不倫相手に慰謝料請求できる条件や方法、注意点

不倫相手に慰謝料請求できる条件や方法、注意点

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織

監修弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長 弁護士

配偶者が不倫(法的には、「不貞行為」といいます。)をしたとき、配偶者に離婚や慰謝料を請求するだけではなく、不貞相手にも慰謝料を請求することができます。円満だった夫婦関係や家族を壊した相手ですから、不貞相手にも慰謝料を請求したいと考えることでしょう。

以下では、どのようにして不貞相手に慰謝料を請求するのか、慰謝料を請求するためには何が必要なのかを解説します。

不倫相手に慰謝料請求できる条件

不貞相手に慰謝料を請求するためには、配偶者と不貞相手との間に肉体関係があること、配偶者が結婚していることを不貞相手が知っていたこと、時効が経過していないこと、不貞行為を証明する証拠があること、などの条件があります。

肉体関係があった

慰謝料を請求するためには、配偶者と不貞相手の間に、性交渉を伴う肉体関係があることが必要です。性交渉を伴う肉体関係があることで、平穏な夫婦関係が壊され、精神的苦痛を受けるからです。そのため、メールを送る、二人だけで食事に行く、デートに行く、というだけでは、不貞行為と認められることが少ないです。

ただし、性交渉がない場合でも、抱き合ったり、キスをしたりした場合は、平穏な夫婦関係を破壊したとして、低額ながら慰謝料が認められることがあります。

客観的な証拠がある

不貞相手に慰謝料を請求しても、不貞行為を否定することは珍しくないため、不貞行為の客観的証拠が必要となることが多いです。

客観的な証拠とは、性交渉があったことを推測させるメール、ラブホテルに出入りする写真、ラブホテルの領収証、性交渉の様子を撮影した動画や音声です。

まだ証拠がないのであればどのような証拠が必要なのか、証拠をもっているのなら今ある証拠で足りるのか、自信がない場合は弁護士に相談してみましょう。

時効が過ぎていない

不貞行為を知った時から3年が経過してしまうと、消滅時効(民法724条1号)といって、不貞関係があったことが事実でも、慰謝料を請求することができなくなってしまいます。配偶者の不貞行為を知った時は、弁護士に相談して、時効期間が経過しないように、何をすればよいのか確認しましょう。

故意・過失がある

交際相手が既婚者であると不貞相手が知っていた、注意を尽くせば知ることができたことが必要です。交際相手が既婚者であると知っているか、注意を尽くせば既婚者であると知ることができた場合には、不貞行為をやめることができるからです。

不倫相手に慰謝料請求できないケース

不貞行為についての証拠があり、時効期間が過ぎていない場合でも、不貞行為が行われた時点で夫婦関係が破綻していた場合には、不貞行為により侵害される平穏な夫婦関係がないため、慰謝料を請求することはできません。

家庭内別居していただけでは、夫婦関係が破綻していたとは認められませんが、具体的な離婚の話合いをしていた、家庭裁判所で離婚調停を行っていたような場合には、不貞行為当時、夫婦関係が破綻していたと評価される可能性が高いです。

離婚しない場合、不倫相手だけに慰謝料請求できる?

配偶者と離婚しない場合でも、不貞相手だけに慰謝料を請求することはできます。

ただし、不貞相手だけに慰謝料を請求する場合、離婚する場合と比べて慰謝料が低額になることや、後ほど説明するように、不貞相手から求償権を行使されることがあるのでご注意ください。

不倫相手に請求する慰謝料の相場は?

不貞行為に対する慰謝料の相場は、離婚しなかった場合は数十万円から100万円程度、離婚した場合は、100万円から300万円程度となることが多いです。

不貞行為の回数や期間だけでなく、不貞行為の結果、どのような影響が生じたかによっても、不貞慰謝料の金額は変わってきます。

不倫相手に慰謝料請求する際に必要なもの

不倫の証拠

すでに説明したように、不貞相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為の証拠が必要です。証拠がない場合は、探偵などの調査会社に証拠の収集を依頼することもできますが、調査費用は高額になりやすく、結果的に慰謝料よりも調査費用の方が高くなることもありえます。

弁護士に相談すれば、必要な証拠を相談しながら進めることができます。

相手の氏名、住所または勤務先

慰謝料を請求するためには、相手の氏名と住所を知っておくことが必要です。相手の住所が分からなければ、内容証明郵便を送ったり、裁判を起こしたりすることができないからです。

相手の電話番号など、断片的な情報しか分からない場合も、弁護士に依頼すれば、弁護士会を通じて、相手の氏名や住所を把握することができる可能性もありますので、相手の連絡先が分からないと諦めずに、まず弁護士にご相談ください。

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不倫相手に慰謝料を請求する方法

相手と直接交渉する

慰謝料の支払いを求めて、不貞相手と直接交渉することもできますが、この方法はおすすめできません。やはり支払わない、その場では慰謝料を払うと言われても、後日、脅されて慰謝料を払うと言ったが本心ではなかったなど、トラブルになりやすいからです。

また、不貞相手と直接話すことで感情的になってしまい、自分に不利な発言をしてしまうこともあるので、交渉は書面で行うか、代理人に任せましょう。

内容証明郵便で請求する

慰謝料を請求する際は、内容証明郵便を送るのがよいでしょう。相手と直接会うことを回避できることや、送った書面の内容や受け取った日時が郵便局に記録されるため、慰謝料を請求したことの証拠となり、後日交渉や裁判となった時に有利に働くことがあります。

また、通常の郵便よりも費用はかかりますが、こちらの慰謝料請求が本気なのだというプレッシャーを相手に与えることができます。

調停・裁判で請求する

相手との話合いが難航する場合は、裁判所に調停を申し立てたり、裁判を起こしたりすることができます。

調停とは、裁判所で調停委員を交えて行われる話合いの手続きで、当事者だけではこじれてしまう交渉を、調停委員を介することで冷静に進めることが期待できます。調停が成立すると、調停調書という書類が作られ、相手が合意した慰謝料を払わない時は、強制的に取り立てることができます。

交渉や調停では相手が慰謝料の支払いに応じない場合は、裁判を提起することが考えられます。裁判では、証拠をもとに、慰謝料の請求が認められるか、慰謝料の金額はいくらになるのかを、裁判官が判断します。

不倫相手に慰謝料請求する場合の注意点

不倫相手から「求償権」を行使される可能性がある

離婚はせずに不貞相手に慰謝料を請求する場合、不貞相手から配偶者への求償に注意する必要があります。

慰謝料を支払った不貞相手は、「求償」といって、支払った慰謝料の一部をあなたの配偶者に請求することができます。慰謝料を支払う原因を作った責任は、配偶者と不貞相手の両方にあり、2人で1つの責任を負うことになるからです。

例えば、不貞相手から慰謝料200万円が支払われた場合、不貞相手はあなたの配偶者には半分の100万円を請求することができます。そのため、夫婦全体で見れば、不貞相手からは100万円しか回収できなかったことになります。

ダブル不倫の場合は慰謝料が相殺される可能性がある

既婚者同士の不貞行為、いわゆるダブル不倫の場合、不貞相手から慰謝料を取ることができても、不貞相手の配偶者があなたの配偶者に慰謝料を請求することで、結果的に慰謝料が相殺されることがあります。

離婚する場合は、元配偶者が慰謝料を請求されても関係はありませんが、離婚せずに不貞相手だけに慰謝料請求する場合、2つの夫婦間で慰謝料が回るだけになることもあります。

不倫相手が慰謝料を払わない場合の対処法

不貞相手が不貞を認めていても、慰謝料を払うお金がないと言って、慰謝料を支払わないことがあります。その場合は、慰謝料の減額や分割払いなどを検討して、できる限り慰謝料を回収できるように交渉してみましょう。

分割払いで合意した場合には、後日慰謝料の支払いがストップした場合に備えて、公正証書を作成しておくと、分割払いの条件に違反した場合に、再度交渉したり、裁判を提起したりしなくとも、強制執行ができるようになります。

不倫相手に対してやってはいけない事

不貞相手が慰謝料を支払わないからと言って、不貞相手を恫喝したり、暴力を振るったりしてはいけません。不貞相手から逆に慰謝料を請求されたり、刑事責任を問われたりすることになりかねません。

また、不貞行為を勤務先に報告したり、SNSに投稿したりすることも、名誉棄損として、損害賠償請求されたり、刑事処罰の対象にされたりするので、注意しましょう。

不倫相手への慰謝料請求に関するQ&A

不倫相手が複数いた場合、全員に慰謝料請求することは可能でしょうか?

複数の不貞相手に、それぞれ慰謝料請求することは可能です。
ただし、個別に交渉する場合、解決まで時間がかかることと、不貞相手に請求できる慰謝料が倍増するわけではないことに注意してください。

離婚した後でも不倫相手に慰謝料を請求することはできますか?

