障害診断書の作成に健康保険の利用の有無は無関係であることを伝え、作成を依頼しましょう。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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後遺障害診断書の注意点

後遺障害診断書に不備や誤記がある場合、本来得られるべき後遺障害等級に認定されなかったり、非該当になったりする可能性がありますので、適切な後遺障害診断書を作成してもらうためのポイントを、いくつか挙げたいと思います。

自覚症状は正確に伝える

通院をしている段階から、自覚症状は主治医と細かく共有しておくことが重要です。どの部位がどのように痛むのか、痛み以外の症状(しびれ、めまいなど)があるかなどなるべく詳細に伝えることが充実した後遺障害診断書の作成につながります。診察時に自覚症状を隈なく伝えることは難しいと思いますので、あらかじめ、メモなどに症状を書いてから、医師に伝えるという方法が望ましいでしょう。

一貫性、連続性がある症状を医師に伝える

医師に症状を伝える際には、事故によって生じた症状が、事故から一貫して継続的に存在していることを把握してもらうことが重要になります。

具体的には、「事故直後から首の痛みがずっと続いている」というように、事故直後から一貫性、連続性を後遺障害診断書に記載してもらうことが有効です。

診断書の記載内容に不備がないか必ず確認する

後遺障害等級認定申請の前に、後遺障害診断書に必要な事項が記載されているか、または、不利な事項が記載されていないか、必要資料が添付されているか等、確認することが必要になります。

具体的には、症状固定日、入院期間、通院期間、実治療日数、自覚症状、後遺症について実施した検査とその結果(陽性など)、医師による所見が記載されているか等をチェックします。

しかし、医学的知識のない被害者が記載内容の不備を判断することは困難ですので、等級認定申請の前に、交通事故案件に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

後遺障害診断書の書き直しは弁護士に依頼する

後遺障害診断書に不備や誤記がある場合は、医師に修正を依頼しましょう。
もちろん、事実に反する事項を記載してもらうことはできませんので、修正箇所や修正が必要な理由を医師に明確に伝える必要があります。

修正を依頼するべきか判断に悩む場合や医師に修正を頼みにくい場合は、交通事故案件に精通した弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、医学的根拠に基づき、修正の必要性を医師に説明することができますので、診断書の書き直しが認められる可能性が高まります。

後遺障害診断書入手後の流れ

医師に後遺障害診断書を作成してもらい、内容の確認も終えたら、後遺障害等級認定の申請手続きに進むことになります。後遺障害等級認定の申請手続きには、以下のとおり、2つの方法があります。

①被害者請求
被害者が自ら、加害者側の自賠責保険会社に、後遺障害等級認定に必要な書類を提出し、申請手続きを行う方法です。必要書類を自ら収集する必要があるため、手間はかかりますが、自分に有利な証拠(医証、文書)を提出できるため、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まります。
被害者請求を行いたいが、申請手続きに不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

②加害者請求
加害者側の保険会社に申請手続きを代行してもらう方法です。
後遺障害等級認定に必要な書類の収集や申請手続きは保険会社が行ってくれるため、被害者の手間はかかりませんが、申請が保険会社任せになるので、後遺障害診断書の不備や添付資料などの確認を行えませんし、等級認定に有利な証拠を提出することもできません。よって、適切な後遺障害等級認定がなされない可能性があります。

後遺障害診断書に関する解決事例

後遺障害診断書作成のフォローを弁護士が行った結果、後遺障害等級認定を得られた事例

ALGの弁護士が後遺障害診断書作成のフォローを行った結果、後遺障害等級認定を得られた事例をご紹介します。

【事故概要】
依頼者は小型バイクで走行中、交差道路から直進してきた相手方車両と接触し負傷されました。
依頼者は本件事故により頚椎捻挫等を負い、約1年間の通院治療後、主治医に後遺障害診断書を作成してもらいましたが、今後の進め方がわからずALGにご依頼されました。

【事件の経過】
①担当弁護士が後遺障害診断書を確認したところ、「他覚的所見」欄の記載が乏しく、自覚症状中心の内容で後遺障害等級認定を得ることは難しいと判断しました。

