不利な証拠関係からでも納得のいく和解結果になった事例

相続問題

不利な証拠関係からでも納得のいく和解結果になった事例

相続財産:
預貯金約9500万円
有価証券約1200万円
土地約1600万円(路線価)
建物約390万円(固定資産評価額)
相続債務約270万円(うち葬儀関係費用が約245万円)
依頼者の被相続人との関係:
兄の子(代襲相続人)
相続人:
兄2人(うち1人は死亡しており、依頼者がその代襲相続人)
争点:
相手方が、被相続人と半血兄弟か否か
弁護士法人ALGに依頼した結果
法定相続分 平等で合意
解決金 未提示 約400万円 解決金として約400万円獲得
不動産 未提示 最高額で計算して代償金を取得 不動産評価額を最高額で取得
その他 未提示 葬儀関係費用は相手方単独の負担 遺産からは支出しない

事案の概要

三人兄弟の三男が死亡し、長男と二男の子(代襲相続人:依頼者)が相続人となりました。依頼者としては、長男は、二男と三男とは父親が異なるという認識を持っていました。そこで、当事者同士の遺産分割協議の際、依頼者が、長男は半血兄弟であるから、法定相続分は依頼者の半分であると主張しましたが、長男は半血兄弟であることを否定し、当事者間で話し合いがまとまることはありませんでした。そこで、当事務所にご相談があり、遺産分割協議を有利に進めるために、遺産分割交渉の代理人として就任しました。

弁護方針・弁護士対応

弁護士の対応としては、まずは、長男が半血兄弟であることを示す証拠がないかどうかを依頼者と確認していきました。しかし、戸籍上は長男の父は、二男及び三男と同一でした。その他の状況証拠や関係者からの聞き取り内容も、長男の半血性を確実に立証できるレベルのものはありませんでした。遺産分割の前提として、長男の半血性を訴訟で争う場合には、DNA鑑定を実施することになりますが、依頼者も、DNA鑑定の結果どのような結果が出るか確証はありませんでした。また、親子関係不存在訴訟(または、認知無効訴訟)に特有の問題として、仮にDNA鑑定で半血であることが明らかとなっても、それでも勝訴できない可能性がありました(むしろ、他の裁判例と比較すると、勝訴できない可能性の方が高い状況でした)。
一方、長男自身も、様々な理由を付けて、交渉段階ではDNA鑑定の実施を拒否しており、半血性について争われたくないという印象を受けました。
そこで、交渉段階で、長男が仮に半血ではないと信じているのであれば、DNA鑑定を拒否する理由はないこと、DNA鑑定の拒否自体が裁判所の心証に影響を及ぼすことなどを主張し、何度もDNA鑑定実施を求めました。その後、仮に遺産分割において、依頼者に多少有利な状況で遺産分割がまとめるのであれば、あえて半血性を争うことはしないという提案をしました。長男は一度その申し出を断りました。しかし、その後遺産分割調停において、当方が半血性を争うという訴訟を提起することを明確に打ち出した際(実際、当方としては、相手方が当方に多少有利な遺産分割に応じないのであれば、訴訟を提起するよりありませんでした)、再度協議による解決という機運が盛り上がりました。その結果、協議の末、今回の解決結果に至ることができました。

弁護士法人ALG&Associates

横浜法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果

協議では、遺産分割割合に拘らず、最終的に依頼者がどれだけの経済的利益を獲得するかという点に焦点があてられました。結果としては、資産については、不動産の価値を当方の有利になるように計算することで合意され、約400万円の解決金が支払われ、葬儀費用に関しても長男の独自の負担とする(遺産から支出はしない)ということで合意できました。その代わり、今後半血性について一切主張を行わないという取り決めをすることになりました。
依頼者も、半血性を争う訴訟の見通しが明るくないことは理解されていたため、多少でも有利な結果になるのであれば良いということで、最終案にも速やかに合意していただきました。結果として、不利な証拠や事実関係からも、適切な交渉を行うことで、依頼者も納得のいく合意が成立したケースとなりました。

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