離婚後でも不貞相手に慰謝料請求することは可能です。離婚後に不貞行為を知った場合や、離婚が済んでから慰謝料を請求することもあるでしょう。
ただし、すでにご説明したように、不貞相手に慰謝料を請求するためには、不貞行為を知ってから3年という期間制限があるので、時効が過ぎてしまわないように注意しましょう。

不倫相手への慰謝料請求をお考えなら弁護士にご相談ください

不貞相手と直接慰謝料の交渉をすると、時間や労力がかかるうえに、大きな精神的負担もかかります。

慰謝料交渉の代理を弁護士に任せることで、迅速かつ精神的な負担なく解決することができます。

また、弁護士に相談すれば、慰謝料を請求するために必要な証拠の精査だけでなく、優秀な調査会社を紹介することで、必要な証拠を、適切な費用で集めることができます。

弁護士法人ALGでは、経験豊富な弁護士に加え、優れた調査会社を併設しているため、証拠の収集から慰謝料の交渉まで、ワンストップで対応することができます。不貞相手への慰謝料請求にお悩みの方は、弁護士法人ALGにご相談ください。

妊娠や出産は、喜びを感じる出来事であるとともに、女性にとっては大きな身体的な変化を伴うものであることから、精神的に不安定になりがちであり、その結果、婚姻生活にも少なからず影響を与えることがあります。

子どもの誕生という新たな事情の追加により、婚姻関係が悪化してしまうこともあり、その結果、離婚に至る場合、妊娠中の女性にとっては大きな負担が生じることになります。

そこで、妊娠中に離婚することになった場合、慰謝料やそのほかの金銭の請求をすることができるのかなどについて、以下で解説をしていきます。

妊娠中の離婚で慰謝料を請求できるのか?

妊娠中だからといって慰謝料請求が制限されることはなく、通常の離婚と同じように、夫側に婚姻関係を破綻させた責任があるのであれば、離婚することになった精神的苦痛に対して、慰謝料を請求することできます。

妊娠中の離婚の場合、離婚後はシングルマザーとして子育てしていくことが想定されるため、経済的に苦しくなりやすいことから、慰謝料の請求をして金銭の支払いを受けることは重要であるといえます。

慰謝料請求が認められるケース

慰謝料の請求が認められるためには、夫側に婚姻関係破綻について責任があるといえることが必要であり、認識を機に価値観の相違が顕在化したなど、双方に理由があるような形で乗り込んでは慰謝料の請求はできません。

慰謝料を請求するためには、夫側の有責性を裏付ける証拠をそろえておくことが非常に重要です。

妊娠中に離婚した場合の慰謝料相場はどれぐらい?

妊娠中に離婚すること自体は慰謝料の請求根拠ではありませんので、離婚時に妊娠をしていたことを理由に慰謝料を請求することはできません。

妊娠中の離婚について、DVや不貞行為などの夫側のどのような有責事情によって離婚になるかによって、慰謝料の相場も変わってきますが、一般的にいえば、数十万円くらいから200万円くらいまでの金額だといえます。

妊娠中という事情のある中での離婚になるという点は、精神的負担が大きいとは評価できるものですので、慰謝料増額事由となる可能性はありますが、必ず増額事由となるわけではないことに注意を要します。

中絶に至った場合の慰謝料は?

中絶自体は、妻側が自ら決定して行う行為であることから、中絶による慰謝料を請求することができないという考え方もありえます。

他方で、中絶は妻側にのみ身体的負担が生じる性質がある点を加味して、中絶に至る経緯における夫側の対応が不誠実な場合には中絶による慰謝料を請求することができたり、中絶費用の請求をすることができたりする場合もありえます。

また、そもそもとして、中絶の前提となる妊娠について、夫側が否認していると嘘をついていたとか、妻側が性行為を拒否したのに夫が無理やり性交渉をしてきたという事情がある場合には、慰謝料を請求する余地があるといえます。

妊娠中の離婚で慰謝料以外に請求できるもの

養育費

離婚後に出産した子どもの親権者は、母親である妻側になります。出産時に離婚をしていたとしても、妻は父親である元夫に対して、養育費の支払いを請求することができます。

養育費は子供の人数と年齢、双方当事者の収入に応じて算定されるのが原則です。妻側が産休、育休を取得している場合には、産休、育休で下がった年収を考慮することになります。

なお、養育費の請求に関しては、子供の出生が離婚後300日以降である場合には元夫による認知の問題をクリアする必要があります。

財産分与

妊娠中の離婚であっても、婚姻中に形成された夫婦共有財産についての財産分与を求めることはできます。

もっとも、妊娠中であることや出産することなど理由に財産分与の分与割合を有利にすることは基本的に認められませんので、分与の割合は5:5となるのが原則です。

離婚時に行う財産分与とは

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慰謝料以外に出産費用も請求することはできるのか?

妊娠中に離婚するということは、出産をするときには離婚して夫婦でなくなっていることになりますので、夫側は妻側に対して、婚姻費用という生活費の分担義務を負っていない状態となります。

そして、出産費用は生活費の一部として計上されるものであることから、離婚後に出産費用を支払ってもらうことは原則として認められず、夫側が任意に支払ってくれるかどうかにかかっているということになります。

妊娠中の離婚で子供の親権と戸籍はどうなる?

親権はどちらが持つ?

妊娠中に離婚をした場合、離婚後に生まれてくる子供の親権者は原則として母親である妻側となります。家庭裁判所を通じた手続きなどで父親である元夫を親権者とすることも可能ではあります。

また、2人目以降を妊娠中の離婚の場合も、これから生まれてくる子どもとすでに生まれている子ども親権者を決めることになりますが、離婚後に生まれてくる子供の親権者が原則として母親である以上、上の子供たちの親権者も母親となることが多いとはいえます。

子供の戸籍はどうなる?

離婚後に生まれた子どもの戸籍には、子どもの出産の時期によって異なることになります。

法律上、離婚後300日以内に誕生した子どもは、元夫の子供と推定(嫡出推定といいます)されることから、結婚している夫婦の子どもと同様に「嫡出子」として元夫の戸籍に入ることになり、戸籍の移動をしないと、母子の戸籍がバラバラになってしまうことになります。

他方で、離婚後、300日を過ぎて生まれた子どもは、元夫の子供であったとしても、「非嫡出子」となり、母親の戸籍に入ることになり、非嫡出子ですので、認知されないと、戸籍上父親である元夫の存在はいないことになってしまい、元夫からの養育費や相続権は生じないことになります。

妊娠中の離婚でお困りなら弁護士に相談してみましょう

妊娠・出産を経験するだけでも大きな負担が生じる中で、離婚に関する問題にまで向き合うことは非常に大変なことだといえます。

妊娠中の離婚になりそうな場合には、早めに弁護士にご相談いただき、離婚前後に対応しておくべき事項を漏れなく進めておくことが重要です。ぜひ一度当法人に弁護士にご相談ください。

不動産の相続についての話し合いがまとまらないときには、不動産を共有する形で公平な相続を実現できるため、一旦は争いを収めることができます。しかし、不動産を共有することはデメリットが目立ち、トラブルを招いてしまうケースが多いため、争いの先送りにしかならないのでおすすめはできません。

この記事では、不動産の共有名義が生み出す問題や相続との関係、共有名義を相続したくないときの対処法、共有名義を解消する方法等について解説します。

共有名義とはどんな状態のこと?

共有名義とは、1つの不動産について、2人以上の名義人が存在する状態のことです。このとき、登記記録の「権利者その他の事項」欄には、名義人の住所と氏名、そして持分が記載されます。

共有名義で勘違いされやすいのは、共有者の全員が不動産の全体について権利を有していることです。例えば、土地の持分が1/2である場合、土地の面積の半分について権利を有しているわけではなく、土地全体の権利の1/2を有していることになります。

共有名義のメリット

不動産を相続するときに共有名義とすることは、基本的におすすめできません。ただし、わずかに以下のようなメリットも考えられます。

  • 相続人の間で、不動産の分割について話し合う必要がなくなる
  • 相続登記のときに、遺産分割協議書を用意する必要がなくなる

しかし、不動産を共有名義とすることはこれらのメリットをはるかに上回るデメリットが考えられるため注意しましょう。

共有名義のデメリット

不動産を相続するときに共有名義にすると、後でトラブルの原因となるリスクが高いといえます。

共有名義のデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 自分だけの判断では、不動産の全体を売却することができない
  • 自分の持分だけでは売却先が見つけにくく、売れたとしても金額が安くなるおそれがある
  • 共有者が持分を売却すると、見ず知らずの人と共有することになる
  • 共有者による不動産の利用を止めるのが難しい
  • 持分が過半数でないと、不動産の貸し出しや大規模なリフォームができない
  • 共有者の1人が亡くなると、その共有者の相続人と共有することになってしまうおそれがある
  • 固定資産税や修繕費等の支払いについて、共有者とトラブルになるおそれがある

共有名義で不動産を相続する場合の手続き

共有名義で不動産を相続する場合には、以下のように、遺産分割協議が必要な場合と不要な場合があります。

  • 遺産分割協議が必要:法定相続分や遺言書の指定とは異なる割合で共有する場合
  • 遺産分割協議が不要:法定相続分や遺言書の指定に従った割合で共有する場合

相続登記では、遺産分割協議書か遺言書による場合にはそれらを必要書類として提出します。法定相続分による場合には、戸籍謄本で相続分を証明します。

自分が相続した持分だけ名義変更したい場合

自分が相続した持分だけについて、相続登記を申請することはできません。なぜなら、相続による所有権の一部移転ができるなら、被相続人と相続人が不動産を共有している名義となってしまうため、好ましくないからです。

例えば、相続人の一部が相続登記に協力してくれない場合には、自分だけで不動産全体の相続登記を実行することができます。

なお、不動産が相続の前から共有名義になっていた場合には、共有名義人の全員が同時に亡くなったとしても、自分が相続した持分だけについて相続登記を申請できます。

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共有名義で不動産を相続したくない場合の対処法

相続のときに、不動産の取得を希望する相続人がいて、自分も不動産の相続を主張すると共有になってしまいそうな場合や、共有名義を相続したくない場合等で考えられる対処法として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 預貯金や有価証券等だけを相続して、不動産は相続しない
  • 不動産以外の相続財産が少ない場合には、不動産を相続した人に、自身の相続分に相当する金銭等を支払ってもらう
  • 不動産の全体を売却してお金に換え、分配する方法で相続する
  • 共有物分割請求を行い、分筆等を行う
  • 誤って共有名義を相続してしまった場合には、持分を放棄する
  • 他の共有者に持分を買い取ってもらう
  • 共有名義の買取を行っている業者に相談する

共有名義の相続登記を解消する方法は?