②主治医に対し、医学的知識に基づき、後遺障害診断書の修正を依頼したところ、一部追記をしてもらうことができました。

③修正した後遺障害診断書に基づき、被害者請求で後遺障害等級認定申請をした結果、後遺障害等級併合14級が認定され、慰謝料など含めた賠償金の増額に成功しました。

後遺障害診断書を新たに作成し直した結果、後遺障害等級認定を得られた事例

【事件の概要】
依頼者が駐車場内で停車中、後方から相手方車両に追突されるという事故が発生しました。
依頼者は、本件事故により頚椎捻挫などを負い、約1年間の通院治療後、後遺障害等級認定申請を行いましたが、非該当となり、異議申し立てをするため、弁護士法人ALGにご依頼されました。

【事件の経過】
①担当弁護士が後遺障害診断書を確認したところ、「自覚症状」や「医師の所見等」欄の記載が不十分であったため、新たな後遺障害診断書を作成してくれる病院を探し出しました。

②転院先の医師に頸椎捻挫の症状の判断に必要な検査を行ってもらうよう要請し、検査結果が記載された後遺障害診断書を作成してもらいました。また、依頼者の通院日数が少なかった経緯(子供の監護により時間がとれなかった)や症状固定までの治療経過などを説明した書面を作成し、異議申立てを行いました。

③修正した後遺障害診断書を基にした後遺障害等級認定申請をした結果、、頚部痛について、後遺障害等級14級9号が認定され、慰謝料などの賠償金の増額に成功しました。

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後遺障害診断書の確認から作成後の流れなど弁護士にご相談ください

医師の作成する後遺障害診断書は、後遺障害等級認定の可否を左右する、最も重要な資料となります。
しかし、医師は治療のプロですが、交通事故のプロではないため、後遺障害等級認定に有効な後遺障害診断書の作成に長けているわけではありません。医師が作成した診断書でも、等級認定に必要な情報が漏れていたり、そもそも必要な検査がなされていなかったりする場合もあります。

被害者に有利な内容の後遺障害診断書を作成したい場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人ALGであれば、医学博士が在籍する医療事故チームと交通事故チームが連携し、事件解決にあたっているため、医学的知識に基づき、後遺障害診断書の内容を精査し、修正箇所があれば、医師に修正を依頼することも可能です。

「医師が作成した後遺障害診断書が適正なものなのか判断できない」「後遺障害等級認定の申請をお任せしたい」と思われるような場合は、ぜひ、一人で悩まず、弁護士法人ALGにご相談ください。

離婚調停をどう進めたらいいかわからない…というケースは多いでしょう。
離婚調停が長引くほど、ストレスも大きくなります。早く離婚したいのにと思いながら、気付いたら調停も不成立になってしまい、裁判をしなければ離婚できない、なんてことも少なくありません。

そこで、できる限り早くストレスから解放されるために、調停をスムーズに進める方法と、調停が不成立になってしまった場合にやるべき事を解説します。

離婚調停が不成立になる時とは?

離婚調停は、合意がなければ成立しません。どうしても親権が欲しい、絶対に離婚したくない、といったように条件で折合いがつかなければ、合意の見込みがないと判断され、調停は打切り、すなわち不成立になります。

調停委員によって不成立と判断される

調停では、お互いに離婚のための条件を出し合います。
もっとも、親権は譲りたくない、条件を出されても離婚したくない、と激しく意見が対立したときには、合意は無理であると調停委員の方から判断されます。

調停は複数回行われることが多く、第1回目の調停で不成立になることはあまりありません。ただし、性格の不一致や離婚条件の対立が明らかで話し合いの余地がない場合、1回目で打ち切られることもあります。

離婚調停を途中で取り下げる

申立人は、やめたいときにいつでも調停を取下げることができます。この場合、相手の同意はいりません。また、一度取り下げた後、再び調停を申し立てることもできます。

しかし、離婚裁判まで考えているときには注意が必要です。離婚したいからといって、いきなり裁判はできません。裁判の前にまず、離婚調停を行う必要があり、これを調停前置主義といいます。

第1回目の調停前に取り下げたのでなければ、調停を経たことにはなります。他方、離婚調停から離婚裁判まで1年以上空いてしまうと、調停を経ていないと判断されやすいので、この点も注意しましょう。

当然終了

離婚調停の最中に、夫または妻のどちらかが死亡したケースはどうでしょうか。
離婚調停は当然に終了します。離婚は、当事者本人が行わなければ意味を持たない身分行為なので、当事者が死亡した場合、調停の目的はなくなるからです。
その後、配偶者の家族と縁を切りたい場合、「姻族関係終了届」を役所に提出することになります。

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離婚調停が不成立と判断されるケース

離婚調停は、お互いの条件に折合いがつかないと成立しません。また、相手が絶対に離婚したくないなど、話し合いに応じない場合も同様です。以下は、調停委員により調停不成立と判断されたケースです。

離婚調停を相手が欠席

夫婦の一方または双方が調停を欠席し話し合いができない場合、手続は続行できず、調停は不成立になります。相手が全て欠席した場合も当然、不成立です。

正当な理由のない欠席は罰金との決まりですが、実際に科されたケースはあまりありません。もっとも、その後の裁判で、話し合いに協力的でない印象を裁判所に与えてしまいます。その意味では、相手が調停を欠席すると有利ですが、それだけで離婚条件まで全て有利になることはないでしょう。

相手が離婚を拒否

離婚調停は、合意をしなければ成立しません。

絶対に離婚はしたくない、などと相手が頑なに離婚を拒否しているような場合、合意の見込みがないと判断され調停は不成立となります。その場合にも、なぜ相手がそこまで拒否しているか、調停委員に聞いてもらいましょう。夫婦関係の修復をしたいのかもしれませんし、実はある条件さえクリアできれば離婚しても良いと考えているかもしれません。相手が何を求めているかを把握することが大切です。

親権で争っている

夫婦の間に18歳未満の子どもがいる場合、親権者を決めなければ離婚はできません。離婚後は、父または母のどちらか一方が親権者になります。

調停で夫と妻が親権を取り合った結果、どちらも譲らなかった場合、離婚はできません。他の条件は全て合意ができていても、調停は不成立になります。先に離婚だけを成立させてしまうと、子どもの利益を害するおそれがあるからです。

そのため、親権で対立することが顕著なときは、裁判になる覚悟が必要です。

財産分与の対象や額に納得できない

離婚調停の中で、財産分与についても決めることができます。
この場合、財産分与も離婚条件の1つになるため、合意ができなければ調停は不成立となります。

もっとも、離婚後に家庭裁判所に対し審判というのを申し立てて、財産分与をすることもできます。これは、離婚後2年以内までと決められているため、注意が必要です。

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離婚調停が不成立と判断された場合のその後

離婚調停が不成立になると、調停手続きは終了します。
それでも離婚したい場合には、その後どうすればよいでしょうか。
離婚裁判を提起することができますが、それ以外にもいくつか方法はあります。

当事者間で再び協議する

調停が不成立になった後、改めて夫婦で協議をすることもできます。
落ち着いて話し合うことで夫婦関係を振り返り、関係修復を試みることになるかもしれません。
また、離婚をするとしても、裁判にならずに解決へと向かうこともあります。

再調停はできるのか

調停の回数に制限はないため、離婚調停が不成立でも、再度調停を申し立てることができます。
しかし、ただ申立てをしても、結果は変わりません。時間の経過により新たな事情の変化があった場合に初めて再調停が意味を持ちます。

審判離婚

調停が不成立でも、あと少しで合意できそうなので最後は裁判所に決めて欲しいと当事者が望む場合、裁判所の判断で調停に代わる審判の手続きに移ります。
これは、あと少し条件を整えれば離婚できるような場合に有効的です。

離婚裁判

不貞やDVをしたというように、有責行為をした当事者から離婚裁判を起こすことは原則としてできません。
長期間の別居など夫婦関係が破綻している場合に限り、例外的に認められます。
しかし、裁判だからと言って、判決が下されるとは限りません。裁判所から和解を促されることは多く、和解の成立により裁判が終結することもあります。

離婚調停不成立にならないためにできることとは?