不動産が、相続登記によって2人の名義人による共有になっている場合、共有を解消するためには次のような対策が必要です。

【共有者が生きている場合】

  • 自身の持分を共有者に買い取ってもらう
  • 共有名義の買取を行っている業者に相談する
  • 共有持分を放棄する
  • 共有物分割請求を行い、分筆等を行う

【共有者が亡くなっている場合】

  • 共有者に相続人がいる場合には、持分の買取や、不動産全体の売却等を持ちかける
  • 共有者に相続人がいなければ、相続財産清算人の選任を申し立てる

【共有者が双方亡くなっている場合】

  • 双方の相続人全員による遺産分割協議により、1人が不動産を相続するか、不動産全体を売却する等して処分する
  • 双方の相続人全員のうち、1人を除く全員が相続放棄する

共有名義での相続登記に関するQ&A

共有名義の不動産の固定資産税は、どう課税されるのですか?

共有名義の不動産の固定資産税は、共有者が連帯して支払う義務があります。しかし、請求は代表者に対してのみ行われます。
請求を受けた代表者は全額を納税し、他の共有者の持分に応じた求償権を獲得します。
代表者の決定方法は自治体ごとに決まっており、市内に居住している人を代表者とする等の方法で決められます。代表者を変更したい場合には、代表者変更届を提出することによって変更が可能です。
なお、代表者が税金を滞納すると、他の共有者に対して請求が行われることがあります。このとき、代表者から徴収することを自治体に要求することはできないため、代わりに全額支払う義務が生じます。

親と長男の共有名義の不動産は、親が死亡したらどうなる?

ここでは、以下のような例を用いて解説します。なお、相続は法定相続分によります。

【家族構成】
父、母、長男、二男
【相続前の不動産の持分】
・父:50%
・長男:50%

【父が死亡して、相続後の不動産の持分】
・母:50%×1/2=25%
・長男:50%×1/4+50%=62.5%
・二男:50%×1/4=12.5%

このように、法定相続分によって相続すると、共有者の人数が増えてしまいます。長男は持分の過半数を保有しているため、不動産を賃貸できる可能性は高いですが、売却するためには基本的に3人による合意が必要です。
仮に、この後で二男が亡くなって、二男の妻や長男、長女等が相続すると、共有者がさらに増えてしまいます。
そのため、なるべく不動産の共有持分は長男だけが相続し、不動産の共有は解消することが望ましいでしょう。

共有持分を相続する場合の登録免許税はいくらですか?

相続登記をするときに支払う登録免許税は、通常であれば固定資産評価額の0.4%に相当する金額とされています。例えば、2000万円の土地を相続する場合には、登録免許税は8万円となります。
2000万円の土地の持分1/2を相続する場合には、「2000万円×1/2×0.4%=4万円」により、登録免許税は4万円となります。

共有名義の相続登記についてご心配な点は、ぜひ弁護士にご相談ください

相続人に自身の取り分を強硬に主張する人がいて、話し合いがまとまらなかったとしても、不動産を共有名義にすることは問題の先送りにしかなりません。

そこで、不動産の共有名義にすることについて悩んでいる方は弁護士にご相談ください。弁護士であれば、共有せずに話し合いをまとめるためのアドバイスをすることができます。

また、すでに不動産を共有名義にしてしまった方は、共有者の相続の開始や共有持分の売却といった事態を迎える前に、共有を解消するのが望ましいでしょう。共有を解消するために考えられる方策についても、ご相談いただければ検討いたします。

交通事故では、加害者一方に事故の責任があるわけではなく、被害者も何らかの責任がある場合が多いです。このように、どちらがどの程度、事故の責任があるかを数字で表したものが過失割合です。

被害者にも過失がつくと、その過失割合分については損害賠償金が減額される仕組みになっており、これを過失相殺といいます。

この記事では、過失相殺とは何か、具体例を用いて分かりやすく解説していきます。また、弁護士法人ALGによる解決事例もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

過失相殺とは

過失相殺(かしつそうさい)とは、交通事故の責任が被害者にも認められる場合に、その割合に応じて被害者が受け取る損害賠償金を減額することをいいます。

交通事故が起こる原因は加害者の一方的な責任だけがあるとは限りません。被害者にも何らかの責任が認められる場合、損害賠償金を加害者だけが支払うのは公平ではありません。

そこで、過失相殺を行い、被害者の過失割合分だけ受け取れる損害賠償金を減額することで損害の公平な分担を図っています。これは、民法第722条で定められています。

過失相殺と過失割合の違い

「過失相殺」と似た言葉に、「過失割合」があります。

これらはどのような違いがあるのでしょうか。見ていきましょう。

過失割合

過失割合とは交通事故における加害者と被害者の責任割合のことです。

交通事故は双方の過失によって起こることが多くあります。この責任の大きさを数値で表したものが「過失割合」です。

過失相殺

過失相殺とは、過失割合に従って、それぞれの損害額を双方に負担させることです。

被害者にも事故の責任があれば、被害者も事故の損害を負担すべきという考え方から、加害者に対する損害賠償請求額から、被害者の過失割合分を差し引きます。

過失割合は誰が決める?

交通事故が起きると、警察を呼び実況見分をしてもらうことから、「過失割合は警察が決めるもの」と思われている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、警察は民事不介入の原則があるため、過失割合を決めるようなことはしません。

そのため、交通事故の過失割合は、事故の当事者または代理人によって示談交渉をして決めていくことが一般的です。

ここでいう当事者とは、被害者や加害者の加入する保険会社や依頼した弁護士を指します。多くの場合では、示談交渉は当事者双方の加入する保険会社に任せていると思いますので、相手方保険会社から過失割合の打診をされ、納得いかない場合は交渉していくという流れになります。

過失相殺の計算方法・流れ

損害賠償金に過失相殺を適用する計算式は以下のとおりです。

式)過失相殺後の損害賠償金=過失相殺前の損害賠償金×(100%-自分の過失割合)

過失相殺は、被害者の損害賠償金だけでなく加害者の損害賠償金にも適用されます。

過失相殺の適用から損害賠償金の支払いまでの流れは、次のとおりです。

  1. 被害者の損害賠償金を被害者の過失割合分、過失相殺する
  2. 加害者の損害賠償金を加害者の過失割合分、過失相殺する
  3. 差し引きすることに合意をした場合に、被害者・加害者双方の損害賠償金を差し引きした金額が支払われる

労災や健康保険を使った場合

本来加害者に請求するはずであった治療費などを労災保険や健康保険でまかなっていた場合、加害者から支払われる損害賠償金には過失相殺だけでなく、損益相殺も適用されます。

●損益相殺とは?

加害者から支払われる損害賠償金から、労災保険や健康保険からの支払い額と重複する部分を差し引くこと。

※差し引かれた金額は、労災保険や健康保険から別途加害者に請求される

例えば、交通事故の休業損害の総額が30万円のとき、20万円分は先に労災保険から休業給付として受け取っていた場合、同じ性質を持つ賠償金を加害者側からも満額受け取ってしまうと、実際の損害額以上の金額を受け取ることになってしまいます。

そのため、すでに休業給付として労災保険から支払われた20万円を控除し、被害者が加害者から受け取る休業損害は10万円になります。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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過失相殺の計算例

過失割合8(加害者)対2(被害者)のケース

具体的な例を用いて過失相殺の計算をしてみましょう。

例)過失割合8(加害者)対2(被害者)で、加害者の損害額100万円、被害者の損害額300万円の場合

  1. 被害者の損害額を自身の過失割合分、過失相殺する

    今回の例では、被害者が加害者に請求する損害額は300万円です。被害者の過失は2割なので、過失相殺した結果は次のようになります。

    300万円×(100%-20%)=240万円

  2. 加害者の損害額を加害者の過失割合分、過失相殺する

    続いて、加害者も被害者に対して賠償請求しているので、その金額にも過失相殺を適用します。

    100万円×(100%-80%)=20万円

  3. 差し引きすることに合意をした場合に、被害者・加害者双方の金額を差し引きする

    ここまでの計算で、被害者の受け取れる賠償金は240万円、被害者が加害者に支払う金額は20万円だと分かりました。一回的解決の観点から、加害者への賠償金額を差し引きして被害者の賠償金額を受領することに合意をした場合には、これらを差し引きし、被害者が実際に受け取れる金額は220万円となります。

過失割合8(加害者)対2(被害者)、加害者が高級車の場合

事故を起こした相手の車が高級車の場合には、同じ程度の損傷でも高い修理代がかかってしまうことがあり、過失相殺をしても被害者の方が多く損害賠償金を支払わなければならないケースもあります。

例)過失割合8(加害者)対2(被害者)で、加害者の損害額500万円、被害者の損害額100万円の場合

  1. 被害者の損害額を自身の過失割合分、過失相殺する

    今回の例では、被害者が加害者に請求する損害額は100万円です。被害者の過失は2割なので、過失相殺した結果は次のようになります。
    100万円×(100%-20%)=80万円

  2. 加害者の損害額を加害者の過失割合分、過失相殺する

    続いて、加害者も被害者に対して賠償請求しているので、その金額にも過失相殺を適用します。
    500万円×(100%-80%)=100万円

  3. 被害者・加害者双方の金額を差し引きする

    ここまでの計算で、加害者から被害者に請求できる金額は100万円、被害者から加害者に請求できる金額は80万円となります。双方の金額を差し引きすると、被害者の方が20万多く支払うことになります。