離婚調停が不成立になると、離婚裁判になるケースが少なくありません。
裁判になると、長引くことも多く、費用もエネルギーも消費してしまいます。
そうならないために、合意に向けて調停を上手く進めることが重要です。

希望の条件に優先順位をつけておく

親権、養育費、面会交流、財産分与、等の条件に優先順位をつけ、具体的な希望を整理しておきましょう。当然、相手にも主張があるため、全てにおいて希望を通そうとすると合意はできません。また、譲歩する姿勢は調停委員からの印象も良く、希望を聞いてもらいやすくなるため、有利に調停を進めることにも繋がります。

感情的にならない

思うように調停が進まないと、感情をぶつけてしまう人がいますが、ぐっと我慢しましょう。調停はあくまで、離婚条件の交渉をする場であり、調停委員に感情をぶつけても結果は変わりません。むしろ、理性的な話し合いができず、合意への道のりが遠のいてしまいます。
できる限り落ち着いて話し合うことが、合意への近道です。

弁護士に頼る

相手の財産がどれくらいあるか実は知らない、親権を取りたくても何をすればいいかわからない、など不安なことも多いでしょう。

弁護士に依頼すると、必要な資料の準備、主張の整理を事前に行うことができます。よくわからないまま調停に臨むよりも、離婚に詳しい弁護士に頼る方が、調停不成立を避けやすいことは間違いありません。

よくある質問

離婚調停不成立後、別居する際に気を付けることはありますか?

離婚に必要な別居期間に特に定めはありませんが、3年を経過すると婚姻関係が破綻していると裁判所から判断されやすいです。
もっとも、調停が不成立になった後、別居を始めるときには注意が必要です。

財産分与は、別居開始時までに夫婦共同で築いた財産が対象になります。相手がどのような財産をどこに持っているかわからないまま家を出てしまうと、後で調査ができなくなることもあります。事前に、相手の口座情報などを確認しておきましょう。

また、夫婦間に収入格差があるような場合、たとえ別居中でも相手に生活費を支払わずにいると、「悪意の遺棄」にあたり相手からの離婚請求が認められやすくなってしまいます。婚姻費用の支払いは怠らないようにしましょう。

離婚調停が不成立で終わった場合でも養育費や婚姻費用は受け取ることはできますか?

婚姻費用とは、婚姻関係にある家族が資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するのに必要な費用をいい、婚姻期間中に夫婦は分担して支払義務を負います。これには、夫婦にかかる生活費のほか、養育費も含まれます。

たとえ離婚調停が不成立でも、婚姻関係が継続している限りは婚姻費用を受け取ることができ、婚姻費用分担請求時から支払われるとされているので、できる限り早めに請求するのが得策でしょう。

もっとも、離婚調停が不成立なだけでなく、夫婦がその後別居状態を解消し再び同居を開始して共同生活を回復したときには、わざわざ夫婦で分担して支払い合う必要はないので、婚姻費用の分担義務は消滅します。

調停不成立から裁判を起こすまでに決められた期間はありますか?

裁判の前にまず、離婚調停を行わなければならないとされていますが、離婚調停が不成立になってから裁判を起こすまでの期間に特に制限があるわけではありません。

もっとも、離婚裁判で重視されるのは、離婚請求をした時すなわち離婚調停の申立て時に婚姻関係が破綻していたかどうかです。そのため、何年も前に離婚調停が不成立になっていたとしても、その当時の婚姻関係の状態にすぎないので、今回の離婚裁判との関係ではあまり意味がありません。

一般的には調停不成立から1年を過ぎると、調停前置の要件を満たさないとされていますが、ケースバイケースなのでどのように判断されるかはわかりません。できる限り早く裁判をするに越したことはないでしょう。

離婚調停が不成立になった場合、別の裁判所で再度離婚調停や離婚裁判などを行うことはできますか?

離婚裁判は、当事者の住所地を管轄する裁判所で行われるのが決まりです。裁判を起こす側(原告)、起こされる側(被告)、いずれの住所地でもかまわないとされているので、訴えを起こす際に原告が選ぶことができます。

離婚調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行ったけれど、離婚裁判は、申立人すなわち訴訟の原告の住所地を管轄する家庭裁判所で行うということもできます。

調停が不成立になると、調停の内容、不成立の理由を示した不成立調書が作成されます。同時に、離婚裁判の当事者の事件が調停に付されていたことがわかる事件終了証明書が発行されるので、裁判所が変わると、この2つの書面により、調停を経たことが証明されます。

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離婚調停の不成立を回避したい場合、経験豊富な弁護士への依頼がお勧めです。

様々な知識を集めても、本人だけで調停を行うと見通しがわからず焦ることも多いでしょう。
弁護士から助言を受け、調停に同席してもらうなどした方が、不安に駆られて感情的になることも少なく、調停を円滑に進めやすくなると思います。

離婚調停を無事成立させるには、知識や経験を備えた弁護士に依頼することをお勧めします。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。