過失相殺について弁護士に相談するメリット

過失相殺について弁護士に相談すると、過失割合を修正できる可能性が高まります。

被害者に多くの過失がついていれば、過失相殺によって受け取れる損害賠償金が減額してしまいます。そこで、交通事故に詳しい弁護士であれば、事故態様や車両の破損状況、過去の裁判例などから適切な過失割合を導き、交渉していくことが可能です。

弁護士が法的な観点から主張・立証していくことで、過失割合が修正される可能性が高まり、適切な損害賠償金を受け取れることが期待できるでしょう。

加害者側保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合は、交通事故の経験豊富な弁護士にご相談ください。

被害者の過失割合を修正した解決事例

(事案の概要)

依頼者が直進で走行中、相手方車両が、依頼者車両とほぼ並走している状況にもかかわらず、ウィンカーを出すと同時に進路変更し、衝突したという事故です。

相手方保険会社からの示談案では過失割合3(依頼者)対7(相手方)となっており、依頼者は、過失割合に納得がいかず、当事務所にご依頼いただきました

(担当弁護士の活動)

担当弁護士がドライブレコーダーの映像や関連判例をもとに過失割合の修正を交渉しましたが、相手方保険会社はまったく譲歩しませんでした。

しかし、ドライブレコーダーには依頼者側の主張を証明できる映像が映っていたため、訴訟提起をすることにしました。

(結果)

訴訟移行後も相手方保険会社の主張は変わりませんでしたが、担当弁護士によるドライブレコーダーの映像を中心とした主張・立証の結果、過失割合は1(依頼者)対9(相手方)という裁判官からの心証開示を得て、和解が成立しました。

過失相殺の不明点は弁護士にご相談ください

過失割合や過失相殺については、交通事故の知識が豊富でないと分からないことも多くあると思います。

相手方保険会社から打診された過失割合や過失相殺が適切なのか、少しでも不安がある場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

私たちは交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しております。ご相談者様の事故状況を丁寧にヒアリングし、相手方保険会社が提示する過失割合や過失相殺が適切なのかを精査します。

また、適切でない場合には、あなたの代理人となって法的な観点から主張・立証していき、過失割合を修正していきます。その結果、受け取れる損害賠償金が増額する可能性が高まるでしょう。

交通事故の過失割合・過失相殺で少しでもお悩みの方は、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。

夫婦関係が悪化すると、相手の同意を得ずに一方的に子供を連れて別居をすることがあります。

双方が子供と一緒に生活することや親権を主張する場合に、子の連れ去りが監護権や親権との関係で影響を与える可能性があります。

本ページでは、子供が連れ去られた場合に、まずどうしたらよいのか、その後の親権との関係で影響が生じるのかなどについて解説します。

子供の連れ去りとは

子供の連れ去りとは、他方の配偶者の合意を得ずに、子供を自分の監護したにおく行為をいいます。

双方が子供の監護権や離婚後の親権を主張している場合には協議がうまく進まないことから、一方的に連れ去ってしまうということが起こります。

裁判所において、親権や監護権の判断をする際、実際に監護している状況を重視して判断する傾向にあるため、親権取得を有利にしようと考え、連れ去りをしてしまうことが多いです。

しかし、連れ去りをした場合、その経緯や態様、子の状況によっては、親権者の判断に不利に扱われることがありますので、注意が必要です。

子供の連れ去りは親権獲得に影響する?

子の連れ去りは、親権を獲得するために行われることが多いですが、子の連れ去りをしたことで親権獲得に有利に働くのかというと、必ずしもそうではありません。連れ去りをしたことが、親権者の適格性にマイナスの評価をされることもあります。

子供の意思でついていった場合はどうなる?

子供の意思でついてきたのであれば、良いと思われるかもしれません。

しかし、子の意思と言っても、その意思が発現された状況やこれまでの状況からして、真摯な意思でついてきたのかという点は、重点に審理がされることになります。

そのため、子供の年齢がある程度に達し、一定程度判断ができる場合で、真摯な意思で子供が一方の親についていき、一緒に住みたいとの意向がある場合には、子の意思に従って判断されることが多いです。

子供が連れ去られたときの対処法

子供が連れ去られた場合には、突然のことでパニックになり、配偶者の別居先に押しかけたり連れ戻そうとしたりすることがあります。しかし、その方法によっては、相手とトラブルになったり、警察を呼ばれたりすることがありますので、慎重に行動することが大切です。

また、子供が連れ去られた時には、実力で取り戻すのではなく、法的手続きを利用して対処することが望ましいですので、速やかに法的手続きをとることは必要です。

子の引き渡し調停(審判)

まず、子供を連れ去られた場合に考えられるのが、子供の引渡し調停(審判)です。

これは、家庭裁判所の裁判官や家庭裁判所調査官が、双方の主張や調査官による調査等を踏まえて、子供の引渡しをすべきかを決める手続きです。

調停はあくまでも双方での話し合いで解決する手続きですので、双方で合意をする余地が乏しい場合には、裁判官が判断する審判手続きに自動的に移行しますし、申立時点でその合意が見込まれない場合には、最初から審判手続きを申し立てることになります。

また、子の引渡しを求める際には、同時に子の監護者指定調停(審判)も同時に申し立てることが多いです。

審判前の保全処分(仮処分)

審判前の保全処分は、子の引渡しを求める必要性やその緊急性が認められる場合には、仮の命令として、引き渡しを求める手続きです。

子供の生命や身体に危険が生じている場合には、最終的な判断をする前に一刻も早く判断する必要があるため、審理は迅速に行われることになります。

引き渡しに応じない場合は「強制執行」が可能

子の引渡し調停(審判)等で、子の引渡しが決定したにもかかわらず、任意で子供の引渡しをしない場合には、「強制執行」の手続きにより、強制的に子供の引渡しを実現する手続きをとることが可能です。

強制執行には、直接強制と間接強制があります。

直接強制は、執行官が子供のいる場所に直接赴き、直接子供を連れてくる手続きです。

間接強制は、子供を引き渡さない配偶者に対して、引き渡しをしないことに対して一定の金銭支払いを科し、間接的に引き渡しを促す手続きです。

なお、直接執行は、子供に与える影響も大きいため、慎重な配慮がされています。

人身保護請求

人身保護請求は、不当に身体拘束されているものの拘束を解くための手続きです。

上記子の引渡し調停(審判)等の手続きや強制執行によっても子の引渡しがなされない場合度に、その身体拘束から救済するために人身保護請求をすることが考えられます。

ただし、子の引渡しを求める方法として人身保護請求が利用できるの場合は制限されています。

国際離婚における子の連れ去りと「ハーグ条約」

ハーグ条約は、国境を越えた子供の不正な連れ去り、留置に対する対応方法や国家間の協力について取り決めた条約です。ハーグ条約には、日本も加盟していますので、国際離婚のみならず、日本人同士の場合も対象になるとされています。

子供が海外から日本に連れ去られたり、日本に留置されたりした場合には、ハーグ条約を根拠に、その引渡し等を求めることが可能です。

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子供の連れ去りを防止するための対策

子供の連れ去ることを防止する対策としては、同居中で相手が子供を連れ去る前に、裁判所の監護者指定調停(審判)を申し立て、別居後の子供の監護者を協議で決めることが考えられます。

もっとも、調停であれば合意をするまでに時間がかかりますし、審判手続きであったとしても、最終的な判断がされるまでには時間を要するので、その間に子供の連れ去りが実行される危険は常にはらんだ状態で進めなければならないです。

子供の連れ去りに関する裁判例

子の連れ去りに関する裁判例として、東京高等裁判所平成29年2月21日決定があります。

1.事案の概要

子が出生後、母が子の監護を主に行っていたが、収入との関係で母も働きに出ると、父も監護に参加し、保育園等の送迎や夕飯、入浴、寝支度などを行っていたものの、双方で、収入や働き方などに関し口論となることが増え、夫婦関係は円満ではなかった。そんな中、父が突然置手紙をして子(当時3歳)を連れて別居し、その後所在も明らかにしていなかったとの事案です。

父が別居する1月前くらいに、父の強い勧めで母名義で住宅ローンを組み自宅を購入したばかりで、母は相手方が子を連れて別居することを全く予想していなかったこと、別居後の子は何の問題もなく生活していたこと、近隣住民から児相に通告があり調査を行ったが、緊急性はうかがわれなかった、調査官による調査の際、子は、当初母のことを覚えていないと答えていたが、そのうち母と遊びたいと小さな声でつぶやいたなどの事情があった。

2.裁判所の判断

裁判所は、①別居までの間の子の主たる監護者は母であり、監護者としての実績があるし、監護体制も整っている②父の別居は、子を巻き込んで家を出たもので、子の福祉を考慮したものとはいえないため、別居後の監護実績は尊重できない、③近隣に聞こえるほどの怒鳴り声を浴びせており、適切な行為ではない、④父の監護体制は整っていない、などの滋養を上げ、母に子を引き渡すべきとの判断をしました。

なお、本事件の原審である横浜家庭裁判所横須賀支部平成28年11月9日審判では、共同で監護していた子を、母の同意なく、予期できない時期に突然連れ出し、所在さえ明らかにしなかったものであり、このような父の連れ去り行為は、母の監護権を著しく侵害するものとして違法であると判断している。

子供の連れ去りについてのQ&A

子供の連れ去りは違法ですか?

親権者であっても、その態様、子の福祉を著しく制限する場合には、子供の連れ去りが違法と評価される可能性はあります。
他方で、別居後に子供の連れ去りをすることは、違法と判断される可能性が高く、子の引渡しが認められたり、親権者の判断で不利に扱われたりすることになります。

妻が子供を連れ去りました。父親が親権を得るためにできることはありますか?

親権者の判断において、裁判所が監護実績を重視している傾向があることから、相手の単独の監護状況をそのままにしておくと、親権獲得の可能性は低くなります。
そのため、速やかに、子の引渡し審判、審判前の保全処分等の法的手続きをとる必要があります。

連れ去られた子供を相手に黙って連れ戻しても良いでしょうか?

別居後に子供を連れ去ることは、子の奪い合いとして両親の紛争状態を子供に直視させることになりますし、居住環境の変化が著しく子の不利益になります。
また、別居後の連れ去りについては、裁判所におい手も違法であると判断されることが多いですので、親権獲得との関係では、不利に扱われる危険があります。
そのため、親権を獲得したいのであれば、自力で子供を取り返すのではなく、法的手続きに則って子の引渡しを実現すべきです。

面会交流時に子供を連れ去られたら親権も奪われてしまいますか?

面会交流時に子供を連れ去られたことから、直ちに親権も奪われることにはなりません。
面会交流中に子供を連れ去った場合には、その連れ去りが違法であると評価される可能性が高いですからです。もっとも、相手のほうに子供がいる状態が長期間継続していると、監護状況や監護意思との関係で、親権者の判断の際に不利に扱われる危険があるため、子供を連れ去られた場合には速やかに法的手続きに移行すべきです。

子供の連れ去りに関するご相談は、経験豊富な弁護士にお任せください

子の連れ去りの違法性は、様々は自事情を考慮し判断されます。また、最終的には監護権や親権の判断にも影響を与えることになります。

そして、子供を連れされられた場合には、速やかに法的手続きに移行する必要があり、どの手続きを行うか、手続き内での主張等専門的な知見や判断が必要となります。

弁護士法人ALGには、親権や子供のことに関して多くの経験を有する弁護士が多数所属しています。子供が連れ去られてしまった場合には、速やかにご相談にお越しください。

相続登記とは、名義が被相続人になっている不動産について、その名義を相続人に移転する手続きです。

法改正が行われるまでは相続登記を行う義務がなかったため、放置されている不動産が日本の各地に存在しています。そこで、法改正により、相続登記が義務化されることになりました。

不動産を放置しておくと、登記義務に違反するだけでなく様々なリスクがあるので、必ず登記手続きを行いましょう。

この記事では、

  • 相続登記が義務化されたこと
  • 過去の相続の扱い
  • 不動産の登記を行わないままで放置することについてのリスク
  • 専門家に依頼するための費用 

などについて解説します。

相続登記の義務化が2024年4月1日から開始

相続登記は、2024年4月1日より義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記を行わなければなりません。この義務に正当な理由なく違反した場合には、10万円以下の過料に処せられるおそれがあります。

また、相続登記の義務は、2024年3月31日までの相続についても発生します。そのため、両親や祖父母等の名義のままになっている不動産がある場合には、すぐに手続きを行う必要があります。

両親や祖父母等が不動産を相続したのが昔のことで、必要書類の入手が難しい等の事情がある場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。

義務化された理由

相続登記が義務化されたのは、登記記録を確認しても所有者が分からない「所有者不明土地」が増えてしまったからです。

所有者不明土地が多すぎることによって、民間の土地取引や公共事業が進まない等、様々な活動の障害となります。

また、所有者不明土地は放置されているケースが少なくないので、必要な手入れが行われず害虫が発生してしまう等、周辺環境に悪影響を及ぼすことがあります。

こうした理由から、相続登記が義務化されました。

登記の期限は3年

相続登記の期限は、相続によって不動産を取得したことを知ってから3年です。ただし、遺産分割協議を行った場合には、協議が成立してから3年となります。

相続登記の義務化は過去の相続にも適用される

相続登記の義務は、過去の相続についても適用されるため、先祖代々受け継がれてきた土地等についても確認する必要があります。

もしも不動産が先祖の名義になっていると、必要書類の収集や、その後の相続人を確認するためにかかる労力は大変なものになります。

先祖が山林を所有していたと聞いたことがある場合等、気になる方はすぐに確認しましょう。

過去に相続した分はいつまでに登記手続きすればいいの?

過去の相続についての相続登記は、基本的には義務化されてから3年以内に行わなければなりません。そのため、多くのケースについて、相続登記の期限は2027年3月31日となります。

ただし、遺産分割協議が2024年4月1日以降に成立した等の事情があれば、相続登記は協議が成立してから3年以内に行う必要があります。

上記のような期限となっているので、例えば2022年1月1日に不動産を相続した人であっても、相続登記の期限は2024年12月31日ではなく2027年3月31日です。

そのため、期限が切れてしまったと焦る必要はありませんが、相続登記を放置することによるデメリットが発生するリスクがあるので、すぐにでも登記手続きを開始するのが望ましいといえます。

権利者になっていることを知らなかったんだけど期限は伸びないの?

自分が不動産を相続したことを、相続登記が義務化されるまで知らなかった場合には、相続したことを知ってから3年が期限となります。

そのため、親が不動産を所有していたことに最近になって気づいたようなケースでは、気づいてから3年以内に相続登記すれば問題ありません。

なお、親の不動産を兄弟姉妹が相続しており、自分は不動産をまったく相続していないようなケースについては、その相続人が相続登記を行っていなくても、自分が過料のペナルティを受けてしまうことはありません。

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相続登記をせず放置するとどうなる?

相続登記を行わずに放置すると、以下のようなリスクが発生するおそれがあります。

  • 10万円以下の過料の対象になるリスク
  • 権利関係が複雑になるリスク
  • 不動産を差し押さえられるリスク
  • 不動産の売却ができなくなるリスク

これらのリスクについて、次項より解説します。

10万円以下の過料の対象になる

相続登記を放置すると、10万円以下の過料の対象となるおそれがあります。

相続登記が義務化されるまでは法律上のペナルティは存在しませんでしたが、法改正によって過料が適用されるようになりました。

しかし、以下のような事情がある場合には、相続登記を行わない正当な理由があると判断される可能性があります。

  • 相続人が多いため、戸籍謄本等の必要書類の収集に時間がかかる
  • 遺言について、有効性等に争いがあるため、不動産の相続人が不明である
  • 不動産を相続した人が重病である
  • 不動産を相続した人がDVを受けたために避難している
  • 不動産を相続した人が困窮しており、相続登記を行うための費用がない

権利関係が複雑になる

相続登記を放置しているうちに、新たな相続が発生して権利関係が複雑になるおそれがあります。

例えば、被相続人が亡くなってA、B、Cの3人が相続し、相続登記を放置したまま全員が亡くなってしまうと、A男、A子、B子、B男、C男といった新たな相続人が発生します。それから相続登記を行うためには、遺産分割協議において基本的にA男、A子、B子、B男、C男の全員の同意と印鑑証明書が必要となります。

相続人が増えると、誰か1人でも強硬に自身の取り分を主張することによって協議がまとまらないリスクが高まります。たとえ不動産を相続できても、印鑑証明書の取得が面倒である等の理由により手続きに応じてくれない相続人が現れるリスクもあるため、なるべく関係者が少ないうちに相続登記を行うのが望ましいといえます。

不動産を差し押さえられる可能性がある

法定相続人に借金をしている人がいると、法定相続分による登記が債権者によって行われ、債務者の持ち分が差し押さえられてしまうリスクがあります。遺産分割協議によって不動産を1人で相続した相続人がいたとしても、差し押さえを行った債権者に自身の権利を認めさせるのは難しくなります。

借金が返済されなかったとしても、競売にかけられてしまうのは債務者の法定相続分だけですが、赤の他人と不動産を共有することにもなりかねません。不動産を共有すると、売却等に支障をきたすおそれがあります。

不動産の売却ができなくなる

相続登記をしないままでいると、不動産の売却の機会を逃すおそれがあります。なぜなら、被相続人名義の不動産を相続登記せずに、売却相手に直接登記を移転することは認められないからです。

相続登記のためには、遺産分割協議書や印鑑証明書、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本等、数多くの必要書類が要求されます。そのため、売却の話がまとまったとしても、相続登記に時間がかかってしまい、契約が失効してしまうリスク等があります。

そもそも、本人の名義になっていない不動産の売却の話は信用されないこともあるので、なるべく早く相続登記を行うべきでしょう。

相続登記しないまま相続人が死亡してしまった場合はどうする?

相続登記しないうちに相続人が死亡してしまった場合、その相続人の相続人が取り分を相続することになります。

このとき、1回目の相続における相続人が1人であれば、その相続についての登記を省略する「中間省略登記」が可能となります。

ただし、最初の相続における相続人が2人以上であった場合には、1回目の相続を省略することができません。これは、1回目の相続人が全員亡くなってしまったとしても同様です。

なお、中間省略登記が可能なのは、法定相続人が2人以上であったとしても、遺産分割や相続放棄、遺言書等によって結果的に相続人が1人となったケースも含みます。

すぐに登記ができない場合はどうしたら良い?

遺産分割協議が難航して不動産の相続人が決まらない場合等、3年以内に相続登記を行うのが難しいケースでは「相続人申告登記」を行います。

相続人申告登記とは、法務局で次の事項を申告することによって、相続登記の義務を一時的に履行したとみなす制度です。

  • 登記名義人について、相続が開始したこと
  • 自分が相続人であること

この申出は、申し出た相続人だけが義務を履行したことになるので、不動産を相続した全員が行わなければなりません。なお、代理申請は認められるので、1人が代表して全員分の申出をすることは可能です。

また、申出によって登記が行われるわけではないので、遺産分割協議がまとまる等したら、3年以内に相続登記を行う義務があることは変わらないため注意しましょう。

手続きが大変そう…専門家に依頼するとどれくらいかかる?

相続登記を依頼できるのは、以下の専門家です。

  • 弁護士
  • 司法書士

これらの専門家のうち、相続人の間でトラブルがなく、相続登記の手続きだけを頼むなら司法書士に依頼できます。依頼料は、一般的には5万~15万円程度だと考えられますが、名義が先祖になっているケース等では依頼料が高くなるでしょう。また、登録免許税などの費用は別途必要です。

相続登記を弁護士に依頼する場合には、依頼料が15万円程度は必要となるでしょう。しかし、相続財産の取り分について争いがあるケース等では、司法書士に対応できる範囲には制限が設けられているため、弁護士でなければ解決できない場合が多いです。

相続人の間にトラブルがある場合には、弁護士に相談しましょう。

相続登記を放置してしまった場合は弁護士にご相談ください

相続登記を行わずに放置していた場合には、すぐに手続きの準備を始める必要があります。しかし、相続人が多数になり、疎遠な親戚や遠方に住んでいる人、海外在住の人も含まれている等、自分で相続登記をするのが困難な状況になっているケースは珍しくないと考えられます。

そこで、相続登記を放置してしまった場合には弁護士にご相談ください。弁護士であれば、依頼人の代理人になって交渉を行う等、問題の解決のために動くことが可能なので、困難な状況について相談するのに最も適しています。

また、自分が亡くなってしまっても、子供が相続登記で困らないようにするための対策についての相談も受け付けております。

交通事故ではすべての損害が確定した後、示談交渉を行うのが一般的です。当然ながら、示談交渉がまとまらなければ示談金を受け取ることはできません。

交通事故の示談交渉にかかる期間は、2ヶ月~1年程度が目安となります。しかし、なかには「早く示談を終わらせたい」、「早く示談金を受け取りたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

では、示談を早く終わらせることは出来るのでしょうか?

この記事では、事故別の示談交渉の期間や、示談交渉で時間がかかる理由などについて解説していきます。

示談交渉には何日くらいかかる?事故別の期間目安

示談交渉による解決までの期間は、以下のように大きく分けることができます。

  1. 示談交渉の準備期間

    損害が確定するまでの期間です。

  2. 示談交渉開始から示談成立までの期間

    この期間は、どの程度事実に争いがあるかによって異なります。

ここからは、事故態様別に①、②の期間の目安とその理由について解説していきます。

物損事故の場合

物損事故とは、被害者に怪我がなく、車両など「物」のみが損害を受けた事故のことです。物損事故の事故発生から示談成立までにかかる期間は、一般的に2ヶ月~3ヶ月程度でしょう。

物損事故では、損害額を確定するために車の修理費や買替費用の見積もりを出す必要があり、これらの見積書が出るまでにおよそ1ヶ月程度かかるでしょう。物損事故の場合は、示談交渉が比較的スムーズに進む場合が多く、1ヶ月以内に示談が成立することも少なくありません。

しかし、なかには過失割合や修理の必要性などが争点となり、示談成立まで2ヶ月~それ以上かかるケースもあります。

人身事故の場合

物損事故に対して、被害者が怪我をしている事故を「人身事故」と言います。そして、人身事故の場合では、「怪我が完治した場合」と「後遺障害が残った場合」で、示談成立までの期間が大きく異なります。

  • 怪我が完治した場合

    怪我が完治した場合は、治療が終了した時点ですべての損害が確定しているため、示談交渉を開始することができます。怪我が完治した場合は、後遺障害が残った場合より、請求する示談金の費目が少ないため、治療終了時から半年程度で示談成立することが多いでしょう。

  • 後遺障害が残った場合

    後遺障害が残った場合は、後遺障害等級認定申請をおこなって、結果が出た時点ですべての損害が確定し、示談交渉を開始します。示談期間の目安は後遺障害等級の認定を受けてから半年~1年程度となるでしょう。しかし、後遺障害等級の結果に納得がいかず、「異議申立て」をした場合は、さらに時間がかかります。

死亡事故の場合

死亡事故の場合、葬儀を終えた段階で全ての損害が確定し、示談交渉を開始します。しかし、一般的には、四十九日の法要を終えてから相手方保険会社が示談交渉を開始するケースが多いでしょう。

被害者が亡くなってしまった死亡事故の場合、「死亡慰謝料」や「死亡逸失利益」は高額になる傾向にあります。また、家族がなくなってしまった遺族の気持ちもあるため、示談交渉は長期化しやすく、事故発生から示談成立までは1年~1年半程度が目安となります。

当て逃げ、ひき逃げの場合

当て逃げ、ひき逃げの場合は、そもそも損害を請求する加害者が誰なのかを特定する必要があり、示談交渉を進めることが難しい場合が多いです。

また、加害者が事故現場から逃げているということは、自分の責任を正しく理解していないことも考えられ、示談交渉に応じない可能性もあります。さらに、示談交渉に応じたとしても、なるべく自分の損害を少なくしようと示談金の金額で争いになる場合もあるでしょう。

そのため、当て逃げ、ひき逃げのケースは、通常よりも解決までに時間を要することが予想されます。

交通事故の示談成立には時効があります。詳しくは以下のページをご覧ください。

交通事故の示談の時効について

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示談にかかる期間を短くできないの?時間がかかる理由は?

示談交渉にかかる期間を短くしたい場合、相手の提案する示談案に合意すれば、早く終わらせることができます。

しかし、示談を早く終わらせたいからという理由で早期に合意することはおすすめできません。

まず、相手方保険会社が提示する金額は、被害者が本来受け取るべき金額ではないことが多く、低額となります。安易に合意してしまえば、適切な示談金を受け取れなくなる可能性が高くなってしまいます。

では、なぜ示談は時間がかかるのでしょうか。原因を探っていきましょう。

示談に時間がかかる理由

示談に時間がかかる理由として、「互いの主張が一致しないから」という点が挙げられます。

被害者側は、当然、適切な示談金を受け取るための主張を重ねるでしょう。しかし、加害者側は少しでも支払いを減らすために、被害者とは異なる主張をします。

その主張のぶつかり合いで示談が進まなくなってしまうのです。

例えば、事故の責任割合を表す過失割合は、当事者が事故の様子から話し合って決めるものです。

しかし、加害者側保険会社は、加害者からの話をもとに過失割合を設定していることも多く、被害者側に多くの過失がついている場合もあります。

過失割合は、その割合分示談金が減額されるものです(過失相殺)。そのため、過失割合についてお互いの主張が対立し、示談が長引くことも多くあります。

詳しくは以下のページもご覧ください。

交通事故の示談交渉が進まない原因と対処法

自分で示談交渉をしようとしたら期間はどれくらいかかる?

被害者の方がご自身で示談交渉を行う場合は、前述した期間の目安よりも長引く可能性が高くなります。

まず、加害者側保険会社は交渉のプロであり、被害者の方を「交渉の素人」として見てくるでしょう。その結果、適切でない金額で言いくるめられるおそれや、こちらの主張を聞き入れてもらえないおそれがあります。

交通事故の被害者といっても、加害者側保険会社にとっては自社の損失を少なくすることが第一であり、被害者の気持ちに寄り添った提案をしてくれるわけではありません。

早く示談を終わらせたい場合には、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

詳しくは以下のページもご覧ください。

交通事故の示談交渉は自分でできる?

交通事故の示談は弁護士にお任せください

交通事故の示談交渉には、交通事故や法律の専門知識と巧みな交渉術が必要となります。

少しでも示談交渉の期間を短くしたい、適正額で示談金を受け取りたいとお考えの場合は、私たちにご相談ください。

私たちには、交通事故に精通した弁護士が多数在籍しております。交通事故の示談交渉にも慣れていますので、法的な観点から主張・立証していき、巧みな交渉術でスムーズに示談を進められる可能性が高まります。

また、弁護士はあなたの代理人となって示談交渉を行いますので、加害者側保険会社とのやり取りから解放され、仕事や家事・育児に専念することができます。

交通事故の示談交渉について少しでもお悩みの場合は、私たちに一度お話をお聞かせください。

交際相手の配偶者から、ある日突然、不貞慰謝料を請求された場合、驚かれると思います。

多くの場合、内容証明郵便が自宅に届き、1週間以内に300万~500万円の慰謝料を支払わなければ、法的措置を取るなどと書かれており、急いで慰謝料を支払わなければ、大変なことになってしまうと考えるかもしれません。

この記事では、交際相手の配偶者から不貞慰謝料を請求された際の対応について解説していきます。

不貞慰謝料を請求されたら確認すること

不貞慰謝料を請求された場合、まず、不貞慰謝料の原因となる不貞行為があったのかを確認しましょう。

いきなり内容証明や弁護士からの受任通知が届くと、不貞行為がなかったにもかかわらず、勢いで不貞行為を認めてしまうことがあります。自分から不利な証拠を作ってしまわないように、届いた書面をよく読み、誰が、誰との関係に対して、慰謝料を請求しているのかを確認しましょう。

慰謝料の支払いが必要ないケース

不貞慰謝料を請求されていても、慰謝料を支払わなくても良いケースがあります。自分が慰謝料を支払わなくてもよいケースに該当しないか、確認をしてみてください。

不貞の事実がない

まず、不貞の事実がない場合には、当然ながら、慰謝料を支払う義務はありません。慰謝料の原因となる不貞(法的には、「不貞行為」といいます。)とは、性交渉を伴う肉体関係を指すというのが一般的な理解です。そのため、肉体関係がなく、メールのやり取りをしていただけ、何回か食事に行ったことがあるだけという場合には、慰謝料を支払う義務はありません。

ただ、性交渉を行っていない場合でも、キスやハグ、高頻度の接触など、平穏な夫婦関係を破綻させるような行為を繰り返している場合は、性交渉がある不貞行為と同視されるとして慰謝料が認められ可能性はあります。

夫婦関係が破綻していた

不貞慰謝料は、不貞行為によって平穏な夫婦関係という法的な権利を侵害したことに対して発生するものです。そのため、不貞行為が行われた時点で、夫婦関係が破綻していたのであれば、法的な権利が侵害されておらず、慰謝料の請求も認められません。

ただし、ここでいう夫婦関係の破綻とは、会話が減っていた、夫婦喧嘩が増えていたというだけでは足りず、不貞行為時点ですでに長期間にわたる別居をしていたり、離婚調停を行っていたりするなどの客観的な事情が必要になります。

慰謝料請求の時効を過ぎている

慰謝料を請求できる期間を過ぎている、つまり消滅時効が完成している場合も、法的には慰謝料を支払う必要はありません。

不貞に対する慰謝料は、正確にいうと、不法行為(民法709条)に対する慰謝料であり、不貞行為及び加害者を知った時から3年を経過した場合は、消滅時効を主張(援用)することによって、慰謝料の支払いを免れることができます。

相手が既婚者だと知らなかった

交際相手が既婚者であると知らなかった場合も、慰謝料を支払う必要がありません。

すでに説明したように、不貞行為は、法的には不法行為(709条)というもので、不法行為に基づく賠償請求が認められるためには、権利侵害に対する故意又は過失が必要です。不貞行為による慰謝料は、不貞行為によって平穏な夫婦関係という法的な権利を侵害したことに対して発生するものですから、交際相手が既婚者であると知っていた、又は注意をすれば既婚者であると気づけたということが必要となります。

そのため、相手が既婚者であることを巧妙に隠していたため、既婚者であると知らなかった、又は細心の注意を払っても既婚者であると気がつかなかった場合は、慰謝料を支払う必要はありません。

不貞慰謝料を請求された際にやってはいけないこと

請求を無視する

不貞行為がない、又はどうしたらいいか分からない場合でも、相手からの請求を無視することはやめましょう。

請求に対して何もリアクションがない場合、交渉を続ける意味がないと判断して、相手が訴訟提起をする可能性があります。

訴訟となった場合、膨大な費用や時間がかかるだけでなく、態度が不誠実であるとして、慰謝料が増額される可能性があります。

開き直る・逆切れする

不貞行為が事実であるなら、開き直ったり、逆ギレをしたりしても、意味はありません。

慰謝料の支払いを避けられない状況であるにもかかわらず、相手の感情を逆撫でしてしまい、減額や分割などの相手との交渉が困難となってしまいます。

また、裁判となった場合は、態度が不誠実であるとして、慰謝料が増額される可能性があります。

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不貞慰謝料が高くなるのはどんな時?

自分から誘った場合

交際相手が既婚者であることを知りながら積極的に不貞関係を持ち掛けた場合、慰謝料が増額されることがあります。自分から誘うことは、平穏な夫婦関係を破綻させたことに対する責任の度合いが高くなるからです。

反省していない場合

相手からの請求を無視する、逆ギレをする、不貞行為はないとしらを切るなど、不貞行為をしたことに対して反省がない場合も、慰謝料が増額されることがあります。

請求された後の行動も慰謝料に影響する可能性があります。

それまで夫婦円満だった場合

不貞行為が発覚するまでは、相手の夫婦関係が円満だった場合、平穏な夫婦関係を破壊したことに対する影響が大きいため、慰謝料が増額されることがあります。

妊娠・出産した場合

不貞行為によって、子どもを妊娠・出産した場合、慰謝料が増額されることがあります。

不貞相手が妊娠・出産した場合、配偶者の精神的苦痛は、当事者間で不貞行為のみが行われたことに比べて極めて大きくなりますし、平穏な夫婦関係に与える影響も大きくなります。

また、精神的苦痛だけでなく、養育費や相続など、将来にわたって、金銭面での影響が生じることもあり、慰謝料の増額事由になります。

不貞が原因で離婚した場合

不貞が原因で夫婦が離婚した場合、不貞が平穏な夫婦関係に与えた損害が極めて大きいものであると評価できます。それまで、婚姻関係が円満だったにもかかわらず、不貞が原因で離婚に至った場合は、慰謝料が増額になる傾向があります。

請求された金額が払えない場合の対処法

不貞慰謝料として、高額の慰謝料が請求されることが多く、支払いが困難となることも多いです。

以下では、請求された慰謝料の金額が支払えない場合の対応を説明します。

減額交渉する

最初の請求時点では、相手も感情的になっていることもあるため、求められる金額が高額になることも多いです。そのため、まずは、請求金額が裁判例と比較すると請求額が過大であるとして、減額を求める余地があります。

また、交際期間が短い、不貞行為の回数が少ない、婚姻期間が短いなどの減額事由を説明して、減額の交渉をします。

分割払いの交渉をする

減額をしても一括での支払いが困難である場合は、分割払いを提案するという方法もあります。不貞行為に対する償いとして、できる限り多く慰謝料を支払ってほしいという相手であれば、支払う金額を多くする代わりに、分割で慰謝料を支払うことを提案することが考えられます。

分割払いでは、途中で支払いが止まってしまうのではないかということを危惧して、分割払いには難色を示されることもあるので、支払回数や期間は、弁護士に交渉を任せると良いでしょう。

請求された不貞慰謝料の減額事例

弊所では、不貞慰謝料の請求をされた方からご依頼を受け、請求額からの大幅な減額に成功した事例も数多くあります。

依頼者は、当初、交際相手の配偶者から300万円の慰謝料を請求されており、相手の弁護士からは減額には応じないと強硬な態度を取られていました。相手の夫婦は、不貞行為の発覚により、離婚しており、不貞の影響が小さいとは言えない事案でしたが、不貞行為が行われた時点で夫婦関係が悪化していたことや、すでに夫から多額の慰謝料が支払われていることなどを主張して、200万円以上の減額に成功しました。

不貞慰謝料を請求されたら弁護士にご相談ください

不貞の慰謝料を請求されると、突然のことでどうすればいいか分からず、不安な気持ちになると思います。誰にも相談できず、1人で解決しようとすると、気づかないうちに自分に不利なことを言ってしまったり、支払う義務のない慰謝料を支払ったりしてしまうことがあります。

弁護士であれば、ご依頼者様の代わりに交渉をして、適切な結果へ話合いを進めることができます。

弁護士法人ALG&Associates横浜法律事務所では、男女問題を数多く扱った弁護士が多数在籍しておりますので、お困りの際はぜひ一度ご相談ください。

離婚を決意した際、まずは同居しながら配偶者と離婚の話をすることが多いと考えられますが、合意に至らない場合や、話し合い自体が難しいという場合には、離婚前に別居をすることがあります。

別居することで、日々の生活のストレスが軽減されたり、冷静に離婚協議したりすることができることもありますが、経済的理由等から別居をすることができないこともあります。

今回はすぐに別居ができない家庭内別居のケースで、離婚がどのように進んでいくのかなどについて解説していきます。

家庭内別居で離婚することはできるのか

家庭内別居をしている場合でも、正式に離婚協議をした上で、双方が離婚に合意できれば、協議離婚をすることが可能です。当事者だけで協議するのではなく、裁判所で話し合いをする調停手続きを利用することも可能です。

仮に、当事者間で話し合いで離婚が成立しない場合には、離婚訴訟を提起することになります。ただし、純粋な別居よりも、家庭内別居の方が、離婚請求が認容されるためのハードルは高くなると考えられます。

家庭内別居を選ぶ理由

子供への負担が小さい

子供がいる場合、子供と一緒に別居する場合でも、子供を残して片方の親が別居する場合でも、別居が与える子供への負担は相当程度大きなものにならざるを得ません。特に子供と一緒に別居する場合には、慣れ親しんだ家から離れることになりますし、場合によっては転校しなければならないこともあります。

他方で、家庭内別居であれば、純粋な別居と比較して、子供にとっては影響・負担が小さいものと考えられます。このような理由から、別居ではなく家庭内別居を選択するケースもあります。

経済的な負担が少ない

経済的理由から家庭内別居を選択する場合もあります。

別居先が実家等の場合には経済的負担は小さいですが、新たに賃貸物件を借りなければならない場合、別途賃料や光熱費等がかかるため、経済的負担が大きいものになりがちです。

他方、家庭内別居であれば、追加で住居費等がかかるわけではないため、経済的には負担が小さいことになります。このような理由から家庭内別居を選択するケースもあります。

世間体を守れる

実際に別居した場合には、夫婦の一方の出入りがなくなるため、近隣住民に別居を知られてしまうことがあります。そのため、噂されること等を嫌って別居や離婚の事実を世間に知られたくないという人は、敢えて、家庭内別居の形を選択することがあります。実際に離婚が成立するまでは家庭内別居を継続し、世間体を守るということができます。

面倒な手続きをせずに済む

実際に別居をする場合には、転居先の賃貸物件の契約や引っ越しの手配、水道光熱費やインターネット等のライフライン関係の契約、役所への届け出等、様々な手続きを行う必要があります。これらは非常に面倒な手続きのため、慣れていない人にとってはとても負担が大きいでしょう。家庭内別居であればこれらの面倒な手続きを行う必要はないため、負担はとても小さくて済みます。このような観点から家庭内別居を選択する場合もあります。

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家庭内別居のデメリット

同じ家にいるだけでストレスを感じる

しかし、家庭内別居にはデメリットもあります。

離婚をしたいと決意するほどの相手と同じ建物内で生活するだけで大きなストレスを感じることがあるでしょう。なるべく接触がないようにしても、意図せず顔を合わせてしまうこともあるかもしれません。相手と接触しないように相手を避けながら生活することになるため、リラックスして生活することは難しくなります。

家庭内別居を理由に離婚を認めてもらうことは難しい

話し合いで離婚が成立せず、離婚訴訟を提起せざるを得ない場合、やはり実際に別居をしている方が離婚は認められやすいと考えられます。家庭内別居の場合には、一応同じ建物内に居住できているため、婚姻関係の破綻が認められにくいためです。また、家庭内別居といってもグラデーションがあり、例えば洗濯は相手の分も行っているというような場合は、夫婦としての協力関係が一定程度認められるとして離婚が認められにくくなる可能性があります。

家庭内別居から完全別居する場合の注意事項

従前、家庭内別居が継続しており、どこかのタイミングで完全別居をする場合には、いくつか注意点があります。例えば、仮に家庭内別居が数年間続いていたとしても、裁判官は、完全別居をした日から別居が成立していると認定する可能性があります。完全別居からまださほど期間が経過していない場合には、裁判官は別居期間が不足しているとして、離婚請求を認めない可能性があります。

家庭内別居と離婚に関するQ&A

家庭内別居をしていた場合、財産分与の対象になるのはいつまでですか?

財産分与の基準時は、夫婦協力関係が終了した時点とされています。
完全別居の場合、多くのケースでは、財産分与の基準時は完全別居開始時ということになります。他方、家庭内別居の場合には、基準時がいつになるか不明瞭な場合が多いです。そのため、家庭内別居が開始されたとき、正式に離婚の申し入れをしたとき、離婚調停の申立てをしたとき等、いくつか基準時候補がある場合もあります。離婚訴訟においては最終的に裁判官が基準時を判断することになりますが、協議や調停では基準時について合意を試みるということになります。

夫婦で会話なし、無視が続く状態は「婚姻関係が破綻している」とみなされますか?

離婚訴訟において、婚姻関係が破綻していると認定された場合には、離婚請求が認容されることになります。そして、完全別居をした上で一定期間が経過すると、婚姻関係が破綻していると認定される可能性が高くなりますが、家庭内別居の場合には、完全別居よりも婚姻関係の破綻が認定されるハードルは高くなると考えられます。単に会話がなかったり、無視が続いたりするだけの場合には、家庭内別居と評価されない可能性もあり、その場合には一層婚姻関係の破綻が認定されるハードルは高くなると考えられます。

家庭内別居中の婚姻費用は請求できますか?

婚姻費用は、通常は、完全別居をした上で請求をすることが多いですが、完全別居でなければ請求できないというわけではありません。家庭内別居の場合であっても、現実に生活費が支払われていなかったり、僅少な金額しか支払われていなかったりする場合には、婚姻費用の請求が認められる可能性があります。家庭内別居の場合の婚姻費用の計算についても、基本的には婚姻費用算定表の基礎となる考え方が妥当します。

家庭内別居から離婚をお考えの方は、早めに弁護士にご相談ください。

家庭内別居の場合には、離婚訴訟において離婚請求が認められにくかったり、婚姻費用の請求も複雑になったり、財産分与の基準時が曖昧になったりする等、完全別居と比較して気を付けなければならない点が多いです。

そのような中で離婚手続きを進める場合には、専門家である弁護士のアドバイスのもと進めることが非常に重要であると考えられます。早めのご相談頂くことをお勧めいたします。

相続人に認知症の人がいると、相続の手続き等が思うように進められなくなるおそれがあります。相続が開始された後では、成年後見制度を利用することによって解決できる場合もありますが、デメリットもあるので、認知症になる前や相続が開始される前に対策しておくことが重要となります。

この記事では、相続人が認知症になると起こることや、相続に影響を及ぼす認知症の程度、成年後見制度の利用等について解説します。また、事前に行うべき対策についても解説していきます。

相続人が認知症になったらどうなる?

相続人が認知症になると、相続手続きを進めるときに支障が生じてしまいます。

支障が生じるのは、主に以下のような手続きです。

  • 遺産分割協議
  • 相続放棄

これらの手続きについて、次項より解説します。

遺産分割協議ができなくなる

相続人の1人が認知症になると、基本的に遺産分割協議ができなくなります。なぜなら、重度の認知症を患った方は、意思能力を欠いているため法律行為ができないと考えられるからです。

また、軽度の認知症であっても、相続の結果に満足していない相続人から無効を主張される理由になるおそれがあるため、医師の診断書を受け取っておく等の対応が必要となります。

なお、認知症になった相続人を協議から除外できる規定はないので、当該相続人が参加しなかった協議は無効となります。

認知症になった相続人は相続放棄ができなくなる

認知症になった相続人は、基本的に相続放棄ができません。なぜなら、認知症によって意思能力を失った人は、相続放棄のような法律行為を行うことができないからです。

認知症の相続人が相続放棄する必要がある場合、成年後見人を選任してもらう必要があります。ただし、相続財産が多額の借金だけである場合等、明らかに相続人に不利な状況でなければ後見人による相続放棄は認められないので注意しましょう。

相続できなくなる認知症の程度はどれくらい?

認知症の程度は、「長谷川式認知症スケール」と呼ばれる数値によって、ある程度の判断が可能です。長谷川式認知症スケールとは、認知症の疑いの診断に用いられる検査であり、短時間で、9種類の質問に答えることによって検査します。

検査の結果、点数が20点以上であれば意思能力があるとされる可能性が高く、点数が15点以上であれば意思能力があるとされる可能性があります。それよりも点数が低いと、意思能力がないと判断されるおそれがあります。

ただし、長谷川式認知症スケールの点数は絶対的な指標ではありません。そのため、点数が高めであったとしても、遺産分割協議の内容などが複雑で難しかった場合等では、協議を無効とされるリスクがあります。

軽い認知症だったら相続手続きできる?

相続人の認知症が軽度である場合には、相続手続きは認められる可能性が高いでしょう。本人の意思能力がある状態ならば、成年後見人の選任を申し立てる必要はないと考えられます。

ただし、相続に不満のある人による蒸し返しを防ぐために、意思能力があったことの証明として、医師の診断書を発行してもらう等の対応をしておくことが望ましいといえます。

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認知症の相続人がいる場合は成年後見制度を利用して相続手続きを行う

相続人が認知症により意思能力を失っている場合には、成年後見制度を利用する方法が考えられます。

成年後見制度とは、認知症等によって判断能力が低下した人のために成年後見人などを選任する制度です。成年後見人が選任されていれば、相続人本人を代理して相続手続きが可能となります。

ただし、選任された成年後見人は、基本的に相続人が亡くなるまで職務を継続します。その間は、成年後見人に対する報酬が発生し続けることになります。

また、成年後見人は本人の財産を守ることを目指しているので、遺産分割協議では法定相続分を確保しようとします。また、相続税を減らすための生前贈与等を行うこともないと考えられるため、柔軟性に欠けるといえます。

これらの事情により、現状では、成年後見人の選任は敬遠されるケースが多いです。

成年後見制度について、詳しくは以下のページをご覧ください。

成年後見制度とは

認知症の人がいる場合の相続手続きに関するQ&A

認知症であることを隠して相続したらバレますか?

相続人が認知症である場合において、その事実を隠したままで相続手続きを進めようとすれば、金融機関における手続き等の場面で発覚して、大変な事態に陥るリスクが極めて高いといえます。
認知症によって意思能力を失っている人による法律行為は基本的に無効となるため、遺産分割協議などが無効となって、それを前提として進めていた相続手続きも無効となります。
本人が書いたと偽って書類を偽造すると、最悪の場合には私文書偽造等の犯罪に該当するリスクも考えられるので、認知症を隠して相続するべきではありません。

唯一の相続人が認知症になってしまった場合、相続手続きはどうなるのでしょうか?

唯一の相続人が認知症になってしまうと、相続手続きが進められなくなるおそれがあります。なぜなら、相続人が1人であれば遺産分割協議の必要はありませんが、相続した不動産の相続登記や、金融機関での口座の名義変更、口座の解約等の手続きは意思能力がなければできないからです。
認知症の相続人は、相続手続きを親族や専門家等に依頼することもできないので、誰かが代わりに手続きを行うことも困難だといえます。
相続手続きを進めるためには、成年後見制度の利用等で対応する必要があります。

認知症の方がいる場合の相続はご相談ください

相続人に認知症の人がいると、相続手続きを進めることが難しくなります。しかし、成年後見制度は、現状では利用をためらってしまう状況です。

とはいえ、相続手続きを行わずに放置すると、その間は事実上、相続財産を使えなくなるのでおすすめできません。さらに、相続登記の期限である3年を超えると、10万円以下の過料を科されてしまうおそれもあります。

そこで、相続人に認知症の人がいる場合には、弁護士にご相談することをおすすめします。また、自分や家族が認知症になる前に、遺言書の作成等の対策をしたいと考えている方は、ぜひ早めにご相談ください。

横浜法律事務所 所長 弁護士 伊東 香織
監修:弁護士 伊東 香織弁護士法人ALG&Associates 横浜法律事務所 所長
保有資格弁護士(神奈川県弁護士会所属・登録番号:57708)
神奈川県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。